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中等部へ進級
脳波検査
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脳波検査室に行くと、担当の女性医師である清水先生が待っていた。
「朔くん久しぶりだね。中等部楽しい?」
「…まぁ、初等科とそんなに変わらないかな。」
「そっかそっか。…少し目元赤いけど、泣いちゃった?清水先生だけにコソッと教えて?」
「……少しだけ…。」
「分かった。ありがとう。これから頭に電極着けて行くね。多分今脳圧上がっちゃってるから、入眠時に発作起きやすくなってると思う。もし…発作が起きてもしっかり対処出来るようにしてあるから、検査頑張ろうね。」
消毒液の滲みた脱脂綿で頭皮を拭われ頭に電極を貼られていく。
「右耳の上…やっぱり髪の毛生えてこないね。」
「ぅん…でも髪の毛で隠れるからあんまり気にしてないよ。」
「結構大きな手術痕だったよね。」
電極を貼る為に髪を掻き分けた時に見えただろう。
右耳上の手術痕…。
毛根がなくなってしまったのか7cm程切開して腫瘍を摘出した場所に髪の毛が生えなくなっていた。
電極が全て貼り終わり、その上から電極がずれないように包帯をぐるりと巻かれた。
「足の装具外すね。ベッドに寝転ぼうか。部屋が薄暗くなるから、このまま寝てね。先生は別室でモニター見てるからね。」
「うん。」
清水先生が出て行ってすぐに部屋の照明が落とされた。
薄暗くはなっているけど、窓から廊下の明かりが見えるし、壁に貼ってあるポスターの文字が少し読みずらくなった程度でそれなりの明るさは保たれている。
全く眠くなる気配はなくゴソゴソと寝返りを打って、落ち着くポジションを見つける。
軽い睡眠状態の脳波を測定したいんだろうけど、てんかん起こるとしんどいしなぁ…。
そんな事を思っていたのにいつの間にかウトウトと微睡み始めていた。
だけどやっぱりてんかん発作が起こって、体が反るように強ばり、歯もギチガチと噛みしめて、脳みそが急激に膨れ上がっていくような圧迫感が辛くて涙がツーと頬を伝っていく。
意識が飛ぶ事はなかったけど、体中に力が入り上手く酸素を吸えない。
清水先生!
助けてくれるって言ったじゃん!
「ぐッ…ぅ……ぅ"…っ……」
この苦しさから逃れたいのに体が言うことを効かない。
声も発する事ができなくて、どれくらい発作が続いていたのかは分からないけど、いつの間にか部屋が明るくなっていて、清水先生が優しく蒸しタオルで顔を拭いてくれていた。
「朔くん、分かる?」
「…ぅ……ん……」
「発作しんどかったね。これから電気がピカピカするからね。」
「……ぅ…」
デスクライトのような物を仰向けで寝る俺の視界に入る場所に持って来て電源を入れた。
チカチカと白く眩しい光が点滅を繰り返し、瞼を固く閉ざした。
それでも光が点滅しているのが、鬱陶しくて顔を横に逸らしていた。
「はい。いいよ。眩しかったね。次は、ティッシュをふぅーって吹くよ。」
「……っふー…」
「もっとしっかり吹こう。風で向こう側に押すように。」
「…ふー……ふぅー!」
「いい感じだね。お疲れ様。これで検査は終わり。ゆっくり起き上がってね。」
「……ふぁ…疲れたぁ…」
「ねぇ、疲れるよね。頭クラクラしないかな?」
「少しだけ…でも大丈夫そう。」
「電極外すね。頭にクリーム着いててベタベタして気持ち悪いでしょ。後でシャンプーしようね。」
包帯と電極を外して、蒸しタオルでクリームを拭ってくれたけど、それでもベタつきはほとんど取れてなくて、脳波検査室の奥にある洗面台で頭を洗ってくれた。
いまいち落ち切ってない感じもするけど、洗わないよりはマシってとこだ。
「結果は後日、秦先生の方からお話があると思います。今日はお疲れ様でした。帰ってゆっくり休んでね。」
ニコニコと見送ってくれた清水先生に挨拶して病院を後にした。
「朔くん久しぶりだね。中等部楽しい?」
「…まぁ、初等科とそんなに変わらないかな。」
「そっかそっか。…少し目元赤いけど、泣いちゃった?清水先生だけにコソッと教えて?」
「……少しだけ…。」
「分かった。ありがとう。これから頭に電極着けて行くね。多分今脳圧上がっちゃってるから、入眠時に発作起きやすくなってると思う。もし…発作が起きてもしっかり対処出来るようにしてあるから、検査頑張ろうね。」
消毒液の滲みた脱脂綿で頭皮を拭われ頭に電極を貼られていく。
「右耳の上…やっぱり髪の毛生えてこないね。」
「ぅん…でも髪の毛で隠れるからあんまり気にしてないよ。」
「結構大きな手術痕だったよね。」
電極を貼る為に髪を掻き分けた時に見えただろう。
右耳上の手術痕…。
毛根がなくなってしまったのか7cm程切開して腫瘍を摘出した場所に髪の毛が生えなくなっていた。
電極が全て貼り終わり、その上から電極がずれないように包帯をぐるりと巻かれた。
「足の装具外すね。ベッドに寝転ぼうか。部屋が薄暗くなるから、このまま寝てね。先生は別室でモニター見てるからね。」
「うん。」
清水先生が出て行ってすぐに部屋の照明が落とされた。
薄暗くはなっているけど、窓から廊下の明かりが見えるし、壁に貼ってあるポスターの文字が少し読みずらくなった程度でそれなりの明るさは保たれている。
全く眠くなる気配はなくゴソゴソと寝返りを打って、落ち着くポジションを見つける。
軽い睡眠状態の脳波を測定したいんだろうけど、てんかん起こるとしんどいしなぁ…。
そんな事を思っていたのにいつの間にかウトウトと微睡み始めていた。
だけどやっぱりてんかん発作が起こって、体が反るように強ばり、歯もギチガチと噛みしめて、脳みそが急激に膨れ上がっていくような圧迫感が辛くて涙がツーと頬を伝っていく。
意識が飛ぶ事はなかったけど、体中に力が入り上手く酸素を吸えない。
清水先生!
助けてくれるって言ったじゃん!
「ぐッ…ぅ……ぅ"…っ……」
この苦しさから逃れたいのに体が言うことを効かない。
声も発する事ができなくて、どれくらい発作が続いていたのかは分からないけど、いつの間にか部屋が明るくなっていて、清水先生が優しく蒸しタオルで顔を拭いてくれていた。
「朔くん、分かる?」
「…ぅ……ん……」
「発作しんどかったね。これから電気がピカピカするからね。」
「……ぅ…」
デスクライトのような物を仰向けで寝る俺の視界に入る場所に持って来て電源を入れた。
チカチカと白く眩しい光が点滅を繰り返し、瞼を固く閉ざした。
それでも光が点滅しているのが、鬱陶しくて顔を横に逸らしていた。
「はい。いいよ。眩しかったね。次は、ティッシュをふぅーって吹くよ。」
「……っふー…」
「もっとしっかり吹こう。風で向こう側に押すように。」
「…ふー……ふぅー!」
「いい感じだね。お疲れ様。これで検査は終わり。ゆっくり起き上がってね。」
「……ふぁ…疲れたぁ…」
「ねぇ、疲れるよね。頭クラクラしないかな?」
「少しだけ…でも大丈夫そう。」
「電極外すね。頭にクリーム着いててベタベタして気持ち悪いでしょ。後でシャンプーしようね。」
包帯と電極を外して、蒸しタオルでクリームを拭ってくれたけど、それでもベタつきはほとんど取れてなくて、脳波検査室の奥にある洗面台で頭を洗ってくれた。
いまいち落ち切ってない感じもするけど、洗わないよりはマシってとこだ。
「結果は後日、秦先生の方からお話があると思います。今日はお疲れ様でした。帰ってゆっくり休んでね。」
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