13 / 14
13.村は静か
しおりを挟む
しばらくしても返事はなく、時が止まったかのような静けさだけが辺りを包み込む。まるで時が止まってしまったかのよう。だが、数秒後静寂を破る音。現実へと意識を戻される。その耳障りな奇怪な音はただ不快な音として響き渡る。後方から聞こえてくるようだ。その音を聞き呆然としていると扉が開く。すぐに前へと視線を戻した刹那、視界がぐらつき家の中へと倒れこむ。何が起きたか理解できぬままに部屋の床にうつぶせの状態で倒れる。
「また来おったわい」
倒れた体を起こしながら声の主へと目をやる。そこには一人の老婆。その隣に屈強そうな男とユラたちの近くにも屈強そうな男。つまりこの男に中へ引っ張られたのだろうと推測できる。ラティは俺の横に立ってたからよかった。もし倒れてたらこいつらぶちのめしてたかもしれないし。
「突然悪かった、奴が来る頃合い。村の人々は外へは出ないのじゃ」
老婆は続ける。
服についた汚れを払いながら取り敢えずは老婆の話を聞く。
「奴は視界に入るものを食い尽くすのじゃ、故に奴がいる間は外にいてはならん」
その間にも外では不快で奇怪な叫び声が空気を振動させながら響き渡る。空間が歪んでしまうのではないかと思うほどだ。
「奴とはなんなんだ?」
さっきから奴とか言ってるけど詳しい事は言ってないしな。凶暴なくらいしか情報が来ないし。
老婆は奴について話し出した。
「あれはな…」
それからしばらく詳細を聞いたのだが、奴と呼ばれるものは二足歩行で鋭い牙に鋭い目。大きさは4メートルほどで二本の腕で人を捕まえ喰うそうだ。目の前の強そうな屈強なお兄さん達でも瞬殺されてしまうらしい。しゃーないな。
よし
「俺が倒してきます。そのかわりこの子と今日一晩泊めてください」
と必要な事を条件に狩に行く約束をする。
老婆はあんたみたいなのが狩れるのかと心配していたが余裕だろ。
「よし、行ってくる」
ラティの頭を撫でながら老婆達に挨拶を告げて出発する。ラティは手を振っていた。それだけでやる気十分。
歩いて数分のところ奴はいた。見た目はカメレオンのような二足歩行で家畜を喰い漁っていた。
眼をぎょろぎょろ頻りに動かしながら、ただ貪り喰っていた。その口からは血と唾液が混ざった液体がドロドロ地面へ零れ落ち付近を赤黒く染め上げ、あたり一帯を鉄の香りで満たしている。不快。その一言に尽きる。
「あぁ、くせぇなぁ」
ユラは一人ぼそりと呟く。同時にため息をこぼす。
途端に怪物は手に握っていた家畜を放り投げユラに向かって一目散に飛びかかってきた。それは僅か数秒の出来事。
その大きな爪を振りかざすと地面に強く当たる。どでかい地響きと砂埃、視界が悪くなる。
「はぁ、めんどくせぇ」
ため息混じりに呟くとその気だるさから一変、大きな声を上げる。
「燃やし尽くせ、ダークフレイム」
ユラはその手のひらから黒い炎を地面に向けて放つ。地面に当たった炎はユラの周り一帯を燃やし尽くし、砂埃さえ消しとばした。
視界が晴れ、あたりを見回す。めんどくさい事に奴は見えなくなっていた。だが所詮は怪物頭が悪い、涎が垂れている音が後ろから聞こえる。ユラは後ろに振り向きそのまま
「貫け、ダークソード」
手のひらから生成した黒き剣を怪物に向かって放射する。
「グギャァァァア」
黒き剣は怪物の眉間に突き刺さり、頭を破壊した。怪物は断末魔の叫びとともに絶命。
「んだよ、大した事ねえなぁ」
「また来おったわい」
倒れた体を起こしながら声の主へと目をやる。そこには一人の老婆。その隣に屈強そうな男とユラたちの近くにも屈強そうな男。つまりこの男に中へ引っ張られたのだろうと推測できる。ラティは俺の横に立ってたからよかった。もし倒れてたらこいつらぶちのめしてたかもしれないし。
「突然悪かった、奴が来る頃合い。村の人々は外へは出ないのじゃ」
老婆は続ける。
服についた汚れを払いながら取り敢えずは老婆の話を聞く。
「奴は視界に入るものを食い尽くすのじゃ、故に奴がいる間は外にいてはならん」
その間にも外では不快で奇怪な叫び声が空気を振動させながら響き渡る。空間が歪んでしまうのではないかと思うほどだ。
「奴とはなんなんだ?」
さっきから奴とか言ってるけど詳しい事は言ってないしな。凶暴なくらいしか情報が来ないし。
老婆は奴について話し出した。
「あれはな…」
それからしばらく詳細を聞いたのだが、奴と呼ばれるものは二足歩行で鋭い牙に鋭い目。大きさは4メートルほどで二本の腕で人を捕まえ喰うそうだ。目の前の強そうな屈強なお兄さん達でも瞬殺されてしまうらしい。しゃーないな。
よし
「俺が倒してきます。そのかわりこの子と今日一晩泊めてください」
と必要な事を条件に狩に行く約束をする。
老婆はあんたみたいなのが狩れるのかと心配していたが余裕だろ。
「よし、行ってくる」
ラティの頭を撫でながら老婆達に挨拶を告げて出発する。ラティは手を振っていた。それだけでやる気十分。
歩いて数分のところ奴はいた。見た目はカメレオンのような二足歩行で家畜を喰い漁っていた。
眼をぎょろぎょろ頻りに動かしながら、ただ貪り喰っていた。その口からは血と唾液が混ざった液体がドロドロ地面へ零れ落ち付近を赤黒く染め上げ、あたり一帯を鉄の香りで満たしている。不快。その一言に尽きる。
「あぁ、くせぇなぁ」
ユラは一人ぼそりと呟く。同時にため息をこぼす。
途端に怪物は手に握っていた家畜を放り投げユラに向かって一目散に飛びかかってきた。それは僅か数秒の出来事。
その大きな爪を振りかざすと地面に強く当たる。どでかい地響きと砂埃、視界が悪くなる。
「はぁ、めんどくせぇ」
ため息混じりに呟くとその気だるさから一変、大きな声を上げる。
「燃やし尽くせ、ダークフレイム」
ユラはその手のひらから黒い炎を地面に向けて放つ。地面に当たった炎はユラの周り一帯を燃やし尽くし、砂埃さえ消しとばした。
視界が晴れ、あたりを見回す。めんどくさい事に奴は見えなくなっていた。だが所詮は怪物頭が悪い、涎が垂れている音が後ろから聞こえる。ユラは後ろに振り向きそのまま
「貫け、ダークソード」
手のひらから生成した黒き剣を怪物に向かって放射する。
「グギャァァァア」
黒き剣は怪物の眉間に突き刺さり、頭を破壊した。怪物は断末魔の叫びとともに絶命。
「んだよ、大した事ねえなぁ」
0
お気に入りに追加
53
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
夫から国外追放を言い渡されました
杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。
どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。
抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。
そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……
前回は断頭台で首を落とされましたが、今回はお父様と協力して貴方達を断頭台に招待します。
夢見 歩
ファンタジー
長年、義母と義弟に虐げられた末に無実の罪で断頭台に立たされたステラ。
陛下は父親に「同じ子を持つ親としての最後の温情だ」と断頭台の刃を落とす合図を出すように命令を下した。
「お父様!助けてください!
私は決してネヴィルの名に恥じるような事はしておりません!
お父様ッ!!!!!」
ステラが断頭台の上でいくら泣き叫び、手を必死で伸ばしながら助けを求めても父親がステラを見ることは無かった。
ステラは断頭台の窪みに首を押さえつけられ、ステラの父親の上げた手が勢いよく振り下ろされると同時に頭上から鋭い刃によって首がはねられた。
しかし死んだはずのステラが目を開けると十歳まで時間が巻き戻っていて…?
娘と父親による人生のやり直しという名の復讐劇が今ここに始まる。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
全力で執筆中です!お気に入り登録して頂けるとやる気に繋がりますのでぜひよろしくお願いします( * ॑꒳ ॑*)
「お姉様の赤ちゃん、私にちょうだい?」
サイコちゃん
恋愛
実家に妊娠を知らせた途端、妹からお腹の子をくれと言われた。姉であるイヴェットは自分の持ち物や恋人をいつも妹に奪われてきた。しかし赤ん坊をくれというのはあまりに酷過ぎる。そのことを夫に相談すると、彼は「良かったね! 家族ぐるみで育ててもらえるんだね!」と言い放った。妹と両親が異常であることを伝えても、夫は理解を示してくれない。やがて夫婦は離婚してイヴェットはひとり苦境へ立ち向かうことになったが、“医術と魔術の天才”である治療人アランが彼女に味方して――
「婚約を破棄したい」と私に何度も言うのなら、皆にも知ってもらいましょう
天宮有
恋愛
「お前との婚約を破棄したい」それが伯爵令嬢ルナの婚約者モグルド王子の口癖だ。
侯爵令嬢ヒリスが好きなモグルドは、ルナを蔑み暴言を吐いていた。
その暴言によって、モグルドはルナとの婚約を破棄することとなる。
ヒリスを新しい婚約者にした後にモグルドはルナの力を知るも、全てが遅かった。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる