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部屋に戻って配布物と紙袋に入った教科書を取り出す。
俺はタブレットで勉強しているが、基本は教科書も使うので、名前を書かないといけない。
でもみんなは、教科書とワークブックとノートにも名前を書くからそれに比べたら楽な方なんだろう。
「母さん…はい。提出物。明日からまた医務室に置いとくカテーテルとかも持って行かないといけない。」
「分かった。準備しとくね。お薬入れるからソファーに行って。」
ソファーに深く凭れて座り、スウェットのシャツを捲り上げ胃ろうが見えるようにした。
「…ぁ、ここ擦れて赤くなってる。Tシャツじゃないから擦れやすいのかな…。また胃ろうカバー着けようか。」
「うん。」
隣に座った母さんが、溶かした粉薬を入れたシリンジを胃ろうに着け、ゆっくりと体内に注入していく。
「っぅ゛…オェッ!…気持ち悪ぃ…。」
口の中に僅かな苦味が漂ってきて、毎回えづいてしまう。
毎食後に飲む抗てんかん薬が、苦くてホント苦手だ。
「はい。いいよ。お腹のご飯繋ぐから寝転ぼうか。」
背中にクッションを挟んでソファーに横になり、栄養剤を注入する。
小腸がないため大腸で多くの栄養を吸収できるようになるべく寝転んで栄養剤の注入をする。
「気分悪くなったら教えてね。」
「ん…。」
点滴棒に吊るした栄養剤のパウチをカテーテルで胃ろうに繋いで、ゆっくりとした速度で投与していく。
入学式で疲れた事もあり、自然と瞼が下がってきて眠りに落ちていた。
「…く。朔。」
「……ん…なに…。」
「夜寝れなくなるからそろそろ起きな。」
母さんに起こされて時計を見るとすでに1時間が経っていた。
よほど疲れていたようで、まだ眠たい。
後30分は栄養剤を繋がれた状態だから、起き上がる事もできない。
仕方ないから動画でも見るか…。
スマホには通知が来ていて、グループLINEが動いていた。
[教科書名前書き終わった~?]
[俺は今書いてる!]
[明日から授業始まるね!]
[だね!校内探検も楽しみ♪]
(まだ名前書けてない)
[やっと朔来た🤣]
(寝てた)
[調子悪い?]
(いや…大丈夫。放デイ楽しい?)
[楽しいよ!]
[水谷さんが、明日から歩行訓練させるって意気込んでるぞ]
(マジか…春休みサボってたからな)
4人とも放デイにいるのになんで、LINEでやり取りしてんのか…変なやつらだな。
それにしても明日から歩行訓練かぁ…。
結構きついんだよな…。
「ぁ……終わった。母さーん!お腹のご飯終わった。」
「はーい。ちょっと待っててー。」
ベランダから声がして、洗濯カゴを抱えた母さんが戻って来た。
「それ畳むの手伝おうか?」
「ありがとう。助かる。」
洗濯物を畳むのは、手先のリハビリになるし積極的に手伝うようにしている。
物を掴む事が難しいから、タオルを畳むだけでも時間がかかる。
とりあえずタオル5枚をノルマに畳み始めた。
「夕飯何作ろうかなぁ…。朔なに食べたい?」
「えぇー。特にない。」
「ん~、冷蔵庫何があったかなぁ…。ぁ…朔、教科書に名前書いときなさいよ。尚たち帰って来たら、集中して書けないでしょ。」
「うん。分かってるって…。これ畳み終わったらする。」
机の上に置きっぱなしにしていた教科書を見た母さんに言われる。
やろうと思ってた事を先に言われると、やる気が失せるのはなぜだろうか…。
タオルを畳み終わり、母さんに右手にバンドとペンを固定してもらい名前を書いていく。
ペンをグーで握りしめ枠に入るように慎重に書くが、腕ごと動かさないと上手く書けない為、ふにゃふにゃと歪な字が枠からはみ出してしまい不格好な仕上がりになった。
瀬咲は、いつも潰れてしまうからひらがなで書き。
朔はどうにか漢字で書けた。
我ながらきたねぇ字だと思うが、全ての教科書に『せさき 朔』と書き終わり無事任務完了だ。
俺はタブレットで勉強しているが、基本は教科書も使うので、名前を書かないといけない。
でもみんなは、教科書とワークブックとノートにも名前を書くからそれに比べたら楽な方なんだろう。
「母さん…はい。提出物。明日からまた医務室に置いとくカテーテルとかも持って行かないといけない。」
「分かった。準備しとくね。お薬入れるからソファーに行って。」
ソファーに深く凭れて座り、スウェットのシャツを捲り上げ胃ろうが見えるようにした。
「…ぁ、ここ擦れて赤くなってる。Tシャツじゃないから擦れやすいのかな…。また胃ろうカバー着けようか。」
「うん。」
隣に座った母さんが、溶かした粉薬を入れたシリンジを胃ろうに着け、ゆっくりと体内に注入していく。
「っぅ゛…オェッ!…気持ち悪ぃ…。」
口の中に僅かな苦味が漂ってきて、毎回えづいてしまう。
毎食後に飲む抗てんかん薬が、苦くてホント苦手だ。
「はい。いいよ。お腹のご飯繋ぐから寝転ぼうか。」
背中にクッションを挟んでソファーに横になり、栄養剤を注入する。
小腸がないため大腸で多くの栄養を吸収できるようになるべく寝転んで栄養剤の注入をする。
「気分悪くなったら教えてね。」
「ん…。」
点滴棒に吊るした栄養剤のパウチをカテーテルで胃ろうに繋いで、ゆっくりとした速度で投与していく。
入学式で疲れた事もあり、自然と瞼が下がってきて眠りに落ちていた。
「…く。朔。」
「……ん…なに…。」
「夜寝れなくなるからそろそろ起きな。」
母さんに起こされて時計を見るとすでに1時間が経っていた。
よほど疲れていたようで、まだ眠たい。
後30分は栄養剤を繋がれた状態だから、起き上がる事もできない。
仕方ないから動画でも見るか…。
スマホには通知が来ていて、グループLINEが動いていた。
[教科書名前書き終わった~?]
[俺は今書いてる!]
[明日から授業始まるね!]
[だね!校内探検も楽しみ♪]
(まだ名前書けてない)
[やっと朔来た🤣]
(寝てた)
[調子悪い?]
(いや…大丈夫。放デイ楽しい?)
[楽しいよ!]
[水谷さんが、明日から歩行訓練させるって意気込んでるぞ]
(マジか…春休みサボってたからな)
4人とも放デイにいるのになんで、LINEでやり取りしてんのか…変なやつらだな。
それにしても明日から歩行訓練かぁ…。
結構きついんだよな…。
「ぁ……終わった。母さーん!お腹のご飯終わった。」
「はーい。ちょっと待っててー。」
ベランダから声がして、洗濯カゴを抱えた母さんが戻って来た。
「それ畳むの手伝おうか?」
「ありがとう。助かる。」
洗濯物を畳むのは、手先のリハビリになるし積極的に手伝うようにしている。
物を掴む事が難しいから、タオルを畳むだけでも時間がかかる。
とりあえずタオル5枚をノルマに畳み始めた。
「夕飯何作ろうかなぁ…。朔なに食べたい?」
「えぇー。特にない。」
「ん~、冷蔵庫何があったかなぁ…。ぁ…朔、教科書に名前書いときなさいよ。尚たち帰って来たら、集中して書けないでしょ。」
「うん。分かってるって…。これ畳み終わったらする。」
机の上に置きっぱなしにしていた教科書を見た母さんに言われる。
やろうと思ってた事を先に言われると、やる気が失せるのはなぜだろうか…。
タオルを畳み終わり、母さんに右手にバンドとペンを固定してもらい名前を書いていく。
ペンをグーで握りしめ枠に入るように慎重に書くが、腕ごと動かさないと上手く書けない為、ふにゃふにゃと歪な字が枠からはみ出してしまい不格好な仕上がりになった。
瀬咲は、いつも潰れてしまうからひらがなで書き。
朔はどうにか漢字で書けた。
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