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第三章
10.誤解と関係の継続 ①
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休みの日、遠野と矢神は各々自分のやりたいことをやって過ごす。
食事は共にするが、それ以外は一緒にいることは少なかった。
その日も各部屋で過ごしていたが、珍しく矢神が遠野の部屋を訪ねた。
「なあ、昼飯、外で食わないか?」
「いいですね」
遠野の部屋は、物が辺りに散らばり、引っ越して来た時のようにダンボールが山になっている。部屋の片付けをしているようだった。
整理整頓は苦手らしく、部屋の中はいつも散らかっていたから、矢神は片づけろと何度も言っていた。
自分の部屋なのだから好きにすればいいのだが、目に入るとどうしても口うるさくなってしまう。
「やっとやる気になったか」
「はい。来月には引っ越すので荷物少なくしておこうかなと思って」
「引っ越し? 誰の?」
「オレです」
「引っ越し資金貯まったのか?」
「まだですけど、良さそうなところが見つかったので。敷金礼金なしで家賃も格安なんですよ。こんな感じです」
携帯電話を取り出した遠野が嬉々として画面を矢神に見せてきた。
「待て、待て、本当におまえ、ここに住む気か? かなり古そうだし、なんか出そうだろ」
「出るって、幽霊とかですか?」
建物と部屋の写真を数枚見せてもらったが、築年数が経っているからなのか、外見はもろお化け屋敷状態だ。部屋も日当たりが悪そうで薄暗い。
「オレ、幽霊とか気にしないですけど」
ぽかんとした表情でいる遠野は、矢神が思っているほど深く考えていないようだ。
「こんな部屋で身体が休まるか?」
「家帰っても寝るだけですよ」
「ここ、キッチンも狭いぞ。自炊しにくいだろ」
料理が上手なのに、これでは美味しい料理を披露できないではないだろうか。
「風呂とトイレは別の方がいいんじゃないか? 身体でかいんだし」
遠野の携帯電話を奪い、何枚もの写真を見ながらあれこれ言った。すると、珍しく不貞腐れた声を出す。
「もう、なんでそんなことばかり言うんですか」
「おまえがいい加減だからだ」
「でも、早く出てった方がいいですよね?」
確かに早く出て行ってくれた方が、快適な一人暮らしが舞い戻ってくる。だが、後輩の教師がおかしな部屋に住むのは黙って見ていられなかった。
それに、出て行ったら遠野の手料理が食べられなくなる。それが少し残念に思えた。
食事は共にするが、それ以外は一緒にいることは少なかった。
その日も各部屋で過ごしていたが、珍しく矢神が遠野の部屋を訪ねた。
「なあ、昼飯、外で食わないか?」
「いいですね」
遠野の部屋は、物が辺りに散らばり、引っ越して来た時のようにダンボールが山になっている。部屋の片付けをしているようだった。
整理整頓は苦手らしく、部屋の中はいつも散らかっていたから、矢神は片づけろと何度も言っていた。
自分の部屋なのだから好きにすればいいのだが、目に入るとどうしても口うるさくなってしまう。
「やっとやる気になったか」
「はい。来月には引っ越すので荷物少なくしておこうかなと思って」
「引っ越し? 誰の?」
「オレです」
「引っ越し資金貯まったのか?」
「まだですけど、良さそうなところが見つかったので。敷金礼金なしで家賃も格安なんですよ。こんな感じです」
携帯電話を取り出した遠野が嬉々として画面を矢神に見せてきた。
「待て、待て、本当におまえ、ここに住む気か? かなり古そうだし、なんか出そうだろ」
「出るって、幽霊とかですか?」
建物と部屋の写真を数枚見せてもらったが、築年数が経っているからなのか、外見はもろお化け屋敷状態だ。部屋も日当たりが悪そうで薄暗い。
「オレ、幽霊とか気にしないですけど」
ぽかんとした表情でいる遠野は、矢神が思っているほど深く考えていないようだ。
「こんな部屋で身体が休まるか?」
「家帰っても寝るだけですよ」
「ここ、キッチンも狭いぞ。自炊しにくいだろ」
料理が上手なのに、これでは美味しい料理を披露できないではないだろうか。
「風呂とトイレは別の方がいいんじゃないか? 身体でかいんだし」
遠野の携帯電話を奪い、何枚もの写真を見ながらあれこれ言った。すると、珍しく不貞腐れた声を出す。
「もう、なんでそんなことばかり言うんですか」
「おまえがいい加減だからだ」
「でも、早く出てった方がいいですよね?」
確かに早く出て行ってくれた方が、快適な一人暮らしが舞い戻ってくる。だが、後輩の教師がおかしな部屋に住むのは黙って見ていられなかった。
それに、出て行ったら遠野の手料理が食べられなくなる。それが少し残念に思えた。
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