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第二章
<十三> ゆりかご
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「桜の下で食べる弁当は最高やね!」
そう言いながらぼくはカッちゃんや他の塾生の人たちと一緒に弁当を食べた。
今朝山荘でみんなそれぞれの弁当箱に詰めたお弁当。
その中身は――赤米のまぜごはんとザーサイのナムルだった。
赤米のまぜごはんには、こんにゃく、ふき、そして油あげが入っていた。
「このごはんおいしいなあ。どんだけでも食べれそうや」
そうカッちゃんが言って、ぼくもうなずいた。
そして、昨晩の山荘で食べた夕食に入ってた黒米もおいしかったけど、こうやって赤米をごはんに混ぜて炊くとまた美味しいんだな、と思った。
「そういえば、うーちゃんは今年はどの米を育てるん?」
「えっ? どの米って、まだ決めてないや。何の米が育てれるんやったっけ?」
そう話していると、近くにいたユウスケさんが教えてくれた。
「赤目自然農塾で用意してる種籾は三種類あるで。一つは弁当に入ってた赤米、でもこれはもち米やから、うるち米が良ければ、『とよさと』っていう白米かな。あとは陸稲もあるよ」
「そういえばユウスケさんは昨日の山荘で色んな種類のお米を植えるって言ってたっけ?」
「そやで、でも赤目では赤米を植えるよ」
そうか、ユウスケさんは赤米を植えるのか。
ぼくも赤米を育ててみたいけど、赤米はもち米だしな……
迷った結果、白米として食べれる、うるち米の「とよさと」にしようかなあと考えた。
カッちゃんはというと、畑でも育つという陸稲を植えるらしい。
「みんなそれぞれに色んな種類のお米を植えるのか。みんなうまく育つと良いな。さあ、やるか」
お弁当を食べ終わったぼくたちは、苗床作りの準備に取り掛かった。
まずは、とよさとの種籾をもらいに行った。
ぼくの区画は4メートル×4メートルだ。1反(=1千平方メートル)で必要な種籾は5合ということなので、そこから計算すると0.1合弱になった。
「初めてだしな、ちょっと多めに播いてみようか」
そう思い、0.2合の種籾をいただいて、上の田へ。
上の田の道具小屋に置いてある、種籾を水洗するのに使うお椀と、三つの道具、ノコギリ鎌とスコップと鍬を借りて、自分の区画へと向かった。
「まずはこのボーボーの草をなんとかしないといけない……」
ぼくは茫然と立ち尽くした。
このままでは区画の中に入ることすらできない。でもどう手をつけていいかわからない。
「どうしよ、誰か聞ける人いないかなあ?」
そう思って周りを見渡したけれど、みんな自分の区画に行っているようだし、上の田のお世話役のショウさんも近くにいないみたいだ。
そのときぼくは昨晩の真野さんの話を思い出した。
『大事なことは、自分ひとりでもやろうと思えばできる、ということです。自分ひとりでも、時間はかかるかもしれないけれど、必ずできる。そういう自信を持つことが大切です』
「そうだ。とりあえずやってみないと、何も始まらない……」
そう決意して、ぼくはもう一度、草が生い茂る自分の区画を少し遠くから眺めてみた。
するとどうだろう。区画の中でも、草が低い場所があるのに気づいた。
「よし、あの辺りから刈ってみるか」
ぼくはノコギリ鎌を持って刈り始めた。
一列、また一列……。
何度も立ち止まって休憩しながら、その度にぼくは草を刈り終わったところを振り返って眺めた。すると清々しい気分になって、また頑張ろうと思えた。
草を刈ること約一時間……
「ようやく刈り終わった!」
――ところが、ここで一つ問題が起きた。
刈った草を区画の中に積んでいたら、いつの間にか小高い山のようになっていた。
「この草をどうしたら良いんやろう? 草はどこに持っていけば良いんやろか……?」
悩んだ結果、とりあえずどこかに持っていこうと、ぼくは道具小屋にあった、運搬用の一輪車を持ってきて、そこに草を積み始めた。
とそのとき、通りかかった女性の方がぼくを呼び止めた。
「あの、その草、どうするんですか?」
「やー、ここにあったら邪魔なんで、別のところへ持っていこうかと」
「うーんと、草は他のところへ持っていかなくていいんですよ」
その方はミクさんという、スラっとしてきれいな女性の方だった。
ミクさんは、草を他に持っていかなくていいと言うけど、じゃあどうしたら良いんだろう?
「刈った草はそのまま敷いておけばいいんです。自然農では、持ち出さない、持ち込まない、というのが基本なんです。草は持ち出さない。だから、刈った草はその場で寝かせて、朽ちさせるんです。そうすることで、いのちが巡っていくんです」
ミクさんはそう教えてくれた。
ぼくは目からウロコが落ちるようだった。
いのちが巡るなんて、考えてもみなかった……
朽ちた草がそこでまた次のいのちに、お米に、巡っていく、ということか……
ミクさんは続けて言った。
「自然界には不必要なものが一切ないんですよ。すべてに意味があって必要があって働きがある。すべてのいのちには、絶妙の調和があるんです。一体となって生きているんです。すごいですよね。だから、草や虫を敵にしないんです」
なるほど、『草や虫を敵にしない』、自然農の三つ目の特徴だったな、と思い出した。
「いきなり声をかけてごめんなさいね。初めてでわからないかと思って。またわからないことがあれば遠慮なく聞いてくださいね!」
ミクさんはそう言って優しく微笑んでくれた。
ぼくは一輪車に積み始めていた草を戻し、刈った場所に敷いていった――。
「よし、苗床を作ろう。その前に、水選をしないと……」
ぼくはまず、お椀に川の水を汲んで、種籾をその中に入れた。そして、沈んだ種籾を取り出して乾かしておいた。
続いてぼくは、田んぼの一角に苗床を作り始めた。ぼくの区画は約4メートル四方なので、計算すると苗床の広さは0.32平方メートルになった。種籾を少し多めにもらったので、苗床も少し大きめにして、1メートル×60センチになるように場所を決めた。
実習で習ったことを思い出しながら、スコップを使って、溝を掘り、溝の土を周囲へ掘り上げていく……。
「これで遺跡の完成っと。次はチョコレートケーキやな」
つづいて、苗床の表面の土を鍬で削り、ノコギリ鎌で宿根草の根を取り除き、鍬で土を鎮圧した。実習田のようにはうまくいかなかったけど、ちょっとデコボコなチョコレートケーキが完成した。
「よし、次は種降ろしや」
乾かしておいた種籾を手に取り、手を左右に揺らしながら播いていった。そして溝の周りにかがみこんで、密なところから疎なところへ種籾を動かしていった。
そのあと、溝の土を掘り上げったブロックの底の、乾いてそうなところの土をノコギリ鎌で削り、苗床の表面にかぶせて鎮圧。柔らかそうな細めの草をかぶせてさらに鎮圧し、最後は鳥よけ用の木の枝を縦横に渡した。
「やった、なんとかできた。ジャングルの完成や」
気がついたら日はだいぶ傾いて、夕暮れ時を迎えていた。
ところがここでぼくの中に一つ疑問が湧いた。
「苗床に水を撒かなくて良いんだろうか」
次赤目に来るのは来月になるだろう。水をあげないでも育ってくれるんだろうか……?
ぼくは上の田のお世話役のショウさんに聞くことにした。
「ショウさん、水は撒かなくて良いんでしょうか?」
「苗床できたんや。どれどれ。おお、頑張ったね。初めてにしては上出来やん!」
ショウさんはぼくの苗床をほめてくれたあと、ぼくの問いに答えてくれた。
「そやね、草をかぶして鎮圧してるから、水を撒かなくても十分発芽すると思うよ。雨がしばらく降らなさそうなら撒いても良いよ」
そうか、自然農では水はやらなくても育ってくれるってことか……
でも天気予報では、しばらく晴れが続きそうだったので、あとで少し撒こうかな、と考えた。
「ところで初めての苗床作りどうだった?」
ショウさんはつづいてそうぼくに問いかけた。
「やー、たくさん工程があって。苗床作りってこんなに大変だとは……」
「そうだよね、大変だよね。でもこれは大事な作業なんだよ。じゃあ聞くけど、どうして種降ろしの前に土の表面を削ったと思う?」
中村さんはなんと言ってたっけ?
ぼくは思い出しながら答えた。
「それはたしか、表面に草の種があるから、ですか?」
「そうだね、種籾は発芽したら赤ちゃんと一緒。身体が小さいから、周りに草が生えてきたらすぐに負けちゃう。だから、なるだけ草が生えないように工夫しないといけないんだよ」
「なるほど、それぞれ意味があるんですね」
ぼくが納得して聞いているとショウさんはさらに説明をつづけた。
「そう。だから、苗床って、言ってみれば、ゆりかごなんだよね。ゆりかごの中で周りの苗と肩を並べながら一緒に成長する。そして、六月の田植えの時に、独り立ちするんだよ」
「そうか、苗床って、お米のゆりかごだったんだ……」
六月の田植えまで、しっかり育ってほしいな。
そう思って、ぼくは改めてできあがった苗床を眺めていた。
「うーちゃん、苗床できたん?」
そこへカッちゃんが声をかけてくれた。
「うん、なんとかできたよ。カッちゃんは?」
「ぼくも苦戦したけどなんとかなったかなぁ」
カッちゃんも無事に苗床が作れたようだった。
いつの間にか空は赤く染まって、太陽が山際に隠れようとしていた。
「あ、トンボや!」
「ほんまやカッちゃん、トンボが菜の花にとまってる」
気が付けば黄色い菜の花が色んなところに咲いて夕日に照らされていた。
そしてトンボは菜の花から、桜が舞い散る方へと飛んでいった。
「さあ、家に帰ろうか。妻と息子が待っている」
二日間の学びを終えて、爽やかな疲れを感じながら、家路を急いだ……
□次話公開予定…11/12(火)
そう言いながらぼくはカッちゃんや他の塾生の人たちと一緒に弁当を食べた。
今朝山荘でみんなそれぞれの弁当箱に詰めたお弁当。
その中身は――赤米のまぜごはんとザーサイのナムルだった。
赤米のまぜごはんには、こんにゃく、ふき、そして油あげが入っていた。
「このごはんおいしいなあ。どんだけでも食べれそうや」
そうカッちゃんが言って、ぼくもうなずいた。
そして、昨晩の山荘で食べた夕食に入ってた黒米もおいしかったけど、こうやって赤米をごはんに混ぜて炊くとまた美味しいんだな、と思った。
「そういえば、うーちゃんは今年はどの米を育てるん?」
「えっ? どの米って、まだ決めてないや。何の米が育てれるんやったっけ?」
そう話していると、近くにいたユウスケさんが教えてくれた。
「赤目自然農塾で用意してる種籾は三種類あるで。一つは弁当に入ってた赤米、でもこれはもち米やから、うるち米が良ければ、『とよさと』っていう白米かな。あとは陸稲もあるよ」
「そういえばユウスケさんは昨日の山荘で色んな種類のお米を植えるって言ってたっけ?」
「そやで、でも赤目では赤米を植えるよ」
そうか、ユウスケさんは赤米を植えるのか。
ぼくも赤米を育ててみたいけど、赤米はもち米だしな……
迷った結果、白米として食べれる、うるち米の「とよさと」にしようかなあと考えた。
カッちゃんはというと、畑でも育つという陸稲を植えるらしい。
「みんなそれぞれに色んな種類のお米を植えるのか。みんなうまく育つと良いな。さあ、やるか」
お弁当を食べ終わったぼくたちは、苗床作りの準備に取り掛かった。
まずは、とよさとの種籾をもらいに行った。
ぼくの区画は4メートル×4メートルだ。1反(=1千平方メートル)で必要な種籾は5合ということなので、そこから計算すると0.1合弱になった。
「初めてだしな、ちょっと多めに播いてみようか」
そう思い、0.2合の種籾をいただいて、上の田へ。
上の田の道具小屋に置いてある、種籾を水洗するのに使うお椀と、三つの道具、ノコギリ鎌とスコップと鍬を借りて、自分の区画へと向かった。
「まずはこのボーボーの草をなんとかしないといけない……」
ぼくは茫然と立ち尽くした。
このままでは区画の中に入ることすらできない。でもどう手をつけていいかわからない。
「どうしよ、誰か聞ける人いないかなあ?」
そう思って周りを見渡したけれど、みんな自分の区画に行っているようだし、上の田のお世話役のショウさんも近くにいないみたいだ。
そのときぼくは昨晩の真野さんの話を思い出した。
『大事なことは、自分ひとりでもやろうと思えばできる、ということです。自分ひとりでも、時間はかかるかもしれないけれど、必ずできる。そういう自信を持つことが大切です』
「そうだ。とりあえずやってみないと、何も始まらない……」
そう決意して、ぼくはもう一度、草が生い茂る自分の区画を少し遠くから眺めてみた。
するとどうだろう。区画の中でも、草が低い場所があるのに気づいた。
「よし、あの辺りから刈ってみるか」
ぼくはノコギリ鎌を持って刈り始めた。
一列、また一列……。
何度も立ち止まって休憩しながら、その度にぼくは草を刈り終わったところを振り返って眺めた。すると清々しい気分になって、また頑張ろうと思えた。
草を刈ること約一時間……
「ようやく刈り終わった!」
――ところが、ここで一つ問題が起きた。
刈った草を区画の中に積んでいたら、いつの間にか小高い山のようになっていた。
「この草をどうしたら良いんやろう? 草はどこに持っていけば良いんやろか……?」
悩んだ結果、とりあえずどこかに持っていこうと、ぼくは道具小屋にあった、運搬用の一輪車を持ってきて、そこに草を積み始めた。
とそのとき、通りかかった女性の方がぼくを呼び止めた。
「あの、その草、どうするんですか?」
「やー、ここにあったら邪魔なんで、別のところへ持っていこうかと」
「うーんと、草は他のところへ持っていかなくていいんですよ」
その方はミクさんという、スラっとしてきれいな女性の方だった。
ミクさんは、草を他に持っていかなくていいと言うけど、じゃあどうしたら良いんだろう?
「刈った草はそのまま敷いておけばいいんです。自然農では、持ち出さない、持ち込まない、というのが基本なんです。草は持ち出さない。だから、刈った草はその場で寝かせて、朽ちさせるんです。そうすることで、いのちが巡っていくんです」
ミクさんはそう教えてくれた。
ぼくは目からウロコが落ちるようだった。
いのちが巡るなんて、考えてもみなかった……
朽ちた草がそこでまた次のいのちに、お米に、巡っていく、ということか……
ミクさんは続けて言った。
「自然界には不必要なものが一切ないんですよ。すべてに意味があって必要があって働きがある。すべてのいのちには、絶妙の調和があるんです。一体となって生きているんです。すごいですよね。だから、草や虫を敵にしないんです」
なるほど、『草や虫を敵にしない』、自然農の三つ目の特徴だったな、と思い出した。
「いきなり声をかけてごめんなさいね。初めてでわからないかと思って。またわからないことがあれば遠慮なく聞いてくださいね!」
ミクさんはそう言って優しく微笑んでくれた。
ぼくは一輪車に積み始めていた草を戻し、刈った場所に敷いていった――。
「よし、苗床を作ろう。その前に、水選をしないと……」
ぼくはまず、お椀に川の水を汲んで、種籾をその中に入れた。そして、沈んだ種籾を取り出して乾かしておいた。
続いてぼくは、田んぼの一角に苗床を作り始めた。ぼくの区画は約4メートル四方なので、計算すると苗床の広さは0.32平方メートルになった。種籾を少し多めにもらったので、苗床も少し大きめにして、1メートル×60センチになるように場所を決めた。
実習で習ったことを思い出しながら、スコップを使って、溝を掘り、溝の土を周囲へ掘り上げていく……。
「これで遺跡の完成っと。次はチョコレートケーキやな」
つづいて、苗床の表面の土を鍬で削り、ノコギリ鎌で宿根草の根を取り除き、鍬で土を鎮圧した。実習田のようにはうまくいかなかったけど、ちょっとデコボコなチョコレートケーキが完成した。
「よし、次は種降ろしや」
乾かしておいた種籾を手に取り、手を左右に揺らしながら播いていった。そして溝の周りにかがみこんで、密なところから疎なところへ種籾を動かしていった。
そのあと、溝の土を掘り上げったブロックの底の、乾いてそうなところの土をノコギリ鎌で削り、苗床の表面にかぶせて鎮圧。柔らかそうな細めの草をかぶせてさらに鎮圧し、最後は鳥よけ用の木の枝を縦横に渡した。
「やった、なんとかできた。ジャングルの完成や」
気がついたら日はだいぶ傾いて、夕暮れ時を迎えていた。
ところがここでぼくの中に一つ疑問が湧いた。
「苗床に水を撒かなくて良いんだろうか」
次赤目に来るのは来月になるだろう。水をあげないでも育ってくれるんだろうか……?
ぼくは上の田のお世話役のショウさんに聞くことにした。
「ショウさん、水は撒かなくて良いんでしょうか?」
「苗床できたんや。どれどれ。おお、頑張ったね。初めてにしては上出来やん!」
ショウさんはぼくの苗床をほめてくれたあと、ぼくの問いに答えてくれた。
「そやね、草をかぶして鎮圧してるから、水を撒かなくても十分発芽すると思うよ。雨がしばらく降らなさそうなら撒いても良いよ」
そうか、自然農では水はやらなくても育ってくれるってことか……
でも天気予報では、しばらく晴れが続きそうだったので、あとで少し撒こうかな、と考えた。
「ところで初めての苗床作りどうだった?」
ショウさんはつづいてそうぼくに問いかけた。
「やー、たくさん工程があって。苗床作りってこんなに大変だとは……」
「そうだよね、大変だよね。でもこれは大事な作業なんだよ。じゃあ聞くけど、どうして種降ろしの前に土の表面を削ったと思う?」
中村さんはなんと言ってたっけ?
ぼくは思い出しながら答えた。
「それはたしか、表面に草の種があるから、ですか?」
「そうだね、種籾は発芽したら赤ちゃんと一緒。身体が小さいから、周りに草が生えてきたらすぐに負けちゃう。だから、なるだけ草が生えないように工夫しないといけないんだよ」
「なるほど、それぞれ意味があるんですね」
ぼくが納得して聞いているとショウさんはさらに説明をつづけた。
「そう。だから、苗床って、言ってみれば、ゆりかごなんだよね。ゆりかごの中で周りの苗と肩を並べながら一緒に成長する。そして、六月の田植えの時に、独り立ちするんだよ」
「そうか、苗床って、お米のゆりかごだったんだ……」
六月の田植えまで、しっかり育ってほしいな。
そう思って、ぼくは改めてできあがった苗床を眺めていた。
「うーちゃん、苗床できたん?」
そこへカッちゃんが声をかけてくれた。
「うん、なんとかできたよ。カッちゃんは?」
「ぼくも苦戦したけどなんとかなったかなぁ」
カッちゃんも無事に苗床が作れたようだった。
いつの間にか空は赤く染まって、太陽が山際に隠れようとしていた。
「あ、トンボや!」
「ほんまやカッちゃん、トンボが菜の花にとまってる」
気が付けば黄色い菜の花が色んなところに咲いて夕日に照らされていた。
そしてトンボは菜の花から、桜が舞い散る方へと飛んでいった。
「さあ、家に帰ろうか。妻と息子が待っている」
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