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第1章 覚醒
6、叔父とおばさんの末路
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「やっぱてめえを見てるとこっちの苛付きが収まんないんだわ」
抵抗できない叔父に蹴る、蹴る、蹴る。
俺の毎日の日課になっていた。
突然の立場の逆転に、おばさんは俺に恐怖の念を持ったのだ。
「ひ、秀頼……、お父さんが死んでしまうよ」
「うるせーぞ、ババア!俺が殴られた時はこいつを止めることすらしなかったじゃねーかよ!」
「ひっ!」
ギフトが覚醒したその日。
俺と叔父の立場が逆転した。
小学6年生になる頃には身体も大きくなり、おばさんの身長も抜かしこの家族では俺が1番強い存在になった。
「す、すまん秀頼」
「てめえはすっこんでろ!」
「ゲホッ……」
叔父の鳩尾に狙いを定めて蹴り上げる。
俺に全く抵抗しない叔父を蹴って、殴って、叩くのが俺の毎日の日課になっていた。
「【絵美、バケツ一杯の水を用意しろ】」
「わかった」
逆らわない彼女はそのまま台所へと向かっていく。
「おばさん、あんたもさこいつみたいに殴られたくなければ黙っててくれねえ?」
「で、でも……。流石に秀頼も大きくなったしシャレにならないっていうか……」
「うっせえな……」
そこへ、命令を遂行した絵美がバケツに一杯積まれた水を持ってきた。
「あんたには俺も世話になってきたけどさ、最近ちょっとうざいんだわ。【絵美、やれ】」
「うん!」
絵美はバケツの中身をおばさんにぶっかけた。
ずぶ濡れになったおばさんが信じられないという目で俺を見る。
「どう?絵美ちゃん、どんな気分?」
「たのしー!」
「楽しいよなぁ!これ、見せしめってやつね。金輪際、俺の邪魔をしないならこれで許してやるからさ。干渉すんなよ」
ニヤニヤと笑いながら、俺はおばさんを見下した。
これが初めておばさんに直接危害を加えた瞬間だった。
「いやー、良いねぇ。絵美も可愛い顔してやるじゃん」
「秀頼君のためならなんでもするよ」
絵美に抱き着かれる。
こいつがもっと美人だったらなー……と、俺の好みでない顔を見ながらつくづく思う。
その点タケルの妹は最高に良い女だよなぁ。
どうやってモノにしてやろうか。
「秀頼!あんたっ!」
「あーあ……、干渉すんなって言ったのに……」
おばさんが反抗的な目を向ける。
その態度に俺も堪忍袋の緒が切れた。
「おばさんには今まで黙ってたけどさ、俺ギフト持ちなんだよねぇ」
「は?……秀頼がギフト……?本当に……?」
「そうそう、あんたも本当は気付いていたんだろ?【おばさん、こいつを1発蹴れ】」
「ッ……!?」
叔父の足を目掛けておばさんは蹴り始めた。
信じられない、そんな目で自分の行動に恐怖していた。
「俺のギフトは『命令支配』。人に対して強制的に命令を下せるんだ。絵美だって俺の彼女の振りをしているだけ。初対面の時からこの女の意思を捻じ曲げているんだ。俺のギフトを解いた途端、俺のことを赤の他人と認識する筈だぜ」
小学校に上がる前、ちょうどギフトが発動した日。
俺は公園にやって来たこの女に【奴隷になる】様に命令を下した。
『命令支配』という名前は勝手に俺が名付けた名前だ。
「【絵美、スカートを脱げ】」
無言で絵美はスカートを脱ぎ始める。
おばさんは、俺がギフト持ちということを本格的に理解した表情になる。
「んでさ、あんた俺に干渉したよね?ルールを破ったよね。【叔父、外に出て歩道橋から落ちて死んで来いよ】」
「……」
無言で叔父が立ち上がる。
その危険性を察知したおばさんが引き留めようとするが、叔父の移動速度の方が早く引き留め損ねた。
「あ、あんた……、やめとくれよ」
俺の意思がないと止まらない。
叔父の足は脳みそをぶちまけるまで足を止めないだろう。
「あ、悪魔……。あんたなんか、引き取らなきゃ良かったよ!」
「俺だっててめーらみてーなカス夫婦に引き取られたくなかったよ。あ、でもあんたらに引き取られてギフトに覚醒したんだった。感謝するべきだったなー」
おばさんは俺を怯えた目で見ている。
その光景が面白くて笑いが止まらない。
「ハハハッ!ねえ?絵美?おばさんはどうしよっか?」
「えー?秀頼君の好きにしたら良いよ。でも、おばさんだけ生き残るのはかわいそうかなー」
「だよねー。俺と同意見だね絵美ちゃん。【じゃあ叔父と一緒に死んで来いよ】」
「あ、あんた……!」
おばさんの怒りの抵抗も虚しく足は外へと向かっていく。
「いやだ、死にたくない……、秀頼やめてよ……」
「【じゃあ絵美ちゃん、夕飯作ってよ】」
「うん、わかった」
おばさんが視界から消える。
普段は狭く感じた家だったけど、バカ夫婦が消えてから広く感じちゃうな。
――その後、俺を引き取った叔父とおばさんの死体が発見される。
警察の調べにより自殺と断定。
明智家は家主を失い、叔父の親戚が子供を引き取ることになる。
しかし、何故か叔父の親戚は、幼い子供とは一緒に暮らさず元の家に一人暮らしをさせているらしい。
この出来事がまた、新しい悲劇の始まりなのであった……。
―――――
「ッ……!?」
嫌な夢を見た。
ゲームでは詳しく描写されなかったけど、もしかしてこれゲーム内に起きた秀頼の過去か?
絵美まで巻き込んで叔父とおばさんを殺害する映像が俺の脳内に焼き付いている。
「違う、俺はそんなことしない……!しないっ……」
とても生々しい夢に、本気で起こりえる未来として恐怖する。
―――――
「おう、ただいま!もしかしたら近いうちに良い職見付けられるかもしれんね」
今日の叔父はそう言って帰ってきた。
もう一生俺に暴力は振るわないとわかってはいるものの、この叔父に対してムカつくこと、殺意などは未だに残ってはいる。
ただ、それを実行してしまうには、原作のゲスでクズの秀頼と同じだ。
夢の出来事がリフレインされる。
「あらあら、それは良かったわ」
「……」
俺が叔父の意思を曲げている。
しかし、明智家の日常には平和が訪れていた。
歪な形をした家族と思われるかもしれない。
それでも俺には、こうする方法しか見付からなかった。
絵美と初めて会った際に既にギフトで奴隷にしていたという本来の秀頼。
本来の未来とはまたズレたことで、『悲しみの連鎖を断ち切り』のゲームのシナリオも変われば良いのであるが……。
ギフトの覚醒。
『命令支配』の人間を意思を捻じ曲げる最低の能力。
不穏な空気自体は残っているものの、結果オーライではないだろうか……。
抵抗できない叔父に蹴る、蹴る、蹴る。
俺の毎日の日課になっていた。
突然の立場の逆転に、おばさんは俺に恐怖の念を持ったのだ。
「ひ、秀頼……、お父さんが死んでしまうよ」
「うるせーぞ、ババア!俺が殴られた時はこいつを止めることすらしなかったじゃねーかよ!」
「ひっ!」
ギフトが覚醒したその日。
俺と叔父の立場が逆転した。
小学6年生になる頃には身体も大きくなり、おばさんの身長も抜かしこの家族では俺が1番強い存在になった。
「す、すまん秀頼」
「てめえはすっこんでろ!」
「ゲホッ……」
叔父の鳩尾に狙いを定めて蹴り上げる。
俺に全く抵抗しない叔父を蹴って、殴って、叩くのが俺の毎日の日課になっていた。
「【絵美、バケツ一杯の水を用意しろ】」
「わかった」
逆らわない彼女はそのまま台所へと向かっていく。
「おばさん、あんたもさこいつみたいに殴られたくなければ黙っててくれねえ?」
「で、でも……。流石に秀頼も大きくなったしシャレにならないっていうか……」
「うっせえな……」
そこへ、命令を遂行した絵美がバケツに一杯積まれた水を持ってきた。
「あんたには俺も世話になってきたけどさ、最近ちょっとうざいんだわ。【絵美、やれ】」
「うん!」
絵美はバケツの中身をおばさんにぶっかけた。
ずぶ濡れになったおばさんが信じられないという目で俺を見る。
「どう?絵美ちゃん、どんな気分?」
「たのしー!」
「楽しいよなぁ!これ、見せしめってやつね。金輪際、俺の邪魔をしないならこれで許してやるからさ。干渉すんなよ」
ニヤニヤと笑いながら、俺はおばさんを見下した。
これが初めておばさんに直接危害を加えた瞬間だった。
「いやー、良いねぇ。絵美も可愛い顔してやるじゃん」
「秀頼君のためならなんでもするよ」
絵美に抱き着かれる。
こいつがもっと美人だったらなー……と、俺の好みでない顔を見ながらつくづく思う。
その点タケルの妹は最高に良い女だよなぁ。
どうやってモノにしてやろうか。
「秀頼!あんたっ!」
「あーあ……、干渉すんなって言ったのに……」
おばさんが反抗的な目を向ける。
その態度に俺も堪忍袋の緒が切れた。
「おばさんには今まで黙ってたけどさ、俺ギフト持ちなんだよねぇ」
「は?……秀頼がギフト……?本当に……?」
「そうそう、あんたも本当は気付いていたんだろ?【おばさん、こいつを1発蹴れ】」
「ッ……!?」
叔父の足を目掛けておばさんは蹴り始めた。
信じられない、そんな目で自分の行動に恐怖していた。
「俺のギフトは『命令支配』。人に対して強制的に命令を下せるんだ。絵美だって俺の彼女の振りをしているだけ。初対面の時からこの女の意思を捻じ曲げているんだ。俺のギフトを解いた途端、俺のことを赤の他人と認識する筈だぜ」
小学校に上がる前、ちょうどギフトが発動した日。
俺は公園にやって来たこの女に【奴隷になる】様に命令を下した。
『命令支配』という名前は勝手に俺が名付けた名前だ。
「【絵美、スカートを脱げ】」
無言で絵美はスカートを脱ぎ始める。
おばさんは、俺がギフト持ちということを本格的に理解した表情になる。
「んでさ、あんた俺に干渉したよね?ルールを破ったよね。【叔父、外に出て歩道橋から落ちて死んで来いよ】」
「……」
無言で叔父が立ち上がる。
その危険性を察知したおばさんが引き留めようとするが、叔父の移動速度の方が早く引き留め損ねた。
「あ、あんた……、やめとくれよ」
俺の意思がないと止まらない。
叔父の足は脳みそをぶちまけるまで足を止めないだろう。
「あ、悪魔……。あんたなんか、引き取らなきゃ良かったよ!」
「俺だっててめーらみてーなカス夫婦に引き取られたくなかったよ。あ、でもあんたらに引き取られてギフトに覚醒したんだった。感謝するべきだったなー」
おばさんは俺を怯えた目で見ている。
その光景が面白くて笑いが止まらない。
「ハハハッ!ねえ?絵美?おばさんはどうしよっか?」
「えー?秀頼君の好きにしたら良いよ。でも、おばさんだけ生き残るのはかわいそうかなー」
「だよねー。俺と同意見だね絵美ちゃん。【じゃあ叔父と一緒に死んで来いよ】」
「あ、あんた……!」
おばさんの怒りの抵抗も虚しく足は外へと向かっていく。
「いやだ、死にたくない……、秀頼やめてよ……」
「【じゃあ絵美ちゃん、夕飯作ってよ】」
「うん、わかった」
おばさんが視界から消える。
普段は狭く感じた家だったけど、バカ夫婦が消えてから広く感じちゃうな。
――その後、俺を引き取った叔父とおばさんの死体が発見される。
警察の調べにより自殺と断定。
明智家は家主を失い、叔父の親戚が子供を引き取ることになる。
しかし、何故か叔父の親戚は、幼い子供とは一緒に暮らさず元の家に一人暮らしをさせているらしい。
この出来事がまた、新しい悲劇の始まりなのであった……。
―――――
「ッ……!?」
嫌な夢を見た。
ゲームでは詳しく描写されなかったけど、もしかしてこれゲーム内に起きた秀頼の過去か?
絵美まで巻き込んで叔父とおばさんを殺害する映像が俺の脳内に焼き付いている。
「違う、俺はそんなことしない……!しないっ……」
とても生々しい夢に、本気で起こりえる未来として恐怖する。
―――――
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今日の叔父はそう言って帰ってきた。
もう一生俺に暴力は振るわないとわかってはいるものの、この叔父に対してムカつくこと、殺意などは未だに残ってはいる。
ただ、それを実行してしまうには、原作のゲスでクズの秀頼と同じだ。
夢の出来事がリフレインされる。
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「……」
俺が叔父の意思を曲げている。
しかし、明智家の日常には平和が訪れていた。
歪な形をした家族と思われるかもしれない。
それでも俺には、こうする方法しか見付からなかった。
絵美と初めて会った際に既にギフトで奴隷にしていたという本来の秀頼。
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