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第6章 偽りのアイドル
19、佐々木絵美は任される
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俺とタケルのずっこけた音で絵美とおばさんがこちらを目を丸くして見ていた。
「こんにちは、秀頼君に十文字君」
「やぁ絵美!」
「おっす!」
俺たちの心境も知らずに絵美がニコニコと笑顔を浮かべていた。
ったく……、だから来るわけないじゃん……。
「ちょうど良かった秀頼」
「え?」
おばさんが俺とタケルの方へ歩いて来る。
「お邪魔しまーす」と言いながら絵美も入ってこちらに歩いてくる。
「おばさんこれから絵美ちゃんのお母さんとお出かけしてくるから」
「え?そうなの?」
「夜まで帰って来ないから昼と夜は絵美ちゃんにお任せしているからよろしくね」
「…………え?直前に言うの?それ?」
俺そんなの初耳なんだけど……。
絵美は当然聞いていたんだろうけど、なんで出掛ける直前に言うの?
「ほら!直前に言われると困るだろ」
「困るな……」
「今の俺、そういう感じ」
「ごめん……」
スタチャが来る15分前に相談されたタケルの気持ちがよくわかる。
この直前に予定が狂う感じは凄く嫌だな。
「叔父さんは?」
「今日あの人昼から出勤だから帰るのは深夜よ。その頃にはおばさん家にいるわよ」
「はーい」
おばさんが居なくて叔父さんと2人で家に居ると気まずくて苦手だ……。
あの人なりに心は開いてはくれてるのだろうけど、どうもまだ暴力をされてた時の恐怖が抜けない。
「じゃあ行ってくるわね。タケル君も一緒にご飯食べてってね」
「ありがとうございまーす」
「行ってらっしゃーい」
そのまま3人でおばさんを見送った。
「……ところで十文字君は普通の格好してるのに、なんで秀頼君の服装はちょっと気合い入ってるんですか?」
「イメチェンしたんだよ」
「ごり押しじゃねーか……。ん?」
タケルが何か思い付いた顔をして壁にかけられた時計に顔を向ける。
「そういや、12時だな」
タケルの一言でそういえば、こいつを家に呼んだ事情を思い出した。
絵美が来たからスターチャイルドが家に来るのを忘れていた。
「昼前過ぎたな……」
タケルがポンと肩を叩く。
『だから言ったろ?』と顔で伝えていた。
ちょっとムカつく表情である。
「はいはい、じゃあお昼ご飯作りますね。何食べたいですか?」
「ラーメン」
「つけ麺」
「イケメンかなんか?なんでそんなに作りがいのないもの頼むの?」
絵美が不満そうな声を上げた。
麺を茹でてすぐ完成するのをチョイスしたら、作り手がつまんないという顔をしている。
「あと、どっちかに絞ってください」
「じゃあ迷惑かけたからタケルの案で良いぞ」
「よしっ!じゃあ佐々木、よろしく頼む」
「はい、わかりました。ところで迷惑とは?」
絵美がちょっと興味ありげな声で尋ねてくる。
「あぁ、ちょっと俺が抱えてた秘密をタケルに相談したんだよ」
「秘密?」
「あぁ、スターチャイルドが……」
ーーピンポーン。
来客を告げるインターホンが家中に響く。
「え?」
「は?」
俺とタケルが目を合わせる。
いやいや、来るわけないでしょ。
完全に2人が沈黙した。
「出ないんですか?来客みたいですよ」
「そ、そうだね……。宅配便かな?ははっ……」
玄関にタケルと絵美を配置させて、俺が家のドアを開けた。
ガチャ、とした音が響く。
サングラスとマスク、帽子を着用した俺より背の低い女性がその場に立っていた。
帽子からは長い金髪と黒髪が露出している。
まさか……?
いや、嘘だ。
そんなのあり得ないだろ……?
マスクとサングラス、帽子を慣れた手付きで外す。
そこに、アイドルが立っていた。
「は、はじめまして……。スターチャイルドです」
俺たちのアイドル・スターチャイルドの降臨であった。
†
スターチャイルドようやく本格登場です。
長い前振りでしたがこれより、『偽りのアイドル編』開幕します。
ガッツリ話に絡ませていきます。
「こんにちは、秀頼君に十文字君」
「やぁ絵美!」
「おっす!」
俺たちの心境も知らずに絵美がニコニコと笑顔を浮かべていた。
ったく……、だから来るわけないじゃん……。
「ちょうど良かった秀頼」
「え?」
おばさんが俺とタケルの方へ歩いて来る。
「お邪魔しまーす」と言いながら絵美も入ってこちらに歩いてくる。
「おばさんこれから絵美ちゃんのお母さんとお出かけしてくるから」
「え?そうなの?」
「夜まで帰って来ないから昼と夜は絵美ちゃんにお任せしているからよろしくね」
「…………え?直前に言うの?それ?」
俺そんなの初耳なんだけど……。
絵美は当然聞いていたんだろうけど、なんで出掛ける直前に言うの?
「ほら!直前に言われると困るだろ」
「困るな……」
「今の俺、そういう感じ」
「ごめん……」
スタチャが来る15分前に相談されたタケルの気持ちがよくわかる。
この直前に予定が狂う感じは凄く嫌だな。
「叔父さんは?」
「今日あの人昼から出勤だから帰るのは深夜よ。その頃にはおばさん家にいるわよ」
「はーい」
おばさんが居なくて叔父さんと2人で家に居ると気まずくて苦手だ……。
あの人なりに心は開いてはくれてるのだろうけど、どうもまだ暴力をされてた時の恐怖が抜けない。
「じゃあ行ってくるわね。タケル君も一緒にご飯食べてってね」
「ありがとうございまーす」
「行ってらっしゃーい」
そのまま3人でおばさんを見送った。
「……ところで十文字君は普通の格好してるのに、なんで秀頼君の服装はちょっと気合い入ってるんですか?」
「イメチェンしたんだよ」
「ごり押しじゃねーか……。ん?」
タケルが何か思い付いた顔をして壁にかけられた時計に顔を向ける。
「そういや、12時だな」
タケルの一言でそういえば、こいつを家に呼んだ事情を思い出した。
絵美が来たからスターチャイルドが家に来るのを忘れていた。
「昼前過ぎたな……」
タケルがポンと肩を叩く。
『だから言ったろ?』と顔で伝えていた。
ちょっとムカつく表情である。
「はいはい、じゃあお昼ご飯作りますね。何食べたいですか?」
「ラーメン」
「つけ麺」
「イケメンかなんか?なんでそんなに作りがいのないもの頼むの?」
絵美が不満そうな声を上げた。
麺を茹でてすぐ完成するのをチョイスしたら、作り手がつまんないという顔をしている。
「あと、どっちかに絞ってください」
「じゃあ迷惑かけたからタケルの案で良いぞ」
「よしっ!じゃあ佐々木、よろしく頼む」
「はい、わかりました。ところで迷惑とは?」
絵美がちょっと興味ありげな声で尋ねてくる。
「あぁ、ちょっと俺が抱えてた秘密をタケルに相談したんだよ」
「秘密?」
「あぁ、スターチャイルドが……」
ーーピンポーン。
来客を告げるインターホンが家中に響く。
「え?」
「は?」
俺とタケルが目を合わせる。
いやいや、来るわけないでしょ。
完全に2人が沈黙した。
「出ないんですか?来客みたいですよ」
「そ、そうだね……。宅配便かな?ははっ……」
玄関にタケルと絵美を配置させて、俺が家のドアを開けた。
ガチャ、とした音が響く。
サングラスとマスク、帽子を着用した俺より背の低い女性がその場に立っていた。
帽子からは長い金髪と黒髪が露出している。
まさか……?
いや、嘘だ。
そんなのあり得ないだろ……?
マスクとサングラス、帽子を慣れた手付きで外す。
そこに、アイドルが立っていた。
「は、はじめまして……。スターチャイルドです」
俺たちのアイドル・スターチャイルドの降臨であった。
†
スターチャイルドようやく本格登場です。
長い前振りでしたがこれより、『偽りのアイドル編』開幕します。
ガッツリ話に絡ませていきます。
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