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第5章 鳥籠の少女
50、佐々木絵美の末路B
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「はははっ……、そうだ……。私がころ、したんだ……。ごめっ、なさい、せっかく2人がんば、……たのに……。でも、あれ……?なんで封筒にナイフなんか……?そんなのなければ……」
「そりゃあ永遠にお父さんを殺害してもらうためだよ」
「え……?」
「鳥籠を壊したいなら他人に頼っちゃダメ!自分の手でやらないとねっ!でもやりきった、偉いね、永遠」
偉いよ……。
羨ましいよ……。
自分の鳥籠だけ壊しておいて逃げないで……。
お願い、わたしの鳥籠も壊して……。
すぐ後ろの鳥籠もついでに壊して……。
友達でしょ?
あなたの鳥籠を壊すために必死に努力したんだよ?
クラスメートが遊んだり、勉強している時間を削って毎日の夜をあなたのお父さんを帰宅する時間を把握するとかいう意味不明なことをずっとやらされたんだよ?
大雨の中、傘も差さないであなたのお父さんが帰宅するのずっと待ってたんだよ?
化粧も崩れて、誰にも見せられない顔で、ずぶ濡れになってずっと待っていたんだよ?
まだ、わたし体調が優れてないんだよ?
「触らないでっ!?」
「ぁ……」
小さい声が漏れた。
拒否されたんだ。
あんなに永遠に尽くしたのに、永遠はわたしになんにもしてくれないんだ……。
「おかしい!?こんなのおかしいよ!?仕組んだの……?ねぇ、どうして!?友達じゃなかったの!?」
「友達だよ。友達だから鳥籠壊しのお手伝いをしたの。これから毎日遊べるね永遠」
友達なんでしょ?
お願い、わたしの鳥籠をどうにか壊して!
助けて!
助けて!
あなたには選択肢がある。
誰にも邪魔されない選択肢がある。
抗える腕がある。
立ち向かえる足がある。
わたしにはない自由がある。
「無理よ、……私、逮捕されるよ。遊びどころじゃ……」
「じゃあこんなのはどうだ?【母親が父親を殺害した。母親は殺害後、自殺をした。そう思い込むんだ一生な】【母親による父親殺害の現場を一部始終目撃した】【母親にも襲われそうになったが、そのまま母親はお前を見て首を吊って死んだ】【この現場にいた生存者は宮村永遠のみ。明智秀頼、佐々木絵美は現場に不在だった】」
え……?どうしてそんなことするの……?
やめてよ秀頼君?
彼女は自分で鳥籠を壊したくせに!
お母さんに責任転嫁するような幸せな記憶を押し付けるなんて。
そんなのずるいよ……。
どうしてわたしばっかり苦しませて、永遠にはそんなに優しい偽りの記憶を与えるの……?
どうして永遠には、そんな救いを与えるの……?
わたしにはなんの役得もないの……?
「【証拠を全部隠滅しろ、中学校入学時から今日まで関わった生徒による記憶をすべて忘却させろ】」
わたしと永遠が友達という記憶すら奪うの……?
明智秀頼と関わった記憶を全部消去しちゃうの……?
ずるいよ、そんなの……?
逃げないで……!
置いて行かないでよ……!
鳥籠だけ壊れた事実だけを残して置いていく……?
酷いよ、そんなの……、あんまりじゃない……。
鳥籠を壊したのは他力本願。
明智秀頼という悪魔と関わった事実はない。
どうして、彼女だけ幸せにさせるの……?
「さようなら鳥籠の少女。今回は中々楽しい茶番だったよ」
「いやああああ、やめて!!お願いやめてええええええ!!!」
「大丈夫だよ、嫌なこと全部忘れさせてやるから。【■■】」
「あああああああああああああ」
本当にずるい……。
わたしも胸を無理矢理触られたりすることは何回もあった……。
でも、どうして永遠には1回だけなの……?
でも、どうして記憶を消しちゃうの……?
辛い記憶ばっかり残すわたし。
辛い記憶だけ消される永遠。
こんなの、ずるいよ……。
片方の鳥籠は破壊された。
そして、鳥そのものも羽根をもがれてそのまま死んでいった。
「今回は楽しかったな絵美」
「はい……」
「どうした?不機嫌だな?混ぜてやらなかったのが不満か?」
「いえ……」
「嫉妬するなよ、じゃあ帰ったらやるか」
「…………」
もう片方の鳥籠はまだ健在です。
また、今日も主が鳥をオモチャにして遊びます。
―――――
「よお、佐々木絵美だな」
数年後、わたしはクラスメートの少女、ヨル・ヒルに拘束される。
「クッ……、離せっ、離せ!!」
「はいはい、大人しくねー。ちょっと眠ってもらおうか」
「ッ!?」
首元に注射を打たれる。
どうしてこんなことになったのか……?
意味がわからない……。
「っと、素手で触ると『アンチギフト』が働くかもしれねえからな……。慎重にやらねーと……」
薄れていく意識の中、ギフトという単語が耳に届いた……。
もう、ギフトは勘弁して欲しい……。
「ほら吐け、吐け、吐け」
「がああああああ」
「宮村永遠に仕掛けたギフトは?明智秀頼の男の正体は?」
「いえ……ません……」
言えるわけない。
あの男を裏切ったりしたら殺される……。
あの人は裏切りを酷く嫌悪する。
できるわけない、言えるわけない。
「あ?そう?じゃあもう1本爪を剥がそうか?」
「いだあああい!痛いよ……?がああああああ!?」
「あはは!どう?普段君がしていることでしょ?こっちは全部『タケル』から君と明智の本性を聞いているんだよ?」
十文字君が?
あり得ない、あの人はバカで鈍感な頭お花畑の男だ。
いまだに秀頼君を親友とか謳う無能だ。
あの人が、そんなに勘が鋭いはずがない。
「自分の快楽を満たすために散々人を犯したり、殺したりなんでもしてきたんだろ?因果応報でしょ!ギフトで操られていたとか被害者から見ると関係ないから。ほら、罪を償う時間だ!佐々木絵美ッ!」
「しらない……、しらないよそんなのっ!」
「宮村永遠に仕掛けたギフトは?あの日に起こった出来事は?ほら、早く!こっちはタケルが待っているんだよ」
「しらない!わたしはなんにもしらない!」
「あのさ……、君、本気で死ぬよ?明智に怖がっているのはわかるけど、次ふざけた回答をすると殺すぞ」
わたしの長い髪を引っ張り、コンバットナイフを首元に突き付ける。
目が本気だった。
秀頼君が人を殺す時と同じ目を、彼女はわたしに向けていた。
「こ、ころさない?ころさないよね……?」
「お前の態度次第だ。こっちもタイムスケジュールがパンパンでね!さあ、あと5秒!」
「秀頼君が……、永遠に……、父親を殺すように…………ギフト……使用しました……」
死ぬのだけは怖い。
何されても文句は言いません。
どれだけ身体をボロボロにされても耐えます。
どれだけ身体を汚されても耐えます。
慰めものにされても耐えます。
……でも、殺されるのだけは本当にイヤなんです……。
そこにわたしの意思がなくても、死という生命の終わりだけは恐怖は消えません。
「……」
わたしは骨を折られ、爪を剥がされ、たくさん殴られて、身体中を血まみれにされた。
いつか谷川咲夜という少女を引きずられた時と同じように、今度はわたしが引きずられている。
「悲しみの連鎖を断ち切る……、ギフトによる悲しみを……タケルにはもう……」
途中ブツブツとヨルは呟いている。
もう、どうでも良い。
なんでも良い。
引きずられた先は、秀頼君と十文字君の秘密基地の廃墟だった。
多分、2人共この廃墟にいるんだと察した。
「タケル!!」
そうやってヨルが声を掛けると、2人が喧嘩をしているところだった……。
失いそうになる記憶でなんとなく、視界に入る。
「ねえ?絵美を殺したの?」
「安心しなって絵美はまだ生きてる。ちょっと拷問に掛けただけ」
「拷問……」
「気にすんな、あたしは育ちが特殊でちょっとこういう手荒な真似に慣れているだけさ」
あの日の親友、永遠がわたしの顔を覗く。
ずいぶんと血色の良い顔つきになった。
ああ、十文字君に完全に救われたんだ……。
本当に羨ましい……。
同じ鳥籠に囚われていたのに、そっちはハッピーエンドを選べたんだね。
こっちのわたしはわけのわからない少女にボコボコにされて、もう死にそうなほど苦痛なのに……。
ああ、本当にむかつく……。
やっぱり永遠は悲劇のヒロインで……。
わたしはただの悪役なんだ……。
「絵美……、この役立たずが……。【吐血して死ね】」
ああ、もう終わった……。
秀頼君を裏切った時点でわたし死ぬんだ……。
永遠のことを語らなかったらヨルによる拷問で死ぬ。
永遠のことを語ったら秀頼君によるギフトで死ぬ。
ああ、とっくに詰んでたんだわたしの人生……。
死ぬのが10分ほど伸びただけなんだ……。
「ゲハッ……!?」
凄い量の血が口から吐き出す。
視界が白く染まっていく。
なんだったんだろうね、わたしの人生って……。
友達だったはずの永遠すら看取ってくれない。
こんな、何もない廃墟で1人死んでいく……。
…………。
抗うことすらできなくなり、そのままわたしは完全に意識を突き放した。
ゆるさない……!!
明智秀頼という名前に嫌悪感しか沸かない。
ゆるさないゆるさないゆるさない!!
もし、次に出会うことがあれば、、、
ころしてやりたい。
鳥籠は残ったまま……、鳥だけがそのままゴミクズみたいに捨てられた……。
―――――
「絵美?」
「あっ、どうしましたか秀頼君?」
電車でうとうとしていた時に、至近距離で秀頼君の顔があり驚いた。
好きな人からキスされるんじゃないかって期待をしちゃうのでやめて欲しい。
「本当に調子が悪そうだぞ?大丈夫か?」
「大丈夫です!寝不足なだけですので気にしないでください」
いや、本当に昨晩の夢は恐ろしい夢だった。
どんな内容かは、よくわからないけど……とても哀れな人生を送った少女の夢。
後悔の夢。
「ウチのコーヒーをやる」
「咲夜……?」
「カフェイン取って目を覚ませ」
「……、うん!ありがとう!いただきますね!」
コーヒーはあんまり得意じゃないんだけど、好意をムダにはできないよね。
一口のコーヒーを口に含む。
「にがーい」
「ビターと言ってくれ」
……、昨晩の夢の感想を求められたら。
まさしくコーヒーみたいに。
苦くて、ビターな夢だった……。
「そりゃあ永遠にお父さんを殺害してもらうためだよ」
「え……?」
「鳥籠を壊したいなら他人に頼っちゃダメ!自分の手でやらないとねっ!でもやりきった、偉いね、永遠」
偉いよ……。
羨ましいよ……。
自分の鳥籠だけ壊しておいて逃げないで……。
お願い、わたしの鳥籠も壊して……。
すぐ後ろの鳥籠もついでに壊して……。
友達でしょ?
あなたの鳥籠を壊すために必死に努力したんだよ?
クラスメートが遊んだり、勉強している時間を削って毎日の夜をあなたのお父さんを帰宅する時間を把握するとかいう意味不明なことをずっとやらされたんだよ?
大雨の中、傘も差さないであなたのお父さんが帰宅するのずっと待ってたんだよ?
化粧も崩れて、誰にも見せられない顔で、ずぶ濡れになってずっと待っていたんだよ?
まだ、わたし体調が優れてないんだよ?
「触らないでっ!?」
「ぁ……」
小さい声が漏れた。
拒否されたんだ。
あんなに永遠に尽くしたのに、永遠はわたしになんにもしてくれないんだ……。
「おかしい!?こんなのおかしいよ!?仕組んだの……?ねぇ、どうして!?友達じゃなかったの!?」
「友達だよ。友達だから鳥籠壊しのお手伝いをしたの。これから毎日遊べるね永遠」
友達なんでしょ?
お願い、わたしの鳥籠をどうにか壊して!
助けて!
助けて!
あなたには選択肢がある。
誰にも邪魔されない選択肢がある。
抗える腕がある。
立ち向かえる足がある。
わたしにはない自由がある。
「無理よ、……私、逮捕されるよ。遊びどころじゃ……」
「じゃあこんなのはどうだ?【母親が父親を殺害した。母親は殺害後、自殺をした。そう思い込むんだ一生な】【母親による父親殺害の現場を一部始終目撃した】【母親にも襲われそうになったが、そのまま母親はお前を見て首を吊って死んだ】【この現場にいた生存者は宮村永遠のみ。明智秀頼、佐々木絵美は現場に不在だった】」
え……?どうしてそんなことするの……?
やめてよ秀頼君?
彼女は自分で鳥籠を壊したくせに!
お母さんに責任転嫁するような幸せな記憶を押し付けるなんて。
そんなのずるいよ……。
どうしてわたしばっかり苦しませて、永遠にはそんなに優しい偽りの記憶を与えるの……?
どうして永遠には、そんな救いを与えるの……?
わたしにはなんの役得もないの……?
「【証拠を全部隠滅しろ、中学校入学時から今日まで関わった生徒による記憶をすべて忘却させろ】」
わたしと永遠が友達という記憶すら奪うの……?
明智秀頼と関わった記憶を全部消去しちゃうの……?
ずるいよ、そんなの……?
逃げないで……!
置いて行かないでよ……!
鳥籠だけ壊れた事実だけを残して置いていく……?
酷いよ、そんなの……、あんまりじゃない……。
鳥籠を壊したのは他力本願。
明智秀頼という悪魔と関わった事実はない。
どうして、彼女だけ幸せにさせるの……?
「さようなら鳥籠の少女。今回は中々楽しい茶番だったよ」
「いやああああ、やめて!!お願いやめてええええええ!!!」
「大丈夫だよ、嫌なこと全部忘れさせてやるから。【■■】」
「あああああああああああああ」
本当にずるい……。
わたしも胸を無理矢理触られたりすることは何回もあった……。
でも、どうして永遠には1回だけなの……?
でも、どうして記憶を消しちゃうの……?
辛い記憶ばっかり残すわたし。
辛い記憶だけ消される永遠。
こんなの、ずるいよ……。
片方の鳥籠は破壊された。
そして、鳥そのものも羽根をもがれてそのまま死んでいった。
「今回は楽しかったな絵美」
「はい……」
「どうした?不機嫌だな?混ぜてやらなかったのが不満か?」
「いえ……」
「嫉妬するなよ、じゃあ帰ったらやるか」
「…………」
もう片方の鳥籠はまだ健在です。
また、今日も主が鳥をオモチャにして遊びます。
―――――
「よお、佐々木絵美だな」
数年後、わたしはクラスメートの少女、ヨル・ヒルに拘束される。
「クッ……、離せっ、離せ!!」
「はいはい、大人しくねー。ちょっと眠ってもらおうか」
「ッ!?」
首元に注射を打たれる。
どうしてこんなことになったのか……?
意味がわからない……。
「っと、素手で触ると『アンチギフト』が働くかもしれねえからな……。慎重にやらねーと……」
薄れていく意識の中、ギフトという単語が耳に届いた……。
もう、ギフトは勘弁して欲しい……。
「ほら吐け、吐け、吐け」
「がああああああ」
「宮村永遠に仕掛けたギフトは?明智秀頼の男の正体は?」
「いえ……ません……」
言えるわけない。
あの男を裏切ったりしたら殺される……。
あの人は裏切りを酷く嫌悪する。
できるわけない、言えるわけない。
「あ?そう?じゃあもう1本爪を剥がそうか?」
「いだあああい!痛いよ……?がああああああ!?」
「あはは!どう?普段君がしていることでしょ?こっちは全部『タケル』から君と明智の本性を聞いているんだよ?」
十文字君が?
あり得ない、あの人はバカで鈍感な頭お花畑の男だ。
いまだに秀頼君を親友とか謳う無能だ。
あの人が、そんなに勘が鋭いはずがない。
「自分の快楽を満たすために散々人を犯したり、殺したりなんでもしてきたんだろ?因果応報でしょ!ギフトで操られていたとか被害者から見ると関係ないから。ほら、罪を償う時間だ!佐々木絵美ッ!」
「しらない……、しらないよそんなのっ!」
「宮村永遠に仕掛けたギフトは?あの日に起こった出来事は?ほら、早く!こっちはタケルが待っているんだよ」
「しらない!わたしはなんにもしらない!」
「あのさ……、君、本気で死ぬよ?明智に怖がっているのはわかるけど、次ふざけた回答をすると殺すぞ」
わたしの長い髪を引っ張り、コンバットナイフを首元に突き付ける。
目が本気だった。
秀頼君が人を殺す時と同じ目を、彼女はわたしに向けていた。
「こ、ころさない?ころさないよね……?」
「お前の態度次第だ。こっちもタイムスケジュールがパンパンでね!さあ、あと5秒!」
「秀頼君が……、永遠に……、父親を殺すように…………ギフト……使用しました……」
死ぬのだけは怖い。
何されても文句は言いません。
どれだけ身体をボロボロにされても耐えます。
どれだけ身体を汚されても耐えます。
慰めものにされても耐えます。
……でも、殺されるのだけは本当にイヤなんです……。
そこにわたしの意思がなくても、死という生命の終わりだけは恐怖は消えません。
「……」
わたしは骨を折られ、爪を剥がされ、たくさん殴られて、身体中を血まみれにされた。
いつか谷川咲夜という少女を引きずられた時と同じように、今度はわたしが引きずられている。
「悲しみの連鎖を断ち切る……、ギフトによる悲しみを……タケルにはもう……」
途中ブツブツとヨルは呟いている。
もう、どうでも良い。
なんでも良い。
引きずられた先は、秀頼君と十文字君の秘密基地の廃墟だった。
多分、2人共この廃墟にいるんだと察した。
「タケル!!」
そうやってヨルが声を掛けると、2人が喧嘩をしているところだった……。
失いそうになる記憶でなんとなく、視界に入る。
「ねえ?絵美を殺したの?」
「安心しなって絵美はまだ生きてる。ちょっと拷問に掛けただけ」
「拷問……」
「気にすんな、あたしは育ちが特殊でちょっとこういう手荒な真似に慣れているだけさ」
あの日の親友、永遠がわたしの顔を覗く。
ずいぶんと血色の良い顔つきになった。
ああ、十文字君に完全に救われたんだ……。
本当に羨ましい……。
同じ鳥籠に囚われていたのに、そっちはハッピーエンドを選べたんだね。
こっちのわたしはわけのわからない少女にボコボコにされて、もう死にそうなほど苦痛なのに……。
ああ、本当にむかつく……。
やっぱり永遠は悲劇のヒロインで……。
わたしはただの悪役なんだ……。
「絵美……、この役立たずが……。【吐血して死ね】」
ああ、もう終わった……。
秀頼君を裏切った時点でわたし死ぬんだ……。
永遠のことを語らなかったらヨルによる拷問で死ぬ。
永遠のことを語ったら秀頼君によるギフトで死ぬ。
ああ、とっくに詰んでたんだわたしの人生……。
死ぬのが10分ほど伸びただけなんだ……。
「ゲハッ……!?」
凄い量の血が口から吐き出す。
視界が白く染まっていく。
なんだったんだろうね、わたしの人生って……。
友達だったはずの永遠すら看取ってくれない。
こんな、何もない廃墟で1人死んでいく……。
…………。
抗うことすらできなくなり、そのままわたしは完全に意識を突き放した。
ゆるさない……!!
明智秀頼という名前に嫌悪感しか沸かない。
ゆるさないゆるさないゆるさない!!
もし、次に出会うことがあれば、、、
ころしてやりたい。
鳥籠は残ったまま……、鳥だけがそのままゴミクズみたいに捨てられた……。
―――――
「絵美?」
「あっ、どうしましたか秀頼君?」
電車でうとうとしていた時に、至近距離で秀頼君の顔があり驚いた。
好きな人からキスされるんじゃないかって期待をしちゃうのでやめて欲しい。
「本当に調子が悪そうだぞ?大丈夫か?」
「大丈夫です!寝不足なだけですので気にしないでください」
いや、本当に昨晩の夢は恐ろしい夢だった。
どんな内容かは、よくわからないけど……とても哀れな人生を送った少女の夢。
後悔の夢。
「ウチのコーヒーをやる」
「咲夜……?」
「カフェイン取って目を覚ませ」
「……、うん!ありがとう!いただきますね!」
コーヒーはあんまり得意じゃないんだけど、好意をムダにはできないよね。
一口のコーヒーを口に含む。
「にがーい」
「ビターと言ってくれ」
……、昨晩の夢の感想を求められたら。
まさしくコーヒーみたいに。
苦くて、ビターな夢だった……。
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