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第三章
39.秘めたる欲望 ② ※
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「後ろにいるので、オレのことは視界に入りませんよね」
耳元で囁かれて、びくっと首をすくめた。
途端に視界が覆われる。
遠野の大きな左手で矢神の目元を隠してきたのだ。
「目を閉じてくれたら――」
そこまで言って、「あっ」と何かに気づいたように声を上げた。
「これ使ってもいいですか?」
今度は遠野の手が矢神の首元に伸びた。
長い指がネクタイを取り、両手で丁寧にほどいていく。
指がゆっくりと動き、時おり、胸元に優しく触れた。
その度、敏感に打ち震え、呼吸が荒くなってしまう。
遠野の問いへの返答は遅れた。
何に使うのかと尋ねる前に、ネクタイをしゅるりと解いていた。そして、そのネクタイを矢神の目元に巻きつけたのだ。
「……おい」
「きつくないですか?」
いつもなら文句を言って蹴り飛ばすくらいするのだが、思考回路が停止状態で何も答えられず、遠野の好き放題だ。
「女性にされていると思ってください」
こそっとつぶやき、後ろからぎゅっと抱きしめられた。
するりと腕をさすられるとぞくぞくして、勝手に身体が敏感に動いてしまう。
「んんっ……んっ……」
首元に長い指を這わせてきた。じっとりと何度も撫でられ、はぁ、はぁと呼吸を乱すことしかできない。
首から顔の輪郭を撫でられ、そのまま指が左の耳たぶに触れてきた。
「んあっ」
びくりと身体を震わせて、変な声を出してしまった。
耳を触られるのは苦手だった。
肩を上げて耳を隠そうとしたが、遠野の指が耳から離れることはなかった。
耳たぶをクリクリといじったり、耳の輪郭にそって5本の指で触れてくる。
「ふっ……あぁ……」
遠野の手を掴んで離そうと思うが、力が入らないのだ。
コシコシと優しく擦ったかと思えば、今度は耳の穴の入り口を円を描くように触れてくる。
右耳には柔らかいものが触れ、リップ音がした。
――なんでそんなとこ触るんだよ!
嫌ならやめさせればいい。
矢神が言えば、遠野はすぐにやめるはず。
だけど、その言葉は口から出てこなかった。
いつの間にかワイシャツのボタンは外されていたようで、今度はインナーシャツの上から、手のひらで胸の辺りを撫でてくる。
「……んぅ、んふぅ」
ぎゅっと唇を噛んでいても吐息と共に声が漏れた。
ひたすら撫でまわしたあと、胸の突起を弾いてくる。
「いたっ……」
ジンジンとした痛みに思わず、身体を丸めた。
だが、遠野は、その部分に触れるのを止めない。
胸でも感じる男性がいるのは知っているが、自分は違う。
胸にあった手のひらがじっとりと降りてくる。
そして、インナーシャツをまくりあげ、再び、乳首に触れてきた。
ぐいぐいと指でいじったり、こねくり回したりする。
痛いだけで何も感じない――そう思っていたのに。
「んくっ」
急にゾワリとした衝撃が身体中を駆け抜けた。
もう片方の胸にも指先が触れれば、思わずのけ反ってしまう。
「……くはぁ、あうぅ……」
両方の胸の粒を摘んだり引っ張ったりされ、敏感に感じてしまう。
いくら薬が効いているからとはいえ、そんな自分に驚きを隠せなかった。
「んあっ、や、やめ……」
今まで感じたことのない快感に、身体が震え、頭がクラクラした。
下半身に熱が集中して、股間が痛いほど張りつめている。
遠野の手が胸から下に降りてきて、腹を撫でてきた。
もう片方の手は腰をさすってくる。
ただそれだけなのに、身をよじらせて反応を示してしまう。
「ぐっ、……ああぁーっ」
――早く触ってくれ!
身体を前のめりにさせて、なんとか快感に耐えようとするが、遠野に身体を起こされ、あちこちまさぐられる。
だが、肝心の部分には触れてこない。
遠野が何を考えているかわからなかった。
『オレにさせてください』と言っていたのは彼なのに。
耳元で囁かれて、びくっと首をすくめた。
途端に視界が覆われる。
遠野の大きな左手で矢神の目元を隠してきたのだ。
「目を閉じてくれたら――」
そこまで言って、「あっ」と何かに気づいたように声を上げた。
「これ使ってもいいですか?」
今度は遠野の手が矢神の首元に伸びた。
長い指がネクタイを取り、両手で丁寧にほどいていく。
指がゆっくりと動き、時おり、胸元に優しく触れた。
その度、敏感に打ち震え、呼吸が荒くなってしまう。
遠野の問いへの返答は遅れた。
何に使うのかと尋ねる前に、ネクタイをしゅるりと解いていた。そして、そのネクタイを矢神の目元に巻きつけたのだ。
「……おい」
「きつくないですか?」
いつもなら文句を言って蹴り飛ばすくらいするのだが、思考回路が停止状態で何も答えられず、遠野の好き放題だ。
「女性にされていると思ってください」
こそっとつぶやき、後ろからぎゅっと抱きしめられた。
するりと腕をさすられるとぞくぞくして、勝手に身体が敏感に動いてしまう。
「んんっ……んっ……」
首元に長い指を這わせてきた。じっとりと何度も撫でられ、はぁ、はぁと呼吸を乱すことしかできない。
首から顔の輪郭を撫でられ、そのまま指が左の耳たぶに触れてきた。
「んあっ」
びくりと身体を震わせて、変な声を出してしまった。
耳を触られるのは苦手だった。
肩を上げて耳を隠そうとしたが、遠野の指が耳から離れることはなかった。
耳たぶをクリクリといじったり、耳の輪郭にそって5本の指で触れてくる。
「ふっ……あぁ……」
遠野の手を掴んで離そうと思うが、力が入らないのだ。
コシコシと優しく擦ったかと思えば、今度は耳の穴の入り口を円を描くように触れてくる。
右耳には柔らかいものが触れ、リップ音がした。
――なんでそんなとこ触るんだよ!
嫌ならやめさせればいい。
矢神が言えば、遠野はすぐにやめるはず。
だけど、その言葉は口から出てこなかった。
いつの間にかワイシャツのボタンは外されていたようで、今度はインナーシャツの上から、手のひらで胸の辺りを撫でてくる。
「……んぅ、んふぅ」
ぎゅっと唇を噛んでいても吐息と共に声が漏れた。
ひたすら撫でまわしたあと、胸の突起を弾いてくる。
「いたっ……」
ジンジンとした痛みに思わず、身体を丸めた。
だが、遠野は、その部分に触れるのを止めない。
胸でも感じる男性がいるのは知っているが、自分は違う。
胸にあった手のひらがじっとりと降りてくる。
そして、インナーシャツをまくりあげ、再び、乳首に触れてきた。
ぐいぐいと指でいじったり、こねくり回したりする。
痛いだけで何も感じない――そう思っていたのに。
「んくっ」
急にゾワリとした衝撃が身体中を駆け抜けた。
もう片方の胸にも指先が触れれば、思わずのけ反ってしまう。
「……くはぁ、あうぅ……」
両方の胸の粒を摘んだり引っ張ったりされ、敏感に感じてしまう。
いくら薬が効いているからとはいえ、そんな自分に驚きを隠せなかった。
「んあっ、や、やめ……」
今まで感じたことのない快感に、身体が震え、頭がクラクラした。
下半身に熱が集中して、股間が痛いほど張りつめている。
遠野の手が胸から下に降りてきて、腹を撫でてきた。
もう片方の手は腰をさすってくる。
ただそれだけなのに、身をよじらせて反応を示してしまう。
「ぐっ、……ああぁーっ」
――早く触ってくれ!
身体を前のめりにさせて、なんとか快感に耐えようとするが、遠野に身体を起こされ、あちこちまさぐられる。
だが、肝心の部分には触れてこない。
遠野が何を考えているかわからなかった。
『オレにさせてください』と言っていたのは彼なのに。
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