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14話 vsスライム
しおりを挟む「近くにゴブリンやスライムはいないな」
念の為、足音を立てずに階段を降り、一層へと降り立った俺は周囲を確認し、近くにゴブリンやスライムがいない事を確認した。
「スライムはどこにいるかな?」
前回来た時は、ゴブリンを見つけ、すぐに撤退したため、スライムとは出会わなかった。
「スライムは物陰や湿ったところにいると魔物図鑑に書いてあった。だからこっちだな」
俺は一層の中でも、いくつかの岩がある場所に向かい歩き出す。その際も足音が出ない様最新の注意を払う。手には、市販で売られている様なサバイバルナイフを握っている。
「、、、、!見つけた」
岩陰をゆっくり見てまわっていくと、ある一つの岩の裏にスライムが1匹いるのを見つけた。そのスライムは、体から5本の触手を伸ばし、ゆらゆらと揺らしている。
スライムは目がなく、代わりに周囲に広げている触覚で自分の居場所や相手の居場所を捉えるらしい。
(あの触手に捕まらない様にしないとな)
スライムから伸びている触手は、センサーとしての役割だけでなく、その表面からは相手を徐々に麻痺状態にする粘液が出ているため、あの触手に捕まると、俺なんかは一発ゲームオーバーとなる。
強い冒険者になるとスライムの麻痺如きじゃ、痺れることもなく、仮に捕まったとしても振り切れるため、特に脅威ではないらしいが、俺に麻痺は効くし、触手を振り解くことも出来ない。
俺は触手のギリ届かない場所まで移動する。
(ゆっくりいっても触手に捕まる危険性が高まるだけ、素早くかつ的確にスライムのコアを潰す)
スライムの倒し方は簡単、スライムの体の中央にある核を潰したら終わりだ。その際ファンタジー世界にいるスライムのほとんどが持つ、溶解の能力の有無はどうなのかとなるが、現代スライムには金属を溶かす能力はないらしい。
そのため俺は安心して、自分の持つサバイバルナイフで核を潰すことができる。
(よし、いくぞ。俺の正面にある触手間の隙間が最大限開いた瞬間に行く。、、、、、、、、、、、今だ!)
時期を見計らい、俺の中での最大のスピードを用いてスライムとの距離を縮め、的確にスライムの核に向かってサバイバルナイフを刺す。
「ピキュー」
振り下ろしたサバイバルナイフは、俺の狙い通りスライムの核を貫く
(ッ!意外と抵抗感があるな!)
それと同時にスライムが鳴き声を上げつつ、地面に溶けていった。その後を見ると、赤黒い小さい結晶の様な物が落ちていた。俺はそれを拾う。
(これが魔石か。初めての魔石だ。、、、っあ!ここが危険なダンジョンの中だということを忘れるところだった!今のスライムの鳴き声を聞かれてたかもしれない。早くここから離れるか)
魔石を拾った俺は、素早くその場から移動しつつも、次のスライムを探してまた歩く。何かあった時のために、なるべく入り口から離れない様、円弧を描く様に移動しつつ、スライムを探す。
「ギャギャア」
スライムを探す間もゴブリンを何回か見かける。
(スライムよりもゴブリンの方が多くいるのか?)
最初のスライムを倒してから、少しして次のスライムを見つけた。
「よし、魔石ゲットだ」
前回と同じ様にスライムを倒、魔石を手に入れる。そこからもゴブリンに気をつけながら、スライムをどんどん狩っていく。
(ステータスは何倍にも離れているけど、意外と倒せるんだな、この感じならゴブリンもやれるんじゃないか?)
スライムを10匹倒した時、このままゴブリンを倒すことができるんじゃないかと考えた俺は、ゴブリンを探すことにした。
ゴブリンはスライムよりも多く見かけていたため、すぐに見つかる。
「グギャア」
幸いなことに見つけたゴブリンは1匹でいたため、初めて狩る相手として定める。
(いくらスライム相手に勝てたからって、ゴブリンも同じとは限らない。それに俺の武器は魔力の籠っていないサバイバルナイフだ。油断するな)
ゴブリンが俺とは反対方向を向くまで待つ。理想は気付かれずにゴブリンに近づき、その首元にナイフを突き立てる事だ。ゴブリン自体は、誰かと争う機会が少ないのか、油断しきっている。
(!向こうを向いた!やるなら今だ)
ゴブリンが反対方向を向いた瞬間、俺は隠れていた岩陰から動き出し、ゴブリンとの距離を詰めていく。
どんどん距離を詰めていく。ゴブリンとあと少しとなったところで、俺はゆっくり歩いていた所から少し勢いをつけてゴブリンへと近づき、その首元におもいっきりサバイバルナイフを突き立てる。
(!普通ならすっとナイフが刺さるはずなのに抵抗がある!これが魔力が籠ってない武器への抵抗か!)
スライムの時よりも強い抵抗感を感じるとともに、視界にはゴブリンからシールドの様なものが発生しているのが見え、ゴブリンの身を守る。しかし、俺は抵抗に抗う様にサバイバルナイフに体重を乗せると、シールドを超え、ズブリとゆっくりゴブリンの首にサバイバルナイフが突き刺さった。
「グギャア!」
ゴブリンは最後の断末魔を上げ、消えていった。その後に残ったのは、スライムより若干大きいか?と思えるほどの魔石だった。
ゴブリンの声を聞きつけ、次のゴブリンが来ないとは限らないので、俺はその場を離れ、岩陰に身を隠す。
「はぁはぁ」
(流石に緊張したな。スライムの時はあんなシールドなかったのに、ゴブリンはあのシールドで守られてた。だが、瞬間的な防御は優れていそうだが、長期的な防御は苦手そうだった。だからさっきやった様にゆっくり体重をかければいけるな。それに俺でもゴブリンを狩れたんだ!まだまだ悠人に追いつくには程遠いが、少しずつでも進んでる!)
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