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番外編・スピンオフ集
(前世編)涙味の人参ケーキとファーストキッス
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小花柄のランチョンマットの上、白いグラタン皿に入ったこんがりとチーズに焼き色のついた美味しそうな海老とジャガイモとブロッコリーのグラタン。
少年の得意料理であり、少女の大好物だった。
「里緒が好きっ、僕の彼女になって!」
「ごめんなさい」
テーブル越しに向かい合って座っていた、幼馴染の少年の愛の告白に間髪入れずに頭を下げた少女。
少年はめげずに少女の手を握り食い下がるが、潤んだ瞳で見つめても少女は苦笑いするばかり。
テーブルに突っ伏して泣く少年の頭を少女は優しく撫でた。
これで二十七回目の告白だが少年は毎度毎度号泣する。
「蒼ちゃん…ごめんってば。私、ほんとに付き合うとかよく分からないの。蒼ちゃんは私を彼女にしてどうしたいの?」
「…里緒と一緒に学校行く、帰る、お泊まりする、旅行する、休みの日はお出かけする、お誕生日お祝いする、クリスマス一緒に遊ぶ、ネズミーランド行く……」
「それ付き合ったりしなくても全部小さい頃からやってるじゃない」
「付き合ったらイチャイチャしたい、キスしたい、エッチなことだってしたい!結婚もしたい!」
「……びっくりするくらい正直ね?ドン引きよ」
里緒の笑顔は引き攣る。
「うう、里緒は僕が嫌い?」
「好きよ、でも恋愛って……。ほら、私の友達が仲のいい男友達と付き合い始めたって言ったでしょう?あの後半年で喧嘩をして別れちゃったのよ。今も、気まずいままだし。私ね、蒼介とはギスギスしたり喧嘩したり、そうなりたくないの。蒼介が大切だから!」
「なんでダメになる前提なの!?そんなこと言ってやっぱり鈴木君が好きなんだ、それとも剣道部の副部長からも告白されたね。あの人のことが好きなの?そうなったら僕……里緒に近付く男は全員殺しちゃうかも」
少年は少女の手のひらを強く痛いくらいに握って、光のない虚ろな目で見つめた。
「こっ怖い顔でそんな物騒なこと言わないで!大袈裟よ」
「大袈裟じゃないよ。ちゃんとこうして里緒の意志を尊重してるだけマシだと思ってよ」
小さい頃から笑顔で好きだ好きだと言われて子犬のようにまとわりつかれ懐かれていたが、中学生になり少年の好きは、恋愛感情へとシフトした。
身体も気付けば大きくなり男らしくなって、今では大型犬のようだ。
姉弟のように育ったせいか、少女は少年のことを手の掛かる弟のようにしか思えなかった。
「……蒼介は大切な友達よ、家族だとも思ってる。ねえ、これからも今まで通り仲良くしよう?」
「それはできないよ…。里緒とは友達でいられない。なんで里緒にはわからないの?」
少年は泣きながら暗い顔をして椅子から立ち上がった。
その後ろ姿は尻尾巻いてうなだれる大型犬のようだ。
里緒は掛ける言葉もなく黙って彼が退室するのを見つめていた。
少年はわかりやすいくらいに単純な性格だ。喧嘩をしても次の日には忘れてるくらいに。
今回も大丈夫だろうと軽く考えていた少女だった。
だが違った。
あの日を境に、少年は少女を避けるようになった。
「蒼ちゃん?」
「ふーん。里緒とはもう一生おしゃべりしない。今無視してるの!話し掛けないでよ」
教室で声を掛けても少年はそっぽうを向いたままだ。
少女はため息をついて彼に背を向けた。
「わかったわよ。家庭科で人参のケーキを焼いたんだけど……蒼ちゃんが要らないなら他の人にあげるね」
「要らない!里緒なんか大嫌い!」
これは本格的に怒ってる。泣きそうな顔で怒っている。
少女は何も言えず、教室を後にした。
夕陽に染まった公園のブランコに一人座りながら揺れていた。
そして授業で作った人参ケーキを一人で食べている。
出来上がった時に授業の中でも食べたけれど、美味しく出来上がったはずなのに今食べているケーキはなんだか美味しくないし、胸が詰まるような気持ちになって目頭が熱くなった。
オーブンの中で膨らむケーキを見つめながら、真っ先に頭に浮かんでいたのは幼馴染の少年が美味しそうに食べる顔だけだった。
そもそも、自分はどうして料理が好きになったんだっけ?
ーーふと考えた。
幼い頃、物心ついた頃には少女の隣には少年がいた。
少女の隣の家のお爺さんの孫で、その子の両親は多忙でなかなか帰ってこなかった。
少年の誕生日にも彼の両親はお金を銀行に振り込むだけで顔すら見せなかった。そのお金すら仕事の部下が振り込んでいたようだ。
少年はバースデーケーキやクリスマスケーキすら食べたことがないと当然のような顔で言っていた。
少女の家では誰かの誕生日には祖母や母が必ずケーキを焼いてご馳走を作ってくれた。
それも、誕生日の特別な日には何でも好きなメニューをリクエストできた。少女の誕生日には大好物の海鮮類たっぷりのチラシ寿司やエビフライ。兄の誕生日には兄の好物のナポリタンやフライドチキン。父にはお刺身とビールやお酒。母はメンチカツ。祖母はチキンライス。
それが当たり前の家庭で育ったから、少年の笑顔が悲しかった。
初めて作った料理は少年の誕生日ケーキ。
祖母に教わって、自分一人で頑張って作ったけれど思うように膨らまなくて、中は生っぽくて表面はこんがり焦げてしまった硬いだけのブサイクなスポンジケーキを生クリーム塗りたくって誤魔化して、イチゴが出回っていない時期だったから桃やキウイやオレンジやバナナをカットしてごちゃっと乗せて、ローズ絞りも下手くそで、チョコペンで拙い字で少年の名前を書いた不出来なデコレーションケーキ。
それでも少年にプレゼントしたら大喜びだった。
大袈裟にスゴイや美味しいを連呼しながらいっぱい食べてくれた。
失敗したケーキが悔しくてもう作らないって怒って泣いて祖母を困らせていたけど、少年に喜んでもらえたのが今までで一番嬉しくて、ケーキだけじゃなくてお弁当や夕ご飯も祖母や母に教わって必死で学んだ。
いつも寂しそうな男の子を笑顔にしたくて。
「里緒?どうしたんだ?」
「お兄ちゃん?」
気付いたら陽も沈み、公園は暗くなっていた。
少女ははらりとほっぺたを伝う涙を手で拭うと部活帰りでたまたま公園の前を通りかかったらしい兄に声を掛けられた。
「何でもないよ」
「お前、何で泣いてるんだ?」
「本当に何でもないの、目にゴミが入っただけだよ」
少女は一口食べただけの食べかけの人参ケーキを兄に差し出した。
「お兄ちゃん、食べる?授業で焼いたの。私はもうお腹いっぱいで」
「うん……」
「ダメーーーーー!!」
アルミホイルの包みに手を伸ばした兄、すると突然何者かが叫びながら全力で走ってきてそれを奪取した。
そして少女の背中に思い切り抱きついた。
「蒼ちゃん?重たいよ!」
少年が背中にのしかかってくる。
「ウワァン!ごめんなさい、里緒!僕が食べる!それは僕のケーキだよ!」
「はぁ?また喧嘩でもしたのか?お前ら。そいつは俺が貰ったんだから俺のだ、返せよ、泥棒」
兄は少年の手からケーキを取り戻すとバクバクと二口三口でケーキをたいらげた。
少年の絶叫が公園に響く。
「美味かった、美味かった。先に家帰るから、さっさと仲直りしろよ」
兄は満足そうに立ち去った。
「泣かないで、明日土曜日で午前授業でしょ?授業が終わった後で同じの作ってあげるわよ」
「ぐすん」
泣いてる少年の頭を撫でた。
「ね、ねえ、蒼介、私にキスしてくれない?」
「え!?急に何なの?里緒」
「したら、蒼介のことが恋愛の意味で好きかどうかわかるかも」
「……わかんなかったら?」
「恋人にはなれないってこと?」
とてつもなく不安げな、しかし期待するような熱のこもった視線、かと思えば青かったり、頬を真っ赤に染めた百面相の顔が少女の目と鼻の先に近付いて。
やがて少年の唇は少女の唇を塞いだ。
冷たくて柔らかくて少し震えた唇が当たると、二人とも身体をガチガチに強張らせて心臓が飛び出そうなくらいドキドキしていた。
精一杯の幼いキス。
「…どう?わかった?」
「うーん……よくわかんない」
「もっかいする?したらわかる?」
「しないわ。わかった!わかったわよ!ドキドキしました!もう勘弁して」
少女は顔を真っ赤にしてブンブンと首を横に振った。
少年は晴れやかな顔をして少女を思い切り抱きしめた。
それから物足りなさそうな目で少女を見つめる少年、恥ずかしすぎて目眩がする。
「里緒~、大好きだよ」
「私も蒼介が好き、なのかも」
世の中の恋人たちはこんなことを頻繁にしているのか。
心臓がもたない。
「じゃあ、里緒。僕と付き合ってくれる?」
「……は、はい……」
「わぁい!やったぁ~!」
少年はまた少女をハグして喜んだ。
少女もふっと微笑し、少年を抱きしめ返した。
☆☆☆
少年の得意料理であり、少女の大好物だった。
「里緒が好きっ、僕の彼女になって!」
「ごめんなさい」
テーブル越しに向かい合って座っていた、幼馴染の少年の愛の告白に間髪入れずに頭を下げた少女。
少年はめげずに少女の手を握り食い下がるが、潤んだ瞳で見つめても少女は苦笑いするばかり。
テーブルに突っ伏して泣く少年の頭を少女は優しく撫でた。
これで二十七回目の告白だが少年は毎度毎度号泣する。
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「…里緒と一緒に学校行く、帰る、お泊まりする、旅行する、休みの日はお出かけする、お誕生日お祝いする、クリスマス一緒に遊ぶ、ネズミーランド行く……」
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「……びっくりするくらい正直ね?ドン引きよ」
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「うう、里緒は僕が嫌い?」
「好きよ、でも恋愛って……。ほら、私の友達が仲のいい男友達と付き合い始めたって言ったでしょう?あの後半年で喧嘩をして別れちゃったのよ。今も、気まずいままだし。私ね、蒼介とはギスギスしたり喧嘩したり、そうなりたくないの。蒼介が大切だから!」
「なんでダメになる前提なの!?そんなこと言ってやっぱり鈴木君が好きなんだ、それとも剣道部の副部長からも告白されたね。あの人のことが好きなの?そうなったら僕……里緒に近付く男は全員殺しちゃうかも」
少年は少女の手のひらを強く痛いくらいに握って、光のない虚ろな目で見つめた。
「こっ怖い顔でそんな物騒なこと言わないで!大袈裟よ」
「大袈裟じゃないよ。ちゃんとこうして里緒の意志を尊重してるだけマシだと思ってよ」
小さい頃から笑顔で好きだ好きだと言われて子犬のようにまとわりつかれ懐かれていたが、中学生になり少年の好きは、恋愛感情へとシフトした。
身体も気付けば大きくなり男らしくなって、今では大型犬のようだ。
姉弟のように育ったせいか、少女は少年のことを手の掛かる弟のようにしか思えなかった。
「……蒼介は大切な友達よ、家族だとも思ってる。ねえ、これからも今まで通り仲良くしよう?」
「それはできないよ…。里緒とは友達でいられない。なんで里緒にはわからないの?」
少年は泣きながら暗い顔をして椅子から立ち上がった。
その後ろ姿は尻尾巻いてうなだれる大型犬のようだ。
里緒は掛ける言葉もなく黙って彼が退室するのを見つめていた。
少年はわかりやすいくらいに単純な性格だ。喧嘩をしても次の日には忘れてるくらいに。
今回も大丈夫だろうと軽く考えていた少女だった。
だが違った。
あの日を境に、少年は少女を避けるようになった。
「蒼ちゃん?」
「ふーん。里緒とはもう一生おしゃべりしない。今無視してるの!話し掛けないでよ」
教室で声を掛けても少年はそっぽうを向いたままだ。
少女はため息をついて彼に背を向けた。
「わかったわよ。家庭科で人参のケーキを焼いたんだけど……蒼ちゃんが要らないなら他の人にあげるね」
「要らない!里緒なんか大嫌い!」
これは本格的に怒ってる。泣きそうな顔で怒っている。
少女は何も言えず、教室を後にした。
夕陽に染まった公園のブランコに一人座りながら揺れていた。
そして授業で作った人参ケーキを一人で食べている。
出来上がった時に授業の中でも食べたけれど、美味しく出来上がったはずなのに今食べているケーキはなんだか美味しくないし、胸が詰まるような気持ちになって目頭が熱くなった。
オーブンの中で膨らむケーキを見つめながら、真っ先に頭に浮かんでいたのは幼馴染の少年が美味しそうに食べる顔だけだった。
そもそも、自分はどうして料理が好きになったんだっけ?
ーーふと考えた。
幼い頃、物心ついた頃には少女の隣には少年がいた。
少女の隣の家のお爺さんの孫で、その子の両親は多忙でなかなか帰ってこなかった。
少年の誕生日にも彼の両親はお金を銀行に振り込むだけで顔すら見せなかった。そのお金すら仕事の部下が振り込んでいたようだ。
少年はバースデーケーキやクリスマスケーキすら食べたことがないと当然のような顔で言っていた。
少女の家では誰かの誕生日には祖母や母が必ずケーキを焼いてご馳走を作ってくれた。
それも、誕生日の特別な日には何でも好きなメニューをリクエストできた。少女の誕生日には大好物の海鮮類たっぷりのチラシ寿司やエビフライ。兄の誕生日には兄の好物のナポリタンやフライドチキン。父にはお刺身とビールやお酒。母はメンチカツ。祖母はチキンライス。
それが当たり前の家庭で育ったから、少年の笑顔が悲しかった。
初めて作った料理は少年の誕生日ケーキ。
祖母に教わって、自分一人で頑張って作ったけれど思うように膨らまなくて、中は生っぽくて表面はこんがり焦げてしまった硬いだけのブサイクなスポンジケーキを生クリーム塗りたくって誤魔化して、イチゴが出回っていない時期だったから桃やキウイやオレンジやバナナをカットしてごちゃっと乗せて、ローズ絞りも下手くそで、チョコペンで拙い字で少年の名前を書いた不出来なデコレーションケーキ。
それでも少年にプレゼントしたら大喜びだった。
大袈裟にスゴイや美味しいを連呼しながらいっぱい食べてくれた。
失敗したケーキが悔しくてもう作らないって怒って泣いて祖母を困らせていたけど、少年に喜んでもらえたのが今までで一番嬉しくて、ケーキだけじゃなくてお弁当や夕ご飯も祖母や母に教わって必死で学んだ。
いつも寂しそうな男の子を笑顔にしたくて。
「里緒?どうしたんだ?」
「お兄ちゃん?」
気付いたら陽も沈み、公園は暗くなっていた。
少女ははらりとほっぺたを伝う涙を手で拭うと部活帰りでたまたま公園の前を通りかかったらしい兄に声を掛けられた。
「何でもないよ」
「お前、何で泣いてるんだ?」
「本当に何でもないの、目にゴミが入っただけだよ」
少女は一口食べただけの食べかけの人参ケーキを兄に差し出した。
「お兄ちゃん、食べる?授業で焼いたの。私はもうお腹いっぱいで」
「うん……」
「ダメーーーーー!!」
アルミホイルの包みに手を伸ばした兄、すると突然何者かが叫びながら全力で走ってきてそれを奪取した。
そして少女の背中に思い切り抱きついた。
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少年が背中にのしかかってくる。
「ウワァン!ごめんなさい、里緒!僕が食べる!それは僕のケーキだよ!」
「はぁ?また喧嘩でもしたのか?お前ら。そいつは俺が貰ったんだから俺のだ、返せよ、泥棒」
兄は少年の手からケーキを取り戻すとバクバクと二口三口でケーキをたいらげた。
少年の絶叫が公園に響く。
「美味かった、美味かった。先に家帰るから、さっさと仲直りしろよ」
兄は満足そうに立ち去った。
「泣かないで、明日土曜日で午前授業でしょ?授業が終わった後で同じの作ってあげるわよ」
「ぐすん」
泣いてる少年の頭を撫でた。
「ね、ねえ、蒼介、私にキスしてくれない?」
「え!?急に何なの?里緒」
「したら、蒼介のことが恋愛の意味で好きかどうかわかるかも」
「……わかんなかったら?」
「恋人にはなれないってこと?」
とてつもなく不安げな、しかし期待するような熱のこもった視線、かと思えば青かったり、頬を真っ赤に染めた百面相の顔が少女の目と鼻の先に近付いて。
やがて少年の唇は少女の唇を塞いだ。
冷たくて柔らかくて少し震えた唇が当たると、二人とも身体をガチガチに強張らせて心臓が飛び出そうなくらいドキドキしていた。
精一杯の幼いキス。
「…どう?わかった?」
「うーん……よくわかんない」
「もっかいする?したらわかる?」
「しないわ。わかった!わかったわよ!ドキドキしました!もう勘弁して」
少女は顔を真っ赤にしてブンブンと首を横に振った。
少年は晴れやかな顔をして少女を思い切り抱きしめた。
それから物足りなさそうな目で少女を見つめる少年、恥ずかしすぎて目眩がする。
「里緒~、大好きだよ」
「私も蒼介が好き、なのかも」
世の中の恋人たちはこんなことを頻繁にしているのか。
心臓がもたない。
「じゃあ、里緒。僕と付き合ってくれる?」
「……は、はい……」
「わぁい!やったぁ~!」
少年はまた少女をハグして喜んだ。
少女もふっと微笑し、少年を抱きしめ返した。
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