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第5章 鳥籠の少女
16、谷川咲夜は風邪で不安になる
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「ひでよりぃ……、ぬるいよー」
「わかったよ」
タオルを交換して、冷やされたタオルを咲夜のおでこへ再び置き直す。
「つめてっ!やさしくしてくれー」
「はいはい」
咲夜を真面目に相手にすると大変なので軽く流しておく。
再び温くなったタオルを桶へ放り込むのであった。
「しかしお前あれだな?いつも付けてるコーヒーカップのヘアゴムが今付けてないから咲夜と気付かないな」
「ヘアゴムで判断するなよぉ……。しっかりウチの顔だけ見てくれぇ……」
「はいはい」
語尾が少し伸びる言い方がちょっと可愛いな。
風邪引くと甘えん坊になるタイプだった。
「ぅぅ、しぬー」
「だから大丈夫だって。ほら、不安なら手握ってやるから」
咲夜の右手を握ると、咲夜からも強くギュッと握られる。
そして、へへっと笑いだす。
「秀頼の、そういうとこすきぃ」
「はいはい」
「あとな、あとな、ウチが死んだらコーヒーの見える花畑の丘に墓を作ってくれよー」
「世界中、どこ探してもそんな土地はねーよ!?」
どんだけコーヒーが好きなんだと苦笑いする。
咲夜の部屋にはじめて入ったが、『コーヒーのおいしい淹れ方』、『コーヒー豆大全』などコーヒーに関する本がたくさんあった。
こいつのコーヒーに対する熱意が本物なのが伝わってくる。
「ぅー、秀頼と同じクラスになりたかったよー、なんで違うクラスいっちゃうんだよー」
「そうだな、いつか同じクラスになれると良いな」
「秀頼……、ウチなウチな!」
「うんうん、今日はなんでも話を聞いてやるよ」
「貴様の手、……安心するな。落ち着くな。人を優しくさせる手だ……」
「できてる、かな……」
不幸をばらまく様なクズゲス悪役親友役なんだけどな。
まぁ咲夜は別に秀頼の被害者になることはない、ゲーム未登場のモブですらない奴なのだが。
「はじめてのとき、ひどいことばっかりでごめんなー」
「気にしてねーよ。ほら、眠ってろ……」
「ぅん。わかった……」
そう言って深い眠りに落ちる咲夜。
いつもこれくらい可愛いこと言えると、こいつもモテると思うんだけどな。
また再びタオルを交換し、温いタオルに桶に浸してばしゃばしゃとしていた。
「ひでよりぃ…………。ほんとのぉまえは…………どっ、ち……なんだ…………」
ーーーーー
タオルを交換する際におでこを触るとやはり体温は熱い。
そんなすぐに治るものでもないか。
咲夜も寝静まったし帰ろうかな。
『はじめてのとき、ひどいことばっかりでごめんなー』、そんなこと気にしなくて良いのに律儀な女だよ。
本当にみんななんなんだよ。
絵美も、理沙も、津軽も、咲夜もさ。
なんで昔よりもだんだん可愛いかったり、美人になっていくんだよ!
タケルも中性的だが、良い顔立ちしてるし。
悪役顔で雰囲気悪そうな秀頼の顔ちょっとダメ過ぎない!?
所詮、タケルを主人公にしたタケルに都合の良くできた世界。
俺なんかギフトでヒロインを不幸にする竿役NTR要員そんな扱いなんだろう。
散々人を殺したり、嵌めたり、操って寝取ったりとロクなことにギフトを使わないからな。
「………ん?」
ロクなことにギフトを使わない?
……、そうか別に人助けのためにギフトを使ってみても良いのか。
寝ている咲夜の姿を視界に入れる。
思いつきだが、そんなギフトの使い方ありか?
試すだけの価値はありそうだ。
「咲夜……、【今すぐに風邪を治せ】」
「ん……」、とちょっと声を洩らす咲夜。
なんとなくおでこを触ると、平熱に戻ってる気がする。
その人の意思以外にも、細胞や臓器にもギフト使えるんじゃね?と思ったがドンピシャだった。
流石に千切れた腕を生やせは無理だが、ガン細胞を駆逐しろとか胃を平常にしろなどそういった働きをすることはできそうだ。
結果、咲夜の風邪は治療した。
どうせデメリットはない。
だってゲームで秀頼のギフトはデメリットがないチート能力と解説されていた。
なんなら【吐血して死ね】とかこいつはやりたい放題なのだ(その変わり、【八つ裂きになって死ね】などそういった外傷を与えて死ぬのは無理そうだ)。
つまり、意図的に他人の身体を壊せるなら、意図的に他人の身体も治せるよね?理論。
思い付きだが、かなり上手くいった。
所詮ゲームの世界。
運営会社が面倒なことになるデメリットな設定をつくることをわざわざ作るわけがない。
チートと解説されていたからチートはチートなのだ。
咲夜、良かったな……。
お前は原作キャラクターみたいに不幸な目に合わないし、自分のやりたいことに真っ直ぐ突き進めるんだ。
羨ましいけど、安心する。
お前はこの世界における安全地帯だ。
「幸せになれよ」
咲夜の目にかかった前髪を起こさない様に、目から離す。
気持ち良く寝ている瞼であった。
「わかったよ」
タオルを交換して、冷やされたタオルを咲夜のおでこへ再び置き直す。
「つめてっ!やさしくしてくれー」
「はいはい」
咲夜を真面目に相手にすると大変なので軽く流しておく。
再び温くなったタオルを桶へ放り込むのであった。
「しかしお前あれだな?いつも付けてるコーヒーカップのヘアゴムが今付けてないから咲夜と気付かないな」
「ヘアゴムで判断するなよぉ……。しっかりウチの顔だけ見てくれぇ……」
「はいはい」
語尾が少し伸びる言い方がちょっと可愛いな。
風邪引くと甘えん坊になるタイプだった。
「ぅぅ、しぬー」
「だから大丈夫だって。ほら、不安なら手握ってやるから」
咲夜の右手を握ると、咲夜からも強くギュッと握られる。
そして、へへっと笑いだす。
「秀頼の、そういうとこすきぃ」
「はいはい」
「あとな、あとな、ウチが死んだらコーヒーの見える花畑の丘に墓を作ってくれよー」
「世界中、どこ探してもそんな土地はねーよ!?」
どんだけコーヒーが好きなんだと苦笑いする。
咲夜の部屋にはじめて入ったが、『コーヒーのおいしい淹れ方』、『コーヒー豆大全』などコーヒーに関する本がたくさんあった。
こいつのコーヒーに対する熱意が本物なのが伝わってくる。
「ぅー、秀頼と同じクラスになりたかったよー、なんで違うクラスいっちゃうんだよー」
「そうだな、いつか同じクラスになれると良いな」
「秀頼……、ウチなウチな!」
「うんうん、今日はなんでも話を聞いてやるよ」
「貴様の手、……安心するな。落ち着くな。人を優しくさせる手だ……」
「できてる、かな……」
不幸をばらまく様なクズゲス悪役親友役なんだけどな。
まぁ咲夜は別に秀頼の被害者になることはない、ゲーム未登場のモブですらない奴なのだが。
「はじめてのとき、ひどいことばっかりでごめんなー」
「気にしてねーよ。ほら、眠ってろ……」
「ぅん。わかった……」
そう言って深い眠りに落ちる咲夜。
いつもこれくらい可愛いこと言えると、こいつもモテると思うんだけどな。
また再びタオルを交換し、温いタオルに桶に浸してばしゃばしゃとしていた。
「ひでよりぃ…………。ほんとのぉまえは…………どっ、ち……なんだ…………」
ーーーーー
タオルを交換する際におでこを触るとやはり体温は熱い。
そんなすぐに治るものでもないか。
咲夜も寝静まったし帰ろうかな。
『はじめてのとき、ひどいことばっかりでごめんなー』、そんなこと気にしなくて良いのに律儀な女だよ。
本当にみんななんなんだよ。
絵美も、理沙も、津軽も、咲夜もさ。
なんで昔よりもだんだん可愛いかったり、美人になっていくんだよ!
タケルも中性的だが、良い顔立ちしてるし。
悪役顔で雰囲気悪そうな秀頼の顔ちょっとダメ過ぎない!?
所詮、タケルを主人公にしたタケルに都合の良くできた世界。
俺なんかギフトでヒロインを不幸にする竿役NTR要員そんな扱いなんだろう。
散々人を殺したり、嵌めたり、操って寝取ったりとロクなことにギフトを使わないからな。
「………ん?」
ロクなことにギフトを使わない?
……、そうか別に人助けのためにギフトを使ってみても良いのか。
寝ている咲夜の姿を視界に入れる。
思いつきだが、そんなギフトの使い方ありか?
試すだけの価値はありそうだ。
「咲夜……、【今すぐに風邪を治せ】」
「ん……」、とちょっと声を洩らす咲夜。
なんとなくおでこを触ると、平熱に戻ってる気がする。
その人の意思以外にも、細胞や臓器にもギフト使えるんじゃね?と思ったがドンピシャだった。
流石に千切れた腕を生やせは無理だが、ガン細胞を駆逐しろとか胃を平常にしろなどそういった働きをすることはできそうだ。
結果、咲夜の風邪は治療した。
どうせデメリットはない。
だってゲームで秀頼のギフトはデメリットがないチート能力と解説されていた。
なんなら【吐血して死ね】とかこいつはやりたい放題なのだ(その変わり、【八つ裂きになって死ね】などそういった外傷を与えて死ぬのは無理そうだ)。
つまり、意図的に他人の身体を壊せるなら、意図的に他人の身体も治せるよね?理論。
思い付きだが、かなり上手くいった。
所詮ゲームの世界。
運営会社が面倒なことになるデメリットな設定をつくることをわざわざ作るわけがない。
チートと解説されていたからチートはチートなのだ。
咲夜、良かったな……。
お前は原作キャラクターみたいに不幸な目に合わないし、自分のやりたいことに真っ直ぐ突き進めるんだ。
羨ましいけど、安心する。
お前はこの世界における安全地帯だ。
「幸せになれよ」
咲夜の目にかかった前髪を起こさない様に、目から離す。
気持ち良く寝ている瞼であった。
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