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朝のミーティング
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北都先生side
午前8時。
フロアに朝食の匂いが漂いお腹を空かせた子たちが、食堂に朝食を食べに集まる。
その間医療スタッフは、担当グループに分かれミーティングをする。
「おはようございます。柊はようやく来ましたか…。」
相変わらず不機嫌そうな顔で、スタッフルームに入って来た香西先生。
「おはようございます。昨日見つかったようですよ。」
香西先生は、鋭い目を更に細め深いため息をひとつ零し、電子カルテに目を通す。
このインテリっぽい風貌の香西先生は、柊がもっとも苦手とする医者の1人だ。
子ども達にとって香西先生の治療はかなり辛い。
泣こうが暴れようが、心を鬼にして…否、鬼そのもの…拘束してでもその日の目標をきっちりこなさせる。
もちろん一人ひとりの限界はきちんと見極めているが、弱音は許さないタイプだ。
自分に厳しく人にも厳しい。
一見取っ付きにくそうだが、治療以外では、子ども達の勉強を見てあげたりと、ちゃとん慕われている。
「香西先生、おはようございます。」
「おはようございます。」
昨晩は2時頃まで、資料を読み漁っていた南先生は、寝不足を感じさせない爽やかな笑で、スタッフルームに入って来た。
「どうにか柊の尿採取できました。今検査に回してます。」
「ぉお!さすが。ホント柊は、世話が焼けるねぇ。」
「そうですよ。なんとか間一髪の所で尿採取できました!」
「助かったよ。南先生。」
「ぁ、東郷先生おはようございます。」
スモーキーグレーの髪をビシッと整えた東郷先生が、スタッフルームに揃いミーティングを開始した。
「まず…斗真なんだが、内服薬をこの液状タイプに変えようと思う。それと治療時の前立腺への刺激を弱くして、膣がどのくらい反応するか経過を見ながら進めて欲しい。」
「分かりました。」
斗真は、元々身体の成熟が早いタイプだから、最速次のステージに治療をシフトチェンジしていくらしい。
「照なんですが、今朝から発熱しています。陰茎がジクジクすると訴えているので、定期的に触って落ち着かないようだったら冷却するよう指示を出しました。」
「…ん~。副作用の可能性が高いな。あの子は、薬への耐性が低いから副作用が出やすい。頻繁に様子を見に行ってやろう。」
朝診察の時に陰茎を摩って刺激していたらしい。
しばらく摩っていると前立腺液が、排出されて楽になるらしい。
ふたなりの子には、精巣が無いため射精は起こらない。
その代わりに前立腺から分泌される液が、絶頂に達するとまるで射精のようにトプトプと鈴口から漏れ出る。
「1ついいですか?…副作用で、前立腺が肥大しているという可能性もあるかと思います。前立腺液を排出して楽になると言っていたのなら、検査した方が宜しいかと…。」
「香西先生の見解も一理あるな。すぐに検査のオーダーを入れよう。最後に柊だな。
尿検査の結果が上がり次第になるが、腟内座薬と点滴は続けて、女性ホルモンの数値を上げていこう。それと…そろそろ柊のオーガズム時の膣内圧を測定しときたいな。」
「そうですね。記録を録っておいた方がいいですね。」
「話を割るようで、すみません…。朝診察の時に柊の内診ができてないです。」
「南先生、大丈夫ですよ。座薬を入れる時にきっちり診ますんで。」
「他に確認事項はないか?…では、会議を終わる。」
解散を宣言され、詳しく電子カルテに目を通し、治療の方針を再度組み立てる。
ーーーーー
柊も心配だが、一先ず斗真の治療だな。
とりあえず今日の昼過ぎに治療の予定が入っているな。
斗真が朝食を終わってたら、内服薬を飲ませて、たつきの治療をして、りょうの子宮口をチェックだな。
ぁ、昼前に柊の腟内座薬も入れないとだな。
ひと通り計画が立った所で、斗真の薬を持ち朝食を食べに食堂へ向かう事にした。
一緒に食べていた子と仲良く食堂を出て来た斗真にグッドタイミングで会い再び食堂へ連れ込んだ。
「斗真~、薬飲んで。」
「今?…なんか先生疲れてんね?」
「分かる?それなら協力して、早く飲んで。」
「液状タイプは、楽勝~。もうあの錠剤は飲まなくていいの?」
「そう。今朝からこの薬に変わったからね。体調がおかしいと思ったらすぐに教えてな。初めて飲む薬だから、副作用が強く出る可能性もあるから。」
「…こえぇ。普通飲んでからそれ言う?」
「ごめん。後出しじゃんけんみたいになったな。でもスタッフルームに今日は東郷先生が待機してるから、なんかあったらすぐに行って。」
「わかった。…話変わるけどさ。照、大丈夫なの?今朝熱出てたらしいじゃん。」
「どうなんだろうね?俺も朝食終わったら顔出すけど、とりあえず香西先生が検査する予定だからなぁ。」
「…ふぅ~ん。先生、じゃあね。」
「ぁ…うん。」
斗真は不意に興味が薄れたのか、手を振り食堂を出て行った。
俺も朝食食べて治療の準備をしますかね。
午前8時。
フロアに朝食の匂いが漂いお腹を空かせた子たちが、食堂に朝食を食べに集まる。
その間医療スタッフは、担当グループに分かれミーティングをする。
「おはようございます。柊はようやく来ましたか…。」
相変わらず不機嫌そうな顔で、スタッフルームに入って来た香西先生。
「おはようございます。昨日見つかったようですよ。」
香西先生は、鋭い目を更に細め深いため息をひとつ零し、電子カルテに目を通す。
このインテリっぽい風貌の香西先生は、柊がもっとも苦手とする医者の1人だ。
子ども達にとって香西先生の治療はかなり辛い。
泣こうが暴れようが、心を鬼にして…否、鬼そのもの…拘束してでもその日の目標をきっちりこなさせる。
もちろん一人ひとりの限界はきちんと見極めているが、弱音は許さないタイプだ。
自分に厳しく人にも厳しい。
一見取っ付きにくそうだが、治療以外では、子ども達の勉強を見てあげたりと、ちゃとん慕われている。
「香西先生、おはようございます。」
「おはようございます。」
昨晩は2時頃まで、資料を読み漁っていた南先生は、寝不足を感じさせない爽やかな笑で、スタッフルームに入って来た。
「どうにか柊の尿採取できました。今検査に回してます。」
「ぉお!さすが。ホント柊は、世話が焼けるねぇ。」
「そうですよ。なんとか間一髪の所で尿採取できました!」
「助かったよ。南先生。」
「ぁ、東郷先生おはようございます。」
スモーキーグレーの髪をビシッと整えた東郷先生が、スタッフルームに揃いミーティングを開始した。
「まず…斗真なんだが、内服薬をこの液状タイプに変えようと思う。それと治療時の前立腺への刺激を弱くして、膣がどのくらい反応するか経過を見ながら進めて欲しい。」
「分かりました。」
斗真は、元々身体の成熟が早いタイプだから、最速次のステージに治療をシフトチェンジしていくらしい。
「照なんですが、今朝から発熱しています。陰茎がジクジクすると訴えているので、定期的に触って落ち着かないようだったら冷却するよう指示を出しました。」
「…ん~。副作用の可能性が高いな。あの子は、薬への耐性が低いから副作用が出やすい。頻繁に様子を見に行ってやろう。」
朝診察の時に陰茎を摩って刺激していたらしい。
しばらく摩っていると前立腺液が、排出されて楽になるらしい。
ふたなりの子には、精巣が無いため射精は起こらない。
その代わりに前立腺から分泌される液が、絶頂に達するとまるで射精のようにトプトプと鈴口から漏れ出る。
「1ついいですか?…副作用で、前立腺が肥大しているという可能性もあるかと思います。前立腺液を排出して楽になると言っていたのなら、検査した方が宜しいかと…。」
「香西先生の見解も一理あるな。すぐに検査のオーダーを入れよう。最後に柊だな。
尿検査の結果が上がり次第になるが、腟内座薬と点滴は続けて、女性ホルモンの数値を上げていこう。それと…そろそろ柊のオーガズム時の膣内圧を測定しときたいな。」
「そうですね。記録を録っておいた方がいいですね。」
「話を割るようで、すみません…。朝診察の時に柊の内診ができてないです。」
「南先生、大丈夫ですよ。座薬を入れる時にきっちり診ますんで。」
「他に確認事項はないか?…では、会議を終わる。」
解散を宣言され、詳しく電子カルテに目を通し、治療の方針を再度組み立てる。
ーーーーー
柊も心配だが、一先ず斗真の治療だな。
とりあえず今日の昼過ぎに治療の予定が入っているな。
斗真が朝食を終わってたら、内服薬を飲ませて、たつきの治療をして、りょうの子宮口をチェックだな。
ぁ、昼前に柊の腟内座薬も入れないとだな。
ひと通り計画が立った所で、斗真の薬を持ち朝食を食べに食堂へ向かう事にした。
一緒に食べていた子と仲良く食堂を出て来た斗真にグッドタイミングで会い再び食堂へ連れ込んだ。
「斗真~、薬飲んで。」
「今?…なんか先生疲れてんね?」
「分かる?それなら協力して、早く飲んで。」
「液状タイプは、楽勝~。もうあの錠剤は飲まなくていいの?」
「そう。今朝からこの薬に変わったからね。体調がおかしいと思ったらすぐに教えてな。初めて飲む薬だから、副作用が強く出る可能性もあるから。」
「…こえぇ。普通飲んでからそれ言う?」
「ごめん。後出しじゃんけんみたいになったな。でもスタッフルームに今日は東郷先生が待機してるから、なんかあったらすぐに行って。」
「わかった。…話変わるけどさ。照、大丈夫なの?今朝熱出てたらしいじゃん。」
「どうなんだろうね?俺も朝食終わったら顔出すけど、とりあえず香西先生が検査する予定だからなぁ。」
「…ふぅ~ん。先生、じゃあね。」
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