ふたなり治験棟

ほたる

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思惑どおり

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北都先生side

治療室から出ると食堂やロビーに集まっている子がちらほら。
育ち盛りの子達ばかりだから、みんなよく食べる。
部屋に持ち帰って食べる子も居るけど、各自仲の良い子と集まって食事をしている。
たまにお喋りに夢中になってる子もいたりするけど、治療や検査で精神的な苦痛も感じている事だろうし、大きなトラブルがない限り自由に過ごさせている。

「北都先生、明日俺の治療入ってる?」

「どうだったかな…。また確認しとくね。」

「先生、一緒に食べよ!」

「ごめん。まだ仕事残ってるから、また今度一緒に食べような。」

「え~、先生しっかりしろよー。」

食堂の前を通るだけで、これだけ色んな子から声をかけられると嬉しい。
30人近い医療スタッフが常駐し、大まかな担当が割り振られている。
今日遅刻して来た柊とその部屋の子たち斗真と照は、3人とも同じ担当医が治療している。
各部屋ごとで同じ担当医なのも、治療をしていく中で信頼関係を築く事を大切にしているからだ。

柊達の部屋の担当医は、ベテランの東郷先生を筆頭に男性器をメインに治療する香西先生。
そして女性器メインの俺。
南先生は、1番若手で治療などのサポートに入る事が多い。


夕食後は就寝時間まで、お風呂に入ったり、テレビを見てみんな静かに過ごす。
基本22時が就寝時間だけど、ホールの電気は数個点けたままで、日付けが変わる頃までテレビを見ている子も居る。
起床時間の7時に起きれば問題ない為好きにさせている。

スタッフルームで、柊の治療をカルテに打ち込んでいると、検査データが付与されていた。
さすが東郷先生。
仕事が早い。

「…やっぱり男性ホルモンが多いんだな。分泌液が少ないのもココの数値が低い事が関係してそうだな。…尿検査。」

…今7時だよな。
柊、いつからトイレ行ってないんだ?
入所して既に5時間は経ってるけど。

「…ったく。なかなか仕事が捗らない。」

柊を呼びに行こうとデスクを立った時、後ろから白衣をクイッと引っ張られた。

「はい?…ぁ、良いところに…ちょうどお前を呼びに行こうと思ってたんだ。」

「だったら、どうにかしろよ!」

「はいはぃ?なに?そんなに慌てなくても。」

俺をグイグイ引っ張って何処へ行くのかと思えば、治療室…。
あんなに毛嫌いしてる治療室にわざわざ自分から来るなんてな。

「…早く開けろよ。」

「開けてあげるけど…どうした?」

鍵を開けて中に入れると、いそいそとズボンとパンツを下ろして、床にしゃがみ込んだ。

「柊、診察台に上がりな?床は不潔だから。」

診察台にタオルを敷いて準備をしている間に柊は、膣に思いっきり指を突っ込んでいてかなり驚いた。

「なにしてんの?その手洗ってないだろ。洗浄するから台に上がりなさい。」

「痒いんだって!だったら北都先生が奥掻いてよ!」

「あぁ…薬が効いてきたのね。大胆過ぎてびっくりしたよ。手を入れた膣は洗浄するから。座薬をもう一度入れたいけど、寝てる時が辛いかな…。明日にしようか。」

「もうなんでもいいから早くして!」

この慌てっぷり。
もう少し焦らしてたいけど、膣を不潔にしておく事もできないしな。

「台動くよ。膣にホース入るからね。」

結構分泌液も出てきてるな。
座薬の効果的面。
しばらくこれは続けた方がいいな。

少しだけ芯の入った陰茎を腹側に持ち上げ、ホースのノズルを膣に挿入し、生理食塩水を流し洗浄していく。

「…どうしょ。」

「今度はなに?」

「水かけられたら余計痒い…。」

「あ~、多少刺激にはなるかもね。洗浄終わったら、子宮口触らせてね。急に膣に指入れるからホントびっくりしたよ。」

「我慢の限界だったんだよ。でも痒い所に指が届かなかった。」

「それは残念だったね…。」

1回座薬を入れたくらいで、柊の子宮口が降りて来るとは思ってないけど。
まぁ…想像通り長期戦って感じだな。

「洗浄終わったよ。」

ゴム手袋を付け替え指にローションを垂らすと、柊の膣に深く挿入した。

「ん~、若干ふっくら弾力がある感じだな。」

「ッん…ふぅ……なぁ、もうちょっと強く押して。」

「もうおしまい。しばらくは座薬の作用で触りたくなるだろうけど、治療の初歩的段階だから、我慢してな。」

柊からこんなにも早く催促されるとは思わなかったけど、いい傾向かな…。
薬の作用関係なくこれに気持ちも伴ってくれればなぁ。

診察を終え着替えている柊に声を掛けた。

「柊、トイレ行った?」

「…行ったけど。」

「尿検査は?まだ提出してないようだけど?」

「……してない。そのうちやる。」

治療室を出ようとする柊の腕を掴み椅子に座らせた。

「まだ終わってない。点滴するから座ってて。」

点滴を準備しながら、柊のやる気のない態度にため息が漏れた。
マジで骨が折れる…。
東郷先生が尿カテの指示出すまでに尿検査始めてくれたらいいけど、もう1回念を押しとくか。

「柊、この点滴繋いだら、尿検査必ず提出してよ?」

「トイレに行く度にだろ?めんどくせぇよ。」

「それくらい大切な薬だからな。女性ホルモンの分泌を促す薬だから、多くなり過ぎても体の負担になるの。だからトイレに行く度に尿を採取して、ホルモン量を計測しないといけない。これができないなら、時間を決めて尿道カテーテルっていう管を入れて直接尿を採取することになるからな。」

「……そもそもふたなりから、子供なんて作らなければこんな事しなくてすむんだろ。」

「柊の言いたい事も分かるけど、世の人口がこれだけ減少してるから、ふたなりはこれからの未来で必要な人材なんだよ。」

「……分かってるけど。分かりたくないんだよ。」

俯いてしまった柊の頭を撫で、点滴の針を刺した。
ここに居ると柊にとっては、意思に背くような事ばかり行わないといけない。
だけど、逃げる事もできない苦しさに押し潰されそうなんだよな…。
俺たち担当医はみんな
その柊の気持ちを分かってるから。

だから、頼むから尿検査は提出してくれ!
毎回導尿して、これ以上柊の苦痛を増やしたくないんだよ!

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