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第6章 偽りのアイドル

15、津軽和は呼ばせたい

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中学では2年と3年は同じクラスになるので最後のクラス替えである。
早いもんで春、また4月がやってきた。

「またこの時期がやってきたな!誰が秀頼と同じクラスになれるかゲームの時間だ!」
「一緒のクラスが良いですね秀頼君!」
「いつもいつも兄さんばっかり!そろそろ私も明智君と同じクラスになっても良いわよねっ!」
「ウチも今年は秀頼と同じクラスになりたい」
「秀頼さんと違うクラスは嫌ですね」
「別に私はどうでも良いけど」
「大人気じゃないですか!ゴミクズ先輩!」
「…………なんでこんな大所帯になったんだ?」

おかしい……。
最初は絵美と俺の2人からスタートした。
次にタケルと理沙が追加。
次に津軽と咲夜が合流。
次に永遠ちゃんが加入。
なぜか津軽妹という後輩まで乱入していた。

「今回から私も中学生加入組なので姉者と一緒に通学です」
「おー、津軽の妹か」
「よろしくね、和ちゃん。宮村永遠です」

即受け入れる初対面のタケルと永遠ちゃん。
津軽妹が脈絡なく一緒に通学していて目が点になった。
嫌いじゃないが、基本的に俺を舐めてて苦手なんだよねこの子……。

「はい。姉や皆さんから聞いています。ノリが良くて面白い人のタケル先輩ですね」
「俺の津軽の評価はそんな感じなんだ。よろしくな」

タケルは興味深い感じに頷きながら爽やかな笑顔を見せる。
なんて眩しいギャルゲー主人公のイケメンな笑みだ……。
無能ではあるが、顔は関係ないからな。

「頭が良くて完璧超人であり女神と崇められる永遠先輩ですね」
「そ、そんな……。和ちゃん、褒めすぎです」

永遠ちゃんが恥ずかしそうに赤くなる。
原作だと輝いている表情を見れるのは自身のルートの最後の最後だけなので、色々表情が変わるのが美しい。
あぁ、イベントCGで残したい……。

「頭おかしくて狂ってる人のゴミクズ先輩ですね」
「津軽妹と俺は初対面じゃないが?」
「学校で先輩として会うからには挨拶大事っす」
「…………明智君、もはやゴミクズには突っ込まないのか」

なんでみんなに毒舌じゃないのに、俺にだけこんな言葉遣いが悪いの?
やっぱり知らない内に明智秀頼という存在がヘイトを溜めているんだ……。

いつ誰が敵に回るかわからないのをひしひしと感じる。
絵美が、タケルが、理沙が、咲夜が、永遠ちゃんか、津軽か、津軽妹かはわからない。
ただ、殺されるかもという危機感くらいはもった方が良いかもしれない。

達裄さんの修行をもっとこなしていかねば……。

「というか津軽妹って呼び方、どうにかなりませんか?」
「人を散々ゴミクズ呼ばわりしておいて、君が文句を言うのか……」
「え?なんですって?」

難聴スキルを発動した津軽妹。
ラノベの主人公かお前は……。

「お姉ちゃんも津軽だしわからないですよ。円、和で呼んでください」
「はぁ!?なんで明智君に名前呼びされないといけないのよ!?」
「姉者はツンツンツンツンツンツンデレなので気にしないでください」
「お前、姉も舐めてるのか……」
「『女は舐められたら終わりだ。舐める女になれ!』、津軽家の教訓です。姉者相手にも該当します」
「津軽家の恥を晒すな」

津軽家の恥であるのは姉者はわかっているらしい。

「舐める女……」
「もう、タケル先輩!メッ!、ですよ」
「あぁ、うん……」

俺とタケルの対応の差エグすぎない?
俺は変態呼ばわりされたのに、なんでタケルにはちょっと優しいの……?
ギャルゲー主人公の好感度の差が突き抜けてる。
多分初対面で恋に落ちてタケルを狙ってると見た。
わかりやすいな、津軽妹。
ちょっとほっこりした。

「そういうわけで、秀頼先輩。私は和です。姉者は円です」
「わ、わかった。よろしく和」
「はい!」
「ま、円で良いのか……?」
「わかったわよ……。でも秀頼とは絶対呼ばないからっ!」

たまにネタで円と呼ぶ時はあったが、デフォルトで円呼びになる日が来るとは思わなかった。
なんとも違和感があり、くすぐったい新学期のスタートであった。






























「……秀頼なんて、呼ばないんだから」

津軽円の呟きは雑多の声に書き消されて、誰の耳に届くことはなかった……。











原作オリジナルの津軽円について
鳥籠の少女シナリオの描写にて
明智秀頼に対して面と向かってチンピラ呼びしたり、口喧嘩出来てたりするのは津軽家の教訓で秀頼を舐めていたから。
来栖さんが不在な原作円も結構ヤバいよ。

それ故、秀頼からは女として見られていないために毒牙に掛かることはありませんでした。

『偽りのアイドル』編終了後、原作の秀頼と円による番外編を挿入予定です。
どんな会話になるのか想像できないと思いますが、楽しみにしておいてください。
今までで1番会話の内容が浮かばなくて四苦八苦しました。
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