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3章
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しおりを挟む面倒な事になった・・。
ニコはそういって私たちをあの地下室に呼んだ。
「ここは、私の個室ね。散らかってごめんなさい」
そう言いながら、魔法書とかなにやら難しい本がいっぱい積み上げていたものを、
ヒョイヒョイッと魔法の杖で本棚にしまっていた。
この前、私が連れ去られたときはここの手前の部屋で魔法陣と祭壇があったのだけど
魔法陣は消えていた。あの魔法陣はどうやら快適、安全にすごせるように保護する魔法陣だったらしい。
祭壇の横に小さなドアがありそのからまた奥へ入り込むと研究室みたいに書物やらビーカーみたいなのが
いくつも並んであった。
「最近、あちらさんがあまりにも静かすぎてね。不気味なものだから、ちょっと探っていたの。
そしたら、この国の人がどうも捕まったみたいで」
捕まった?もしかして、さっきロンが話してた人かしら。
「ゼフって陛下の使いのものでしょ?」
そう言いながらロンを見る。
ロンはとても険しい顔をしていた。
「確かに、そうだ。いま、向こうの国を探ってもらってる。
現状は・・・」
「地下牢に入れられています。それになにか薬かなにかで眠らせられれるようです。
詳しいことは実際行って見ないとわからないのですが、本人が気づけば話せるかと」
話せる?
そんなことできるの?
「一応ね。この鏡を使えば、向こうの様子がわかるの。向こうにも何か自分をうつせる鏡とか、
何かがあれば話せるのよ。でも、今の状態じゃちょっと・・・・」
そういって、鏡を見せてくれたものの中に、
暗い暗い地下牢の壁に両手を括り付けられぐったりとしている男の人が見えた。
その体には、あちこちに擦り傷があり、血がにじみ出ている。
体中のあざが痛々しかった。
ひどすぎる・・・。
「直ちに救ってあげたいのは山々なのですが、なんせ向こうの魔女もなかなかの腕で、
かなり結界が王宮全体にかけてあります」
結界。それを打破るとこの人は助けられるの?
結界を破るにはどうすればいいの?
「直ちに対策を立てよう。ニコ、力を貸してくれないか?」
会議室にはロンと私、ニコ、コーナンとロールの5人が集まった。
「結界を破って助け出すのは無理かと思います」
ニコがはっきりと言った。東の魔女の結界はあまりにも強く跳ね返す力も強かった。
「ただし、うらをつくという手があります」
うらをつく?
「スターターに女だけで潜入し、助けるのです」
その言葉に、コーナンが反対した。
「そんな無茶な。向こうが、どんな国かわかってるのか?」
「わかってるので潜入するのです」
ニコは静かに言った。
「あの国は男尊女卑の国です。まさか、女がこんなことをするとは思ってもないはず。
しかも、ヒナタはそこらへんの男よりずっと強いってこと忘れましたか?」
ほ、ほめられてるんだよね、私。
「私とヒナタで向こうの王宮にメイドとして潜入して助け出すのが
一番目立たずに出来るのではないでしょうか?
メイドとして入り込むまで私の魔法を使い、なんとかごまかします。
王宮に入ってしまうと魔法を使えばばれてしまうので使わず、
その代わり、ヒナタに動物達に協力してもらうのです」
なるほど・・・。
男の人たちのほうが確かに目立つ。メイドのほうが、何かと王宮に出入りしてるから
行動しても目立たない。
私の力なら魔力を使わずに小さな動物達に協力してもらえば、
捕まった人を見つけることが出来る。
もし何かあっても多少なら対応できるし。
「捕まった人物を見つけ出したらすぐに国を脱出。ここが一番難しいところですが」
王宮を出るには目立ちすぎる。
しかも、けが人を連れてなんて。
なにか、良い手段がないか、考えてみても私の頭では何も出てこない。
「歩けないということを想定して・・・・」
今まで話しを聞くだけで黙っていたロールが、彼とは思えないアイデアが口から出てきた。
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