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ワガママ王子様の更生プログラム〜ミレンハン国の俺様王子、騎士団で職業体験する
わがまま王子のスコッチエッグ
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ーー清々しい秋晴れの下、クライシア大国内の山麓で馬車が横転していた。
その周りを異国の御者や青色の騎士服を着た騎士達が怯えた表情をして固まって立っており、キツネの姿をした鋭い牙と爪を持つ魔物4匹と対峙していた。
「おい!なんなんだ!あれはっ」
煌びやかな外套を着た空色の長い髪の男が仁王立ちしながら不機嫌そうに怒鳴る。
「ゲーテ王子!危ないですから後ろに下がってください!」
「あんなのただの狐ではないか!さっさと退治しろ!もういい!俺が相手してやる!」
皇子は剣を抜き騎士達の前に立った。
騎士達は顔面蒼白して王子を止めた。
「いけません、王子!それはクライシア大国に生息する魔物です!普通のキツネではありません!危険です!」
「ハァ?」
騎士達に気を取られていたところを不意打ちで魔物は襲いかかってきた。
ゲーテ王子が目を見開き絶叫しながら尻餅をついたところで小型犬の甲高い鳴き声が近付いてきた。
そして黒い物体が跳ねてきて襲いかかってきた魔物の喉元に思い切り噛み付いた。
クライシア大国の国章入りのチョッキを着た黒いチワワだ。
チワワはずっとキャンキャン吠え続けている。
魔物は何か見えない檻の中にいるようで、さっきから見えない壁に向かって体当たりをして逃げようとしているが逃げられない。
「おっ、そっちにいるのか!」
野太い男の声と共に、足音が複数近付いてくる。
「………!」
一行の前に現れたのはクライシア大国の第二騎士団たちだった。
その先頭には白と金色で統一されたジレとキュロットを着た身分の高そうな若い男が立っていた。
黒いチワワはまるでそこが定位置かのようにまた跳ねて、その男の腕の中に飛び乗った。
騎士達は魔物にトドメを刺し片付けていく。
「あ?お前はクライシア大国の皇子じゃねーか」
「ーーミレンハン国のゲーテ王子か?こんなところで何をしている?」
二人は社交界で何度か会ったことがある程度の顔見知りであった。
大陸の最南端にあるミレンハン国の王子だ。
「その変な生き物が俺の馬車に体当たりしてきたんだよ、それで横転したわけ」
「そうか、この山は魔物が多いからな。おい、お前ら、馬車を起こすのを手伝ってやれ」
グレース皇子が声をかけると騎士達はせっせと倒れた馬車を起こした。
怪力揃いの第二騎士団はひょいっと軽い力で難なく馬車を起こす。
ミレンハン国の騎士達が関心しながらパチパチ拍手をして感謝の言葉を口々に述べる。
「しかし、ここであんたらに会えてよかったぜ。山を移動するのにだいぶ時間を食ってしまったんだ、あんたの城に泊めてくれ!」
「偉そ~むぐっ」
グレース皇子は失言を吐きそうになったチワワの口を閉ざした。
「今からですか?」
「あと、腹も減った!何か食わせろ」
「陛下の許可が必要なので俺からはなんとも言えませんが、食事くらいは手配して差し上げましょう」
その周りを異国の御者や青色の騎士服を着た騎士達が怯えた表情をして固まって立っており、キツネの姿をした鋭い牙と爪を持つ魔物4匹と対峙していた。
「おい!なんなんだ!あれはっ」
煌びやかな外套を着た空色の長い髪の男が仁王立ちしながら不機嫌そうに怒鳴る。
「ゲーテ王子!危ないですから後ろに下がってください!」
「あんなのただの狐ではないか!さっさと退治しろ!もういい!俺が相手してやる!」
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「ハァ?」
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そして黒い物体が跳ねてきて襲いかかってきた魔物の喉元に思い切り噛み付いた。
クライシア大国の国章入りのチョッキを着た黒いチワワだ。
チワワはずっとキャンキャン吠え続けている。
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黒いチワワはまるでそこが定位置かのようにまた跳ねて、その男の腕の中に飛び乗った。
騎士達は魔物にトドメを刺し片付けていく。
「あ?お前はクライシア大国の皇子じゃねーか」
「ーーミレンハン国のゲーテ王子か?こんなところで何をしている?」
二人は社交界で何度か会ったことがある程度の顔見知りであった。
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「しかし、ここであんたらに会えてよかったぜ。山を移動するのにだいぶ時間を食ってしまったんだ、あんたの城に泊めてくれ!」
「偉そ~むぐっ」
グレース皇子は失言を吐きそうになったチワワの口を閉ざした。
「今からですか?」
「あと、腹も減った!何か食わせろ」
「陛下の許可が必要なので俺からはなんとも言えませんが、食事くらいは手配して差し上げましょう」
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