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蝉
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今年の夏は記録的な暑さで
五月蝿いほどに、セミの鳴き声が耳の中を通る。
ミーンミンミン、ミーンミンミン
五月蝿い。
気がつくと僕は、高いビルに囲まれていた。人もウンザリするぐらいにたくさんいて、僕の間を通り抜けて行く。
ミーンミンミン、ミーンミンミン
うるさい。
ふらふらしながら人間の流れに逆らい、そしてふと交差点で立ち止まった時、信号の赤が目についた。思わず目を見開く
その赤で、思い出した、あの日のアカイロを…。
突然フルフルと手が震えだした。自分の手じゃないくらいだ。
怖いほどに青々とした空から、一滴の雫が落ちてきて、僕の頬に流れ落ちる。
嗚呼、思い出した。
ピコーン、ピコーン、ピコーン
一瞬目の前が真っ暗になったが、信号の音が流れたおかげで、ハッと我にかえる。
いつの間にか信号は青に変わっていて、人が僕の前を歩いてるのが見える。
動かなきゃ行けないはずなのに、
「……っ」
足が言うことを聞かない。
信号の青々とした色とピコーン、ピコーンと鳴る音がどんどん遠くなっていく。
Tシャツにジワリと汗が滲んで
なぜか、ヒヤリとした。
この暑さだ、黙っていても次々と汗が流れる。
それでも僕は、しばらく交差点の前を動けずにいた。
五月蝿いほどに、セミの鳴き声が耳の中を通る。
ミーンミンミン、ミーンミンミン
五月蝿い。
気がつくと僕は、高いビルに囲まれていた。人もウンザリするぐらいにたくさんいて、僕の間を通り抜けて行く。
ミーンミンミン、ミーンミンミン
うるさい。
ふらふらしながら人間の流れに逆らい、そしてふと交差点で立ち止まった時、信号の赤が目についた。思わず目を見開く
その赤で、思い出した、あの日のアカイロを…。
突然フルフルと手が震えだした。自分の手じゃないくらいだ。
怖いほどに青々とした空から、一滴の雫が落ちてきて、僕の頬に流れ落ちる。
嗚呼、思い出した。
ピコーン、ピコーン、ピコーン
一瞬目の前が真っ暗になったが、信号の音が流れたおかげで、ハッと我にかえる。
いつの間にか信号は青に変わっていて、人が僕の前を歩いてるのが見える。
動かなきゃ行けないはずなのに、
「……っ」
足が言うことを聞かない。
信号の青々とした色とピコーン、ピコーンと鳴る音がどんどん遠くなっていく。
Tシャツにジワリと汗が滲んで
なぜか、ヒヤリとした。
この暑さだ、黙っていても次々と汗が流れる。
それでも僕は、しばらく交差点の前を動けずにいた。
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