きっと

ルビー

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第2章

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 救急車は、3人を乗せて病院へむかった。
 
 「カイ、ショウジさん何か言ってた。」
「何か・・・。千秋ちゃんに近づくとこんな目にあうって。」
「どういう意味。」
「わからない。あの人ショウジさんっていうんだ。あの人の、何か恐怖を訴えるような目が忘れられない。」
「私の家、今日は、おばあちゃんしかいないの。私は、おばあちゃんに言ってくる。カイは、お父さんの服持ってくるから着替えて。ハルが何処の病院に運ばれたか聞いたから。」
「うん。」

カイは、あすなから服を受け取り、あすなは、おばあちゃんのいる部屋へ走っていった。
あすなの部屋に戻る途中、金魚が全て何も無かったかのように、優雅に泳ぐ姿を見て、カイは、驚きと、恐怖と、何分か前までは、この優雅な庭で金魚をあすかちゃんが見てて・・・。と思うと、涙が流れた。


「おばあちゃん、ハルが千秋に刺されて救急車で病院に運ばれたのね。私とカイも、ハルが心配だから、付き添いしたいから、今から病院に行くから。」
「さっき、外が騒がしいと思ったけど、大変な事になったね。昔も、そんな事があったんだよ。確か、呉服屋のお嫁さんが友達を殺していくんだよ。そりゃ、怖かったよ。この静かな町に起きた悲劇だったからね。」
「刺された人の中に生きている人いるの。」
「さぁ。今日は、危ないから付き添いは、明日。」
「おばあちゃん、お願い。行かせて。」
「あすな、おばあちゃんに、お友達を紹介しなさい。」
「はぁい。」
カイは、服に着替えると、庭にいる金魚を見てこころを沈めるのでした。

 高校の入学式、色白のとても綺麗な人が校門の、桜舞い散る中ハルトが来るのを待っている。その姿の美しさは、カイのこころの時計を止めて、気がつくと、ずっとハルトが来るまで、見惚れていたのだ。あの日から、ずっと、あすなに心を寄せていた。ハルトには、言わず。
今日の告白の成就は、カイには、忘れられない日になるはずだったのに、別の意味でも、忘れられない日になったのだ。

 「あっ、カイ。庭にいたの。おばあちゃんが、今日は、行ったらダメっていうのよ。明日にしなさいって。私が呼んでも、返事もしないハルを見たの初めてなの。何か怖い。」
カイは、優しくあすなを抱きしめた。
涙を流すあすなは美しく、カイの心の中で、刺されたのがあすなじゃなくて良かったと思ってしまう自分自身が、恐ろしくなるのでした。
「あのね、おばあちゃんが、カイを紹介しなさいって。来て。」
「うん。」
あすなのおばあちゃんの部屋は、中庭が見える綺麗なところでした。
「いつも、あすなと仲良くして頂いてありがとうございます。今日は、もう少しで1時になるから泊まって行って下さい。お家の方に連絡して下さいね。客間にお布団を敷いておきますね。お腹は空いていませんか。ハルト君は、明日、お見舞いに伺いなさい。もう少しで、お父さんと、お母さんが町内会から帰って来て、多分、病院に行くと思うから。お母さんがいいって言ったら、一緒に行けばいいと思うけどね。明日休みでよかったわね。」
「私が、何か作るからおばあちゃんは、寝てて。」
「冷蔵庫の中に、晩御飯のおかずが入ってるから。」
「うん。ありがとう。」
2人は、晩御飯を食べながら、あすなの両親の帰りを待つのでした。

 夜中の2時30分頃、あすなの両親は、家に帰って来て、ハルトの家の事件を知った。
「貴方、早く、病院に連れてって。あすな達は、夜が明けてからにしなさい。もう、千秋さんとは、遊ばないでね。」
あすなの両親は、急いで病院に向かうのでした。





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