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王様の純愛が色付き始めて、もう完熟寸前です
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翌朝、朝方まで眠れなかったアーサーが目を覚ますとリューシャはまだ腕の中で眠っていた。
恋しい人を腕に抱いて目覚めるのがこんなにも幸せな気持ちになる物なのかと、アーサーは一人衝撃を受ける。
閉じられた目元の睫毛の一本一本までもが愛おしい。
キスをしたら、起こしてしまうだろうか。
無防備な可愛らしさに、いたずら心が芽生えそうになるのを堪えて、リューシャが目覚めるのを待った。
朝食を済ませるとアーサー達の二週間の旅が始まった。
往路は絶え間なくヴィンセントが視界に入り、何とも味気ない旅であったが、帰路の旅はリューシャが居る。
二日間の過酷な砂漠の横断もリューシャと一緒だと、あっと言う間だった。
三日目からは船旅になった。リューシャは船に乗った事が無いらしく、最初は甲板に出て海を見ることすら怖がったが、アーサーが絶対に手を離さないと約束すると、少しずつ慣れて行き、翌日には身を乗り出して海を眺め出したので、周りがヒヤヒヤする羽目になった。
七日目になると、アーサーが珍しく体調を崩した。
アーサーが眠っている間に、ヴィンセントが薬を持って来てくれた。
「旅のお疲れが今になって出たのでしょう。リューシャ様のお側に居ると陛下は安心するのか、いつもより人間らしくなられる。」
ヴィンセントがこんなに優しく微笑むのを初めて見た気がする。
「ヴィンセント様は、陛下をとても大切に思われているのですね。」
「そんな大袈裟なものではありません。ですがこの命に代えてもお守りしたい、位には思っているかもしれませんね。」
冗談めかしてウィンクをしながら言うヴィンセントが色っぽくて、男女のそう言うことに疎いリューシャでもドキッとしてしまう。
「も、もしかしなくても、ヴィンセント様はとても女性におモテになるのでは……?」
つい思ったことが口から出てしまう。
「どうでしょうか? 不自由はしていないかもしれませんね。」
(やっぱり……)
リューシャが妙に納得している横で、
「陛下が目を覚まされたら、この薬を飲むようお伝え下さい。それでは。」
と言うと、いつもの無敵の宰相の顔に戻り帰って行った。
夜になってもまだだるさの残っていたアーサーは、リューシャと二人で静かに夕食を取っていた。
「陛下、この果物は船酔いや暑さによる眩暈に効くそうです。」
食後にリューシャが赤い果肉の柑橘の果物を準備してくれる。
「すまない。俺が無理矢理リューシャを連れて来たのに、世話になってばかりだな。」
「そんなことありません。私が陛下のお傍にいさせて下さいとお願いしたからです。陛下には私が一生掛かっても返せなかったかもしれない借金を肩代わりして頂いた上に、こんな豪華な船に乗せて頂いて、それに……」
「それに?」
「……私の初めてを貰い受けて頂きました……」
「最初だけでなく、最後まで貰い受ける。」
「それは……」
リューシャは言い淀む。
「リューシャ……答えたくなかったら、答えなくてもいいが、あの夜ヴィンセントが渡したのは、のど飴だったと聞いた。それなら何故あんなにも身体が熱くなっていたんだ?」
「頂いた飴をなめてみたのですが、身体に変化はありませんでした。ヴィンセント様が緊張していた私を見かねて嘘をついて下さったんだと思います。それで、自分で持っていた媚薬を飲みました。」
「どうして媚薬を持っていたんだ?」
「踊り子なら誰でも持っています。望まぬ相手に求められる事もありますので……。私もいずれはその時が来ると思っていました。陛下の部屋に伺うよう言われた時は、とても嬉しかったです。
せめて初めては、陛下の様な素敵な方となのだと思うと、これでもう心残りはないと思いました。」
「それで媚薬を?」
「はい、陛下はその……女性経験がとても豊富そうでいらしたので、私の経験不足と言う些末な事情で煩わせては申し訳無いと思いました……」
「そう言う事か……。」
「すみません。」
「何度も言うがあの日の事は俺が全面的に悪い。謝らなくちゃならないのは俺だ。」
「いえ、初めてだったので少し痛みましたが、情熱的な陛下はその……とても素敵でした……」
顔を赤らめて言うリューシャを今すぐ抱き潰したい衝動に駆られたアーサーだが、さすがに、『同じ過ちは繰り返さない』とあの日以来、一日百回は心の中で唱えていたので、思いとどまった。
(もしかして、リューシャはマゾか……? いや、そんな訳がない。他の男を知らないからこんな良い風に解釈してくれているんだ。気を抜いたらあっという間に他の男に取られる。)
東方の宮殿を出発してから十日目の午後、リューシャ達はランドール国の北部にある城に到着した。
その城はアーサーが幼少期を過ごした所で、首都まではまだ数日掛かるが、もう今までの様な険しい道のりではない。
「リューシャ、眠れないのか?」
夜遅くに仕事を終えて戻って来たアーサーは、とっくにベッドに入っていると思っていたリューシャが窓辺から外を眺めているのが見えて、声を掛ける。
「夜のお庭が綺麗で、見とれていました。」
「ここには視察も兼ねて2、3日居るから、明日の夜は庭を散歩しよう。」
「はい、ありがとうございます。」
アーサーに無邪気な笑顔を向ける。
リューシャに対して反省しているとか、後悔しているとか、心が欲しいとか、色々な理由を並べたが、日を追う毎に、やはり生来の色を好む性分がもう限界だと、アーサーの身体に直接、訴え始めていた。
ここ数日は、リューシャとキスをするだけで、その後に最低二回は独りで吐精しないと収まらない程になっていたし、今朝はリューシャとのとんでもなく淫らな夢を見て、起きたら夢精をしていた。
アーサーに毛布の下で抱き締められたリューシャは、意を決して口を開いた。
「陛下、どなたか……ご婦人をお呼びになって下さい。」
リューシャはそう口にしながら胸が締め付けられるように痛むのを感じる。
「なんの冗談だ、リューシャ。」
「陛下は、その……いつも美しい女性に囲まれていらしたと聞きました。それが私のせいで、陛下は我慢なさっていると……」
「まさか、さっきヴィンセントが言った事、聞こえていたのか?」
リューシャは遠慮がちに頷く。
「遠くて近いは男女の道、とは東方の文献によるものですが、陛下はことリューシャ様においては、遠回りを余儀なくされている様ですね。」
「仕方ないだろ、俺が最初に何もかもぶち壊したんだ。」
「百戦錬磨の陛下が何も出来ないとは、お気の毒です。ましてリューシャ様は陛下を慕ってらっしゃるのに。あんなに魅力的な方を前にして大人しくいられるなんて、男としての陛下を見直しました。」
「俺のこの状況を楽しんでいるのか?」
「いいえ、全く。元はと言えば、宴の際に目の前で酒を給仕する美女に目もくれず、リューシャ様に釘付けになっていた陛下に、この方となら添い遂げて頂けるかもしれないと、画策したのは私です。」
「そんなに見ていない。」
「見てらっしゃいましたよ。後ろに控えていた私が気付く程に。」
「──……」
「ですがこのままでは陛下の生活に支障が出ます。リューシャ様と純愛を貫かれるのはとても良いことだと思いますが、お辛いようでしたら今からでも誰かに来させましょうか?」
「戯れ言を。そんな事する必要はない。俺は至って健康だ。」
アーサーは自分に言い聞かせる様に呟いた。
「すみません、盗み聞きするつもりはなかったのです。廊下を歩いていたらお二人の会話が聞こえて来て……」
「そうか。余計な事で心配を掛けてすまなかった。」
「いえ、余計な事ではありません。ヴィンセント様は陛下の健康を危惧なさっています。私も僭越ながら心配しています……」
「リューシャを抱きたい。」
「はい。……え!?」
唐突なアーサーの告白に相槌を打ってから、飛び上がりそうな程驚く。
「来週には首都に着く。そうしたら、俺と婚約してくれるか?」
「私のような者で許されるのなら……」
「リューシャはあの手厳しいヴィンセントのお墨付きだ、自信を持て。それに俺が初めて惚れた女だ。誰にも文句は言わせない。」
「はい……」
リューシャの声は小さい。
「婚約が決まったら、リューシャを抱きたい。それまでは待つし、他の女など一切必要無い。邪魔だ。俺はリューシャだけが欲しい。」
アーサーはほんの数週間前まで、これ程惚れ込む女に出会うなど、考えてもみなかった。
リューシャはうつむいて、アーサーの胸に顔を埋めている。
「それと、もう一つ頼みたい事がある。」
「はい、何でもおっしゃって下さい。」
「リューシャ、男相手に何でもなんて言うもんじゃない。」
「陛下だからです。私だって、誰彼構わず何でもとは言いません……」
珍しくアーサーに反論するリューシャ。
「それなら安心だが……『陛下』と呼ぶのはやめて、アーサーと呼んで欲しい。」
「それは難しいです……。」
「では皆の前でリューシャを呼ぶ度に、『俺がキスすると、いつもすごく色っぽくなるリューシャ』と言うことにしよう。」
「そんなの、ダメに決まってます!!」
「では、アーサーと呼んでくれるな?」
「はい、アーサー……」
「実に良いものだな、リューシャの可愛らしい声で名前を呼ばれるのは。うん、実に良い。」
常に狡猾な者達に囲まれて国内外とやり取りしているアーサーに、リューシャが勝てる訳もない。
やっと人生の宝物を見つけて上機嫌なアーサーは、その日から婚約の日までを指折り数えて過ごした。
恋しい人を腕に抱いて目覚めるのがこんなにも幸せな気持ちになる物なのかと、アーサーは一人衝撃を受ける。
閉じられた目元の睫毛の一本一本までもが愛おしい。
キスをしたら、起こしてしまうだろうか。
無防備な可愛らしさに、いたずら心が芽生えそうになるのを堪えて、リューシャが目覚めるのを待った。
朝食を済ませるとアーサー達の二週間の旅が始まった。
往路は絶え間なくヴィンセントが視界に入り、何とも味気ない旅であったが、帰路の旅はリューシャが居る。
二日間の過酷な砂漠の横断もリューシャと一緒だと、あっと言う間だった。
三日目からは船旅になった。リューシャは船に乗った事が無いらしく、最初は甲板に出て海を見ることすら怖がったが、アーサーが絶対に手を離さないと約束すると、少しずつ慣れて行き、翌日には身を乗り出して海を眺め出したので、周りがヒヤヒヤする羽目になった。
七日目になると、アーサーが珍しく体調を崩した。
アーサーが眠っている間に、ヴィンセントが薬を持って来てくれた。
「旅のお疲れが今になって出たのでしょう。リューシャ様のお側に居ると陛下は安心するのか、いつもより人間らしくなられる。」
ヴィンセントがこんなに優しく微笑むのを初めて見た気がする。
「ヴィンセント様は、陛下をとても大切に思われているのですね。」
「そんな大袈裟なものではありません。ですがこの命に代えてもお守りしたい、位には思っているかもしれませんね。」
冗談めかしてウィンクをしながら言うヴィンセントが色っぽくて、男女のそう言うことに疎いリューシャでもドキッとしてしまう。
「も、もしかしなくても、ヴィンセント様はとても女性におモテになるのでは……?」
つい思ったことが口から出てしまう。
「どうでしょうか? 不自由はしていないかもしれませんね。」
(やっぱり……)
リューシャが妙に納得している横で、
「陛下が目を覚まされたら、この薬を飲むようお伝え下さい。それでは。」
と言うと、いつもの無敵の宰相の顔に戻り帰って行った。
夜になってもまだだるさの残っていたアーサーは、リューシャと二人で静かに夕食を取っていた。
「陛下、この果物は船酔いや暑さによる眩暈に効くそうです。」
食後にリューシャが赤い果肉の柑橘の果物を準備してくれる。
「すまない。俺が無理矢理リューシャを連れて来たのに、世話になってばかりだな。」
「そんなことありません。私が陛下のお傍にいさせて下さいとお願いしたからです。陛下には私が一生掛かっても返せなかったかもしれない借金を肩代わりして頂いた上に、こんな豪華な船に乗せて頂いて、それに……」
「それに?」
「……私の初めてを貰い受けて頂きました……」
「最初だけでなく、最後まで貰い受ける。」
「それは……」
リューシャは言い淀む。
「リューシャ……答えたくなかったら、答えなくてもいいが、あの夜ヴィンセントが渡したのは、のど飴だったと聞いた。それなら何故あんなにも身体が熱くなっていたんだ?」
「頂いた飴をなめてみたのですが、身体に変化はありませんでした。ヴィンセント様が緊張していた私を見かねて嘘をついて下さったんだと思います。それで、自分で持っていた媚薬を飲みました。」
「どうして媚薬を持っていたんだ?」
「踊り子なら誰でも持っています。望まぬ相手に求められる事もありますので……。私もいずれはその時が来ると思っていました。陛下の部屋に伺うよう言われた時は、とても嬉しかったです。
せめて初めては、陛下の様な素敵な方となのだと思うと、これでもう心残りはないと思いました。」
「それで媚薬を?」
「はい、陛下はその……女性経験がとても豊富そうでいらしたので、私の経験不足と言う些末な事情で煩わせては申し訳無いと思いました……」
「そう言う事か……。」
「すみません。」
「何度も言うがあの日の事は俺が全面的に悪い。謝らなくちゃならないのは俺だ。」
「いえ、初めてだったので少し痛みましたが、情熱的な陛下はその……とても素敵でした……」
顔を赤らめて言うリューシャを今すぐ抱き潰したい衝動に駆られたアーサーだが、さすがに、『同じ過ちは繰り返さない』とあの日以来、一日百回は心の中で唱えていたので、思いとどまった。
(もしかして、リューシャはマゾか……? いや、そんな訳がない。他の男を知らないからこんな良い風に解釈してくれているんだ。気を抜いたらあっという間に他の男に取られる。)
東方の宮殿を出発してから十日目の午後、リューシャ達はランドール国の北部にある城に到着した。
その城はアーサーが幼少期を過ごした所で、首都まではまだ数日掛かるが、もう今までの様な険しい道のりではない。
「リューシャ、眠れないのか?」
夜遅くに仕事を終えて戻って来たアーサーは、とっくにベッドに入っていると思っていたリューシャが窓辺から外を眺めているのが見えて、声を掛ける。
「夜のお庭が綺麗で、見とれていました。」
「ここには視察も兼ねて2、3日居るから、明日の夜は庭を散歩しよう。」
「はい、ありがとうございます。」
アーサーに無邪気な笑顔を向ける。
リューシャに対して反省しているとか、後悔しているとか、心が欲しいとか、色々な理由を並べたが、日を追う毎に、やはり生来の色を好む性分がもう限界だと、アーサーの身体に直接、訴え始めていた。
ここ数日は、リューシャとキスをするだけで、その後に最低二回は独りで吐精しないと収まらない程になっていたし、今朝はリューシャとのとんでもなく淫らな夢を見て、起きたら夢精をしていた。
アーサーに毛布の下で抱き締められたリューシャは、意を決して口を開いた。
「陛下、どなたか……ご婦人をお呼びになって下さい。」
リューシャはそう口にしながら胸が締め付けられるように痛むのを感じる。
「なんの冗談だ、リューシャ。」
「陛下は、その……いつも美しい女性に囲まれていらしたと聞きました。それが私のせいで、陛下は我慢なさっていると……」
「まさか、さっきヴィンセントが言った事、聞こえていたのか?」
リューシャは遠慮がちに頷く。
「遠くて近いは男女の道、とは東方の文献によるものですが、陛下はことリューシャ様においては、遠回りを余儀なくされている様ですね。」
「仕方ないだろ、俺が最初に何もかもぶち壊したんだ。」
「百戦錬磨の陛下が何も出来ないとは、お気の毒です。ましてリューシャ様は陛下を慕ってらっしゃるのに。あんなに魅力的な方を前にして大人しくいられるなんて、男としての陛下を見直しました。」
「俺のこの状況を楽しんでいるのか?」
「いいえ、全く。元はと言えば、宴の際に目の前で酒を給仕する美女に目もくれず、リューシャ様に釘付けになっていた陛下に、この方となら添い遂げて頂けるかもしれないと、画策したのは私です。」
「そんなに見ていない。」
「見てらっしゃいましたよ。後ろに控えていた私が気付く程に。」
「──……」
「ですがこのままでは陛下の生活に支障が出ます。リューシャ様と純愛を貫かれるのはとても良いことだと思いますが、お辛いようでしたら今からでも誰かに来させましょうか?」
「戯れ言を。そんな事する必要はない。俺は至って健康だ。」
アーサーは自分に言い聞かせる様に呟いた。
「すみません、盗み聞きするつもりはなかったのです。廊下を歩いていたらお二人の会話が聞こえて来て……」
「そうか。余計な事で心配を掛けてすまなかった。」
「いえ、余計な事ではありません。ヴィンセント様は陛下の健康を危惧なさっています。私も僭越ながら心配しています……」
「リューシャを抱きたい。」
「はい。……え!?」
唐突なアーサーの告白に相槌を打ってから、飛び上がりそうな程驚く。
「来週には首都に着く。そうしたら、俺と婚約してくれるか?」
「私のような者で許されるのなら……」
「リューシャはあの手厳しいヴィンセントのお墨付きだ、自信を持て。それに俺が初めて惚れた女だ。誰にも文句は言わせない。」
「はい……」
リューシャの声は小さい。
「婚約が決まったら、リューシャを抱きたい。それまでは待つし、他の女など一切必要無い。邪魔だ。俺はリューシャだけが欲しい。」
アーサーはほんの数週間前まで、これ程惚れ込む女に出会うなど、考えてもみなかった。
リューシャはうつむいて、アーサーの胸に顔を埋めている。
「それと、もう一つ頼みたい事がある。」
「はい、何でもおっしゃって下さい。」
「リューシャ、男相手に何でもなんて言うもんじゃない。」
「陛下だからです。私だって、誰彼構わず何でもとは言いません……」
珍しくアーサーに反論するリューシャ。
「それなら安心だが……『陛下』と呼ぶのはやめて、アーサーと呼んで欲しい。」
「それは難しいです……。」
「では皆の前でリューシャを呼ぶ度に、『俺がキスすると、いつもすごく色っぽくなるリューシャ』と言うことにしよう。」
「そんなの、ダメに決まってます!!」
「では、アーサーと呼んでくれるな?」
「はい、アーサー……」
「実に良いものだな、リューシャの可愛らしい声で名前を呼ばれるのは。うん、実に良い。」
常に狡猾な者達に囲まれて国内外とやり取りしているアーサーに、リューシャが勝てる訳もない。
やっと人生の宝物を見つけて上機嫌なアーサーは、その日から婚約の日までを指折り数えて過ごした。
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