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第四章
09.未来への選択 ③
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さっきから矢神が一方的に話していて、遠野は黙ったままだ。
やはり困惑しているのかもしれない。
怖気づいた矢神は、早々に話を終わらせようとした。
「悪い、おかしなこと言った。こんなの嫌だよな。全部忘れてくれ」
すぐにその場を去りたくて、遠野に背を向けてリビングから出ようとした。
「待ってください」
遠野に腕を掴まれ、ぐいっと引っ張られた。遠野と向き合う形になり、気まずい矢神は顔を伏せた。
「嫌なわけないじゃないですか。矢神さんと付き合えるなんてこんな夢みたいな話。嬉しいです」
顔を上げれば、遠野がはにかむように笑っていた。
「オレのこと真剣に考えてくれたんですね」
「まあ……」
「そういう人だってわかってたから、告白したのも後悔したんです。困らせてるなあって」
「いや、おまえ、オレに何回も好きって言ってたぞ」
「好きな人と一緒にいたら気持ちが昂っちゃうこともありますよ」
その想いは伝わっていた。
優しいまなざしにいつも見守られていて、遠野の隣は居心地が良かった。
「でも、付き合ってくださいとは言えませんでした。言ったらきっと矢神さんは、きちんと考えて断りますよね。少しの間でいいからこのまま傍にいたい。そんなずるいことを考えてました」
遠野が頭を掻きながら、困ったように笑う。
「人間、誰しもそういう感情持ってるだろ。おまえだけじゃないよ。オレもそうだし……」
「矢神さんのそういうところ好きです」
「……ありがとう、ございます」
甘い雰囲気は慣れなくて、調子が狂う。
やはり選択を間違えたかもしれない。
矢神は時間を巻き戻したくなった。
「これからもよろしくお願いします。矢神さん」
「よろしく」
だけど、遠野の弾けるような笑顔を向けられると、誰にも見せたくないなって思ってしまうのだ。
やはり困惑しているのかもしれない。
怖気づいた矢神は、早々に話を終わらせようとした。
「悪い、おかしなこと言った。こんなの嫌だよな。全部忘れてくれ」
すぐにその場を去りたくて、遠野に背を向けてリビングから出ようとした。
「待ってください」
遠野に腕を掴まれ、ぐいっと引っ張られた。遠野と向き合う形になり、気まずい矢神は顔を伏せた。
「嫌なわけないじゃないですか。矢神さんと付き合えるなんてこんな夢みたいな話。嬉しいです」
顔を上げれば、遠野がはにかむように笑っていた。
「オレのこと真剣に考えてくれたんですね」
「まあ……」
「そういう人だってわかってたから、告白したのも後悔したんです。困らせてるなあって」
「いや、おまえ、オレに何回も好きって言ってたぞ」
「好きな人と一緒にいたら気持ちが昂っちゃうこともありますよ」
その想いは伝わっていた。
優しいまなざしにいつも見守られていて、遠野の隣は居心地が良かった。
「でも、付き合ってくださいとは言えませんでした。言ったらきっと矢神さんは、きちんと考えて断りますよね。少しの間でいいからこのまま傍にいたい。そんなずるいことを考えてました」
遠野が頭を掻きながら、困ったように笑う。
「人間、誰しもそういう感情持ってるだろ。おまえだけじゃないよ。オレもそうだし……」
「矢神さんのそういうところ好きです」
「……ありがとう、ございます」
甘い雰囲気は慣れなくて、調子が狂う。
やはり選択を間違えたかもしれない。
矢神は時間を巻き戻したくなった。
「これからもよろしくお願いします。矢神さん」
「よろしく」
だけど、遠野の弾けるような笑顔を向けられると、誰にも見せたくないなって思ってしまうのだ。
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