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第5章 鳥籠の少女
29、宮村永遠の慟哭
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後半、ほとんど口を開かなかった永遠ちゃんに着いて行き、デパートの外に出た。
朝の反応良かった時とは一変、お互いに反応がなくなったお出掛けになってしまった。
所詮、悪役親友役にできることはそれまでなんだという壁にぶつかった。
「そろそろ帰ろうか……」
なんとなく、ここで別れたらもう永遠ちゃんと仲良くすることもないんだろうなって気がする。
それくらい、もう会話がなかった。
「ちょ、ちょっと待って秀頼さん……。お礼をしたくて……、最後に私が最近見つけたばかりで気に入った喫茶店あるのでそこ行きませんか?……奢るので、もう少しだけ一緒に歩いてくれませんか……?」
「君が臨むならどこまでだって」
「秀頼さん、マジ仏様」
「ははっ、エイエンちゃんって面白いよね」
別れを惜しんだのか、永遠ちゃんがお気に入りの喫茶店へ案内してくれることになり、今度は俺が永遠ちゃんに着いて行く流れとなる。
「……ごめんなさい。秀頼さん、私って……つまらないですよね……」
「え?」
歩きながらそんなことを口にする。
つまらない?
何がどういうことなんだろう……?
「秀頼さんの気を惹きたくて無理してテンション高くして接してました。……けど絵美や十文字さんみたいに上手くいきませんね。……退屈な人間でごめんなさい……」
「何言ってるのさ、エイエンちゃん……?全然退屈なんかしてないよ!?俺、スッゲー楽しいよ?」
「……、秀頼さんが遠くを見ている気がして。黙って見ていたりして退屈してるのかなって……?」
「っ!?」
彼女を心配させてしまっていた。
違う、俺が間違っていたんだ……。
本当、俺は失敗ばかりだ……。
「ごめん。全然そういうつもりはなくて……。ははっ、エイエンちゃんって面白いよねって心から思ってる」
「……そうかな?」
「だから、言いたいことがある」
永遠ちゃんの事情に踏み込む。
たとえ嫌われても、抱え込むより、ストレートに力になりたい。
だから指摘するんだ。
「悩みを打ち明けて欲しい」
「え……?なや、み……?」
「俺なんか力になれるかわからない。……でも、苦しんでいることはない?……鳥籠の生活に窮屈だって思ってない?……俺は、エイエンちゃんの力になりたい」
「…………凄いね秀頼さん」
突然、永遠ちゃんが俺の胸に飛び付く。
「私、家が苦しい……。もっと自由に友達を作って勉強だけじゃなく遊んだり色々な経験をしたい!…………もっと、普通の人生を送りたい……。家にいても苦しいの……。お父さんに叩かれるのもう嫌なの。……好きな人と恋愛とかしてみたい」
決壊したように俺の胸で慟哭となり、泣いた彼女。
俺は頭を撫でて背中をさする。
「ごめんね、エイエンちゃん。俺には解決できる方法を提示するなんてできない。……けど受け入れる。なんでも相談して欲しい。…………君の力になれるようにする」
「ひで、よりさん……。ありがとう……。ずっとずっと、苦しかった……。秀頼さんから廊下で話かけられるまで、寂しくて孤独で辛かったぁ……。あなたに見付けてもらえて、嬉しかったぁ……。助けて欲しい、……私を助けて……」
「助ける。……絶対、君の鳥籠問題を解決するよ……」
ギフトで永遠ちゃんの両親殺害なんかさせない。
それ以外で、大団円で鳥籠問題を解決させる。
俺だけでは、解決策は見付からない。
でも、俺には絵美にタケルに理沙に津軽。
あとは咲夜。
信頼できる仲間がたくさん存在する。
1人でどうにかできないなら。
2人以上で頑張ってどうにかするしかない。
「だから、曇らないで。エイエンちゃんの笑顔に俺は救われたんだ」
「……私の笑顔に……?」
「あぁ。なにもかもがつまらなくてうずくまっていた時、君を見付けたんだ……」
前世で父親の影響で3回くらい死にかけてグレてしまった中学の最初の頃、俺は『悲しみの連鎖を断ち切り』と出会った。
まさに趣味もなく、人生がつまらなくて、まだ剣道も始めていなかった頃だから隠れオタクをしていたんだ。
多分、あの時に永遠ちゃんのビジュアルに惚れなければギャルゲーなんて存在すら知らなかったと思う。
本当に色んな人生の楽しみ方を学んだんだ。
「その恩返し。……だから、俺に助けさせて欲しい。……大丈夫、安心してエイエンちゃん」
「うん。ありがとう秀頼さん。君の言葉が、……本当に嬉しい」
本日2回目。
また泣いてしまった永遠ちゃんにハンカチを貸して涙を拭いてもらう。
ーーーーー
「私、学校を転校してきて、良かった。秀頼さんに会える人生で救われました」
「ははっ、嬉しいな……」
「あっ、次右に曲がります」
泣き止んだ永遠ちゃんの案内で、そのお気に入りの喫茶店へ向かっていた。
……しかし、なんか妙に見慣れた景色の道に入ってきたな。
次を右に曲がったらマスターの店にたどり着きそうだ。
永遠ちゃんのお気に入りの喫茶店とはどういうところなのか楽しみである。
「次の信号の先を右に曲がります。見えてきました。もうすぐです」
「…………あれ?」
永遠ちゃんのお気に入りの喫茶店ここから近いの?
この辺で近い喫茶店はもうマスターの店しかないぞ?
「あの2階立ての喫茶店です!オシャレですよね!」
「…………」
年中、閑古鳥が鳴いている喫茶店が目の前にあった。
おばさんの弟さんが経営している喫茶店だった……。
朝の反応良かった時とは一変、お互いに反応がなくなったお出掛けになってしまった。
所詮、悪役親友役にできることはそれまでなんだという壁にぶつかった。
「そろそろ帰ろうか……」
なんとなく、ここで別れたらもう永遠ちゃんと仲良くすることもないんだろうなって気がする。
それくらい、もう会話がなかった。
「ちょ、ちょっと待って秀頼さん……。お礼をしたくて……、最後に私が最近見つけたばかりで気に入った喫茶店あるのでそこ行きませんか?……奢るので、もう少しだけ一緒に歩いてくれませんか……?」
「君が臨むならどこまでだって」
「秀頼さん、マジ仏様」
「ははっ、エイエンちゃんって面白いよね」
別れを惜しんだのか、永遠ちゃんがお気に入りの喫茶店へ案内してくれることになり、今度は俺が永遠ちゃんに着いて行く流れとなる。
「……ごめんなさい。秀頼さん、私って……つまらないですよね……」
「え?」
歩きながらそんなことを口にする。
つまらない?
何がどういうことなんだろう……?
「秀頼さんの気を惹きたくて無理してテンション高くして接してました。……けど絵美や十文字さんみたいに上手くいきませんね。……退屈な人間でごめんなさい……」
「何言ってるのさ、エイエンちゃん……?全然退屈なんかしてないよ!?俺、スッゲー楽しいよ?」
「……、秀頼さんが遠くを見ている気がして。黙って見ていたりして退屈してるのかなって……?」
「っ!?」
彼女を心配させてしまっていた。
違う、俺が間違っていたんだ……。
本当、俺は失敗ばかりだ……。
「ごめん。全然そういうつもりはなくて……。ははっ、エイエンちゃんって面白いよねって心から思ってる」
「……そうかな?」
「だから、言いたいことがある」
永遠ちゃんの事情に踏み込む。
たとえ嫌われても、抱え込むより、ストレートに力になりたい。
だから指摘するんだ。
「悩みを打ち明けて欲しい」
「え……?なや、み……?」
「俺なんか力になれるかわからない。……でも、苦しんでいることはない?……鳥籠の生活に窮屈だって思ってない?……俺は、エイエンちゃんの力になりたい」
「…………凄いね秀頼さん」
突然、永遠ちゃんが俺の胸に飛び付く。
「私、家が苦しい……。もっと自由に友達を作って勉強だけじゃなく遊んだり色々な経験をしたい!…………もっと、普通の人生を送りたい……。家にいても苦しいの……。お父さんに叩かれるのもう嫌なの。……好きな人と恋愛とかしてみたい」
決壊したように俺の胸で慟哭となり、泣いた彼女。
俺は頭を撫でて背中をさする。
「ごめんね、エイエンちゃん。俺には解決できる方法を提示するなんてできない。……けど受け入れる。なんでも相談して欲しい。…………君の力になれるようにする」
「ひで、よりさん……。ありがとう……。ずっとずっと、苦しかった……。秀頼さんから廊下で話かけられるまで、寂しくて孤独で辛かったぁ……。あなたに見付けてもらえて、嬉しかったぁ……。助けて欲しい、……私を助けて……」
「助ける。……絶対、君の鳥籠問題を解決するよ……」
ギフトで永遠ちゃんの両親殺害なんかさせない。
それ以外で、大団円で鳥籠問題を解決させる。
俺だけでは、解決策は見付からない。
でも、俺には絵美にタケルに理沙に津軽。
あとは咲夜。
信頼できる仲間がたくさん存在する。
1人でどうにかできないなら。
2人以上で頑張ってどうにかするしかない。
「だから、曇らないで。エイエンちゃんの笑顔に俺は救われたんだ」
「……私の笑顔に……?」
「あぁ。なにもかもがつまらなくてうずくまっていた時、君を見付けたんだ……」
前世で父親の影響で3回くらい死にかけてグレてしまった中学の最初の頃、俺は『悲しみの連鎖を断ち切り』と出会った。
まさに趣味もなく、人生がつまらなくて、まだ剣道も始めていなかった頃だから隠れオタクをしていたんだ。
多分、あの時に永遠ちゃんのビジュアルに惚れなければギャルゲーなんて存在すら知らなかったと思う。
本当に色んな人生の楽しみ方を学んだんだ。
「その恩返し。……だから、俺に助けさせて欲しい。……大丈夫、安心してエイエンちゃん」
「うん。ありがとう秀頼さん。君の言葉が、……本当に嬉しい」
本日2回目。
また泣いてしまった永遠ちゃんにハンカチを貸して涙を拭いてもらう。
ーーーーー
「私、学校を転校してきて、良かった。秀頼さんに会える人生で救われました」
「ははっ、嬉しいな……」
「あっ、次右に曲がります」
泣き止んだ永遠ちゃんの案内で、そのお気に入りの喫茶店へ向かっていた。
……しかし、なんか妙に見慣れた景色の道に入ってきたな。
次を右に曲がったらマスターの店にたどり着きそうだ。
永遠ちゃんのお気に入りの喫茶店とはどういうところなのか楽しみである。
「次の信号の先を右に曲がります。見えてきました。もうすぐです」
「…………あれ?」
永遠ちゃんのお気に入りの喫茶店ここから近いの?
この辺で近い喫茶店はもうマスターの店しかないぞ?
「あの2階立ての喫茶店です!オシャレですよね!」
「…………」
年中、閑古鳥が鳴いている喫茶店が目の前にあった。
おばさんの弟さんが経営している喫茶店だった……。
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