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第6章 偽りのアイドル
13、シスコン最強説
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「良いかい秀頼?俺は君には干渉しない。だから君も俺には干渉するなよ」
「はい。わかりました」
達裄さんからレンタルで借りたという武道館みたいなところで修行を受けていた。
そして、最初に津軽同様に干渉をしない取り決めをされる。
「……とは口にするものの、俺は気付けば干渉していたりするからあまり気にしないでくれ」
「えー!?どっちなんすか!?」
「俺は好きなようにする質だからね」
へらへら笑った顔を向ける。
でも、こんな状態な時に不意打ちしても普通に避けるからこの人は怖い。
「……で?君が修行したいというからにはもしかしてギフト案件かな?」
「え?わかりますか?」
「何人かギフト持ちの知り合いが居るからね。だいたいみんな同じ顔をしているからわかるさ」
本当に隙がなくて怖いんだよなこの人。
人を見てない振りして、かなり見てるくらい観察眼が異常に凄いのだ。
「先に言っておく。俺はギフトを神の力とかは全然思ってなくて悪魔の力と思っている」
「……はい」
俺も、こんな力は悪魔の力だと思っている。
ギフトなんか宿らない人生の方が幸せとすら思っている。
まさに、原作で……。
「だからギフトを悪いことには使わないで欲しいな」
「それは、……必ず」
「よし。じゃあギフト能力を明かして欲しいな」
躊躇わずに『人に命令を下せる』ギフトというのを明かした。
すると達裄さんはやれやれと感じにため息を吐いた。
「……希少価値がまた随分と高い能力だ」
「そうですよね……」
「君自身にギフトは使えるのかい?動物には?」
「俺には無理みたいですね。ノラ猫にギフトを試したこともありましたがダメみたいです。あくまで他者限定みたいです」
「なるほどねー。人によってギフトの対象が変わりますねー。ややこしい」
達裄さんはスマホをポチポチと入力をしている。
俺のギフト観察でもしているのだろう。
数秒して、達裄さんはスマホをポケットに仕舞い込み口を開く。
「じゃあまず俺にギフトを使って欲しいな」
「は?」
「いや、どんな感じなのか体験したいし」
ワクワクとした興奮した目で俺を見ていた。
別に俺にデメリットがないし、使ってみても良いか。
「じゃあ秀頼。財布から1万円札出して」
「カツアゲっすか!?入ってねーし!」
「中坊にカツアゲするほど金には困ってないよ。別に1000円札でもなんでも良いよ」
「わかったっす」
俺は渋々と小銭入れから1円玉を取り出した。
「信用ゼロだな」
「念のためっす」
「じゃあ1円玉を俺の近くの床に置いて」
「はい」
立ち上がった達裄さんの近くに1円玉を置いた。
ぶっちゃけ何をしたいのか、全然わからない。
「じゃあギフトを使うんだ。『床に落ちている1円玉を拾え』って命令を出すんだ」
「なるほど。わかりました」
数秒間目を閉じる。
ちょっとギフトを使う瞬間は緊張するんだよな。
「【床に落ちている1円玉を拾え】」
「おっ?おおお?」
達裄さんは驚きながら1円玉を拾う。
「なるほどなるほど」と興味深い声を上げる。
「秀頼のギフトは凄い能力だね。心でじたばたしてたのに全然ダメだったよ」
「じたばた?」
「『えーん、やだー!拾いたくないよー!やだよー!』ってオモチャを買ってもらえなくてデパートでじたばたと暴れている痛いキッズに成りきったのさ」
「すげーださいことやってた!」
本気か冗談かわからないが、「ははは」と達裄さんは笑う。
そして、上に放り投げた1円玉をキャッチせずにそのまま床に置く。
「もう1回同じギフトをやってみ?」
「え?なんでそんな意味のないことを?」
「おいおい、世の中には意味のないことなんて1つも無いんだぜ」
「じゃあさっきなんで1円玉を放り投げたんですか?直接置けば良かったじゃないですか?」
「…………意味はない」
「あるじゃないっすかぁ!なんなんすかぁ!?」
奇行ばかりが目立つ面白い人だ。
「ごめん。世の中意味のないことだらけだ。格好付けただけだよ……」
「素直か!」
「そんなのどうでも良いでしょ!ほら、早くギフト!」
「わかりましたよ」
調子が狂うな……。
息を吸って、少し止める。
「はぁ……」とまた呼吸をする。
「【床に落ちている1円玉を拾え】」
「…………」
体勢を下げようとするも、数秒間達裄さんは耐える。
うわ、抗っているんだこの人!?
ちょっと体勢が低くなるものの、一気に棒立ちの状態へ持ってきた。
嘘だろ……?
「よし、ギフトに打ち勝ったよ」
「は?いやいや、まさか……?」
「平気平気。このままバク転できるし」
そのまま後方に勢い良く跳んで、ブリッジの形を作り着地させた。
あまりにもキレイなバク転につい拍手をしてしまう。
「シュールだな」
「さあ。君が1円玉を回収するんだ」
「え?なんで?達裄さんが拾ってくださいよ」
「俺が回収したらギフトに従うことになるでょ!」
「そっかそっか」
もっともな意見を聴いて、自分のお金を回収した。
その際も、一切達裄さんはお金を拾おうとはしなかった。
ガチでギフトの命令に従わなかった。
「……なにやったんすか?ギフトの力弱かったですか?」
信じられない。
『アンチギフト』を使用せずにギフトを打ち破ったなんてゲームにそんなシーンは一切なかった。
俺のギフトが連続で使用したから弱くなった?
いや、原作の秀頼はガンガンギフトを使っていたし、そんなことはあり得ない。
「いや、ギフトは強いよ。さっきと同じ効果だね」
「じゃあどうして……?」
「俺にギフトが効かなかったのはシスコンだったからだ」
「…………は?」
『命令支配』がシスコンに負けた?
意味がわからなくて絶句した。
タケルの『アンチギフト』もシスコンが原因だった?とかグルグルと思考を混乱させる。
「俺には5人の妹が居るんだ。恋、葉子、音、瑠璃、めぐりという俺の命より大事な5人だ」
「え?5人?妹?……は?」
それについてふざけた様子もなく会話を続けていく。
本当に色々と破天荒で掴みどころが無さすぎる。
「俺は1円玉を拾った瞬間、俺の命より大事な5人の妹全員を殺害するつもりだった」
「…………え?」
「そう思ったら拾うわけにはいかんよね。必死に耐えたね。妹を殺したくない、その一心で俺は君のギフトに耐えた。シスコン大勝利」
「殺す……?」
「良かったよ、明日の朝刊に載らなくて。いやー、焦ったぁ」
安堵といった感じに脱力した達裄さん。
冗談を言ったわけじゃない。
本気で俺のギフトに負けたら妹を殺害する誓約を自分で作ったんだ……。
「良いかい、秀頼。『想い』はね、何より最強の力になるんだ」
「『想い』……?」
「どれだけ強く鍛えても、『想い』が強い人には必ず負けるよ。実際に『想い』はギフトを打ち破る力になる。その証明をしたよ
俺の妹への『想い』は誰にも負けないよ」
「…………」
シスコンつえぇぇ……。
この人の弟子になった俺の目に狂いはなかったと同時に……。
この人の頭は狂っているというのを深く痛感した。
ーーーーー
「どうした秀頼?」
「いや……、最近お前以上のシスコンと知り合ったのを思い出しただけだ……」
「やべーな!」
タケルが驚愕の声を上げた。
主人公のシスコンに勝るあの人なんなんだ……。
「兄さん、明智君!ここのベンチでアイス食べよー!」
公園のベンチで座りながら、タケル奢りのアイスに舌を楽しませるのであった。
†
『想い』の力は作品のテーマです。
ふざけることも多い物語ですが、この作品にとって1番の伝えたいメッセージになっています。
秀頼のギフト『命令支配』について。
秀頼のギフトは『声』がトリガーになります。
某ギアスとは違い、目を見る必要はなく、声で命令します。
声にギフトの力を込めるので秀頼の生の声で発した命令であれば相手が認識していなくても命令に従います。
相手に言語が通じるかは関係ありません。
呪術のおにぎり先輩と違い電話での効果はなく、あくまで生の声限定。
ただ、電話をしている際に物理的に近くにいて声が聞こえたらギフトは発動します。
声が届くなら山彦でも大丈夫なので、距離は関係ありません。
ただ、誰にギフトを使用するのか頭で考える必要があり、無差別に放ったギフトは効果はなし(つまり対象にされなかった聞こえただけの通行人には効果なし)。
対象を自分で選択する必要はあるものの、複数人同時にギフトの使用は可能です。
修行パートは興味ないと思うのでわざと描写をしてません。
秀頼は週に2、3回達裄と手合わせをしてます。
剣道だったり、殴り合いなどリアルファイトを学んでいます。
シスコンでギフト破ることができるのは現状彼しかできません。
タケルよりよっぽど主人公補正を持ってますし、秀頼以上にチートです。
この世界のバグの1つ。
遠野達裄の名前の元ネタは悲恋湖伝説殺人、墓場島殺人事件を参照(墓場島の方はわざと漢字を変えてます)。
そもそも元ネタが最強のシスコンです。
なんたってジェイソンですからね。
「はい。わかりました」
達裄さんからレンタルで借りたという武道館みたいなところで修行を受けていた。
そして、最初に津軽同様に干渉をしない取り決めをされる。
「……とは口にするものの、俺は気付けば干渉していたりするからあまり気にしないでくれ」
「えー!?どっちなんすか!?」
「俺は好きなようにする質だからね」
へらへら笑った顔を向ける。
でも、こんな状態な時に不意打ちしても普通に避けるからこの人は怖い。
「……で?君が修行したいというからにはもしかしてギフト案件かな?」
「え?わかりますか?」
「何人かギフト持ちの知り合いが居るからね。だいたいみんな同じ顔をしているからわかるさ」
本当に隙がなくて怖いんだよなこの人。
人を見てない振りして、かなり見てるくらい観察眼が異常に凄いのだ。
「先に言っておく。俺はギフトを神の力とかは全然思ってなくて悪魔の力と思っている」
「……はい」
俺も、こんな力は悪魔の力だと思っている。
ギフトなんか宿らない人生の方が幸せとすら思っている。
まさに、原作で……。
「だからギフトを悪いことには使わないで欲しいな」
「それは、……必ず」
「よし。じゃあギフト能力を明かして欲しいな」
躊躇わずに『人に命令を下せる』ギフトというのを明かした。
すると達裄さんはやれやれと感じにため息を吐いた。
「……希少価値がまた随分と高い能力だ」
「そうですよね……」
「君自身にギフトは使えるのかい?動物には?」
「俺には無理みたいですね。ノラ猫にギフトを試したこともありましたがダメみたいです。あくまで他者限定みたいです」
「なるほどねー。人によってギフトの対象が変わりますねー。ややこしい」
達裄さんはスマホをポチポチと入力をしている。
俺のギフト観察でもしているのだろう。
数秒して、達裄さんはスマホをポケットに仕舞い込み口を開く。
「じゃあまず俺にギフトを使って欲しいな」
「は?」
「いや、どんな感じなのか体験したいし」
ワクワクとした興奮した目で俺を見ていた。
別に俺にデメリットがないし、使ってみても良いか。
「じゃあ秀頼。財布から1万円札出して」
「カツアゲっすか!?入ってねーし!」
「中坊にカツアゲするほど金には困ってないよ。別に1000円札でもなんでも良いよ」
「わかったっす」
俺は渋々と小銭入れから1円玉を取り出した。
「信用ゼロだな」
「念のためっす」
「じゃあ1円玉を俺の近くの床に置いて」
「はい」
立ち上がった達裄さんの近くに1円玉を置いた。
ぶっちゃけ何をしたいのか、全然わからない。
「じゃあギフトを使うんだ。『床に落ちている1円玉を拾え』って命令を出すんだ」
「なるほど。わかりました」
数秒間目を閉じる。
ちょっとギフトを使う瞬間は緊張するんだよな。
「【床に落ちている1円玉を拾え】」
「おっ?おおお?」
達裄さんは驚きながら1円玉を拾う。
「なるほどなるほど」と興味深い声を上げる。
「秀頼のギフトは凄い能力だね。心でじたばたしてたのに全然ダメだったよ」
「じたばた?」
「『えーん、やだー!拾いたくないよー!やだよー!』ってオモチャを買ってもらえなくてデパートでじたばたと暴れている痛いキッズに成りきったのさ」
「すげーださいことやってた!」
本気か冗談かわからないが、「ははは」と達裄さんは笑う。
そして、上に放り投げた1円玉をキャッチせずにそのまま床に置く。
「もう1回同じギフトをやってみ?」
「え?なんでそんな意味のないことを?」
「おいおい、世の中には意味のないことなんて1つも無いんだぜ」
「じゃあさっきなんで1円玉を放り投げたんですか?直接置けば良かったじゃないですか?」
「…………意味はない」
「あるじゃないっすかぁ!なんなんすかぁ!?」
奇行ばかりが目立つ面白い人だ。
「ごめん。世の中意味のないことだらけだ。格好付けただけだよ……」
「素直か!」
「そんなのどうでも良いでしょ!ほら、早くギフト!」
「わかりましたよ」
調子が狂うな……。
息を吸って、少し止める。
「はぁ……」とまた呼吸をする。
「【床に落ちている1円玉を拾え】」
「…………」
体勢を下げようとするも、数秒間達裄さんは耐える。
うわ、抗っているんだこの人!?
ちょっと体勢が低くなるものの、一気に棒立ちの状態へ持ってきた。
嘘だろ……?
「よし、ギフトに打ち勝ったよ」
「は?いやいや、まさか……?」
「平気平気。このままバク転できるし」
そのまま後方に勢い良く跳んで、ブリッジの形を作り着地させた。
あまりにもキレイなバク転につい拍手をしてしまう。
「シュールだな」
「さあ。君が1円玉を回収するんだ」
「え?なんで?達裄さんが拾ってくださいよ」
「俺が回収したらギフトに従うことになるでょ!」
「そっかそっか」
もっともな意見を聴いて、自分のお金を回収した。
その際も、一切達裄さんはお金を拾おうとはしなかった。
ガチでギフトの命令に従わなかった。
「……なにやったんすか?ギフトの力弱かったですか?」
信じられない。
『アンチギフト』を使用せずにギフトを打ち破ったなんてゲームにそんなシーンは一切なかった。
俺のギフトが連続で使用したから弱くなった?
いや、原作の秀頼はガンガンギフトを使っていたし、そんなことはあり得ない。
「いや、ギフトは強いよ。さっきと同じ効果だね」
「じゃあどうして……?」
「俺にギフトが効かなかったのはシスコンだったからだ」
「…………は?」
『命令支配』がシスコンに負けた?
意味がわからなくて絶句した。
タケルの『アンチギフト』もシスコンが原因だった?とかグルグルと思考を混乱させる。
「俺には5人の妹が居るんだ。恋、葉子、音、瑠璃、めぐりという俺の命より大事な5人だ」
「え?5人?妹?……は?」
それについてふざけた様子もなく会話を続けていく。
本当に色々と破天荒で掴みどころが無さすぎる。
「俺は1円玉を拾った瞬間、俺の命より大事な5人の妹全員を殺害するつもりだった」
「…………え?」
「そう思ったら拾うわけにはいかんよね。必死に耐えたね。妹を殺したくない、その一心で俺は君のギフトに耐えた。シスコン大勝利」
「殺す……?」
「良かったよ、明日の朝刊に載らなくて。いやー、焦ったぁ」
安堵といった感じに脱力した達裄さん。
冗談を言ったわけじゃない。
本気で俺のギフトに負けたら妹を殺害する誓約を自分で作ったんだ……。
「良いかい、秀頼。『想い』はね、何より最強の力になるんだ」
「『想い』……?」
「どれだけ強く鍛えても、『想い』が強い人には必ず負けるよ。実際に『想い』はギフトを打ち破る力になる。その証明をしたよ
俺の妹への『想い』は誰にも負けないよ」
「…………」
シスコンつえぇぇ……。
この人の弟子になった俺の目に狂いはなかったと同時に……。
この人の頭は狂っているというのを深く痛感した。
ーーーーー
「どうした秀頼?」
「いや……、最近お前以上のシスコンと知り合ったのを思い出しただけだ……」
「やべーな!」
タケルが驚愕の声を上げた。
主人公のシスコンに勝るあの人なんなんだ……。
「兄さん、明智君!ここのベンチでアイス食べよー!」
公園のベンチで座りながら、タケル奢りのアイスに舌を楽しませるのであった。
†
『想い』の力は作品のテーマです。
ふざけることも多い物語ですが、この作品にとって1番の伝えたいメッセージになっています。
秀頼のギフト『命令支配』について。
秀頼のギフトは『声』がトリガーになります。
某ギアスとは違い、目を見る必要はなく、声で命令します。
声にギフトの力を込めるので秀頼の生の声で発した命令であれば相手が認識していなくても命令に従います。
相手に言語が通じるかは関係ありません。
呪術のおにぎり先輩と違い電話での効果はなく、あくまで生の声限定。
ただ、電話をしている際に物理的に近くにいて声が聞こえたらギフトは発動します。
声が届くなら山彦でも大丈夫なので、距離は関係ありません。
ただ、誰にギフトを使用するのか頭で考える必要があり、無差別に放ったギフトは効果はなし(つまり対象にされなかった聞こえただけの通行人には効果なし)。
対象を自分で選択する必要はあるものの、複数人同時にギフトの使用は可能です。
修行パートは興味ないと思うのでわざと描写をしてません。
秀頼は週に2、3回達裄と手合わせをしてます。
剣道だったり、殴り合いなどリアルファイトを学んでいます。
シスコンでギフト破ることができるのは現状彼しかできません。
タケルよりよっぽど主人公補正を持ってますし、秀頼以上にチートです。
この世界のバグの1つ。
遠野達裄の名前の元ネタは悲恋湖伝説殺人、墓場島殺人事件を参照(墓場島の方はわざと漢字を変えてます)。
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