ギャルゲーのヘイトを溜めるクズでゲスな親友役として転生してしまいました。そして主人公が無能すぎて役にたたない……。

桜祭

文字の大きさ
上 下
89 / 136
第5章 鳥籠の少女

45、明智秀頼に対する周囲の好感度

しおりを挟む
アイリーンなんとかさんの元から猛ダッシュしてデパートの水着売り場へ戻って来た。
既に全員集まっていて騒ぎになる直前だった。

「おい、秀頼?お前どこ行ってたんだよ?」
「はぁ、はぁ、はぁ、……はぁでもはぁい……」
「その息切れでなんでもないことないだろ!?」

はぁはぁと息切れしながら呼吸を整える。

「はぁれは、飲み物……くれ……」
「あっ、はい!秀頼さん」
「ありがとう」

そのままタケルからペットボトルの飲み物を受け取りそのまま口にする。
中身は緑茶だったので、とても飲みやすかった。

「あわわ……」

誰かの慌てた声がする。
どうかしたのかな?
またひったくりでも来たのかと警戒するが、そんな事は起きていなかった。

「はぁ……。旨かった……。ごめんタケル全部飲んじゃった。口付けちゃったけど、許してくれ」

口付けて間接キスをしてしまい本当に申し訳ない。

「は?俺のお茶じゃねーぞ?」
「え?じゃあ誰……のっ!?」

永遠ちゃんが赤い顔をしていた。
ペットボトルをよく見る。
350ミリリットルのやや小さいサイズだ。
タケルは基本500ミリリットルの飲み物しか買わない奴だ。
息切れしていた際とは違う汗が背中から流れる。

「エイエンちゃん!本当にごめんなさい!」
「いえ、あの……」
「ジュース奢ります!なんなら10本買います」
「あら?エイエンちゃんの間接キスは1000円程度?」

津軽からの一言に衝撃が走る。
永遠ちゃんの間接キスが1000円?
そんなに安い筈じゃない。

「俺の人生をあげます。要らないなら臓器を売ってお金にしてください」
「あの……、いえ……、大丈夫です……。間接……口を付けて飲まれる可能性を忘れて条件反射で渡した私が悪いんです……」
「……」

永遠ちゃんは俺の顔を見てなかった。
これ、あれだ……。
こないだの絵美パターンだ……。

また俺は嫌われてしまった……。

「ドンマイ、秀頼」
「咲夜……」
「ウチの缶コーヒーもいる?」
「やめてくれ……」

俺をそんな目で見ないでくれ……。
チクショウ、アイリーンなんとかめ……。
次会ったら絶対に許さない……。

責任転嫁しないとやっていけないぜ……。

「大丈夫ですか?永遠さん?」
「だ、大丈夫です!理沙も気にしないで」

理沙が永遠ちゃんに駆け寄っている。
目の前で慰められているところを見るとよけい凹む。

「恥ずかしいだけで、……嫌じゃないです……」

俺を見てなんかボソッと呟いた永遠ちゃん。
そして同時にゴミクズって思われている目を向けられた……。
本当に驚くくらいに強すぎるゲームの強制力よ……。
タケルに都合良く動くなら、秀頼は地獄に突き落とすという世界の意思を感じる。

「……」

絵美がじっと俺を見ている。
それが気になって俺も絵美を見ている。

「勘違いしてますよ」
「え?」
「でも絶対指摘しない」
「悪魔かよお前……」
「だってライバルだもん」

最近素っ気ない絵美の心境が全然わからない。
ライバルってなんの話?

「もう1回死んだら?」
「津軽……。俺を一生罵ってくれ」
「それは普通にキモい」
「…………」

本当に秀頼の好感度って平均0なんだなってのがよくわかるわ……。
デパート来てから、俺心が死にそう。

「秀頼、ガンバ」
「他人事だな」
「他人事だもん」

このタケルの言葉が1番優しい。
本当に、俺はタケルに惚れそう。
原作では無能とかタイミング最悪男とかネタにしていたのを謝りたくなるほどに良い奴だ。

俺が消えていたことが、俺のやらかしによって既に忘れられていた。
ひったくり犯が刀みたいな物を盗んでいたという話は俺たちの日常からかけ離れている出来事なので危険から遠ざけたと考えれば、俺のやらかしにも価値が出るはずだ。
そう思い込む。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する

美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」 御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。 ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。 ✳︎不定期更新です。 21/12/17 1巻発売! 22/05/25 2巻発売! コミカライズ決定! 20/11/19 HOTランキング1位 ありがとうございます!

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う

ひなクラゲ
ファンタジー
 ここは乙女ゲームの世界  悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…  主人公と王子の幸せそうな笑顔で…  でも転生者であるモブは思う  きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

『悪役』のイメージが違うことで起きた悲しい事故

ラララキヲ
ファンタジー
 ある男爵が手を出していたメイドが密かに娘を産んでいた。それを知った男爵は平民として生きていた娘を探し出して養子とした。  娘の名前はルーニー。  とても可愛い外見をしていた。  彼女は人を惹き付ける特別な外見をしていたが、特別なのはそれだけではなかった。  彼女は前世の記憶を持っていたのだ。  そして彼女はこの世界が前世で遊んだ乙女ゲームが舞台なのだと気付く。  格好良い攻略対象たちに意地悪な悪役令嬢。  しかしその悪役令嬢がどうもおかしい。何もしてこないどころか性格さえも設定と違うようだ。  乙女ゲームのヒロインであるルーニーは腹を立てた。  “悪役令嬢が悪役をちゃんとしないからゲームのストーリーが進まないじゃない!”と。  怒ったルーニーは悪役令嬢を責める。  そして物語は動き出した…………── ※!!※細かい描写などはありませんが女性が酷い目に遭った展開となるので嫌な方はお気をつけ下さい。 ※!!※『子供が絵本のシンデレラ読んでと頼んだらヤバイ方のシンデレラを読まれた』みたいな話です。 ◇テンプレ乙女ゲームの世界。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇なろうにも上げる予定です。

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

処理中です...