12 / 55
1章
12
しおりを挟む
ロンの部屋でお茶をした日から私は毎日彼のところへお茶することになった。
お仕事があるから悪いなと思っても誰かが私を呼びに来る。
ドレスの準備が落ち着いてきた頃だったので私も何もすることもないし
練習した後はのんびりお茶したり、王宮内を散歩しているのに
いろんな所に出没する家来の人たちに申し訳なってきていた。
そこで呼びにきてもらうのも悪いので午後のなると自分からロンの部屋に行った。
それがいつの間にか日常になっていた。
「ねえ、そういえばこの前、弟さん妹さんがいるって聞いたけど
まったく見かけないのはなんで?」
とある日の午後、ずっと疑問に思っていたことを口にした。
「ああ、王宮内にはいるよ。だけど家庭教師がついてるからきっと出てこれないんだと思う」
家庭教師・・・。そうか、学校は行ってないのか。
しかも付きっきりってなんだか厳しそう。
「弟はハリーといって12歳なんだけど勉強が好きでね。
家庭教師に自分がくっついてるような感じだよ。
妹はベルといって9歳なんだけど人見知りでね。
でも、今度2人に合わせるよ」
二人の話をしてるロンは柔らかい笑顔になった。
ロンにハリーかぁ。ぷぷ。まさしく某有名小説の主人公の名前じゃん。
ハリーはめがねかけてたらすごいよ。
それにしても兄弟の話になると、表情が優しくなるなぁ。
きっとすごくかわいがってるんだろうね。
顔がデレッデレですわ。
しかもこの美形の兄弟なんだもん。かわいいんだろうなぁ。
可愛がってるんだろうなぁ。
私は一人っ子だったから下の兄弟がすごくほしかった。
いたらむちゃくちゃかわいがってたと思う。
だからロンがすごくうらやましいよ。
そんな会話をした帰り私はこの兄弟の一人と遭遇した。
のちのちこの兄弟にはかなりやられるなんてことは思ってもみなかった。
ロンとのおしゃべりを楽しんだ後晩御飯まで時間があって暇だから王宮内を探索していた。
最近は護衛の人もさほど付いてきてない。
王宮内は安全だし私の実力もわかってくれてるのか一人の時間もくれ
一人探索を楽しんでる。
うろうろしてたら図書館に出た。
さすが王宮図書館とあってかなり古く歴史があるんだろうなってわかる。
そしてびっくりするほど大きかった。
私は幸いなことにこちらの文字も理解できた。日本語と違うってわかるのに
こちらの言葉も理解できるに当たってなんて便利なんだろうって感心した。
だけどもともと体を動かしてた方が気も紛れるので本には近寄ってない。
勉強も得意な方じゃなかったしね。そんな私がなんとなく
こっちの本ってどんなもんなんだろうとちょっと覗いてみた。
すっごく広くって本も沢山あって、十分時間をつぶせそう。
司書さんらしき人が私の顔をみて驚いてたけど、さすがに声には出さずフリーズしてた。
私はぺこりと少しだけ頭を下げて小さな声で聞いた。
「少し見て回ってもいいですか?」
「どうぞ、もし借りられる場合は手続きが必要ですので声をかけてください」
緊張した声で、でも迷惑そうではなかったので中に入らせてもらった。
本はとても古そうなものがたくさんあった。
本棚に「歴史」「社会史」「地理」と書かれて分別してるのを見るとどこの図書館も変わらないんだなぁと
感じた。そういえば、私は社会が嫌いだ。地理とかテストがうんざりするほど嫌いだったと
思い出しながら笑った。
歴史の棚の最後を通り過ぎようとした時、綺麗な服を着た少年がいた。小学生ぐらいかな。
少年は高いところの本をとろうとしてるけどとても手が届かなそうだったので取ってあげた。
なのに、
「ご苦労。」
とだけ言うとその少年は去っていった。
なに?この生意気なガキは。何様やちゅうねん。
「ちょっと、こういうときはご苦労じゃなくってありがとうでしょ」
追いかけていって注意した。
なのに無視。マジむかつくんですけど。
「人が注意してるときはちゃんと相手の話を聞きなさいって言われなかった?」
「自分より目下の者になぜそういわれなければいけない」
目下ですって?ふざけんな。
「目下って、明らかにあなたよりも年上でしょうが。
年上にはちゃんと敬意を払うべきだって親から習わなかった?
学校の先生から習わなかった?」
「あいにく両親は数年前に他界したので。
それに学校などそんなところには行っておらん。
大体お前は何者なんだ。この私に小うるさく注意して。
どこの役所のものか?それとも新人のメイドか?」
「人にものをたずねるときは自分が先に話すのが当たり前でしょ?」
だんだんこの少年と喧嘩になりそうだったところ、
「ハリー様、いかがされましたか?」
私たちの声がどんどん大きくなってきてさっきの司書さんらしき人があわててやってきた。
ハリー?
「もしかしてロンの弟?」
「兄上をなぜそのように呼ぶ?お前、何者なんだ。だいたい、その黒い・・・」
「ヒナタだよ。この前話した予言の少女だよ」
後ろからさっきまで聞いていた声が・・・・。
「兄上」
「ロン」
同時に名前を出してお互いににらみ合う。
「ヒナタにはオレがそう呼んでくれって言ったんだ。
それにハリー、ヒナタの言ってることは決して間違っていないぞ。言葉遣いはきちんとしないと、人のうえに立つものとして恥ずかしい」
「だって・・・」
しょぼんと頭を下げてる姿は子犬のようだった。
それでもロンは優しい口調で続ける。
「だってじゃない。ちゃんと謝るんだ」
「え?僕が?」
「お前は自分が悪いということはわかってるんだよな。
じゃあ、どうするべきかわかるだろう」
俯いてしまったハリーに私たちは黙って見守るしかなかった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。ごめんなさい。」
おお、あやまったよ。絶対謝らないと思ったけど。
お兄さんがいうことはきくんだな。
「ヒナタも許してやってくれないか?」
「ああ、私も子供相手にむきになりすぎたよ。私もごめんね。
じゃあ、これで仲直りしよう」
と手を差し出したらびっくりされたけどおずおずと手を握ってくれた。
なんだか、かわいいなぁ。
と思ったのもつかの間、翌日にはまた喧嘩していた。
「大体、ヒナタは筋肉バカなんだよ。なにかにつけて暴力で訴える」
「なに?あんたが根性曲がってるから愛のムチあげてるだけでしょ?」
「そうゆうのを虐待って言うんだよ」
「ちがうもん、愛が入ってるんだもん。あなたもちょっと肩を叩かれたぐらいで
ピーピー騒ぐんじゃないわよ。ひょろひょろしすぎなの。
もちっと体力つけなよ」
「僕には必要ないんでね。人間得意分野とそうじゃない分野とあるだろ?
僕は勉強が得意だからそれを伸ばして兄上を支えていくんだ。
体力なんかだれも僕に求めてないし必要ないんだよ。」
「人を支えるには病気にならないように体力も必要でしょうが。
だいたいねぇ、ちびっこの分際で顔が青っ白いのが気に入らない。
子供は外で遊んでなんぼなの!!」
「え~やだよ。そんなの、汚れるし。疲れるし」
「子供の分際で汚れなんか気にするな~!!」
私は子供らしくないハリーを誘っては無理やり外に連れ出した。
最初はイヤイヤだったけど動物達に協力してもらって木登りやら
泥んこ遊びやら一日楽しんだ。
自分が子供の頃にやった遊びを思い出してハリーに付き合わせた。
だって王宮は自然いっぱいなところもあるというのに
引きこもって勉強ばっかりだなんて不健康極まりない!!
やっと子供らしい表情になったハリーと子供と同レベルで遊んでるヒナタを
ロンは窓から微笑みながら見守っていた。
お仕事があるから悪いなと思っても誰かが私を呼びに来る。
ドレスの準備が落ち着いてきた頃だったので私も何もすることもないし
練習した後はのんびりお茶したり、王宮内を散歩しているのに
いろんな所に出没する家来の人たちに申し訳なってきていた。
そこで呼びにきてもらうのも悪いので午後のなると自分からロンの部屋に行った。
それがいつの間にか日常になっていた。
「ねえ、そういえばこの前、弟さん妹さんがいるって聞いたけど
まったく見かけないのはなんで?」
とある日の午後、ずっと疑問に思っていたことを口にした。
「ああ、王宮内にはいるよ。だけど家庭教師がついてるからきっと出てこれないんだと思う」
家庭教師・・・。そうか、学校は行ってないのか。
しかも付きっきりってなんだか厳しそう。
「弟はハリーといって12歳なんだけど勉強が好きでね。
家庭教師に自分がくっついてるような感じだよ。
妹はベルといって9歳なんだけど人見知りでね。
でも、今度2人に合わせるよ」
二人の話をしてるロンは柔らかい笑顔になった。
ロンにハリーかぁ。ぷぷ。まさしく某有名小説の主人公の名前じゃん。
ハリーはめがねかけてたらすごいよ。
それにしても兄弟の話になると、表情が優しくなるなぁ。
きっとすごくかわいがってるんだろうね。
顔がデレッデレですわ。
しかもこの美形の兄弟なんだもん。かわいいんだろうなぁ。
可愛がってるんだろうなぁ。
私は一人っ子だったから下の兄弟がすごくほしかった。
いたらむちゃくちゃかわいがってたと思う。
だからロンがすごくうらやましいよ。
そんな会話をした帰り私はこの兄弟の一人と遭遇した。
のちのちこの兄弟にはかなりやられるなんてことは思ってもみなかった。
ロンとのおしゃべりを楽しんだ後晩御飯まで時間があって暇だから王宮内を探索していた。
最近は護衛の人もさほど付いてきてない。
王宮内は安全だし私の実力もわかってくれてるのか一人の時間もくれ
一人探索を楽しんでる。
うろうろしてたら図書館に出た。
さすが王宮図書館とあってかなり古く歴史があるんだろうなってわかる。
そしてびっくりするほど大きかった。
私は幸いなことにこちらの文字も理解できた。日本語と違うってわかるのに
こちらの言葉も理解できるに当たってなんて便利なんだろうって感心した。
だけどもともと体を動かしてた方が気も紛れるので本には近寄ってない。
勉強も得意な方じゃなかったしね。そんな私がなんとなく
こっちの本ってどんなもんなんだろうとちょっと覗いてみた。
すっごく広くって本も沢山あって、十分時間をつぶせそう。
司書さんらしき人が私の顔をみて驚いてたけど、さすがに声には出さずフリーズしてた。
私はぺこりと少しだけ頭を下げて小さな声で聞いた。
「少し見て回ってもいいですか?」
「どうぞ、もし借りられる場合は手続きが必要ですので声をかけてください」
緊張した声で、でも迷惑そうではなかったので中に入らせてもらった。
本はとても古そうなものがたくさんあった。
本棚に「歴史」「社会史」「地理」と書かれて分別してるのを見るとどこの図書館も変わらないんだなぁと
感じた。そういえば、私は社会が嫌いだ。地理とかテストがうんざりするほど嫌いだったと
思い出しながら笑った。
歴史の棚の最後を通り過ぎようとした時、綺麗な服を着た少年がいた。小学生ぐらいかな。
少年は高いところの本をとろうとしてるけどとても手が届かなそうだったので取ってあげた。
なのに、
「ご苦労。」
とだけ言うとその少年は去っていった。
なに?この生意気なガキは。何様やちゅうねん。
「ちょっと、こういうときはご苦労じゃなくってありがとうでしょ」
追いかけていって注意した。
なのに無視。マジむかつくんですけど。
「人が注意してるときはちゃんと相手の話を聞きなさいって言われなかった?」
「自分より目下の者になぜそういわれなければいけない」
目下ですって?ふざけんな。
「目下って、明らかにあなたよりも年上でしょうが。
年上にはちゃんと敬意を払うべきだって親から習わなかった?
学校の先生から習わなかった?」
「あいにく両親は数年前に他界したので。
それに学校などそんなところには行っておらん。
大体お前は何者なんだ。この私に小うるさく注意して。
どこの役所のものか?それとも新人のメイドか?」
「人にものをたずねるときは自分が先に話すのが当たり前でしょ?」
だんだんこの少年と喧嘩になりそうだったところ、
「ハリー様、いかがされましたか?」
私たちの声がどんどん大きくなってきてさっきの司書さんらしき人があわててやってきた。
ハリー?
「もしかしてロンの弟?」
「兄上をなぜそのように呼ぶ?お前、何者なんだ。だいたい、その黒い・・・」
「ヒナタだよ。この前話した予言の少女だよ」
後ろからさっきまで聞いていた声が・・・・。
「兄上」
「ロン」
同時に名前を出してお互いににらみ合う。
「ヒナタにはオレがそう呼んでくれって言ったんだ。
それにハリー、ヒナタの言ってることは決して間違っていないぞ。言葉遣いはきちんとしないと、人のうえに立つものとして恥ずかしい」
「だって・・・」
しょぼんと頭を下げてる姿は子犬のようだった。
それでもロンは優しい口調で続ける。
「だってじゃない。ちゃんと謝るんだ」
「え?僕が?」
「お前は自分が悪いということはわかってるんだよな。
じゃあ、どうするべきかわかるだろう」
俯いてしまったハリーに私たちは黙って見守るしかなかった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。ごめんなさい。」
おお、あやまったよ。絶対謝らないと思ったけど。
お兄さんがいうことはきくんだな。
「ヒナタも許してやってくれないか?」
「ああ、私も子供相手にむきになりすぎたよ。私もごめんね。
じゃあ、これで仲直りしよう」
と手を差し出したらびっくりされたけどおずおずと手を握ってくれた。
なんだか、かわいいなぁ。
と思ったのもつかの間、翌日にはまた喧嘩していた。
「大体、ヒナタは筋肉バカなんだよ。なにかにつけて暴力で訴える」
「なに?あんたが根性曲がってるから愛のムチあげてるだけでしょ?」
「そうゆうのを虐待って言うんだよ」
「ちがうもん、愛が入ってるんだもん。あなたもちょっと肩を叩かれたぐらいで
ピーピー騒ぐんじゃないわよ。ひょろひょろしすぎなの。
もちっと体力つけなよ」
「僕には必要ないんでね。人間得意分野とそうじゃない分野とあるだろ?
僕は勉強が得意だからそれを伸ばして兄上を支えていくんだ。
体力なんかだれも僕に求めてないし必要ないんだよ。」
「人を支えるには病気にならないように体力も必要でしょうが。
だいたいねぇ、ちびっこの分際で顔が青っ白いのが気に入らない。
子供は外で遊んでなんぼなの!!」
「え~やだよ。そんなの、汚れるし。疲れるし」
「子供の分際で汚れなんか気にするな~!!」
私は子供らしくないハリーを誘っては無理やり外に連れ出した。
最初はイヤイヤだったけど動物達に協力してもらって木登りやら
泥んこ遊びやら一日楽しんだ。
自分が子供の頃にやった遊びを思い出してハリーに付き合わせた。
だって王宮は自然いっぱいなところもあるというのに
引きこもって勉強ばっかりだなんて不健康極まりない!!
やっと子供らしい表情になったハリーと子供と同レベルで遊んでるヒナタを
ロンは窓から微笑みながら見守っていた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。


明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる