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第2章 禁断の恋愛
8、小学生のグラビアの読み方
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「ねえ、十文字さん」
「えっと……、明智さんの友達の佐々木さんよね」
「よろしくね」
秀頼君が十文字君とコソコソしてどこかに消えていたので、接点を持ってみたかった十文字さんに勇気を持って話しかけた。
「十文字さん、……お兄さんの十文字君のこと大好きでしょ?」
「は?はあ!?そそそ、そんなわけないでしょ」
「バレバレです」
わたしが秀頼君を見る目と同じ目をしているもん。
それくらいわかるよ。
「……兄さんをそんな目で見てるって駄目なのはわかっちゃいるんだけどさ……。どうしたらいいのかな……?」
「実の兄妹はダメとは言われていますけどね。でも、その人の気持ち次第です」
「そう……だよね……。佐々木さん!」
「は、はい?」
「私が兄さん以外の好きな人を見付けられる協力をしてください!」
「……え?わたしが?」
わたしはむしろ十文字兄妹の恋愛を応援するポジションでいようとしていたのに、どうしてこうなったんだろう……?
―――――
「秀頼……」
「タケル……」
俺は現在、タケルと向き合っていた。
すっと俺が1冊の本をタケルの目の前に広げた。
「このグラビアの子可愛いよな」
「すげえな、オイ」
俺達、小学生でませているコンビを結成していた。
無能とクズゲス。
クラスでグラビアアイドルについて語れるのはこの2人だけなのであった。
「おい、秀頼!胸が!胸が!?」
「お前は子供か……。このポージングをよく見ろ、胸じゃなくて通は腋に目が行くんだよ」
「おお!?秀頼師匠!じゃあこっちのページの子のポージングはお尻に目が行く感じですかね?」
「バカかお前は!何も学んじゃいない!腋に目が行くだろ!」
「じゃ、じゃあこっちのページは!?俺はヘソに目が行きます!」
「バカ野郎!このページの注目箇所は腋だ」
「師匠、腋にしか目が行ってないじゃないですか!」
水着のグラビア写真集の読み方をタケルに叩き込んでいるところであった。
だが見込みがある。
ウチのクラスの男子は恥ずかしいからとみんな断る中、やる気満々だったのはタケル1人のみであった。
やはりこの世界の主人公。
彼はまだまだ伸びる子である。
「次のページはちょっと難しいぞ。彼女はどこに目が行く?」
「膝ですか?」
「惜しい、膝は2番目だ。1番はここ、腋だ」
「師匠……、あなたという人は!?」
叔父とこんな会話ができるはずもなく男子トークというのはいつの時代においても良いものだ。
転生前も、転生後も男の友情を深める手段はゲームかコイバナかグラビアと相場が決まっている。
「……秀頼君」
「師匠、目の前に居る佐々木は?」
「当然、腋だな」
「秀頼君!!」
「うわぁ!?」
慌ててグラビア雑誌をタケルに押し付けた。
絵美にこういう雑誌を読まれているとか思われることが恥ずかしい。
「ど、どうしたんだよ?」
「うん。ちょっと真面目な相談があって……。今日家に帰ったら一緒に来て欲しいところがあるの」
「あ、ああ。わかったよ」
そんなの後からでも良いのに律儀なやつである。
そのままタケルの位置に戻ろうとすると、絵美も一緒にタケルのところにやってきた。
「十文字君、それはなに?」
「あ、ああ。これは、秀頼の……」
「その本、わたしにちょうだい」
「あ、ああ……」
絵美に本を渡すとパラパラと読み始めてすぐに本を閉じた。
「捨ててきます」
「ちょおおおおおおおおおお!!!!」
絵美が本をゴミ箱に持っていこうとするので慌てて引き留める。
「あ、秀頼君?どうしたの?」
「そ、その本……、捨てることはないんじゃないかなーって……」
「捨ててきます」
「ちょおおおおおおおおおお!!!!!」
絵美から俺がこういったものを読む奴とは思われたくないが、だからといって捨てられることはまた違うと思うのだ。
「わたしは秀頼君にこういう本とかゲームは早いと思うの」
「そ、そうでしょうか……、何年後くらいだと良いのでしょうか……?」
「50年後くらい」
「干からびてますよ!?」
この娘は突然なにを恐ろしいことを言っているのか。
無知って怖い……。
「そ、そんなに水着が見たいならわたしが着ますよ」
「それは需要ないんでいらないっす」
「じゅよう?って意味がよくわからないけどなんとなくバカにされたのだけはわかります」
「まだ早いってことだよ。絵美ちゃんはね、もっと成長してからが可愛いのよ」
「むう。もっと早く成長したいよおおおおおおおおお!!!」
でも絵美の奴、ゲーム本編始まっても小学生みたいな見た目してるしな……。
結構長いスパンで見る必要がありそうだ。
さりげなく雑誌だけは回収し、タケルに渡しておいた。
あとはうやむやにして、ゴタゴタしている内に雑誌無くなっちゃたねで済ませたのであった。
―――――
「それで俺は学校帰りにどこ行けばいいんだ?」
「公園!」
「公園って……、絵美がブランコ乗っただけで『たのしー』ってはしゃいでいたあの?」
「その説明いる?忘れて欲しいんですけど」
どうやら本気のお願いのようであった。
まあ、俺もなるべくは絵美の頼みは聞いておきたいので了承だけしておいたが、その要件というのはまだ教えてくれないのであった。
「えっと……、明智さんの友達の佐々木さんよね」
「よろしくね」
秀頼君が十文字君とコソコソしてどこかに消えていたので、接点を持ってみたかった十文字さんに勇気を持って話しかけた。
「十文字さん、……お兄さんの十文字君のこと大好きでしょ?」
「は?はあ!?そそそ、そんなわけないでしょ」
「バレバレです」
わたしが秀頼君を見る目と同じ目をしているもん。
それくらいわかるよ。
「……兄さんをそんな目で見てるって駄目なのはわかっちゃいるんだけどさ……。どうしたらいいのかな……?」
「実の兄妹はダメとは言われていますけどね。でも、その人の気持ち次第です」
「そう……だよね……。佐々木さん!」
「は、はい?」
「私が兄さん以外の好きな人を見付けられる協力をしてください!」
「……え?わたしが?」
わたしはむしろ十文字兄妹の恋愛を応援するポジションでいようとしていたのに、どうしてこうなったんだろう……?
―――――
「秀頼……」
「タケル……」
俺は現在、タケルと向き合っていた。
すっと俺が1冊の本をタケルの目の前に広げた。
「このグラビアの子可愛いよな」
「すげえな、オイ」
俺達、小学生でませているコンビを結成していた。
無能とクズゲス。
クラスでグラビアアイドルについて語れるのはこの2人だけなのであった。
「おい、秀頼!胸が!胸が!?」
「お前は子供か……。このポージングをよく見ろ、胸じゃなくて通は腋に目が行くんだよ」
「おお!?秀頼師匠!じゃあこっちのページの子のポージングはお尻に目が行く感じですかね?」
「バカかお前は!何も学んじゃいない!腋に目が行くだろ!」
「じゃ、じゃあこっちのページは!?俺はヘソに目が行きます!」
「バカ野郎!このページの注目箇所は腋だ」
「師匠、腋にしか目が行ってないじゃないですか!」
水着のグラビア写真集の読み方をタケルに叩き込んでいるところであった。
だが見込みがある。
ウチのクラスの男子は恥ずかしいからとみんな断る中、やる気満々だったのはタケル1人のみであった。
やはりこの世界の主人公。
彼はまだまだ伸びる子である。
「次のページはちょっと難しいぞ。彼女はどこに目が行く?」
「膝ですか?」
「惜しい、膝は2番目だ。1番はここ、腋だ」
「師匠……、あなたという人は!?」
叔父とこんな会話ができるはずもなく男子トークというのはいつの時代においても良いものだ。
転生前も、転生後も男の友情を深める手段はゲームかコイバナかグラビアと相場が決まっている。
「……秀頼君」
「師匠、目の前に居る佐々木は?」
「当然、腋だな」
「秀頼君!!」
「うわぁ!?」
慌ててグラビア雑誌をタケルに押し付けた。
絵美にこういう雑誌を読まれているとか思われることが恥ずかしい。
「ど、どうしたんだよ?」
「うん。ちょっと真面目な相談があって……。今日家に帰ったら一緒に来て欲しいところがあるの」
「あ、ああ。わかったよ」
そんなの後からでも良いのに律儀なやつである。
そのままタケルの位置に戻ろうとすると、絵美も一緒にタケルのところにやってきた。
「十文字君、それはなに?」
「あ、ああ。これは、秀頼の……」
「その本、わたしにちょうだい」
「あ、ああ……」
絵美に本を渡すとパラパラと読み始めてすぐに本を閉じた。
「捨ててきます」
「ちょおおおおおおおおおお!!!!」
絵美が本をゴミ箱に持っていこうとするので慌てて引き留める。
「あ、秀頼君?どうしたの?」
「そ、その本……、捨てることはないんじゃないかなーって……」
「捨ててきます」
「ちょおおおおおおおおおお!!!!!」
絵美から俺がこういったものを読む奴とは思われたくないが、だからといって捨てられることはまた違うと思うのだ。
「わたしは秀頼君にこういう本とかゲームは早いと思うの」
「そ、そうでしょうか……、何年後くらいだと良いのでしょうか……?」
「50年後くらい」
「干からびてますよ!?」
この娘は突然なにを恐ろしいことを言っているのか。
無知って怖い……。
「そ、そんなに水着が見たいならわたしが着ますよ」
「それは需要ないんでいらないっす」
「じゅよう?って意味がよくわからないけどなんとなくバカにされたのだけはわかります」
「まだ早いってことだよ。絵美ちゃんはね、もっと成長してからが可愛いのよ」
「むう。もっと早く成長したいよおおおおおおおおお!!!」
でも絵美の奴、ゲーム本編始まっても小学生みたいな見た目してるしな……。
結構長いスパンで見る必要がありそうだ。
さりげなく雑誌だけは回収し、タケルに渡しておいた。
あとはうやむやにして、ゴタゴタしている内に雑誌無くなっちゃたねで済ませたのであった。
―――――
「それで俺は学校帰りにどこ行けばいいんだ?」
「公園!」
「公園って……、絵美がブランコ乗っただけで『たのしー』ってはしゃいでいたあの?」
「その説明いる?忘れて欲しいんですけど」
どうやら本気のお願いのようであった。
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