【R18】満たされぬ俺の番はイケメン獣人だった

佐伯亜美

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【R18】第7話

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 果てた俺を見て興奮したのか、再びシモンの動きが激しくなる。
 一度絶頂を迎えた俺は、既に痛みよりも快楽の方が圧倒的に勝っていた。

「先輩……僕もイキ……ます!」

 一層動きを強めたシモンの腰の動きが、その一声と共に止まる。
 深く挿入されたシモンの自身が一度大きく膨らむ。

 既に押しのけられていた俺の内部が、更に外側へと押しつけられる。
 そして次の瞬間、その太く膨れ上がった先から、俺の体内に向けて熱い精液が発射されたのを感じた。

 俺はその時、中で出されたという事実よりも、これで終わってしまうという未練の気持ちで満たされていた。
 しかし、俺の考えとは裏腹に、俺の中のシモンの自身は一向に縮む気配を見せない。

 しかし、しばらくの硬直の後、それはゆっくりと俺の体内から抜き出される。
 俺は上げていた腰を下ろし、一度大きく息を吐いた。

「すいません。痛くなかったですか? あの、僕。下手くそですいません」

 謝るシモンに、俺はもう一度仰向けになり顔を向ける。
 頭の上に生えている耳は、何故か下に向かって力なく垂れていた。

 そんなシモンを愛おしく思った俺は、身体を起こしシオンに抱きつく。
 そして、その口先にゆっくりとキスをした。

「初めてなんだろう? 気にするな。それと……俺も初めてなんだ。下手くそかどうかなんて分からんさ」
「先輩……」

「それで……こう言っちゃなんだが、俺を満足させると言ったな? 残念ながら俺はまだ満足していない」
「う……そうですが。すいません。残念です……」

 俺に抱きつかれたまま、シモンは悲しそうな声を上げる。
 恐らく、自分は失敗したのだと思ったのだろう。

「まだ、と言っただろう? まだ夜は長い。見た所、まだ続けることができるよな?」
「……!? 先輩! と言うことは……!!」

「ああ。どうやらお前の言っていたことはことは本当だったらしい。俺とお前が番だってな。身体で分かったよ」

 言い切った瞬間、俺は再びベッドへと押し倒された。
 身体の前面にシモンの高い体温を感じる。

 その後、俺は何度も絶頂を迎えた。
 初めは下手に出ていたシモンも、少しずつオスの口調になっていったが、むしろそれすら心地よく感じられた。

 俺は今まで満たされることのなかった理由がやっと分かった。
 これからは、もうあの気持ちを思い出すこともないだろう。

 番に出会えたことに感謝しながら、俺は快楽に身を委ねた。
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みんなの感想(1件)

静葉
2020.09.28 静葉

7ページ
言っていたことはことは になってましたが
ことは 1つ多くないですか?

解除

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