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第6章 偽りのアイドル

3、津軽和

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津軽円の妹、津軽和つがるのどかちゃん。
姉妹揃って緑色の髪が目を引く。
結構目がキツイ姉と違い柔らかい目で、身長もやや姉より低い(それでも絵美の方が低い。咲夜くらいかも)。
見た感じ雰囲気も似ている、津軽妹って感じである。

「姉者が男性を連れて来たのは始めてですねっ!もしかして姉者の彼氏ですか?」
「嫌よ、彼氏がこんなクズなんて」
「ゴミクズって言えや」
「ゴミクズのが許せるのね……」

クズじゃただの原作明智秀頼である。
まぁ、ゴミクズも原作明智秀頼に変わりはないが。

「今まで誰が来たことあるの?」
「姉者の友達さんだと絵美先輩とか理沙先輩とか。先週は咲夜先輩も来ましたね」
「余計なこと言わないで良いから」

勝手にベラベラしゃべる津軽妹に姉の牽制が入る。
津軽妹が姉の顔を見て数秒止まるが、すぐ口が動く。

「姉者は素直じゃないですが、あれは照れ隠しです。ゴミクズ呼びなのも、好きなことを隠しているからです。多分あなたも姉者の中でハムスターレベルで好きなはずです」
「それ好意あるの?」
「姉者ハムスター好きですから」

中学に上がった時にミジンコ並みの評価がハムスターレベルになったという話をしていたが本当に褒めているらしい。

中学時代、吉田という来栖さんの友達から色々と彼女の情報をもらっていたがそういえば来栖さんもハムスター大好きみたいな情報があった気がする。
かなり前の話だが、何故かそんなことを思い出す。
なんで急に来栖さんと吉田とか懐かしい面々を思い出したんだろ……?
ハムスターの話題になったからか。

「ハムスターは可愛いわよ!なんたって小さいサイズなのが素敵ね!」
「……」

俺の評価がハムスターレベルで、理由が小さいサイズってもうそれバカにしてるだろ……。
誰が小さいサイズだよ!
原作秀頼はブイブイ言わせてたんだがら小さいはずがないだろ!

タケルは永遠ちゃん直々に『お、お、お……大きかったです』と言われてたけど。

なんでこうも俺はタケルに比べて毎回扱いが悪いんだろう……。

「ところでなんですけど……、ゴミクズって本名ですか?」
「そうよ」
「肯定すんなよ!違うって!ゴミクズじゃなくて本名は明智秀頼だよ!」
「…………織田信長とか豊臣秀吉じゃないところが残念です……」
「ディスるな!明智光秀と豊臣秀頼を残念扱いするな!光秀は大河やぞ!」

なんで有名どころからワンランク下げたのか、俺だって知りたいくらいだ。

「なんかThe・噛ませ犬って感じです」
「あんた、結構ズバッと言うのね……。関係ないけど急に『The』とかいう単語が出て驚いたわ」
「じゃあ横文字NGだね」

実際、主人公とかヒロインとかボスキャラの噛ませ犬だからな。
間違ってない。

「…………、彼を私の部屋にあげたくないから和の部屋貸して」
「良いですよ。よっぽど秀頼先輩が嫌いなんですね」
「お茶出してあげるから、よろしくね」
「本人が聞こえない様に会話してもらって良いかな……?」
「本人が聞こえないに会話はしたわよ?」
「もう、お前には何も期待してないよ」

なんか、この姉妹の相手をするのは激しく疲れる。
津軽妹は、笑顔でズバズバ言うし、津軽姉は真顔でズバズバ言うし俺のメンタルをガリガリに削られる。
混ぜるな危険な姉妹だ。

男1女2の状況で男が勝てるはずもなかった……。

「こちらが私の部屋です、ゴ……秀頼先輩」
「ゴミクズって言おうとした?」
「いえいえ、ゴマプリンをお茶うけとして用意するように姉者へ指示してました」
「あー、ゴマプリンないかも。昨日私食べちゃった。変わりにゴマを出すね」
「もてなす気ゼロだな」

津軽が廊下の奥へ消えて行き、俺は津軽妹の部屋に入り込む。
散らかっていないキレイな部屋だった。

「散らかってない部屋なのであまり楽にしないでくださいね」
「本当に君ら姉妹は……。津軽妹も姉貴と大差ないな」
「冗談です。秀頼先輩を弄るのが快感になりそうです」
「歪んでるなお前……」

苦笑していると津軽妹がクッションを出してくれた。
「そこに座ってください」と促され、座り込む。

「あなたがあの有名な秀頼先輩ですね。会いたかったです」
「なんで有名なの?」

どの辺が有名なのか、全然わからなかった。

「絵美先輩、理沙先輩、咲夜先輩、姉者と色々話を伺っております」
「不安な人選だ……」

理沙くらいしかまともな人選がない有り様だ。

「姉者には『ノリが良くて面白い人』と、『頭がおかしくて狂ってる人』の殿方の友人2人が居るそうですが、前者……ではなく後者側ですよね?」
「絶対後者が来るとわかってたけど、フェイントやめてくんない?何?『頭がおかしくて狂ってる人』って?」
「なんか姉者の水着姿を想像して腋に注目をしていると本人の前で発言したり、秀頼先輩が風邪引いた際の見舞い行く格好でメイド服を強制させる人ですよね?」
「そうだね、俺が『頭おかしくて狂ってる人』だね」

ぐうの音も出ないほどの、ど正論だった……。
普通にゴミクズとなじられる案件である……。
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