113 / 262
ミレンハン国のトド王妃と赤獅子シモンのダイエット大作戦!?〜美しい公爵令嬢と獣人騎士の身分差恋愛の行方
その後
しおりを挟む
いつもより固めのベッドの上でシャルロットは寝かされていた。
目を開けると見覚えのある天蓋ベッドの上で、ここは本殿のグレース皇子の寝室だ。
あれからお城に帰ってすぐに倒れてしまったのだ。
以降の記憶はない。
「………」
身体を起こしたシャルロットはキョロキョロと辺りを見渡していた。
ふと右下に視線を移すと、グレース皇子が仰向けでスヤスヤ眠っている。
「ぐ、グレース様……?」
シャルロットはいつものナイトウェアを着せられている。
きっと侍女たちが着せてくれたんだろう。
部屋はロウソク一本の薄明かりだけ、しんと静まり返っている。
シャルロットの足元では銀色の狼が眠っていた。
眠気はもう無い、それどころか身体がすごく軽く楽になっている。
シャルロットは大きく伸びをした。
「姫?……お早う……」
グレース皇子が目を覚ました。
「お早うございます。あの……私は何故ここで眠ってるのかしら?」
「…姫が城に着いた途端眠ってしまって…ああ、その後すぐに俺も倒れたんだ」
「グレース様が?大丈夫なの?」
「ああ、過労と寝不足の上にグレイの封印を解いて王虎相手に大量の魔力を使ったからな……。クロウが魔力を分けてくれたんだろう、もう大丈夫だ」
グレース皇子は横になったまま笑った。
シャルロットもまた身体をベッドに倒し、グレース皇子の傍らに寄りかかる。
「……うちの父と兄が、本当にごめんなさい」
「姫が謝ることじゃない」
優しく髪を撫でられ、シャルロットは頬を少し染めた。
グレース皇子はシャルロットの額にキスをした。
「……この一ヶ月間王代理で忙しかったが、ケータリングと言ったか?姫が毎日 本殿まで食事を運んでくれて、時折一緒にブランチを食べて、それがどんなに励みになったか。姫が居なかったら、俺はこんなに頑張れなかった。ありがとう」
「ふふ。私がグレース様やクロウと一緒にご飯を食べたかっただけですわ。それに放って置いたらグレース様はお肉ばっかり食べるんですもの」
「今は野菜もちゃんと食べてるぞ」
ベッドの上で久々にゆったりと談笑していると扉が開く音がして、間もなく重たい何かがシャルロットとグレース皇子の上にのしかかる。
幻狼姿のクロウだ。
尻尾をブンブン振りながらこっちを見ていた。
「起きたの~?二人とも」
「クロウ……!おはよう」
「まだ夜だけどね~」
「みんなは?」
「お城に帰ってきた後ユハが飲みニケーションとか言い出してね、ナージャ王妃とオリヴィア小国の王様達と飲み会してたの。みんな酔い潰れて寝ちゃってるよ」
クロウはシャルロットとグレース皇子の間に入り、ゴロンッと横たわった。
「今日は疲れちゃった、私もこっちで眠る」
「ふふ、おやすみなさい」
二匹の幻狼がベッドに上がるとキングサイズの大きなベッドも小さく感じる。
でも、幸せに浸りながらシャルロット再び眠りについた。
目を開けると見覚えのある天蓋ベッドの上で、ここは本殿のグレース皇子の寝室だ。
あれからお城に帰ってすぐに倒れてしまったのだ。
以降の記憶はない。
「………」
身体を起こしたシャルロットはキョロキョロと辺りを見渡していた。
ふと右下に視線を移すと、グレース皇子が仰向けでスヤスヤ眠っている。
「ぐ、グレース様……?」
シャルロットはいつものナイトウェアを着せられている。
きっと侍女たちが着せてくれたんだろう。
部屋はロウソク一本の薄明かりだけ、しんと静まり返っている。
シャルロットの足元では銀色の狼が眠っていた。
眠気はもう無い、それどころか身体がすごく軽く楽になっている。
シャルロットは大きく伸びをした。
「姫?……お早う……」
グレース皇子が目を覚ました。
「お早うございます。あの……私は何故ここで眠ってるのかしら?」
「…姫が城に着いた途端眠ってしまって…ああ、その後すぐに俺も倒れたんだ」
「グレース様が?大丈夫なの?」
「ああ、過労と寝不足の上にグレイの封印を解いて王虎相手に大量の魔力を使ったからな……。クロウが魔力を分けてくれたんだろう、もう大丈夫だ」
グレース皇子は横になったまま笑った。
シャルロットもまた身体をベッドに倒し、グレース皇子の傍らに寄りかかる。
「……うちの父と兄が、本当にごめんなさい」
「姫が謝ることじゃない」
優しく髪を撫でられ、シャルロットは頬を少し染めた。
グレース皇子はシャルロットの額にキスをした。
「……この一ヶ月間王代理で忙しかったが、ケータリングと言ったか?姫が毎日 本殿まで食事を運んでくれて、時折一緒にブランチを食べて、それがどんなに励みになったか。姫が居なかったら、俺はこんなに頑張れなかった。ありがとう」
「ふふ。私がグレース様やクロウと一緒にご飯を食べたかっただけですわ。それに放って置いたらグレース様はお肉ばっかり食べるんですもの」
「今は野菜もちゃんと食べてるぞ」
ベッドの上で久々にゆったりと談笑していると扉が開く音がして、間もなく重たい何かがシャルロットとグレース皇子の上にのしかかる。
幻狼姿のクロウだ。
尻尾をブンブン振りながらこっちを見ていた。
「起きたの~?二人とも」
「クロウ……!おはよう」
「まだ夜だけどね~」
「みんなは?」
「お城に帰ってきた後ユハが飲みニケーションとか言い出してね、ナージャ王妃とオリヴィア小国の王様達と飲み会してたの。みんな酔い潰れて寝ちゃってるよ」
クロウはシャルロットとグレース皇子の間に入り、ゴロンッと横たわった。
「今日は疲れちゃった、私もこっちで眠る」
「ふふ、おやすみなさい」
二匹の幻狼がベッドに上がるとキングサイズの大きなベッドも小さく感じる。
でも、幸せに浸りながらシャルロット再び眠りについた。
0
お気に入りに追加
396
あなたにおすすめの小説

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。


断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる