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第四章
17.思いがけない寂しさ
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「なんだよ、そのしまりのない顔」
「褒められると嬉しくて頰が緩みますね」
「まあな。生徒にもいいところを見つけて褒めるようにはしてる」
「なるほど。矢神さんが作ってくれたこの料理、優しさがつまっていてすごく美味しいです」
「うん、ありがとう……」
照れ臭くて遠野から視線を外し、食べ終わった食器を片付けるために矢神は席を立つ。
すると遠野も立ち上がり、さらに続けた。
「そのはにかむような笑顔も魅力的です」
「え、なんなの?」
「はっと驚いた表情もいいですね」
「わかったって!」
キッチンに食器を置けば、遠野が隣にくる。彼がいる右側だけ、熱くなったような気がした。
遠野の方は向けなくて、そのまま食器を洗おうとスポンジを取ったら、その手を取られた。
「あ……」
「オレが洗います。矢神さんは先にお風呂入ってください」
「うん……」
――そのあとは?
遠野と共に過ごす時間を期待して、どう言えばいいか迷っていれば、遠野が先に口を開いた。
「オレ、このあと、個人面談の予定を組みたいので部屋にこもりますね」
「あ、そうなんだ……」
もう少し一緒にいたかったから拍子抜けする。
「何かありました?」
「いや、うん、ない……」
「ゆっくり休んでくださいね」
「おまえも、無理するなよ」
「はい、ありがとうございます」
爽やかな笑顔を向けてくる遠野を尻目に、その場を離れた。
矢神は沈んだ気持ちになる。
今までだって平日は、お互い忙しくて一緒に過ごすことはほとんどなかった。
それでも付き合っているのだから、もう少し話したり、くっついたりしたい――そこまで考えてハッとした矢神は、急に恥ずかしくなってくる。
「積み本でも読もうかな……」
頭の中の考えを押しのけ、あえて異なる行動を選んでひとりごとを口にした。
「褒められると嬉しくて頰が緩みますね」
「まあな。生徒にもいいところを見つけて褒めるようにはしてる」
「なるほど。矢神さんが作ってくれたこの料理、優しさがつまっていてすごく美味しいです」
「うん、ありがとう……」
照れ臭くて遠野から視線を外し、食べ終わった食器を片付けるために矢神は席を立つ。
すると遠野も立ち上がり、さらに続けた。
「そのはにかむような笑顔も魅力的です」
「え、なんなの?」
「はっと驚いた表情もいいですね」
「わかったって!」
キッチンに食器を置けば、遠野が隣にくる。彼がいる右側だけ、熱くなったような気がした。
遠野の方は向けなくて、そのまま食器を洗おうとスポンジを取ったら、その手を取られた。
「あ……」
「オレが洗います。矢神さんは先にお風呂入ってください」
「うん……」
――そのあとは?
遠野と共に過ごす時間を期待して、どう言えばいいか迷っていれば、遠野が先に口を開いた。
「オレ、このあと、個人面談の予定を組みたいので部屋にこもりますね」
「あ、そうなんだ……」
もう少し一緒にいたかったから拍子抜けする。
「何かありました?」
「いや、うん、ない……」
「ゆっくり休んでくださいね」
「おまえも、無理するなよ」
「はい、ありがとうございます」
爽やかな笑顔を向けてくる遠野を尻目に、その場を離れた。
矢神は沈んだ気持ちになる。
今までだって平日は、お互い忙しくて一緒に過ごすことはほとんどなかった。
それでも付き合っているのだから、もう少し話したり、くっついたりしたい――そこまで考えてハッとした矢神は、急に恥ずかしくなってくる。
「積み本でも読もうかな……」
頭の中の考えを押しのけ、あえて異なる行動を選んでひとりごとを口にした。
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