上 下
99 / 136
第6章 偽りのアイドル

1、ギフト適正検査

しおりを挟む
偽りのアイドル編、開幕です。
ついにあの子が登場です。







ギフト適性検査。

自分の血液検査と、水晶みたいなやつに手を置いてギフトの力が宿るかの実験。

この2つをすることでギフトの所有の有無が決定する。

そして、ギフトの力が発見された場合、『ギフトアカデミー』への進学が強制される。
俺たちの住むこの国『ジャパン』には第1から第8のギフトアカデミーが存在する。
因みにこの中学出身の者らは第5アカデミーに入学が決定する。

「え?お、俺にギフトが!?嘘だろ!?知らんぞこんなのぉぉぉ!?」

タケルがギフト所有の血液の陽性に、ギフトの力が発見されたことに驚愕している。
そりゃあそうだろ……。
お前が陰性だったら色々と物語が狂うよ。
実際俺もタケルにギフトを使ったけど無効化にされたからな。
『アンチギフト』の力はまず間違いなく持っている。
もっぱら『命令支配』によるメタの使い方をされるのがほとんどではある。

「てか、えぇ!?秀頼もギフト持ち!?」
「あ、あぁ……」
「お揃いだな」
「そうね」

タケルはめっちゃ嬉しそうだった。
こうなることは前世が思い出した瞬間から既定路線のはずだ。

「…………やっぱり私も陽性だった」
「理沙……」
「兄さん……。気にしないで……」

十文字理沙。
彼女もギフト持ちなのはゲーム内で語られていた。
まあ、兄貴がギフト所有者だし、身内にギフト所有者がいると大体そうなりやすい。
……が、原作中ではまったく触れられない内容不明のギフト。
『悲しみの連鎖を断ち切り』のプロデューサーであり、シナリオライターの桜祭はSNSにて以下のことを語っていた。
「理沙のギフトの設定はしましたが、使う機会がありませんでした。理沙の出番、セカンド以降ほぼ無かったですから」と……。
公式で理沙の設定をぶん投げたのだ。
二流シナリオライター桜祭め。

「理沙、ギフト持ってる自覚があるのか?」
「……あるよ。……でも、ロクな能力じゃないから気にしないで」
「あんまり触れないでやって欲しい。理沙はちょっと自分のギフトが嫌いなんだ……」
「……わかった」

非公開されていた理沙のギフトをファンとしては知りたい欲は強いのだが、十文字兄妹の意思を尊重して触れないでおく。
ギフトを隠しておきたいという事情を理解している。
俺だってその1人だ。




……が、問題はこれだ。

「え?わたしがギフト持ち?」
「…………」

絵美がギフト所有者だということが適性検査にて明らかになる。
ちょっとこれは知らない展開だ。

確かに原作でも佐々木絵美はギフト所有者なのは語られていた。
しかし、俺ではない本物の明智秀頼が『絵美がギフトを持っているのは、俺が常にこいつに常時奴隷のギフトを使用しているからだ。こいつは俺のギフトを浴びすぎて擬似的にギフト所有者になった』という説明がされてある。

つまり、俺は絵美に常時奴隷のギフトなんかには使用していないので絵美は陰性になるものと考えていた。

一度俺のギフトを初対面の絵美に使用しているため、俺のギフトを浴びるがギフト所有者持ちのトリガーなのかとも思った。
しかし、風邪を治す際にギフトを浴びた谷川咲夜の結果は陰性。
つまり、ギフトを使われただけでは所有者には成り得ない。

つまり、絵美は原作の時点で秀頼がギフトをかけるかけない関係なく、そもそもギフト所有者だったと考えられる。

最近、ゲームとは知らない展開が起こりすぎてパニックになる。

因みに、永遠ちゃん、津軽は普通に陰性である。
別にギフトアカデミーは、ギフト所有者ではなくてもギフトを学びたい人は受験が受けられる。

津軽に、『お前、事件に巻き込まれたくないならギフトアカデミーじゃない方が良いんじゃね?』と質問したら『いや、可愛いヒロインが待ってるならギフトアカデミー行くでしょ』と真顔で言われた。

純粋に転生生活を満喫する津軽が羨ましい。

「そっかぁ、俺にギフトか」
「十文字君のギフトはどんな能力でしょうね?」
「主人公補正とかどうだ?なにがあっても助けてくれる幸運ギフトだ」
「兄さん結構運が良いですからね。もしかしたらワンチャンあるかも」

タケルのギフト内容で盛り上がる面々。
普通に主人公補正持ってるからねその人……。
この世界の中心的人物だよ、その人。

「でも、秀頼さんもギフト持ちなんて凄いですね!」
「そ、そうだね……」

永遠ちゃんが俺のギフト所有者の結果通知に目を輝かせていた。
俺のギフト被害者の永遠ちゃんにそんな尊敬の目を向けられると色々と複雑だ。

この世界の人間は少なからずギフトの有無に目を惹きやすい。
咲夜みたいにギフトに憧れるか。
マスターみたいにギフトを嫌悪するか。

「ギフト?どーでも良いわ。ヒロインにしか興味ない」

津軽みたいにギフトに全然興味のない人が珍しい。
まあ、この人はこの世界の住人じゃないから気持ちはとてもよくわかる。

「うー、秀頼や絵美たちばかり受験免除か……。羨ましいぞ……」

ギフトに憧れ、結果陰性のギフト適正なしの咲夜は羨ましそうな目で検査結果を見ていた。

「ウチもギフトアカデミー目指す」
「私もギフトアカデミー狙いです」
「当然私もギフトアカデミーを狙うわよ」

咲夜、永遠ちゃん、津軽は受験でギフトアカデミーを目指すみたいである。
ある程度は原作の流れにはなるみたいだな。




















…………てかあれ?
咲夜って原作で何やってたんだ?

もしかしたら学園生のモブキャラとして存在していた可能性もあるけど……。
ギフトに憧れていたからやはりギフトアカデミーに進学していたのかな?

純粋にゲームに登場しない彼女が気になった。








絵美と理沙のギフトについて、両者共にクズゲス本編でギフト使用の伏線を入れてはいます。
回収するかはわかりませんが、一応後付けとか言われないために
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

恋より友情!〜婚約者に話しかけるなと言われました〜

k
恋愛
「学園内では、俺に話しかけないで欲しい」 そう婚約者のグレイに言われたエミリア。 はじめは怒り悲しむが、だんだんどうでもよくなってしまったエミリア。 「恋より友情よね!」 そうエミリアが前を向き歩き出した頃、グレイは………。 本編完結です!その後のふたりの話を番外編として書き直してますのでしばらくお待ちください。

皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした

葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。 でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。 本編完結済みです。時々番外編を追加します。

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!

七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

婚約者すらいない私に、離縁状が届いたのですが・・・・・・。

夢草 蝶
恋愛
 侯爵家の末姫で、人付き合いが好きではないシェーラは、邸の敷地から出ることなく過ごしていた。  そのため、当然婚約者もいない。  なのにある日、何故かシェーラ宛に離縁状が届く。  差出人の名前に覚えのなかったシェーラは、間違いだろうとその離縁状を燃やしてしまう。  すると後日、見知らぬ男が怒りの形相で邸に押し掛けてきて──?

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる

兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。

愛されなかった私が転生して公爵家のお父様に愛されました

上野佐栁
ファンタジー
 前世では、愛されることなく死を迎える主人公。実の父親、皇帝陛下を殺害未遂の濡れ衣を着せられ死んでしまう。死を迎え、これで人生が終わりかと思ったら公爵家に転生をしてしまった主人公。前世で愛を知らずに育ったために人を信頼する事が出来なくなってしまい。しばらくは距離を置くが、だんだんと愛を受け入れるお話。

悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌
恋愛
コツコツとレベルを上げて、生産していくゲームが好きなしがない女子大生、田中雪は、その日、妹に頼まれて手に入れたゲームを片手に通り魔に刺される。 女神『はい、あなた、転生ね』 雪『へっ?』 これは、生産ゲームの世界に転生したかった雪が、別のゲーム世界に転生して、コツコツと生産するお話である。 雪『世界観が壊れる? 知ったこっちゃないわっ!』 無事に完結しました! 続編は『悪役令嬢の神様ライフ』です。 よければ、そちらもよろしくお願いしますm(_ _)m

処理中です...