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第二章
20.償いの道 ④
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「こんなヤツのどこがいいんだよ! 教師のくせに、平気で生徒に手を出すヤツだぞ!」
「まさちゃん……嘘だよ、先生とヤッたっていうのは嘘だよ。何もなかった。酔って寝てる先生を襲おうと思ったけど、できなかったんだ……」
楢崎はメガネを外し、涙をぽろぽろと零しながら震えた声を出した。
「それ、本当なのか、楢崎……」
「先生をボクのものにしておきたかったんだ、ごめんなさい、先生。だから辞めないでよ」
手の甲で涙を拭いながら楢崎が懇願してきた。
その言葉を聞いて、矢神は少しだけほっとする。
過ちは犯していなかった。それだけは救いだった。
「圭太、おまえ、オレにも嘘ついてたのか……」
「だってまさちゃん、最近、ボクのことかまってくれないし、先生も辞めたら独りぼっちになっちゃう」
合田に抱きかかえられながら楢崎は、声を上げてさらに泣き出した。
ここまで追い詰めたのは、自分のせいだと矢神は自覚していた。
「楢崎、本当のことを言ってくれてありがとう。だけど、これは先生の責任だ」
再度、校長室に向かう矢神の腕を掴んだのは、遠野だった。
「矢神先生は、真面目でまっすぐで素晴らしいと思います」
「だから、何だよ……」
「今回、矢神先生は何も悪いことをしてなかった。少しくらい甘くなってもいいじゃないですか?」
「間違いが起きてもおかしくない状態だったのは変わらない。オレのせいなのは、はっきりしている。辞めて責任を取るべきだ」
遠野の手を振り解き、彼から視線を外した。それでも遠野は引き下がらない。
「矢神先生が辞めた後、残された生徒たちはどうするんですか。違う責任の取り方もあると思います」
「えらそうなこと言うな!」
「だいたいのことはわかりました」
突然、校長室の扉が開き、廊下に校長が出てきた。これだけ大声で話していれば、中に筒抜けなのはあたりまえだろう。
「まさちゃん……嘘だよ、先生とヤッたっていうのは嘘だよ。何もなかった。酔って寝てる先生を襲おうと思ったけど、できなかったんだ……」
楢崎はメガネを外し、涙をぽろぽろと零しながら震えた声を出した。
「それ、本当なのか、楢崎……」
「先生をボクのものにしておきたかったんだ、ごめんなさい、先生。だから辞めないでよ」
手の甲で涙を拭いながら楢崎が懇願してきた。
その言葉を聞いて、矢神は少しだけほっとする。
過ちは犯していなかった。それだけは救いだった。
「圭太、おまえ、オレにも嘘ついてたのか……」
「だってまさちゃん、最近、ボクのことかまってくれないし、先生も辞めたら独りぼっちになっちゃう」
合田に抱きかかえられながら楢崎は、声を上げてさらに泣き出した。
ここまで追い詰めたのは、自分のせいだと矢神は自覚していた。
「楢崎、本当のことを言ってくれてありがとう。だけど、これは先生の責任だ」
再度、校長室に向かう矢神の腕を掴んだのは、遠野だった。
「矢神先生は、真面目でまっすぐで素晴らしいと思います」
「だから、何だよ……」
「今回、矢神先生は何も悪いことをしてなかった。少しくらい甘くなってもいいじゃないですか?」
「間違いが起きてもおかしくない状態だったのは変わらない。オレのせいなのは、はっきりしている。辞めて責任を取るべきだ」
遠野の手を振り解き、彼から視線を外した。それでも遠野は引き下がらない。
「矢神先生が辞めた後、残された生徒たちはどうするんですか。違う責任の取り方もあると思います」
「えらそうなこと言うな!」
「だいたいのことはわかりました」
突然、校長室の扉が開き、廊下に校長が出てきた。これだけ大声で話していれば、中に筒抜けなのはあたりまえだろう。
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