【完結】世間では悪女として叩かれていますが、小さな理解者がいるので大丈夫です。

 人の幸せを妬む悪女。
 それが王女、エメルダ・シェイルに対する世間の呼び声だった。

 確かに、彼女の行いは悪に映るものであった。
 国王の家臣への善意を、ことごとく台無しにしてきたのだ。
 
 家臣に王家の子女を嫁がせるとなれば、それに異を唱え破棄にまで追い込んだ。
 家臣への加増の話が決まれば、それを直前に取りやめさせた。
 家臣への宝物の下賜といったことにも、徹底的に口をはさみ無かったことにさせた。
 
 であれば、彼女は悪女だった。
 ただ、そこに私情は無かった。
 全ては、国と国民を思えばこその行動だった。

 しかし、彼女に理解者はいない。
 夜会において、陰口に辟易とすれば1人会場を抜け出すことになる。

 そこで出会ったのだった。
 庭園の樹木の陰から、その少年は現れた。
 クレインと名乗ったその少年は、妙に落ち着いていれば理屈っぽく、そして……エメルダを悪女とすること無かった。
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