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第3章 賑やかし要員
7、恋愛ポンコツ
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「美奈子ぉ、豊臣君って何っ!?」
「落ち着いてー、先生に聞いちゃったかー」
同じ剣道部で面識ある豊臣君が美奈子の前を通りかかり、気を失った私を運んでくれたらしい。
私、豊臣君の肌に触れちゃったの!?
「ぅぅ……、絶対重いとか思われてる……」
「人間みんな重いっての。むしろあんた痩せぎみじゃん」
「恥ずかしくて死ぬ……」
「病弱な由美が言うと説得力ヤバイんだけど」
めっちゃまっとうな指摘をされてしまう。
もう何を言われても構わない。
「こうなったらお礼よ、お礼」
「そっかお礼しに行かないと。いくらくらいかな?5万円くらいで足りる?」
「お金渡したら逆に嫌われちゃうよ。豊臣君なんかお金とか気にするわけないじゃん」
「美奈子、最近豊臣君と仲良くない?」
「毎日部活で会うからね!あんたよりは豊臣君と仲良いわよ!」
「ぅぅ……、恋のライバルがすぐ近くにいたなんて……」
「私、彼氏持ちなんですけど。相手は豊臣君じゃないよ」
今日、心の整理ができないので、明日の朝に豊臣君にお礼にしに行くことを勝手に友達に決められてしまった。
1日経ったところで先延ばしにしかならないのだけれど。
「行って来い」と豊臣君のクラスに放り投げられた私は席にいた豊臣君に声を掛けに行く。
「と……豊臣君、だよね!?」
「ぉ、おう?」
突然の私から声を掛けられて驚いている豊臣君。
ちょっと考えるような仕草をした後に思い出した顔になった。
「昨日、吉田と一緒だった子だよね。良かった、元気になったんだね。昨日心配したんだよ」
「あり、……ありがとうございます!」
「いいよ、そんなお礼なんて」
「ありがとうございます!」
「ははっ、さっきも聞いたって」
「ですよね……」
話すネタなくてありがとうって2連続で言っちゃった。
豊臣君も会話に困っていそうである。
「何か困ったことがあったらなんでも言ってください!豊臣君が倒れそうな時私を呼んでくれたら保健室まで運びますから!」
「うん。そうならない様に俺も体調崩さないようにするよ。病は気からみたいなところあるしメンタルケアとかしておくと良いよ」
「わかりました!あと、関係ないけど急に『メンタルケア』とかいう単語が出て驚きました」
「じゃあ横文字NGだね」
横文字苦手に合わせてくれる豊臣君が素敵過ぎる。
全然私のこと知らないだろうに、優しい豊臣君好き過ぎる。
「豊臣君の教えを守ってメンタルケアしてみますね!」
「うん。頑張ってね。あと、関係ないけど急に『メンタルケア』とかいう単語が出て驚いたよ」
「じゃあ横文字NGですね」
お互いに横文字NGらしい。
もしかして私たち気が合うのかも!
こうして、お礼も言い終わりホクホク顔で教室から出た。
そこへ、私をけしかけた友達と合流する。
「どう、美奈子!?私、豊臣君と会話してきたよ!」
「一部始終全部見てたけど、豊臣君視点だと『あんた誰?』状態よ。名前すら名乗ってないし……」
「あ……、名乗ってきます」
「おせーよ」
「うわぁぁぁぁぁん!」
会話したけど名前名乗ってなかったよ……。
10歩くらい進んだ気になってたけど1歩しか進んでなかった。
「由美って、恋愛ポンコツね……。反面教師になる」
「私は、ポンコツなのぉぉぉ!あと関係ないけど急に『恋愛ポンコツ』とかいう単語が出て驚いたぁ!」
優しい豊臣君がもっと好きになったのに、言葉で伝えられない自分がもの凄く嫌だった。
「落ち着いてー、先生に聞いちゃったかー」
同じ剣道部で面識ある豊臣君が美奈子の前を通りかかり、気を失った私を運んでくれたらしい。
私、豊臣君の肌に触れちゃったの!?
「ぅぅ……、絶対重いとか思われてる……」
「人間みんな重いっての。むしろあんた痩せぎみじゃん」
「恥ずかしくて死ぬ……」
「病弱な由美が言うと説得力ヤバイんだけど」
めっちゃまっとうな指摘をされてしまう。
もう何を言われても構わない。
「こうなったらお礼よ、お礼」
「そっかお礼しに行かないと。いくらくらいかな?5万円くらいで足りる?」
「お金渡したら逆に嫌われちゃうよ。豊臣君なんかお金とか気にするわけないじゃん」
「美奈子、最近豊臣君と仲良くない?」
「毎日部活で会うからね!あんたよりは豊臣君と仲良いわよ!」
「ぅぅ……、恋のライバルがすぐ近くにいたなんて……」
「私、彼氏持ちなんですけど。相手は豊臣君じゃないよ」
今日、心の整理ができないので、明日の朝に豊臣君にお礼にしに行くことを勝手に友達に決められてしまった。
1日経ったところで先延ばしにしかならないのだけれど。
「行って来い」と豊臣君のクラスに放り投げられた私は席にいた豊臣君に声を掛けに行く。
「と……豊臣君、だよね!?」
「ぉ、おう?」
突然の私から声を掛けられて驚いている豊臣君。
ちょっと考えるような仕草をした後に思い出した顔になった。
「昨日、吉田と一緒だった子だよね。良かった、元気になったんだね。昨日心配したんだよ」
「あり、……ありがとうございます!」
「いいよ、そんなお礼なんて」
「ありがとうございます!」
「ははっ、さっきも聞いたって」
「ですよね……」
話すネタなくてありがとうって2連続で言っちゃった。
豊臣君も会話に困っていそうである。
「何か困ったことがあったらなんでも言ってください!豊臣君が倒れそうな時私を呼んでくれたら保健室まで運びますから!」
「うん。そうならない様に俺も体調崩さないようにするよ。病は気からみたいなところあるしメンタルケアとかしておくと良いよ」
「わかりました!あと、関係ないけど急に『メンタルケア』とかいう単語が出て驚きました」
「じゃあ横文字NGだね」
横文字苦手に合わせてくれる豊臣君が素敵過ぎる。
全然私のこと知らないだろうに、優しい豊臣君好き過ぎる。
「豊臣君の教えを守ってメンタルケアしてみますね!」
「うん。頑張ってね。あと、関係ないけど急に『メンタルケア』とかいう単語が出て驚いたよ」
「じゃあ横文字NGですね」
お互いに横文字NGらしい。
もしかして私たち気が合うのかも!
こうして、お礼も言い終わりホクホク顔で教室から出た。
そこへ、私をけしかけた友達と合流する。
「どう、美奈子!?私、豊臣君と会話してきたよ!」
「一部始終全部見てたけど、豊臣君視点だと『あんた誰?』状態よ。名前すら名乗ってないし……」
「あ……、名乗ってきます」
「おせーよ」
「うわぁぁぁぁぁん!」
会話したけど名前名乗ってなかったよ……。
10歩くらい進んだ気になってたけど1歩しか進んでなかった。
「由美って、恋愛ポンコツね……。反面教師になる」
「私は、ポンコツなのぉぉぉ!あと関係ないけど急に『恋愛ポンコツ』とかいう単語が出て驚いたぁ!」
優しい豊臣君がもっと好きになったのに、言葉で伝えられない自分がもの凄く嫌だった。
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