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8、早く来て……
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バスルームに着くと、リヒトは瞬く間に洋服を脱ぎ去った。
「先に入ってるから、クレアもすぐ来てね? それとも僕が脱がせた方が良い?」
「ううん、大丈夫! すぐ行くから、待ってて。」
「分かった」
クレアの頭頂部にキスすると、衝立の向こうでバスタブにお湯を張る音が聞こえだす。
今になってなんて大胆な事を言ったんだろうと言う自分に対する驚きと、見ないようにしていたけれど、すっかり準備万端な感じになっていたリヒトの下半身をうっすら見てしまい、分かってはいたけれど、天使ではなく『男』だったのだと実感する。
二度程深呼吸してからドレスを脱ぎ、下着を外す。
シャワーの音がしばらく聞こえてから、チャポっと湯船に入る音がする。
『クレア? 大丈夫?』
仕切りの向こうからいつも通りな優しいリヒトの声がする。
「今行く──」
(こんなに緊張してるの、私だけなのかな……)
もうこれ以上ぐずぐず出来ないと思いきって衝立の向こうへ行くと、リヒトはバスタブのへりに両腕を重ね、その上に顎を乗せてこちらを見ていた。
「こ、こっち見るの反則……!」
濡れた金髪と上気した肌、どこもかしこもとてつもない色気を放っている。
(天使じゃなくて、これはなんだろう……エロい王子様かな……?)
「だって、可愛いクレアを見たいもん、そりゃ見ちゃうよ」
普段と変わらないはずなのに、その声も視線も、まるで素肌を愛撫されているみたいに色っぽくて、クレアの心臓はこれでもかと言う位早鐘を打っている。
とりあえず落ち着こうとリヒトの視線を少し避けるような向きでシャワーを浴び始める。
するとリヒトがバスタブから出てきた。
「クレア、洗うの手伝ってあげる」
「え、リヒト、だ、大丈夫、間に合ってます!」
「これから二人でもっとエッチなことするのに、身体を洗う事も許してくれないの?」
耳元でクスッと笑う声がする。
クレアは降参して、椅子に座った。
リヒトは石鹸を手に取ると泡立てて、クレアの肌の上を撫でた。
どんなにいやらしい事をされるのかと身構えていたら、意外とその手付きは優しく、ちょっと肩なんかも揉んでくれたりして、クレアは拍子抜けした。
「うん、後ろは完璧。後はクレアがしてね。」
「ありがとう、リヒト……」
無事に身体を洗い終えたクレアは、いよいよバスタブに入る。
リヒトが端に寄ってくれた。
「え、クレア、何で反対側に入ってるの? 僕の脚の間でしょ、どう考えても。」
リヒトは心底不思議そうな顔をしてクレアを引き寄せて、自分の腕の中におさめる。
わりと大きめと思っていたバスタブが、リヒトと入るとすごく小さくて、お互いの身体のあちこちが密着する。
「やった、クレアとお風呂入ってる。なんかすごく恋人っぽいよね!」
「うん……」
(普段は天使な見掛けに気を取られて、そこまで意識して無かったけど、後ろからだと、ハスキーな声に意識が行って腰に響く……て言うか、リヒトのが、腰に当たってる……!)
「あ、あのリヒト、この体勢、ちょっと……何て言うか、すごく恥ずかしくない……?」
「全然。クレアのお尻とか色々柔らかくてすごく気持ちいい。」
「そうなんだ……」
「クレアにさっきから当たってるよね、ごめん……クレアとお風呂入れるって思っただけですごく興奮しちゃって。でも、今日はお風呂ではしないから、安心して。」
「今日は……」
「うん、だって初めてはベッドでゆっくりしたいし、でも次回はここで色んなことしたいなぁ。立ったままとか、お湯の中でとか」
「な、何を!」
リヒトの言葉に反応して振り返りかけて、クレアのお尻がリヒトの物を擦ってしまう。
「あ、クレア、ダメ、急に動くと擦れてヤバい、刺激でイキそう……」
リヒトに切ない声を出されて、クレアは下腹部が疼く。
「ごめん……大丈夫?」
「大丈夫、でもちょっとお返し」
「あん……リヒト……」
急に後ろから胸を揉まれる。
胸をまさぐられながら、うなじを甘噛みされてクレアの身体の内側を甘い痺れが走る。
「クレア、気持ちいい?」
「聞かないで……今日はお風呂でしないって言ったのに……リヒトの嘘つき……」
「ごめん、クレアが可愛い過ぎて、我慢出来なくなっちゃった……もうベッド行ってもいい?」
クレアは頷く代わりにリヒトの腕にぎゅっと抱きついた。
「先に入ってるから、クレアもすぐ来てね? それとも僕が脱がせた方が良い?」
「ううん、大丈夫! すぐ行くから、待ってて。」
「分かった」
クレアの頭頂部にキスすると、衝立の向こうでバスタブにお湯を張る音が聞こえだす。
今になってなんて大胆な事を言ったんだろうと言う自分に対する驚きと、見ないようにしていたけれど、すっかり準備万端な感じになっていたリヒトの下半身をうっすら見てしまい、分かってはいたけれど、天使ではなく『男』だったのだと実感する。
二度程深呼吸してからドレスを脱ぎ、下着を外す。
シャワーの音がしばらく聞こえてから、チャポっと湯船に入る音がする。
『クレア? 大丈夫?』
仕切りの向こうからいつも通りな優しいリヒトの声がする。
「今行く──」
(こんなに緊張してるの、私だけなのかな……)
もうこれ以上ぐずぐず出来ないと思いきって衝立の向こうへ行くと、リヒトはバスタブのへりに両腕を重ね、その上に顎を乗せてこちらを見ていた。
「こ、こっち見るの反則……!」
濡れた金髪と上気した肌、どこもかしこもとてつもない色気を放っている。
(天使じゃなくて、これはなんだろう……エロい王子様かな……?)
「だって、可愛いクレアを見たいもん、そりゃ見ちゃうよ」
普段と変わらないはずなのに、その声も視線も、まるで素肌を愛撫されているみたいに色っぽくて、クレアの心臓はこれでもかと言う位早鐘を打っている。
とりあえず落ち着こうとリヒトの視線を少し避けるような向きでシャワーを浴び始める。
するとリヒトがバスタブから出てきた。
「クレア、洗うの手伝ってあげる」
「え、リヒト、だ、大丈夫、間に合ってます!」
「これから二人でもっとエッチなことするのに、身体を洗う事も許してくれないの?」
耳元でクスッと笑う声がする。
クレアは降参して、椅子に座った。
リヒトは石鹸を手に取ると泡立てて、クレアの肌の上を撫でた。
どんなにいやらしい事をされるのかと身構えていたら、意外とその手付きは優しく、ちょっと肩なんかも揉んでくれたりして、クレアは拍子抜けした。
「うん、後ろは完璧。後はクレアがしてね。」
「ありがとう、リヒト……」
無事に身体を洗い終えたクレアは、いよいよバスタブに入る。
リヒトが端に寄ってくれた。
「え、クレア、何で反対側に入ってるの? 僕の脚の間でしょ、どう考えても。」
リヒトは心底不思議そうな顔をしてクレアを引き寄せて、自分の腕の中におさめる。
わりと大きめと思っていたバスタブが、リヒトと入るとすごく小さくて、お互いの身体のあちこちが密着する。
「やった、クレアとお風呂入ってる。なんかすごく恋人っぽいよね!」
「うん……」
(普段は天使な見掛けに気を取られて、そこまで意識して無かったけど、後ろからだと、ハスキーな声に意識が行って腰に響く……て言うか、リヒトのが、腰に当たってる……!)
「あ、あのリヒト、この体勢、ちょっと……何て言うか、すごく恥ずかしくない……?」
「全然。クレアのお尻とか色々柔らかくてすごく気持ちいい。」
「そうなんだ……」
「クレアにさっきから当たってるよね、ごめん……クレアとお風呂入れるって思っただけですごく興奮しちゃって。でも、今日はお風呂ではしないから、安心して。」
「今日は……」
「うん、だって初めてはベッドでゆっくりしたいし、でも次回はここで色んなことしたいなぁ。立ったままとか、お湯の中でとか」
「な、何を!」
リヒトの言葉に反応して振り返りかけて、クレアのお尻がリヒトの物を擦ってしまう。
「あ、クレア、ダメ、急に動くと擦れてヤバい、刺激でイキそう……」
リヒトに切ない声を出されて、クレアは下腹部が疼く。
「ごめん……大丈夫?」
「大丈夫、でもちょっとお返し」
「あん……リヒト……」
急に後ろから胸を揉まれる。
胸をまさぐられながら、うなじを甘噛みされてクレアの身体の内側を甘い痺れが走る。
「クレア、気持ちいい?」
「聞かないで……今日はお風呂でしないって言ったのに……リヒトの嘘つき……」
「ごめん、クレアが可愛い過ぎて、我慢出来なくなっちゃった……もうベッド行ってもいい?」
クレアは頷く代わりにリヒトの腕にぎゅっと抱きついた。
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