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第6章 偽りのアイドル
20、スターチャイルド降臨
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俺、絵美、タケルの3人の空気は凍りつく。
だってその視界にはアイドルであるスターチャイルドが一般市民の家に来ているのだから。
年齢は俺たちより1つ下でありながら、その顔付きは既に高校生くらいに大人びた顔付きである。
それでいて纏う空気は柔らかく幼い風に見える。
なんだこの存在感は……?
髪全体を金髪にして黒いメッシュを入れている。
普段は髪型をツーサイドアップにしているのだが、今日はオフだからか下ろしていた。
まさに星と形容するに相応しいスター。
「明智秀頼さんですよね。いつもお手紙読ませていただいています!」
「は、はい!ありがとうございます!」
「すいません、お昼前には来る予定でしたが、道に迷ってしまい少し過ぎてしまいました」
「は……ははっ、大丈夫ですよ」
き、気まずいし心臓がバクバクしている。
え?なんでスタチャが家にいるの?
来るって書いてたけど本当に来るの?
わからない、頭がグルグルと回る。
「あ、上がりますか……?」
「い、良いんですか!?」
「はい……」
「ありがとうございます。明智さん」
頭をペコリと下げて礼儀正しく靴を並べた。
違和感しかない。
自分の家の玄関にスタチャのコラ画像でも置いたのか不安になるくらいにミスマッチな絵になる。
「あ、あと……友人の佐々木絵美さんと十文字タケルさんです……」
「え?……は、はじめまして!佐々木です!」
「は?は?……よろしくお願いいたします、十文字っす!」
「はい!はじめまして!スターチャイルドで活動しています!」
状況が理解できない絵美と、緊張しているタケル。
なにがどうなっているのか?
そんな波乱に満ちたスターチャイルドの来訪であった。
「ちょっと十文字君!?な、なんでスタチャがここに!?」
「お……俺にもよくわからないんだ。秀頼にそそのかされて無理矢理連れられてきたんじゃない?」
そそのかされたとしても普通は来るわけないだろ……。
俺だってこれからどうすれば良いのかわからない。
とりあえず居間に連れて来て彼女を座らせた。
「あ……あの……、お昼家で作りますけど一緒に食べますか……?」
「良いんですか!?ありがとうございます!いただきます!」
「ちょっとー!?」
絵美に服の首元を掴まれて呼ばれる。
痛かったけど、ぐっとこらえる。
「え?え?わたしの料理をアイドルが食べるの!?」
「俺と秀頼より佐々木のが適任だ」
「確かにな」
「押し付けじゃん……。アイドルって何食べるの?」
「ふ、ふぐの刺身とかじゃない?」
「明智家にふぐなんかあるわけねーだろ。リクエストするしかないだろ……」
絵美が緊張した表情である。
料理上手だから胸を張っても良いと思うけど。
「す、スターチャイルドさんは何食べたいですか?」
「ラーメンが食べたいです」
庶民的だった……。
「良かった……、ふぐなんか切ったことなかったもん……」
「ふぐの刺身って言われたら出すつもりだったのか……」
「やっぱりスターはふぐの刺身のイメージあるよな」
「タケルのイメージはどんなやねん」
絵美が台所へ行き、俺とタケルはお茶とお菓子の準備をした。
タケルにクッキーを渡し、俺はコップに全員ぶんのお茶を注いだ。
「どうも、こちら粗茶ですが」
「そんなにかしこまらなくて大丈夫です」
何をするにしてもドキドキして緊張してしまう。
準備を終えて、俺とタケルがスタチャの相手をすることになる。
「あと、別にスタチャはふぐの刺身を食べたことはありません」
「普通に聞かれてるじゃねーか……」
コソコソしていた会話が無駄であった。
「スタチャは高級な料理よりも庶民的な料理の方が好きですよ。明智さんも十文字さんも気になさらないでください」
スターチャイルドの一人称はスタチャである。
こんな時もキャラを通してくれると本物って感じがする。
「俺、公式ファンクラブナンバー11の十文字タケルです!妹と秀頼で毎日応援してます!」
「わぁ!公式ファンクラブのメンバーさんなんですね!応援ありがとうです☆」
スタチャの可愛い演技が突き抜けている。
いわゆる言葉に星が付くくらいに可愛い笑顔は、通称・スタチャスマイルと呼ばれる。
スターチャイルドのキャラクターについて前世を思い出す。
スカイブルーというゲームメーカーの作品にちょいちょい出てくるスターチャイルドというキャラクター。
『悲しみの連鎖を断ち切り』シリーズでは直接的な登場はまったくしない。
しかし、主人公・十文字タケルが応援しているアイドルとしてサラっと触れられるくらいの存在。
スカイブルー作品のマスコット的キャラクターやスターシステムキャラクターとして名前が出るのだ。
一応初代のビジュアルファンブックにスターチャイルドの解説があったのを思い出す。
ゲーム本編には登場しないのに、わざわざ書き下ろしスターチャイルドの立ち絵姿を公開するという大盤振る舞いだ。
プロデューサーである桜祭のコメントには『設定は考えています。ただ蛇足になるのを危惧して登場はさせませんでした。もしかしたら続編で登場するかもしれません』と書き記してあった。
ただ、セカンド以降はスタチャについて触れられることもなく出番がお蔵入りになったキャラクターである。
『悲しみの連鎖を断ち切り』シリーズが反映されているこの世界だが、津軽和などが設定されてる以上ゲームやビジュアルファンブック以外にも、スカイブルーの運営会社しか知らない設定も反映されている可能性は極めて高い。
ユーザーに公開されていない情報が俺の死亡フラグに繋がるとしたらちょっと冗談じゃ済まされない……。
それにしても……。
「スターチャイルドは可愛いです!」
「え?」
「どうしたんだ突然?」
スタチャとタケルにとても驚かれた。
でも、せっかく目の前にスタチャがいるんだ。
手紙じゃなくて、直接スタチャに『想い』を伝えたかった。
「いつもスターチャイルドから元気をもらっているから本当に会えて嬉しいです!」
「あ、ありがとうございます!明智さん!」
「俺、初期からスタチャ応援してました!タケルとかタケルの妹とかに布教しまくっていて、親友たちとより仲良くなれました!会話するネタがなかったらとりあえずスタチャの話題を出すくらいに語りあえるんですっ!」
「…………」
スターチャイルドが俺の顔を見ていた。
「……そうですか」と呟く彼女。
「それはとても光栄ですね☆」
スタチャスマイルで俺の言葉を返してくれた。
なんか夢のような出来事だ。
「こないだこいつスタチャのファンレター読みながら『好きぃぃぃ!大好きぃぃぃ!愛してるぅぅぅ!』とか叫んでいて、俺とかあっちで料理している佐々木に見られてたんすよ」
「言ってねーよ!?誇大表現やめろよお前っ!」
「うぉぉ!?や、やめろ秀頼!?ギブギブ!最近のお前鍛えてるからシャレになんねぇ!?」
チョークスリーパーホールドでタケルの首を閉める。
スタチャ本人にそんなドン引きさせる情報を入れるな。
「ははははっ!おふたりは仲が良いのが伝わってきますね」
「本当に2人は仲良すぎなんですよ……」
「佐々木!」
呆れた声の絵美がお盆に4人前のラーメンを持ってきた。
絵美がスタチャの隣に座り食事の時間になる。
俺、絵美、タケルの3人の食事は何回かあったが、スタチャを入れて食事なんてことは人生で考えたこともなかった。
しかも、ラーメン食べるとか考えられるか……?
「生麺のやつですね!スタチャ大好きです」
「うわぁ!?凄いよ秀頼君!?彼女はわたしたちと同じ人間なの!?」
特にスタチャファンというわけでもなく、俺から勧められたら曲を聴く程度の絵美すらアイドルの輝きに負けていた。
「スタチャも人間です☆」
スタチャスマイルで俺たち庶民3人は全員顔を赤くした。
彼女の虜に落ちていく。
だってその視界にはアイドルであるスターチャイルドが一般市民の家に来ているのだから。
年齢は俺たちより1つ下でありながら、その顔付きは既に高校生くらいに大人びた顔付きである。
それでいて纏う空気は柔らかく幼い風に見える。
なんだこの存在感は……?
髪全体を金髪にして黒いメッシュを入れている。
普段は髪型をツーサイドアップにしているのだが、今日はオフだからか下ろしていた。
まさに星と形容するに相応しいスター。
「明智秀頼さんですよね。いつもお手紙読ませていただいています!」
「は、はい!ありがとうございます!」
「すいません、お昼前には来る予定でしたが、道に迷ってしまい少し過ぎてしまいました」
「は……ははっ、大丈夫ですよ」
き、気まずいし心臓がバクバクしている。
え?なんでスタチャが家にいるの?
来るって書いてたけど本当に来るの?
わからない、頭がグルグルと回る。
「あ、上がりますか……?」
「い、良いんですか!?」
「はい……」
「ありがとうございます。明智さん」
頭をペコリと下げて礼儀正しく靴を並べた。
違和感しかない。
自分の家の玄関にスタチャのコラ画像でも置いたのか不安になるくらいにミスマッチな絵になる。
「あ、あと……友人の佐々木絵美さんと十文字タケルさんです……」
「え?……は、はじめまして!佐々木です!」
「は?は?……よろしくお願いいたします、十文字っす!」
「はい!はじめまして!スターチャイルドで活動しています!」
状況が理解できない絵美と、緊張しているタケル。
なにがどうなっているのか?
そんな波乱に満ちたスターチャイルドの来訪であった。
「ちょっと十文字君!?な、なんでスタチャがここに!?」
「お……俺にもよくわからないんだ。秀頼にそそのかされて無理矢理連れられてきたんじゃない?」
そそのかされたとしても普通は来るわけないだろ……。
俺だってこれからどうすれば良いのかわからない。
とりあえず居間に連れて来て彼女を座らせた。
「あ……あの……、お昼家で作りますけど一緒に食べますか……?」
「良いんですか!?ありがとうございます!いただきます!」
「ちょっとー!?」
絵美に服の首元を掴まれて呼ばれる。
痛かったけど、ぐっとこらえる。
「え?え?わたしの料理をアイドルが食べるの!?」
「俺と秀頼より佐々木のが適任だ」
「確かにな」
「押し付けじゃん……。アイドルって何食べるの?」
「ふ、ふぐの刺身とかじゃない?」
「明智家にふぐなんかあるわけねーだろ。リクエストするしかないだろ……」
絵美が緊張した表情である。
料理上手だから胸を張っても良いと思うけど。
「す、スターチャイルドさんは何食べたいですか?」
「ラーメンが食べたいです」
庶民的だった……。
「良かった……、ふぐなんか切ったことなかったもん……」
「ふぐの刺身って言われたら出すつもりだったのか……」
「やっぱりスターはふぐの刺身のイメージあるよな」
「タケルのイメージはどんなやねん」
絵美が台所へ行き、俺とタケルはお茶とお菓子の準備をした。
タケルにクッキーを渡し、俺はコップに全員ぶんのお茶を注いだ。
「どうも、こちら粗茶ですが」
「そんなにかしこまらなくて大丈夫です」
何をするにしてもドキドキして緊張してしまう。
準備を終えて、俺とタケルがスタチャの相手をすることになる。
「あと、別にスタチャはふぐの刺身を食べたことはありません」
「普通に聞かれてるじゃねーか……」
コソコソしていた会話が無駄であった。
「スタチャは高級な料理よりも庶民的な料理の方が好きですよ。明智さんも十文字さんも気になさらないでください」
スターチャイルドの一人称はスタチャである。
こんな時もキャラを通してくれると本物って感じがする。
「俺、公式ファンクラブナンバー11の十文字タケルです!妹と秀頼で毎日応援してます!」
「わぁ!公式ファンクラブのメンバーさんなんですね!応援ありがとうです☆」
スタチャの可愛い演技が突き抜けている。
いわゆる言葉に星が付くくらいに可愛い笑顔は、通称・スタチャスマイルと呼ばれる。
スターチャイルドのキャラクターについて前世を思い出す。
スカイブルーというゲームメーカーの作品にちょいちょい出てくるスターチャイルドというキャラクター。
『悲しみの連鎖を断ち切り』シリーズでは直接的な登場はまったくしない。
しかし、主人公・十文字タケルが応援しているアイドルとしてサラっと触れられるくらいの存在。
スカイブルー作品のマスコット的キャラクターやスターシステムキャラクターとして名前が出るのだ。
一応初代のビジュアルファンブックにスターチャイルドの解説があったのを思い出す。
ゲーム本編には登場しないのに、わざわざ書き下ろしスターチャイルドの立ち絵姿を公開するという大盤振る舞いだ。
プロデューサーである桜祭のコメントには『設定は考えています。ただ蛇足になるのを危惧して登場はさせませんでした。もしかしたら続編で登場するかもしれません』と書き記してあった。
ただ、セカンド以降はスタチャについて触れられることもなく出番がお蔵入りになったキャラクターである。
『悲しみの連鎖を断ち切り』シリーズが反映されているこの世界だが、津軽和などが設定されてる以上ゲームやビジュアルファンブック以外にも、スカイブルーの運営会社しか知らない設定も反映されている可能性は極めて高い。
ユーザーに公開されていない情報が俺の死亡フラグに繋がるとしたらちょっと冗談じゃ済まされない……。
それにしても……。
「スターチャイルドは可愛いです!」
「え?」
「どうしたんだ突然?」
スタチャとタケルにとても驚かれた。
でも、せっかく目の前にスタチャがいるんだ。
手紙じゃなくて、直接スタチャに『想い』を伝えたかった。
「いつもスターチャイルドから元気をもらっているから本当に会えて嬉しいです!」
「あ、ありがとうございます!明智さん!」
「俺、初期からスタチャ応援してました!タケルとかタケルの妹とかに布教しまくっていて、親友たちとより仲良くなれました!会話するネタがなかったらとりあえずスタチャの話題を出すくらいに語りあえるんですっ!」
「…………」
スターチャイルドが俺の顔を見ていた。
「……そうですか」と呟く彼女。
「それはとても光栄ですね☆」
スタチャスマイルで俺の言葉を返してくれた。
なんか夢のような出来事だ。
「こないだこいつスタチャのファンレター読みながら『好きぃぃぃ!大好きぃぃぃ!愛してるぅぅぅ!』とか叫んでいて、俺とかあっちで料理している佐々木に見られてたんすよ」
「言ってねーよ!?誇大表現やめろよお前っ!」
「うぉぉ!?や、やめろ秀頼!?ギブギブ!最近のお前鍛えてるからシャレになんねぇ!?」
チョークスリーパーホールドでタケルの首を閉める。
スタチャ本人にそんなドン引きさせる情報を入れるな。
「ははははっ!おふたりは仲が良いのが伝わってきますね」
「本当に2人は仲良すぎなんですよ……」
「佐々木!」
呆れた声の絵美がお盆に4人前のラーメンを持ってきた。
絵美がスタチャの隣に座り食事の時間になる。
俺、絵美、タケルの3人の食事は何回かあったが、スタチャを入れて食事なんてことは人生で考えたこともなかった。
しかも、ラーメン食べるとか考えられるか……?
「生麺のやつですね!スタチャ大好きです」
「うわぁ!?凄いよ秀頼君!?彼女はわたしたちと同じ人間なの!?」
特にスタチャファンというわけでもなく、俺から勧められたら曲を聴く程度の絵美すらアイドルの輝きに負けていた。
「スタチャも人間です☆」
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彼女の虜に落ちていく。
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