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2話 現代ダンジョン2
しおりを挟むダンジョンは、いくつもの層によって成り立っているが、その層の数はダンジョンによって異なる。
一層しかないダンジョンあれば、最奥が確認されていないほど深いダンジョンもある。またその一つ一つの層の大きさも、ダンジョンによって様々で、同じダンジョン内でも様々な場合がほとんどだ。
そして確認されたダンジョンの最奥には、1つの大きな水晶が浮いている。その存在は、後にダンジョンコアと呼ばれるが、その存在を壊すと、ダンジョンは跡形もなく壊れ、ダンジョンのあった場所は更地となってしまうらしい。
ダンジョンには多くの資源があるため、この事実が分かると、ダンジョンコアを壊すことは法律によって禁止とされる。
ダンジョンにある資源の大部分というか、メインとなるのは魔物から取れる魔石が挙げられる。
魔石は多くのもののエネルギーの代わりとなることが分かった。その中には枯渇しかけていた石油の代わりとなるといったものがある。また魔石を使った、魔道具と呼ばれる存在の誕生も大きい。
他には、ダンジョン内に存在する金属や新しい植物(薬草など)、魔物の素材など、ダンジョンの中には多くの資源が存在することがわかり、これは地震によって多大な被害を受けた全世界にとって、不幸中の幸いと呼べる物だった。
そしてこれにより、ダンジョンに潜る需要が生まれた。初めは自衛隊によって行われていたダンジョンの探索も、次第にその役目が一般人によって成り立つようになっていく。
ここで普通の人なら疑問を感じるだろう。自衛隊の銃を用いてでも倒すのがやっとだった魔物を、一般の人が倒せるのか?というものだ。
まず一般人が魔物を倒せるようになる経緯の出発点となるのは、ステータスの確認が挙げられるだろう。
日本の政府が、現代にダンジョンが誕生したと全世界に発信した後、その情報を得た人が、現代にダンジョンが生まれたなら、俺たちにも何か特別な力が発現したんじゃないかと考え、その力が見れるようにステータスも見れるんじゃないかもと考えたのがきっかけらしい。
ダンジョンなどがない現代なら、こんなの馬鹿の考えだとされるだろうが、ダンジョンが生まれた現代では、そう考えても不思議ではなかったし、実際にステータスが見れてしまった。
ステータスは心の中や言葉にして、ステータスと言うと見ることができる。ステータスは自分自身にしか見ることは出来ない。
名前 ー レベル1
職業 サラリーマン
HP100/100 MP0/0
STR 3 VIT 3 AGI 3
DEX 5 INT 2
ースキルー
ー称号ー
ステータスには上記の様な内容が反映される。
HPはヒットポイントつまり体力だ。これが0になると死んでしまう。
MPはマジックポイント、魔力量を表す。STRは攻撃力 VIT は防御力
AGI は俊敏さ DEX は器用さ INTは知力を表す。知力を表すと言っても、頭の良さとは関係ないらしく、この値が高いと魔法の力が強いという結果が出た。
ステータスが見える様になったことで、特別な技能をもつ人が、全世界でも報告されるようになった。そしてそういった人のもつ技能を使って、魔物と戦わせてみると、なんとゴブリンを瞬殺出来たみたいだ。
これにより、日本の政府は銃器を持つ自衛隊ではなく、特別な技能を持つ一般人に、ダンジョンでの探索を依頼する様になっていく。
そして後にダンジョンを探索する人達を冒険者と呼ぶ様になっていった。
またそういった技能は、先天性のものもあれば、レベルをあげることで発現するものもある。
こうして現代では異物だったはずのダンジョンが、徐々に現代社会に溶け込んでいき、当たり前のものになるのにそう時間は掛からなかった。
時間がかからなかった原因の一つとして、地震によって多くの建物が壊れて、流され、ダンジョン周りの土地が空いたことにより、その場所を政府が買取、冒険者ギルドが建てられたことで、多くの人の常識にダンジョンが組み込まれたのもある。
また、ダンジョンの探索では利用価値の高い物が多く存在し、それを得ることができるため、危険はあるがメリットもあることが分かり、職業冒険者が意外にも人気の職業となったのも大きいと思う。
こうしてダンジョンという存在が当たり前になり、各地にダンジョンや冒険者ギルドが存在し、多くの冒険者が存在する様になった今の日本で、俺四ノ宮翔は16歳、高校生をやっている。
法律でいくら稀なスキルを持っていたとしても、16歳以下はダンジョン探索が出来ないとされている。つまり16歳以上となる高校生の中には、冒険者として大金を稼いでいる奴もいるということだ。そしてそういうやつは大抵モテる。
そりゃそうだ、いつの時代も稼ぐやつがモテる。だから昔までは顔がいいやつとか、運動ができるやつとかがモテていたが、今では冒険者をやっている奴が1番モテるんだ。
今の高校生社会の中で形成されるスクールカーストは、ステータス値が高いやつが上、低いやつが下、分かりやすい。
ちなみに俺は冒険者ではない。理由は単純、スキルに秀でた物がなく、ステータスが低いためだ。
「はー、こんなのってあるかよ」
俺は自分の通う高校の教室にある席に座りながらそう呟いた。
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