上 下
2 / 73

2話 現代ダンジョン2

しおりを挟む

ダンジョンは、いくつもの層によって成り立っているが、その層の数はダンジョンによって異なる。

一層しかないダンジョンあれば、最奥が確認されていないほど深いダンジョンもある。またその一つ一つの層の大きさも、ダンジョンによって様々で、同じダンジョン内でも様々な場合がほとんどだ。

そして確認されたダンジョンの最奥には、1つの大きな水晶が浮いている。その存在は、後にダンジョンコアと呼ばれるが、その存在を壊すと、ダンジョンは跡形もなく壊れ、ダンジョンのあった場所は更地となってしまうらしい。

ダンジョンには多くの資源があるため、この事実が分かると、ダンジョンコアを壊すことは法律によって禁止とされる。

ダンジョンにある資源の大部分というか、メインとなるのは魔物から取れる魔石が挙げられる。

魔石は多くのもののエネルギーの代わりとなることが分かった。その中には枯渇しかけていた石油の代わりとなるといったものがある。また魔石を使った、魔道具と呼ばれる存在の誕生も大きい。

他には、ダンジョン内に存在する金属や新しい植物(薬草など)、魔物の素材など、ダンジョンの中には多くの資源が存在することがわかり、これは地震によって多大な被害を受けた全世界にとって、不幸中の幸いと呼べる物だった。

そしてこれにより、ダンジョンに潜る需要が生まれた。初めは自衛隊によって行われていたダンジョンの探索も、次第にその役目が一般人によって成り立つようになっていく。

ここで普通の人なら疑問を感じるだろう。自衛隊の銃を用いてでも倒すのがやっとだった魔物を、一般の人が倒せるのか?というものだ。

まず一般人が魔物を倒せるようになる経緯の出発点となるのは、ステータスの確認が挙げられるだろう。

日本の政府が、現代にダンジョンが誕生したと全世界に発信した後、その情報を得た人が、現代にダンジョンが生まれたなら、俺たちにも何か特別な力が発現したんじゃないかと考え、その力が見れるようにステータスも見れるんじゃないかもと考えたのがきっかけらしい。

ダンジョンなどがない現代なら、こんなの馬鹿の考えだとされるだろうが、ダンジョンが生まれた現代では、そう考えても不思議ではなかったし、実際にステータスが見れてしまった。

ステータスは心の中や言葉にして、ステータスと言うと見ることができる。ステータスは自分自身にしか見ることは出来ない。

名前 ー レベル1
職業 サラリーマン

HP100/100  MP0/0

STR 3 VIT 3 AGI 3
DEX 5 INT 2

ースキルー
ー称号ー

ステータスには上記の様な内容が反映される。

HPはヒットポイントつまり体力だ。これが0になると死んでしまう。
MPはマジックポイント、魔力量を表す。STRは攻撃力 VIT は防御力
AGI は俊敏さ DEX は器用さ INTは知力を表す。知力を表すと言っても、頭の良さとは関係ないらしく、この値が高いと魔法の力が強いという結果が出た。

ステータスが見える様になったことで、特別な技能をもつ人が、全世界でも報告されるようになった。そしてそういった人のもつ技能を使って、魔物と戦わせてみると、なんとゴブリンを瞬殺出来たみたいだ。

これにより、日本の政府は銃器を持つ自衛隊ではなく、特別な技能を持つ一般人に、ダンジョンでの探索を依頼する様になっていく。

そして後にダンジョンを探索する人達を冒険者と呼ぶ様になっていった。

またそういった技能は、先天性のものもあれば、レベルをあげることで発現するものもある。

こうして現代では異物だったはずのダンジョンが、徐々に現代社会に溶け込んでいき、当たり前のものになるのにそう時間は掛からなかった。

時間がかからなかった原因の一つとして、地震によって多くの建物が壊れて、流され、ダンジョン周りの土地が空いたことにより、その場所を政府が買取、冒険者ギルドが建てられたことで、多くの人の常識にダンジョンが組み込まれたのもある。

また、ダンジョンの探索では利用価値の高い物が多く存在し、それを得ることができるため、危険はあるがメリットもあることが分かり、職業冒険者が意外にも人気の職業となったのも大きいと思う。



こうしてダンジョンという存在が当たり前になり、各地にダンジョンや冒険者ギルドが存在し、多くの冒険者が存在する様になった今の日本で、俺四ノ宮翔は16歳、高校生をやっている。

法律でいくら稀なスキルを持っていたとしても、16歳以下はダンジョン探索が出来ないとされている。つまり16歳以上となる高校生の中には、冒険者として大金を稼いでいる奴もいるということだ。そしてそういうやつは大抵モテる。

そりゃそうだ、いつの時代も稼ぐやつがモテる。だから昔までは顔がいいやつとか、運動ができるやつとかがモテていたが、今では冒険者をやっている奴が1番モテるんだ。

今の高校生社会の中で形成されるスクールカーストは、ステータス値が高いやつが上、低いやつが下、分かりやすい。

ちなみに俺は冒険者ではない。理由は単純、スキルに秀でた物がなく、ステータスが低いためだ。

「はー、こんなのってあるかよ」

俺は自分の通う高校の教室にある席に座りながらそう呟いた。










しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

世界中にダンジョンが出来た。何故か俺の部屋にも出来た。

阿吽
ファンタジー
 クリスマスの夜……それは突然出現した。世界中あらゆる観光地に『扉』が現れる。それは荘厳で魅惑的で威圧的で……様々な恩恵を齎したそれは、かのファンタジー要素に欠かせない【ダンジョン】であった! ※カクヨムにて先行投稿中

落ちこぼれの烙印を押された少年、唯一無二のスキルを開花させ世界に裁きの鉄槌を!

酒井 曳野
ファンタジー
この世界ニードにはスキルと呼ばれる物がある。 スキルは、生まれた時に全員が神から授けられ 個人差はあるが5〜8歳で開花する。 そのスキルによって今後の人生が決まる。 しかし、極めて稀にスキルが開花しない者がいる。 世界はその者たちを、ドロップアウト(落ちこぼれ)と呼んで差別し、見下した。 カイアスもスキルは開花しなかった。 しかし、それは気付いていないだけだった。 遅咲きで開花したスキルは唯一無二の特異であり最強のもの!! それを使い、自分を蔑んだ世界に裁きを降す!

ダンジョン世界で俺は無双出来ない。いや、無双しない

鐘成
ファンタジー
世界中にランダムで出現するダンジョン 都心のど真ん中で発生したり空き家が変質してダンジョン化したりする。 今までにない鉱石や金属が存在していて、1番低いランクのダンジョンでさえ平均的なサラリーマンの給料以上 レベルを上げればより危険なダンジョンに挑める。 危険な高ランクダンジョンに挑めばそれ相応の見返りが約束されている。 そんな中両親がいない荒鐘真(あらかねしん)は自身初のレベルあげをする事を決意する。 妹の大学まで通えるお金、妹の夢の為に命懸けでダンジョンに挑むが……

クラス転移でハズレ職を押し付けられた『ガチャテイマー』、実は異世界最強 〜俺だけ同じ魔物を合成して超進化できる〜

蒼月浩二
ファンタジー
突然高校のクラス丸ごと異世界に召喚され、一人に一つ職業が与えられた。クラス会議の結果、旭川和也はハズレ職である『ガチャテイマー』を押し付けられてしまう。 当初は皆で協力して困難を乗り越えようとしていたクラスだったが、厳しい現実を目の当たりにすると、最弱の和也は裏切られ、捨てられてしまう。 しかし、実は最弱と思われていた『ガチャテイマー』は使役する魔物を《限界突破》することで際限なく強化することのできる最強職だった! 和也は、最強職を駆使して無限に強くなり、いずれ異世界最強に至る。 カクヨム・なろうで クラス転移でハズレ職を押し付けられた『ガチャテイマー』、《限界突破》で異世界最強 〜★1魔物しか召喚できない無能だと思われていたが、実は俺だけ同じ魔物を合成して超進化できる〜 というタイトルで連載しているものです

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

俺だけ展開できる聖域《ワークショップ》~ガチャで手に入れたスキルで美少女達を救う配信がバズってしまい、追放した奴らへざまあして人生大逆転~

椿紅颯
ファンタジー
鍛誠 一心(たんせい いっしん)は、生ける伝説に憧憬の念を抱く駆け出しの鍛冶師である。 探索者となり、同時期に新米探索者になったメンバーとパーティを組んで2カ月が経過したそんなある日、追放宣言を言い放たれてしまった。 このことからショックを受けてしまうも、生活するために受付嬢の幼馴染に相談すると「自らの価値を高めるためにはスキルガチャを回してみるのはどうか」、という提案を受け、更にはそのスキルが希少性のあるものであれば"配信者"として活動するのもいいのではと助言をされた。 自身の戦闘力が低いことからパーティを追放されてしまったことから、一か八かで全て実行に移す。 ガチャを回した結果、【聖域】という性能はそこそこであったが見た目は派手な方のスキルを手に入れる。 しかし、スキルの使い方は自分で模索するしかなかった。 その後、試行錯誤している時にダンジョンで少女達を助けることになるのだが……その少女達は、まさかの配信者であり芸能人であることを後々から知ることに。 まだまだ驚愕的な事実があり、なんとその少女達は自身の配信チャンネルで配信をしていた! そして、その美少女達とパーティを組むことにも! パーティを追放され、戦闘力もほとんどない鍛冶師がひょんなことから有名になり、間接的に元パーティメンバーをざまあしつつ躍進を繰り広げていく! 泥臭く努力もしつつ、実はチート級なスキルを是非ご覧ください!

神速の冒険者〜ステータス素早さ全振りで無双する〜

FREE
ファンタジー
Glavo kaj Magio 通称、【GKM】 これは日本が初めて開発したフルダイブ型のVRMMORPGだ。 世界最大規模の世界、正確な動作、どれを取ってもトップレベルのゲームである。 その中でも圧倒的人気な理由がステータスを自分で決めれるところだ。 この物語の主人公[速水 光]は陸上部のエースだったが車との交通事故により引退を余儀なくされる。 その時このゲームと出会い、ステータスがモノを言うこの世界で【素早さ】に全てのポイントを使うことを決心する…

処理中です...