97 / 262
ミレンハン国のトド王妃と赤獅子シモンのダイエット大作戦!?〜美しい公爵令嬢と獣人騎士の身分差恋愛の行方
prologue 春の日の煮込みうどん
しおりを挟む
長い冬を終えて春うらら。
オープンから一ヶ月目。
旧乙女椿宮・食堂のランチタイムは賑やかだ。
テイクアウト式のサンドウィッチやハンバーガーやパン類、数種類の定食やカレーライス、洋食の日替わりアラカルトが定番メニューだ。
「新メニューの煮込みうどんですわ」
「わ~美味しそう」
ペレー国から安い小麦粉を入手する事ができたため、数日前から数量限定で煮込みうどんの提供も始めたが好評のようだ。
食堂経営も軌道に乗り始め、新メニューを考案する時間の余裕もできてきた。
「思ったより、カレーライスが人気みたい」
「今は金曜日だけだけど、カレーの日増やしちゃう?」
「そうね。でもスパイスはちょっとお高めだから……」
野菜の皮むきをしながらユハに相談してみた。
「シャルルさん、こんにちは」
ユーシンは厨房の中をひょっこりと覗き、シャルロットを見つけると満面の笑みを浮かべた。
シャルロットに向かって手を振っている。
隣にはシャルロットの護衛騎士キャロルもいる。今日は二人とも非番のようで私服姿だ。
それにしても二人が一緒にいるのは珍しかった。
「ユーシン、キャロルさん、こんにちは。どうしたの?」
「今 本殿からの帰りっす。腹減ったんでランチしにきました」
「あら、そう。メニューは決まったかしら?」
「うどんにしようかなぁ」
「わ、私もユーシンと同じので、お願いします」
「ふふ、わかったわ。試作のプリンがあるの。サービスするわね」
「プリンですか!ありがとうございます!姫様」
一旦厨房へ戻り、料理をユーシンとキャロルに差し出した。
二人はカウンター席に並んで座っていた。
「今日、俺たち親衛隊に立候補してきたんです」
「二人とも……親衛隊に入隊するの?親衛隊って陛下の後ろにいる人たちよね?王や王妃様を護衛する……」
「ええ、私達、将来姫様とグレース様を側でお守りする親衛隊になりたくて!。親衛隊って騎士の中でもトップクラスのエリートな役職なんですよ!本来なら王が指名するんです。まあ、立候補や推薦も受け付けてるようですが、今回は立候補が殺到しそうですね。姫様って人気がありますから」
「先手必勝っす!今さっきグレースに話してきたんだ。皇子なら幼少期に親衛隊が決まるんすけど、皇子は護衛をつけたがらない人だったから、でもこの前の事件のこともあるし親衛隊を考えるってさ」
グレース皇子とはこの一カ月ほとんど会えていない。
数日前にクライシア王がシャルロットの兄左王とコボルトを連れて旅行へ出掛けてしまった。国を開ける間、グレース皇子は王代理を務めており、クロウも補佐をしている。執務や勉強などで一日中忙しいようだ。
シャルロットもシフト制ではあったが食堂の仕事があり、このところすれ違い生活が続いている。
唯一、本殿へケータリングの食事を届ける際に数分会って話せるのが楽しみな時間だ。
「そうだ、北の領地に隠居中の赤獅子が遠征中の騎士団長の代打で来るらしいっす!」
「赤獅子?」
「前王の時代に活躍してた最恐の獣人騎士です!戦場でもいくつもの武勇伝を残してきた生きる伝説なんですよ!」
キャロルの憧れの騎士らしい。
「引退した騎士さんなの?」
「怪我をしたのと目のご病気で…、ここ数年は国から与えられた領地の屋敷に籠っているそうです」
「お会いしてみたいわ」
シャルロットはまだ見ぬ伝説の赤獅子の姿をふと想像していた。
*
ーー 一方、まだ寒さの残るクライシア大国とは打って変わり大陸の最南端にあるミレンハン国は、春と言うより初夏のような暖かな日が続いていた。
そして赤珊瑚をモチーフにした美しい宮殿に男女の言い争う声が響く。
「良いではないか!宴の席に踊り子を呼ぶくらい普通じゃろ!」
「何よ!あの美人な踊り子にデレデレしてたじゃない!」
王妃は夫である王の足を思い切り踏みつけた。
王は怒髪天になり、王妃を指差し叫ぶ。
「たまにはよいではないか!お前みたいな醜い豚女を毎日見てるんだぞ!たまにはベッピンなお姉ちゃんに酒を注いでもらったってバチは当たらんだろう!」
「ぶ、豚!?」
王妃はショックを受けた。
かつては空色の長い髪、猫のようなアーモンドアイに小麦色の肌のモデル体型なスレンダー美女で、黒海の人魚姫とも呼ばれていた美しい姫であった。
去年十数年間飼っていた愛猫オパールが亡くなりペットロスで塞ぎ込み、部屋に引きこもりがちになり食欲増大で暴飲暴食の日々が続き、結果ブクブクと太り始め気付けば肥満体型。
「落ち着いてください、二人とも……」
二人の間に立つグリムの笑顔は引きつっていた。
「もう!グリムはどっちの味方なの!?あたしは太ってても充分美しいわよね!?」
「そうですとも!王妃様はとっても美しいです!」
「今のお前はマーメイドじゃなくてトドだ!ジュゴンだ!かつてお前を見初めて求婚していた男達が見たら詐欺だと訴えられるぞ!なあ!グリム」
「あなたって人は……!」
「わしだって、トドを嫁にした覚えはないぞ!」
「~~~!」
夫婦喧嘩はコミュニケーションってくらい喧嘩が日常茶飯事の王と王妃だが、今日はいつも以上に一触即発だ。
グリムもそれを肌で感じ、必死に二人をなだめようとしていた。
だが、それも虚しくいつものように板挟みにされ、グリムのストレスはマックスだった。
「グリム!ゲーテは今クライシア大国よね!?」
「ええ、そうですが」
「あなたの顔なんか見たくないわ!あたし、ゲーテのところに行くわよ!」
「ふん!わしもお前の顔など見たくないわ!何処へでも行け!」
「ええ!?無茶ですよ!そんな急に……先方にも都合ってものが」
「そこをなんとかするのが宰相の仕事でしょう!王妃の命令が聞けないの!?」
ゲーテ王子のワガママな性格は母親、頑固なところは父親に似たようだ。
グリムは笑顔を崩す事なく心因性の目眩に耐えていた。
「まあ、でも……、どうせ近いうちに行かなきゃいけない用事もありましたし。いっか。王妃様も一緒なら都合がいいや」
グリムは独り言を呟き、黒い笑みを浮かべていた。
また何かを企んでいるようだ。
オープンから一ヶ月目。
旧乙女椿宮・食堂のランチタイムは賑やかだ。
テイクアウト式のサンドウィッチやハンバーガーやパン類、数種類の定食やカレーライス、洋食の日替わりアラカルトが定番メニューだ。
「新メニューの煮込みうどんですわ」
「わ~美味しそう」
ペレー国から安い小麦粉を入手する事ができたため、数日前から数量限定で煮込みうどんの提供も始めたが好評のようだ。
食堂経営も軌道に乗り始め、新メニューを考案する時間の余裕もできてきた。
「思ったより、カレーライスが人気みたい」
「今は金曜日だけだけど、カレーの日増やしちゃう?」
「そうね。でもスパイスはちょっとお高めだから……」
野菜の皮むきをしながらユハに相談してみた。
「シャルルさん、こんにちは」
ユーシンは厨房の中をひょっこりと覗き、シャルロットを見つけると満面の笑みを浮かべた。
シャルロットに向かって手を振っている。
隣にはシャルロットの護衛騎士キャロルもいる。今日は二人とも非番のようで私服姿だ。
それにしても二人が一緒にいるのは珍しかった。
「ユーシン、キャロルさん、こんにちは。どうしたの?」
「今 本殿からの帰りっす。腹減ったんでランチしにきました」
「あら、そう。メニューは決まったかしら?」
「うどんにしようかなぁ」
「わ、私もユーシンと同じので、お願いします」
「ふふ、わかったわ。試作のプリンがあるの。サービスするわね」
「プリンですか!ありがとうございます!姫様」
一旦厨房へ戻り、料理をユーシンとキャロルに差し出した。
二人はカウンター席に並んで座っていた。
「今日、俺たち親衛隊に立候補してきたんです」
「二人とも……親衛隊に入隊するの?親衛隊って陛下の後ろにいる人たちよね?王や王妃様を護衛する……」
「ええ、私達、将来姫様とグレース様を側でお守りする親衛隊になりたくて!。親衛隊って騎士の中でもトップクラスのエリートな役職なんですよ!本来なら王が指名するんです。まあ、立候補や推薦も受け付けてるようですが、今回は立候補が殺到しそうですね。姫様って人気がありますから」
「先手必勝っす!今さっきグレースに話してきたんだ。皇子なら幼少期に親衛隊が決まるんすけど、皇子は護衛をつけたがらない人だったから、でもこの前の事件のこともあるし親衛隊を考えるってさ」
グレース皇子とはこの一カ月ほとんど会えていない。
数日前にクライシア王がシャルロットの兄左王とコボルトを連れて旅行へ出掛けてしまった。国を開ける間、グレース皇子は王代理を務めており、クロウも補佐をしている。執務や勉強などで一日中忙しいようだ。
シャルロットもシフト制ではあったが食堂の仕事があり、このところすれ違い生活が続いている。
唯一、本殿へケータリングの食事を届ける際に数分会って話せるのが楽しみな時間だ。
「そうだ、北の領地に隠居中の赤獅子が遠征中の騎士団長の代打で来るらしいっす!」
「赤獅子?」
「前王の時代に活躍してた最恐の獣人騎士です!戦場でもいくつもの武勇伝を残してきた生きる伝説なんですよ!」
キャロルの憧れの騎士らしい。
「引退した騎士さんなの?」
「怪我をしたのと目のご病気で…、ここ数年は国から与えられた領地の屋敷に籠っているそうです」
「お会いしてみたいわ」
シャルロットはまだ見ぬ伝説の赤獅子の姿をふと想像していた。
*
ーー 一方、まだ寒さの残るクライシア大国とは打って変わり大陸の最南端にあるミレンハン国は、春と言うより初夏のような暖かな日が続いていた。
そして赤珊瑚をモチーフにした美しい宮殿に男女の言い争う声が響く。
「良いではないか!宴の席に踊り子を呼ぶくらい普通じゃろ!」
「何よ!あの美人な踊り子にデレデレしてたじゃない!」
王妃は夫である王の足を思い切り踏みつけた。
王は怒髪天になり、王妃を指差し叫ぶ。
「たまにはよいではないか!お前みたいな醜い豚女を毎日見てるんだぞ!たまにはベッピンなお姉ちゃんに酒を注いでもらったってバチは当たらんだろう!」
「ぶ、豚!?」
王妃はショックを受けた。
かつては空色の長い髪、猫のようなアーモンドアイに小麦色の肌のモデル体型なスレンダー美女で、黒海の人魚姫とも呼ばれていた美しい姫であった。
去年十数年間飼っていた愛猫オパールが亡くなりペットロスで塞ぎ込み、部屋に引きこもりがちになり食欲増大で暴飲暴食の日々が続き、結果ブクブクと太り始め気付けば肥満体型。
「落ち着いてください、二人とも……」
二人の間に立つグリムの笑顔は引きつっていた。
「もう!グリムはどっちの味方なの!?あたしは太ってても充分美しいわよね!?」
「そうですとも!王妃様はとっても美しいです!」
「今のお前はマーメイドじゃなくてトドだ!ジュゴンだ!かつてお前を見初めて求婚していた男達が見たら詐欺だと訴えられるぞ!なあ!グリム」
「あなたって人は……!」
「わしだって、トドを嫁にした覚えはないぞ!」
「~~~!」
夫婦喧嘩はコミュニケーションってくらい喧嘩が日常茶飯事の王と王妃だが、今日はいつも以上に一触即発だ。
グリムもそれを肌で感じ、必死に二人をなだめようとしていた。
だが、それも虚しくいつものように板挟みにされ、グリムのストレスはマックスだった。
「グリム!ゲーテは今クライシア大国よね!?」
「ええ、そうですが」
「あなたの顔なんか見たくないわ!あたし、ゲーテのところに行くわよ!」
「ふん!わしもお前の顔など見たくないわ!何処へでも行け!」
「ええ!?無茶ですよ!そんな急に……先方にも都合ってものが」
「そこをなんとかするのが宰相の仕事でしょう!王妃の命令が聞けないの!?」
ゲーテ王子のワガママな性格は母親、頑固なところは父親に似たようだ。
グリムは笑顔を崩す事なく心因性の目眩に耐えていた。
「まあ、でも……、どうせ近いうちに行かなきゃいけない用事もありましたし。いっか。王妃様も一緒なら都合がいいや」
グリムは独り言を呟き、黒い笑みを浮かべていた。
また何かを企んでいるようだ。
0
お気に入りに追加
395
あなたにおすすめの小説

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
素材採取家の異世界旅行記
木乃子増緒
ファンタジー
28歳会社員、ある日突然死にました。謎の青年にとある惑星へと転生させられ、溢れんばかりの能力を便利に使って地味に旅をするお話です。主人公最強だけど最強だと気づいていない。
可愛い女子がやたら出てくるお話ではありません。ハーレムしません。恋愛要素一切ありません。
個性的な仲間と共に素材採取をしながら旅を続ける青年の異世界暮らし。たまーに戦っています。
このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
裏話やネタバレはついったーにて。たまにぼやいております。
この度アルファポリスより書籍化致しました。
書籍化部分はレンタルしております。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。

前代未聞のダンジョンメーカー
黛 ちまた
ファンタジー
七歳になったアシュリーが神から授けられたスキルは"テイマー"、"魔法"、"料理"、"ダンジョンメーカー"。
けれどどれも魔力が少ない為、イマイチ。
というか、"ダンジョンメーカー"って何ですか?え?亜空間を作り出せる能力?でも弱くて使えない?
そんなアシュリーがかろうじて使える料理で自立しようとする、のんびりお料理話です。
小説家になろうでも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる