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*シャルロット姫と食卓外交
第一騎士団と門出のバレンシア風パエリア
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「ばっかもーん!!」
公爵家の屋敷に公爵閣下の大きな怒号が響く。
「ちょっと待ってよ~!何の真似だ!?」
「旦那様が金輪際ユハ坊っちゃまとは勘当だと仰っております」
「クソ親父~!」
数分後、侍女や執事たちはいそいそと大きなカバン一つにユハの荷物を詰め込み、公爵家の屋敷から彼を叩き出した。
『ばっかもーん!!』
先程の怒号に似た前世の父の声が脳裏でリフレインする。
「……ハァ、“今世”もこのパターンですか」
クライシア大国の由緒正しい公爵家の末息子ユハ・レイター。
タレ目がちなエメラルド色の瞳が特徴的な青年で、肩まであるコーラルオレンジ色の髪を後ろで一つに結っている。
去年までエスター国にある魔人専用のアカデミーに通っていたが三浪の末やっと卒業、卒業後は、クライシア大国の王の弟で、公爵閣下である父の権力と七光りをフル活用して上の兄たちと同じように官僚の仕事に就いたが、一週間のお勤め以降 無断欠勤が続きクビになった。
そして冒頭の父の怒号に至るわけだ。
ところで、ユハ青年には“前世”の記憶があった。
“前世”のユハは日本の有名財閥の御曹司として生を受けた。
かなり裕福で恵まれた家に育ち、将来も約束されていた彼には小さい頃から“料理人になる”というささやかな夢があった。
高校を卒業してすぐに勘当も同然に実家を飛び出し、有名ホテルのフレンチレストランで料理人見習いとして働き、数年ほど本場フランスで修行もした。
長い下積みを経て、三十路を前にしてやっと自分の店が持てる!というところでーー夢も半ばに不慮の交通事故であっけなく他界。
気が付けばこの不思議な異世界の、公爵家の息子として生まれ変わっていたのだ。
「勘当とか上等だ!俺っちは官僚とかエリート街道なんか興味ないっつーの!!」
緑道を一人憤慨したり途方に暮れたり百面相しながら歩くユハの前を一匹の白うさぎが横切った。
それと同時にユハの腹の虫が鳴る。
「そういえば昼飯まだだったなぁ」
ユハは腹をさすりながらピョンピョン跳ねている白うさぎを凝視していた。
「うさぎの丸焼き……」
ボソッと呟くと、たらりと緩んだ口からよだれが垂れた。
白うさぎがこちらを振り返りギョッと驚き、ビクビク怯えている。
空腹のせいで我を忘れて気が付けば両手は白うさぎを捕らえていた。
「鈍臭いうさぎちゃんだなあ☆冗談だっての。食べないよ、料理器具もないし~、ん?お前、後脚 怪我してるよん?」
白うさぎの後脚には出来たばかりの切り傷があった。
白うさぎはジタバタとユハの腕の中で暴れた、だがユハの腕は振りほどけない。
「キャロル~~!どこだ~~?」
遠くから誰かを呼ぶ男の声が近付いてくる。
茂みをかき分けて現れたのは白い騎士服を着たユハと同年代くらいのハンサムな色男。
彼の声に反応するように、白うさぎは垂らしていた耳をぴょこっと立てた。
「あ!いた」
ハンサムな騎士はユハが胸に抱く白いうさぎを見て穏やかに笑った。
「もしかしてお兄さんのペットですか?」
「ええ……あ、これはこれはレイター公爵のご令郎ではありませんか。ええ、それはうちのうさぎです」
ユハは彼に白うさぎを渡した。
白うさぎは相変わらずジタバタ暴れ、そしてボフンっと何かが爆発するような音と共に騎士の腕の中で美少年の姿に変化した。
このうさぎ、獣人だったのか。
ハンサムな騎士にお姫様抱っこされる美少年の図。
バックに真っ赤な薔薇が散ってるようなイメージが浮かぶ。
(目の保養になるな。イケメンたちの男色に目がない腐った姉ちゃんが見たら大歓喜だろうな~)
「アダム?何で追ってきたんだよ!てか降ろせ!」
「メリー団長に叱られたから今頃しょげてまた兎化してると思ったんだよ。あと、魔物に噛まれて足怪我してるだろ、手当てしなきゃ。医務室まで運ぶぞ」
「しょげてないわ!!いいから降ろせってば!」
ニコニコ笑う穏やかそうなハンサム騎士はアダム、うさぎ少年はキャロルという名前らしい。
「それから、あんた!俺は食いもんじゃねえ!」
うさぎ少年キャロルはユハに激怒した。
ユハは苦笑する。
「こら、公爵令息に向かって無礼だろう」
「いいよいいよ、たった今公爵家から勘当されたからもう俺っち公爵令息じゃないしぃ~」
明るくおどけてみせるとアダムは目を点にした。
ひと通り事情を説明すると、アダムは少し考え込み、それから口を開いた。
「良ければ今夜は第一騎士団の寮舎にいらっしゃいませんか?まさか公爵家の方を野営させられませんし、ユハ様なら城内にも入れるでしょう」
「本当!?すっげー助かる!所持金少ないけど幾らか出すしさ、なんなら雑用もやるから当分泊めてよ!就職先を探すまでの間さぁ!あっ、俺っち料理ならめっちゃ得意☆あと~結構力持ちだぜ」
「……そういえば食堂のおばちゃんが娘さんのお産で里帰りしてるんだよな」
「よっしゃ、キタコレ!食堂で俺っちをしばらく雇ってよ!宿代ってことでさ」
「最終的な判断は団長になりますが、ユハ様がおっしゃるなら」
「ユハで良いよ、アダムとウサギちゃん」
「ウサギちゃんって言うな!キャロルだ!」
こうしてとある暑い夏の日から第一騎士団の食堂で住み込みのアルバイト生活が始まったのだった。
*
「マジ!?すっげぇ、米だ!」
厨房に入るなり食料庫をチェックし始めたユハは驚いた。
この大陸では目にしたことのない米がたくさん保管されてあったのだ。
「お前、コメを知ってるのか?グレース皇子の婚約者の姫様が自国から持ってきてくれたんだよ」
「めっちゃ知ってるよ~、元“日本人”だもの」
意外なところで米との再会を果たし懐かしさに浸るユハを、不思議そうな顔でキャロルが見ていた。
早速第一騎士団の夕食を作ることになったのだがーー、“いい加減でチャラい公爵家のどら息子”として貴族界隈では悪名高いユハに料理などできるのか?とキャロルを始め第一騎士団の騎士らは半信半疑だった。
「何を作るんだ?」
「うーん、パエージャ・バレンシアーナ…パエリアを作るよ。本場は兎肉で作るんだけど」
ちらりとキャロルを見ると、キャロルは顔を真っ青にして後退りした。
「おっーー俺は食えないぞ!」
「怯えないでよウサギちゃん。ジョークだよ、ブラックジョーク」
前世でもよく作っていた野菜とお肉で作る本場のパエリア、サフランはないから城の厨房から拝借してきたターメリックで代用しよう。
それと、専用のパエリア鍋がないが、巨大な鉄板があるからこれを使おう。
もともとレストランで働いていたから大人数分の調理もこなれたものだ。
ユハは慣れた手つきで野菜や鶏肉を刻んだ。
料理なんて何年振りだろう?
公爵家の屋敷では台所にさえ満足に入れてもらえなかったな。
平民に生まれて料理人になりたかったなんて言って執事の爺やをよく困らせたものだ。
“前世”のユハには優しい祖母がいた。
両親は共働きでほとんど屋敷には帰って来ず、日がな一日を祖母と2人で過ごしていた。
祖母は料理好きで、よく孫のユハに美味しいご飯を作ってくれた。
小学生になった頃からユハも一緒に料理をするようになって、料理の楽しさに目覚めていった。
国内外のフレンチレストランで何年も厳しい修行を重ねて、いつか自分の店を持ったら一番に祖母を招待することが夢だった。
夢は夢のまま、結局叶うことはなく突然死んでしまった。
転生してからも堅苦しい公爵家なんかに生まれてきてしまったユハに自由なんてなかった。
このまま、また無駄に生きて死んでいくのかとも思ったけれど、ここに来て自由に料理ができるなんて勘当も悪くはない。
「美味しそうね」
出来上がった頃に第一騎士団の女団長メリーや騎士たちがお務めから戻ってきた。
「美味いんです!どうぞお食べください」
非番だったキャロルと新米騎士たちが配膳を手伝ってくれた。
この国というか大陸の食文化はそこまで発展しておらず、人々の意識もまだ低い。
料理も焼くか煮るか、味付けも塩か砂糖かの二択という極端にシンプルなものばかりで良くも悪くも素朴な料理が多い。
城の料理人の技術も知識もまだまだ発展途上。
その上、現在の王が貴族の過度な贅沢を禁じ、清貧を推奨していた。
料理することも好きだが食べることも好きなユハはずっと不満だったのだ。
このパエリアも味付けは塩だけでシンプルなものだが、香味野菜の味が米一粒一粒に染みていて味わい深く風味も豊かで美味しいのだ。
「美味しい」
「それに見た目も綺麗だな」
騎士達には好評のようだ。
ユハも満足げに笑う。
「だろ?」
さて、明日は何を作ろうか。
*
「ウサギちゃんとアダムと同室か~」
夜も更けて寮舎の寝所を案内された。
騎士達は3人で一部屋を共同で使っているらしい。
「狭いところで申し訳ないです」
アダムは人当たりの良さそうな笑顔で言う。
キャロルは我関せずラフな格好で自分のベッドに横たわり本を読んでいた。
ユハは楽しげに笑ってキャロルのベッドにダイブした。
「ギャッ」
キャロルが悲鳴をあげる。
アダムは入り口に立ったまま苦笑いを浮かべていた。
「よろしくね~ウサギちゃん」
「ウサギっていうな!」
充実した毎日を過ごせそうな予感。
ユハはキャロルのベッドから降りると大きく伸びをした。
公爵家の屋敷に公爵閣下の大きな怒号が響く。
「ちょっと待ってよ~!何の真似だ!?」
「旦那様が金輪際ユハ坊っちゃまとは勘当だと仰っております」
「クソ親父~!」
数分後、侍女や執事たちはいそいそと大きなカバン一つにユハの荷物を詰め込み、公爵家の屋敷から彼を叩き出した。
『ばっかもーん!!』
先程の怒号に似た前世の父の声が脳裏でリフレインする。
「……ハァ、“今世”もこのパターンですか」
クライシア大国の由緒正しい公爵家の末息子ユハ・レイター。
タレ目がちなエメラルド色の瞳が特徴的な青年で、肩まであるコーラルオレンジ色の髪を後ろで一つに結っている。
去年までエスター国にある魔人専用のアカデミーに通っていたが三浪の末やっと卒業、卒業後は、クライシア大国の王の弟で、公爵閣下である父の権力と七光りをフル活用して上の兄たちと同じように官僚の仕事に就いたが、一週間のお勤め以降 無断欠勤が続きクビになった。
そして冒頭の父の怒号に至るわけだ。
ところで、ユハ青年には“前世”の記憶があった。
“前世”のユハは日本の有名財閥の御曹司として生を受けた。
かなり裕福で恵まれた家に育ち、将来も約束されていた彼には小さい頃から“料理人になる”というささやかな夢があった。
高校を卒業してすぐに勘当も同然に実家を飛び出し、有名ホテルのフレンチレストランで料理人見習いとして働き、数年ほど本場フランスで修行もした。
長い下積みを経て、三十路を前にしてやっと自分の店が持てる!というところでーー夢も半ばに不慮の交通事故であっけなく他界。
気が付けばこの不思議な異世界の、公爵家の息子として生まれ変わっていたのだ。
「勘当とか上等だ!俺っちは官僚とかエリート街道なんか興味ないっつーの!!」
緑道を一人憤慨したり途方に暮れたり百面相しながら歩くユハの前を一匹の白うさぎが横切った。
それと同時にユハの腹の虫が鳴る。
「そういえば昼飯まだだったなぁ」
ユハは腹をさすりながらピョンピョン跳ねている白うさぎを凝視していた。
「うさぎの丸焼き……」
ボソッと呟くと、たらりと緩んだ口からよだれが垂れた。
白うさぎがこちらを振り返りギョッと驚き、ビクビク怯えている。
空腹のせいで我を忘れて気が付けば両手は白うさぎを捕らえていた。
「鈍臭いうさぎちゃんだなあ☆冗談だっての。食べないよ、料理器具もないし~、ん?お前、後脚 怪我してるよん?」
白うさぎの後脚には出来たばかりの切り傷があった。
白うさぎはジタバタとユハの腕の中で暴れた、だがユハの腕は振りほどけない。
「キャロル~~!どこだ~~?」
遠くから誰かを呼ぶ男の声が近付いてくる。
茂みをかき分けて現れたのは白い騎士服を着たユハと同年代くらいのハンサムな色男。
彼の声に反応するように、白うさぎは垂らしていた耳をぴょこっと立てた。
「あ!いた」
ハンサムな騎士はユハが胸に抱く白いうさぎを見て穏やかに笑った。
「もしかしてお兄さんのペットですか?」
「ええ……あ、これはこれはレイター公爵のご令郎ではありませんか。ええ、それはうちのうさぎです」
ユハは彼に白うさぎを渡した。
白うさぎは相変わらずジタバタ暴れ、そしてボフンっと何かが爆発するような音と共に騎士の腕の中で美少年の姿に変化した。
このうさぎ、獣人だったのか。
ハンサムな騎士にお姫様抱っこされる美少年の図。
バックに真っ赤な薔薇が散ってるようなイメージが浮かぶ。
(目の保養になるな。イケメンたちの男色に目がない腐った姉ちゃんが見たら大歓喜だろうな~)
「アダム?何で追ってきたんだよ!てか降ろせ!」
「メリー団長に叱られたから今頃しょげてまた兎化してると思ったんだよ。あと、魔物に噛まれて足怪我してるだろ、手当てしなきゃ。医務室まで運ぶぞ」
「しょげてないわ!!いいから降ろせってば!」
ニコニコ笑う穏やかそうなハンサム騎士はアダム、うさぎ少年はキャロルという名前らしい。
「それから、あんた!俺は食いもんじゃねえ!」
うさぎ少年キャロルはユハに激怒した。
ユハは苦笑する。
「こら、公爵令息に向かって無礼だろう」
「いいよいいよ、たった今公爵家から勘当されたからもう俺っち公爵令息じゃないしぃ~」
明るくおどけてみせるとアダムは目を点にした。
ひと通り事情を説明すると、アダムは少し考え込み、それから口を開いた。
「良ければ今夜は第一騎士団の寮舎にいらっしゃいませんか?まさか公爵家の方を野営させられませんし、ユハ様なら城内にも入れるでしょう」
「本当!?すっげー助かる!所持金少ないけど幾らか出すしさ、なんなら雑用もやるから当分泊めてよ!就職先を探すまでの間さぁ!あっ、俺っち料理ならめっちゃ得意☆あと~結構力持ちだぜ」
「……そういえば食堂のおばちゃんが娘さんのお産で里帰りしてるんだよな」
「よっしゃ、キタコレ!食堂で俺っちをしばらく雇ってよ!宿代ってことでさ」
「最終的な判断は団長になりますが、ユハ様がおっしゃるなら」
「ユハで良いよ、アダムとウサギちゃん」
「ウサギちゃんって言うな!キャロルだ!」
こうしてとある暑い夏の日から第一騎士団の食堂で住み込みのアルバイト生活が始まったのだった。
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「マジ!?すっげぇ、米だ!」
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「お前、コメを知ってるのか?グレース皇子の婚約者の姫様が自国から持ってきてくれたんだよ」
「めっちゃ知ってるよ~、元“日本人”だもの」
意外なところで米との再会を果たし懐かしさに浸るユハを、不思議そうな顔でキャロルが見ていた。
早速第一騎士団の夕食を作ることになったのだがーー、“いい加減でチャラい公爵家のどら息子”として貴族界隈では悪名高いユハに料理などできるのか?とキャロルを始め第一騎士団の騎士らは半信半疑だった。
「何を作るんだ?」
「うーん、パエージャ・バレンシアーナ…パエリアを作るよ。本場は兎肉で作るんだけど」
ちらりとキャロルを見ると、キャロルは顔を真っ青にして後退りした。
「おっーー俺は食えないぞ!」
「怯えないでよウサギちゃん。ジョークだよ、ブラックジョーク」
前世でもよく作っていた野菜とお肉で作る本場のパエリア、サフランはないから城の厨房から拝借してきたターメリックで代用しよう。
それと、専用のパエリア鍋がないが、巨大な鉄板があるからこれを使おう。
もともとレストランで働いていたから大人数分の調理もこなれたものだ。
ユハは慣れた手つきで野菜や鶏肉を刻んだ。
料理なんて何年振りだろう?
公爵家の屋敷では台所にさえ満足に入れてもらえなかったな。
平民に生まれて料理人になりたかったなんて言って執事の爺やをよく困らせたものだ。
“前世”のユハには優しい祖母がいた。
両親は共働きでほとんど屋敷には帰って来ず、日がな一日を祖母と2人で過ごしていた。
祖母は料理好きで、よく孫のユハに美味しいご飯を作ってくれた。
小学生になった頃からユハも一緒に料理をするようになって、料理の楽しさに目覚めていった。
国内外のフレンチレストランで何年も厳しい修行を重ねて、いつか自分の店を持ったら一番に祖母を招待することが夢だった。
夢は夢のまま、結局叶うことはなく突然死んでしまった。
転生してからも堅苦しい公爵家なんかに生まれてきてしまったユハに自由なんてなかった。
このまま、また無駄に生きて死んでいくのかとも思ったけれど、ここに来て自由に料理ができるなんて勘当も悪くはない。
「美味しそうね」
出来上がった頃に第一騎士団の女団長メリーや騎士たちがお務めから戻ってきた。
「美味いんです!どうぞお食べください」
非番だったキャロルと新米騎士たちが配膳を手伝ってくれた。
この国というか大陸の食文化はそこまで発展しておらず、人々の意識もまだ低い。
料理も焼くか煮るか、味付けも塩か砂糖かの二択という極端にシンプルなものばかりで良くも悪くも素朴な料理が多い。
城の料理人の技術も知識もまだまだ発展途上。
その上、現在の王が貴族の過度な贅沢を禁じ、清貧を推奨していた。
料理することも好きだが食べることも好きなユハはずっと不満だったのだ。
このパエリアも味付けは塩だけでシンプルなものだが、香味野菜の味が米一粒一粒に染みていて味わい深く風味も豊かで美味しいのだ。
「美味しい」
「それに見た目も綺麗だな」
騎士達には好評のようだ。
ユハも満足げに笑う。
「だろ?」
さて、明日は何を作ろうか。
*
「ウサギちゃんとアダムと同室か~」
夜も更けて寮舎の寝所を案内された。
騎士達は3人で一部屋を共同で使っているらしい。
「狭いところで申し訳ないです」
アダムは人当たりの良さそうな笑顔で言う。
キャロルは我関せずラフな格好で自分のベッドに横たわり本を読んでいた。
ユハは楽しげに笑ってキャロルのベッドにダイブした。
「ギャッ」
キャロルが悲鳴をあげる。
アダムは入り口に立ったまま苦笑いを浮かべていた。
「よろしくね~ウサギちゃん」
「ウサギっていうな!」
充実した毎日を過ごせそうな予感。
ユハはキャロルのベッドから降りると大きく伸びをした。
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