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第2章 禁断の恋愛

9、はじめてのコイバナ

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一旦家に帰り、絵美と合流して公園へ一緒に歩いていく。
なんか最近ずっと絵美と一緒に話したり、遊んだりする機会が多くて、実は周りから付き合っているとか思われたりしないだろうか?

……ないか、まだ小学生だし。
絵美はタケル狙いっぽいのも察している。

「それで、公園来たけど何する?滑り台?」
「そういえば!秀頼君!」
「え?」
「滑り台だよ!滑り台!」
「え?」

滑り台に何かあるのか?

「はっ……!?」

まさかあの日、絵美のスカートを見てしまったことを攻められるとか!?
実はそれに気付いていたけど、咎めるのを忘れていたみたいに怒られるかもしれない。
男らしく認めよう。

「不可抗力だったんだ……。本当に偶然の出来事でさ……、そんなに怒るなって」
「酷いよ!もう!滑り台って座って滑っていく遊具みたいじゃん!わたしあの時走っちゃったじゃん!」
「あ、あぁ……」

絵美が出会いの日、滑り台の坂道を走って下に行った間違った遊びしていたのを思い出す。
そっちか、スカートの中身見ちゃったのを知っていたよりは100倍マシである。

「あの時、秀頼君も走ったよね?実は滑り台の遊び方知ってたんでしょ!?」
「し、知ってたよ……、ただ自信満々に走っていったから絵美のプライドを守ってやろうとしただけで……」
「余計なお世話過ぎるって!」

最近の絵美はズバズバと言うように成長してきた。
出会った頃のように、『たのしー』と騒いでいた無邪気さは消えた気がする。
誰の影響だろうか……?

「はいはい、イチャイチャ喧嘩しないの」
「あ?」

絵美に叱られていると、予想のしていなかった人物が近くに出現していた。

「タケルの妹……?」

理沙が俺と絵美に用事がある感じに見えた。

「うん!十文字さんから呼ばれて来たんだよ」
「十文字さんだと兄さんと紛らわしいから理沙で良いわよ。タケルの妹もやめてください」

絵美と理沙の接点がわからな過ぎる。
いつプライベートで会うようになったのか、などわからないことばかりである。
そのことに気付いたのか慌てて彼女が説明をする。

「今日、佐々木さんとお話をしまして」
「わたしも名前で呼んでよ!」
「じゃあ絵美さんとお話をした内容というのが、兄さんのことで」

理沙から兄のタケルについての相談を受ける。
『自分は実の兄であるタケルが大好き過ぎて仕方ない。実の兄妹でこんなのおかしいのでは?普通の人を好きになった方が良いのか?なれるなら、違う人を好きになれる方法を教えて欲しい』。
要約するならそんな内容である。

「なるほどねー……」

タケルが理沙ルートに辿り着くと、破滅するこの場の2人。
未来の俺が『命令支配』を使う保証なんかないわけで……。

「わたしより十文字君に詳しい秀頼君にアドバイスをと」
「単に巻き込んだだけでは?」

絵美が目を反らす。
図星みたいだな……。
「んー……」と考えながら、転生してはじめてのコイバナの相談のアドバイスを考える。

「好きな気持ちに蓋をする方がよっぽど辛いよ」

正直まだ小学生なんだし、難しく考える必要もないんじゃないかって思ってる。
だから、俺の経験談を交えた話になっていく。

「嫌われたらどうしようとか、嫌われてんじゃねーかとか、今の関係が無くなるんじゃねーかとか正直誰でも思うよ。でも、やらないと後悔しか残らない」

後悔だけ残して、俺は死んでしまったから……。

「だから無理にタケルへの気持ちを抑える必要もないんじゃねーか?もしかしたら、いつか好きな子とかできるかもしれんし?」

理沙の原作の扱いでは初代ではブラコンって感じだったけど、セカンド以降落ち着いてたし彼女にも変化があったんだと思う(単にセカンド以降ヒロイン降格して製作陣から出番を減らされただけな気もするが……)

「ただ、やり残しだけはやめておけよ……。好きだって気持ちを俺は伝えられなかった……。やってらんねーよな、人生なんて」

こんなクズゲス悪役親友役になってしまうなんて考えられないよな……。

「え?……ひ、秀頼君、好きな人いるの……?」
「……」

ちょっと前世を語り過ぎた……。
絵美なんかちょっと悲しい顔してるよ。

「別に好きな人がいるわけじゃない。……なんか、そんな感じのをゲームで見た」
「ゲームかい!」

年齢が10いかない奴がそんな体験してる方がおかしい。
理沙からの激しい突っ込みをもらった。

「好きな気持ちを抑える必要もないか。それ、良いな。サンキュ」
「おう」
「私、あんたのことそこそこ好きになったよ」
「え?脈ありっすか?」

マジか!?
そこそことはいえ、ヒロインに好きとか言われた!
なんか嬉しい!

「り、理沙ちゃん!?」
「ははは、絵美さん反応可愛い。まぁ兄さんの次くらいの順位だよ」

やっぱりギャルゲー主人公には敵わないらしい。

「好きな気持ちを抑えるな、だって絵美さん」
「むぅ……」

からかう理沙と膨れる絵美。
やっぱ女の子同士は打ち解けるの早いわ。

「ぎゅっ!」

そう言いながら絵美が俺に抱き付いてきた。

「はは、はははっ!」

理沙はその姿を見てゲラゲラ笑っていた。

「絵美、なんなんこれ……?」
「気持ちを抑えてないよって意味です!」
「はぁ……?」

意味がわからなかったが、絵美の好きにさせておいた。
ちょっと昔を思い出した恋の悩み相談であった。
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