17 / 19
中等部へ進級
、
しおりを挟む
秦先生side
こじんまりとした会議室で、パソコンを挟み朔のお母さんと向かい合い、朔を共に診てくれている脳外科医と先日行ったMRIと脳波の検査結果を話す。
脳波には、相変わらずてんかん特有の波形が刻まれていて、状態が良好とは言い難い。
それはMRIにはっきりと写っている腫瘍による影響だ。
「この小脳にある腫瘍は、絡みつくように変わらず残っています。今回のMRIで、2mmほど大きくなっている事が分かりました。それからもう1つ……大豆ほどの大きさの腫瘍が見つかりました。」
「……ぇ…。」
お母さんが驚くのも無理はない。
脳外科医から伝えられた時に僕も同じように驚いたのだから。
脳外科医が詳しく説明していく。
「後頭葉と側頭葉の間に腫瘍が確認できます。すぐに手術が必要な状態ではありませんが、視覚や聴覚を司る機能をもつ部分にできた腫瘍は、これから大きくなると目の霞や耳の聞こえにも影響してくる可能性があります。」
朔のために最善の治療法を模索して行かないといけない。
「手術となると全身麻酔など、朔の体にとって大きな負担になってきます。3ヶ月に1回と期間を縮めてMRI検査をして、状況に応じて薬物療法を行っていこうと考えています。朔にこの事を伝えますか?」
「……ぇ、あ。…ぃぇ、主人と相談して、治療が必要になった時に伝えます。今は…不安を煽るような事は言えません。」
「そうですね。僕もお母さんと同意見です。普段からとてもよく頑張ってくれているので、僕も少しでも朔の辛い顔は見たくないです。」
お母さんとの話を終えて、朔の病室に向かった。
ナースステーションで、栄養剤等の物品を貰い病室に入ると、お父さんと一緒にベッドに寝転びウトウトしている朔の姿があった。
お父さんの服の胸元を力の入りにくい手で、ぎゅっと握りしめた朔は、幼い頃となんら変わりない安心した表情をしていた。
「朔~、秦先生来てくれたぞ。」
お父さんに髪を梳いて声をかけられても嫌々と顔を擦り付け見向きもしない。
「朔、おはよう。お腹のご飯しよう。」
そっと肩に触れ背中を撫でてもお父さんにべったりくっつき甘えんぼモード。
山添くんからも「少し退行気味です。」と報告があった通りのようだ。
しばらく待ってみたが、お父さんと離れたくないようなので、お父さんに目配せしてこのまま尿カテを留置して栄養剤を繋ぐ事にした。
「朔お布団捲くるね。」
足元の布団を捲り、病衣の前を寛げて紙パンツを脱がした。
「朔、少しの間仰向けになるよ。」
「…ぃや。」
「父さん、隣に居るから。おしっこの管入れてもらおうな。」
ぎゅうぎゅうと引っ付く朔を離して、お父さんが仰向けの状態で肩を抑えて固定した。
モゾモゾと腰を動かす朔の太ももをトントンと撫で、包皮を剥いた陰茎を消毒していく。
「……やぁだ!おちんちん触んないで!」
動かしにくい足を蹴り上げて抵抗するため、山添くんが足を抑制してくれた。
尿道内に潤滑ジェルを絞り込みんだ。
足や肩を抑制しても尚、腰を捩って抵抗を続けるためガーゼでキツく尿道口を抑え、ジェルが漏れ出てくるのを防ぎつつカテーテルを構えた。
「朔、管が入ったらおちんちんから手を離すからもう少し我慢ね。管入れるよ。」
尿道口にカテーテルの先端を押し込み、とぷりとぷりと潤滑ジェルが溢れてくる尿道内に沈めていく。
「気持ち悪い!先っちょ痛い!」
陰茎を掴もうと伸びてきた手を山添くんが抑え、膀胱内に無事カテーテルが到達した。
カテーテルに繋がった尿パックに黄褐色の尿が流れ出た。
「お腹スッキリしたでしょう。」
「おしっこの抜きたいぃ!」
だいぶ尿カテの異物感には慣れてきていたはずだが、今日は退行気味だからなのか、異物感がそうとう気になるようで、ポロっと目から涙が溢れヒックヒックと嗚咽混じりに泣きはじめた。
「朔、おちんちん痛い?」
「痛い!おちんちんに管入ってるの…ッヒやだ!」
「嫌かぁ。でもこれからお腹のご飯するから抜いてあげられないなぁ。」
グズグズと泣く朔に声をかけつつ、カテーテルに蒸留水を流し込み膀胱内に留置して、太ももにテープで固定した。
「朔、おちんちんの処置終わり。お父さんにくっついてもいいよ。」
抑制から解かれると再びぴとっとお父さんの胸元にひっつきヒックヒックと背中を揺らしながらも落ち着きはじめた。
こじんまりとした会議室で、パソコンを挟み朔のお母さんと向かい合い、朔を共に診てくれている脳外科医と先日行ったMRIと脳波の検査結果を話す。
脳波には、相変わらずてんかん特有の波形が刻まれていて、状態が良好とは言い難い。
それはMRIにはっきりと写っている腫瘍による影響だ。
「この小脳にある腫瘍は、絡みつくように変わらず残っています。今回のMRIで、2mmほど大きくなっている事が分かりました。それからもう1つ……大豆ほどの大きさの腫瘍が見つかりました。」
「……ぇ…。」
お母さんが驚くのも無理はない。
脳外科医から伝えられた時に僕も同じように驚いたのだから。
脳外科医が詳しく説明していく。
「後頭葉と側頭葉の間に腫瘍が確認できます。すぐに手術が必要な状態ではありませんが、視覚や聴覚を司る機能をもつ部分にできた腫瘍は、これから大きくなると目の霞や耳の聞こえにも影響してくる可能性があります。」
朔のために最善の治療法を模索して行かないといけない。
「手術となると全身麻酔など、朔の体にとって大きな負担になってきます。3ヶ月に1回と期間を縮めてMRI検査をして、状況に応じて薬物療法を行っていこうと考えています。朔にこの事を伝えますか?」
「……ぇ、あ。…ぃぇ、主人と相談して、治療が必要になった時に伝えます。今は…不安を煽るような事は言えません。」
「そうですね。僕もお母さんと同意見です。普段からとてもよく頑張ってくれているので、僕も少しでも朔の辛い顔は見たくないです。」
お母さんとの話を終えて、朔の病室に向かった。
ナースステーションで、栄養剤等の物品を貰い病室に入ると、お父さんと一緒にベッドに寝転びウトウトしている朔の姿があった。
お父さんの服の胸元を力の入りにくい手で、ぎゅっと握りしめた朔は、幼い頃となんら変わりない安心した表情をしていた。
「朔~、秦先生来てくれたぞ。」
お父さんに髪を梳いて声をかけられても嫌々と顔を擦り付け見向きもしない。
「朔、おはよう。お腹のご飯しよう。」
そっと肩に触れ背中を撫でてもお父さんにべったりくっつき甘えんぼモード。
山添くんからも「少し退行気味です。」と報告があった通りのようだ。
しばらく待ってみたが、お父さんと離れたくないようなので、お父さんに目配せしてこのまま尿カテを留置して栄養剤を繋ぐ事にした。
「朔お布団捲くるね。」
足元の布団を捲り、病衣の前を寛げて紙パンツを脱がした。
「朔、少しの間仰向けになるよ。」
「…ぃや。」
「父さん、隣に居るから。おしっこの管入れてもらおうな。」
ぎゅうぎゅうと引っ付く朔を離して、お父さんが仰向けの状態で肩を抑えて固定した。
モゾモゾと腰を動かす朔の太ももをトントンと撫で、包皮を剥いた陰茎を消毒していく。
「……やぁだ!おちんちん触んないで!」
動かしにくい足を蹴り上げて抵抗するため、山添くんが足を抑制してくれた。
尿道内に潤滑ジェルを絞り込みんだ。
足や肩を抑制しても尚、腰を捩って抵抗を続けるためガーゼでキツく尿道口を抑え、ジェルが漏れ出てくるのを防ぎつつカテーテルを構えた。
「朔、管が入ったらおちんちんから手を離すからもう少し我慢ね。管入れるよ。」
尿道口にカテーテルの先端を押し込み、とぷりとぷりと潤滑ジェルが溢れてくる尿道内に沈めていく。
「気持ち悪い!先っちょ痛い!」
陰茎を掴もうと伸びてきた手を山添くんが抑え、膀胱内に無事カテーテルが到達した。
カテーテルに繋がった尿パックに黄褐色の尿が流れ出た。
「お腹スッキリしたでしょう。」
「おしっこの抜きたいぃ!」
だいぶ尿カテの異物感には慣れてきていたはずだが、今日は退行気味だからなのか、異物感がそうとう気になるようで、ポロっと目から涙が溢れヒックヒックと嗚咽混じりに泣きはじめた。
「朔、おちんちん痛い?」
「痛い!おちんちんに管入ってるの…ッヒやだ!」
「嫌かぁ。でもこれからお腹のご飯するから抜いてあげられないなぁ。」
グズグズと泣く朔に声をかけつつ、カテーテルに蒸留水を流し込み膀胱内に留置して、太ももにテープで固定した。
「朔、おちんちんの処置終わり。お父さんにくっついてもいいよ。」
抑制から解かれると再びぴとっとお父さんの胸元にひっつきヒックヒックと背中を揺らしながらも落ち着きはじめた。
241
お気に入りに追加
228
あなたにおすすめの小説
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
ふたなり治験棟
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
お兄ちゃんはお医者さん!?
すず。
恋愛
持病持ちの高校1年生の女の子。
如月 陽菜(きさらぎ ひな)
病院が苦手。
如月 陽菜の主治医。25歳。
高橋 翔平(たかはし しょうへい)
内科医の医師。
※このお話に出てくるものは
現実とは何の関係もございません。
※治療法、病名など
ほぼ知識なしで書かせて頂きました。
お楽しみください♪♪
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる