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第3章 賑やかし要員
8、豊臣光秀のケガ
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豊臣君へお礼を言って1ヶ月後、それは突然だった。
「……豊臣君」
しばらく学校を休んでいた豊臣君。
私の病弱が彼に移ってしまったのか焦ったけど、そうではなかった……。
「豊臣君、退部したんだ……。もう剣道自体ができない……」
「…………」
豊臣君は、生き甲斐だった剣道ができない身体になった。
痛々しい包帯が視界に嫌でも入るし、豊臣君の生き生きした目の輝きが完全に失われた。
「どうしてこんなことに……?」
「表向きは部活でのケガになってる。でも、本当は……」
「本当はなに?おかしいよね、こんなの!?」
「新しい部長らに右肩を潰された。活躍全部かっさらう豊臣君に部長らは恨んで故意的にドアで肩を潰した。もう肩より上に腕が上がらないんだって」
病弱な私ですら簡単にできることが豊臣君にはできない。
そんな、ショックな話ある?
「……、なにそれ?雑魚なのが悪いんじゃん。豊臣君の将来を潰して良い理由にならないよね?しかも、なんで部長らは咎められないの?」
「こんなのバレたら部活が廃部になるか、活動停止になる。彼、部活を守るために真実を語らないんだよ」
「潰れろよ、剣道部……」
「その発言、私にも剣道するなってことよ」
「…………ごめん」
「見殺しにしている私も最低だよね。でも、豊臣君は『俺のぶん頑張って大会で結果残して欲しいから、俺の不注意でケガしたことにする』って言い残した。あいつの意思で黙ってるんだよ」
豊臣君が剣道をしている姿を数回しか見たことなかったけど、彼の動きが格好良かった。
その勇姿が見れないことに私も深く落ち込んだ。
しかし、時間は流れていくもの。
徐々にではあるが、豊臣君は明るさを取り戻す。
剣道が出来ないけど、違う生き甲斐を見付けたのかもしれない。
そして、春になり。
私は豊臣君と同じクラスになった。
ーーーーー
「ほら見ろよ、豊臣!このグラビア!おっぱいやばくね?」
「バカ、このアングルに注目するべきは腋だよ腋」
「ふぁー」
年相応の豊臣君も素敵っ!
「いや、そうはならんでしょ!」
「え?」
「豊臣君、めっちゃ腑抜けたじゃん……。剣道一筋の糸が切れて、キモオタになったし……。格好良さ全部消えたよ」
「うわー、剣道部残してもらってる分際でなんか言ってる……」
「あんた、豊臣君が落ちぶれていくと共に口悪くなったわね……」
同じクラスになったものの、豊臣君に話しかけられない毎日が続く。
時折目が合っても私から離してしまう。
「よし、今日は席替えをするぞー!」
担任の先生の発言にビビンと電源が走る。
これだ!
私がくじ引きで豊臣君の隣を引き当てれば良いんだ!
「これだーっ!」
そうです。
これで豊臣君の隣を引き当てたんです!
「ごめんねぇ、由美」
「うわぁぁぁぁぁん!」
美奈子の隣が豊臣君の席でした。
「……豊臣君」
しばらく学校を休んでいた豊臣君。
私の病弱が彼に移ってしまったのか焦ったけど、そうではなかった……。
「豊臣君、退部したんだ……。もう剣道自体ができない……」
「…………」
豊臣君は、生き甲斐だった剣道ができない身体になった。
痛々しい包帯が視界に嫌でも入るし、豊臣君の生き生きした目の輝きが完全に失われた。
「どうしてこんなことに……?」
「表向きは部活でのケガになってる。でも、本当は……」
「本当はなに?おかしいよね、こんなの!?」
「新しい部長らに右肩を潰された。活躍全部かっさらう豊臣君に部長らは恨んで故意的にドアで肩を潰した。もう肩より上に腕が上がらないんだって」
病弱な私ですら簡単にできることが豊臣君にはできない。
そんな、ショックな話ある?
「……、なにそれ?雑魚なのが悪いんじゃん。豊臣君の将来を潰して良い理由にならないよね?しかも、なんで部長らは咎められないの?」
「こんなのバレたら部活が廃部になるか、活動停止になる。彼、部活を守るために真実を語らないんだよ」
「潰れろよ、剣道部……」
「その発言、私にも剣道するなってことよ」
「…………ごめん」
「見殺しにしている私も最低だよね。でも、豊臣君は『俺のぶん頑張って大会で結果残して欲しいから、俺の不注意でケガしたことにする』って言い残した。あいつの意思で黙ってるんだよ」
豊臣君が剣道をしている姿を数回しか見たことなかったけど、彼の動きが格好良かった。
その勇姿が見れないことに私も深く落ち込んだ。
しかし、時間は流れていくもの。
徐々にではあるが、豊臣君は明るさを取り戻す。
剣道が出来ないけど、違う生き甲斐を見付けたのかもしれない。
そして、春になり。
私は豊臣君と同じクラスになった。
ーーーーー
「ほら見ろよ、豊臣!このグラビア!おっぱいやばくね?」
「バカ、このアングルに注目するべきは腋だよ腋」
「ふぁー」
年相応の豊臣君も素敵っ!
「いや、そうはならんでしょ!」
「え?」
「豊臣君、めっちゃ腑抜けたじゃん……。剣道一筋の糸が切れて、キモオタになったし……。格好良さ全部消えたよ」
「うわー、剣道部残してもらってる分際でなんか言ってる……」
「あんた、豊臣君が落ちぶれていくと共に口悪くなったわね……」
同じクラスになったものの、豊臣君に話しかけられない毎日が続く。
時折目が合っても私から離してしまう。
「よし、今日は席替えをするぞー!」
担任の先生の発言にビビンと電源が走る。
これだ!
私がくじ引きで豊臣君の隣を引き当てれば良いんだ!
「これだーっ!」
そうです。
これで豊臣君の隣を引き当てたんです!
「ごめんねぇ、由美」
「うわぁぁぁぁぁん!」
美奈子の隣が豊臣君の席でした。
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