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18話 始まり3
しおりを挟む俺は変異種のゴブリンを正面から見据える。
「ただのバケモンじゃねぇーか!どうやって勝てって言うんだよ!」
「グギャア!」
俺の気持ちなど関係なしに、変異種のゴブリンが近づいてくる。そして俺との距離が近づくと、手に持つ棍棒を振り上げた。
「やば!」
俺はすぐに変異種のゴブリンから距離を取る。変異種のゴブリンは、そんなことおかまいなしに、棍棒を振り下ろす。
ドゴォーン!!
「ッ!ぐっ!嘘だろ!」
その棍棒は地面を粉砕し、砕け散った床の破片が辺りに飛ぶ。それを予測していなかった俺は、まんまとその破片を体に受けてしまう。
「ぐっ!なんて馬鹿力だよ。こんなの一度くらったら終わりじゃねーか!」
変異種ゴブリンは更に俺に対して追撃を仕掛けてくる。
ブォン!ドゴォーン!ドォン!
棍棒が空を切る音や地面や壁に当たる音、そのどれもが俺に致命傷を与えるのに十分なため、避ける動作ひとつひとつに神経をどんどん削られていく。
「くそ、このままじゃジリ貧だ!俺から仕掛けねぇーと!」
俺は避けるだけだった行動を、変異種ゴブリンを狩るための行動へと切り替える。
「行くぞ!」
変異種ゴブリンとの距離を詰める。
「グギャア!」
そんな俺を見た変異種ゴブリンは、威嚇の声を上げる。
「くっ!なんて圧だ!」
普段相手しているゴブリンの威嚇の声を聞いた時の圧とは比べ物にならないほどの圧が俺の身を襲う。
「ッ!あぶねぇー!」
変異種ゴブリンの圧を受け、体が少し硬直した瞬間を狙い、俺に棍棒が迫る。俺はそれを身を投げ出すことで回避する。
「はぁはぁ、一撃貰うと終わりだ。だが、避けてばっかりでも、俺の体力が尽きる。はっ!無理ゲーだな。だがよ、諦めるわけにはいかねーんだ」
俺は、振り回される棍棒を紙一重で交わしながら距離を詰める。そして、俺の攻撃が変異種ゴブリンの体へと届く。
ガキィーン!
「ッ!なんだこの硬さは!?」
俺の攻撃は変異種ゴブリンへと届いた。、、、届いたが、俺の持つサバイバルナイフは変異種ゴブリンの皮膚を傷つける事は出来なかった。
「グギャア!」
攻撃は通らなかったものの、攻撃をされた事に気付いたのか、変異種ゴブリンは怒りの表情を浮かべた。
「くっ!ぐぁ!!」
怒った変異種ゴブリンの攻撃は、ただただ怒り任せに棍棒を振るい、息つく間もなく俺に襲いかかる。変異種ゴブリンに攻撃が通らないと分かってしまった俺の心はすでに折れそうで、その中襲いかかる棍棒を最初の数度は避けることができたが、とうとう一撃を貰ってしまった。
変異種ゴブリンの棍棒での攻撃の威力は凄まじく、俺の体はトラックに跳ねられたかの様な衝撃と共に、10メートルは飛ばされる。
「ぐっ!くぅ、や、やばい」
全身襲いかかる痛みに苦しみながらも、頭の中に浮かび上がる死の文字が、思考を加速させる。
名前 四ノ宮 翔
レベル0→4→12 職業 ハンター (AGI+5 DEX+5)
HP10/210 MP0/0
STR 1 VIT 1 AGI 1
DEX 1 INT 1
ー状態ー
呪い
ースキルー
ー称号ー
呪われた子 スライムハンター
ゴブリンスレイヤー
「う、、、、10?」
俺は自分の残りの体力を見て、体から力が抜けていくのを感じた。
そして俺の事を追っているのか、重い足音が俺の方に迫ってきていることも感じていた。
「はは、俺もここまでかよ。こんなクソみたいな人生にも何か意味はあったんだろうか?」
俺の視界の端で、変異種ゴブリンが棍棒を振り上げているのが見える、俺の死がどんどん近づいていく。
「1つ気掛かりなのは、悠人との約束を破ることだな。あいつには申し訳ない事をしたなっっっ!」
俺の言葉を遮る様に、変異種ゴブリンの棍棒が俺の体を襲う。
ドガァーーーン!グチャッ!
凄まじい音と共に、俺の体が潰れる音が周囲に轟く。
「グギャッギャッギャ!」
俺が死んだ事を確信したのか、変異種ゴブリンが機嫌良さそうに笑う。
そして俺への興味が尽きたのか、のさのさと俺のいた場所とは違う場所へと歩き出す。
「グギャ?」
変異種ゴブリンが歩き出した時、俺の体には魔力が集まっていた。
(反転)
この一つの言葉が、俺の現代ダンジョンでの成り上がりの始まりだった。
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