上 下
2 / 46

骸骨さん達との出会い

しおりを挟む
 気絶した瑠璃を見つめる、骸骨2人。

「あらあら、気絶しちゃったわね。」
「そうだねぇ。僕たちを見て気絶したってことは異世界人かな? パニックになって攻撃してきたら困るね。」
「じゃ、縄でぐるぐる巻いちゃいましょ。この子が落ち着いたらこの世界について説明してあげたら良いわ。」
「そうしよう。そうだマリー、きっとお腹が空いているだろうから僕はご飯を作ってくるよ。」
「レオのご飯は美味しいから喜ぶわね。私はこの子が泊まってもいいように、部屋の準備をしておくわ。」

 骸骨たちにぐるぐる巻きにされ荷物と一緒にベットで寝かされていると、暫くして美味しそうな香りが漂ってきた。
 美味しそうな香りに気が付いて目を開けると、ぐるぐる巻きにされてベッドに寝かされている状態。骸骨を見て気絶をしたことを思い出し、パニックになり叫ぼうとするが、恐怖のあまり声が出ない。
 そこに、様子を見にマリーがやってきた。
「気が付いたのね。私はマリー、よろしくね! 
 知らない人だったから安全の為、少し縛らせてもらったの。怯えないで大丈夫よ、危害を加えるなら気絶してる間にやってるから。そもそも家に入れないし。
 まず、私たちの事から説明するわ。その後であなたのことを聞かせてほしいの。
大丈夫なようなら、私のパートナーのレオを呼ぶけれど良いかしら?」

 目を細くしてマリーを睨み、警戒するような表情をしていた瑠璃。
「確かに、安心はできないけれど危害を加えるなら気絶した間にしているわね。よく見ると優しく微笑んでいるみたいだわ。ちょっと可愛いくも見えてきた。」
 パニックなのか小声で呟いている事に気が付いていな瑠璃は、落ち着いてきたのかマリーに大丈夫だと告げて頷いた。

 瑠璃の呟きを聞いて目元と口元の骨が横に動き、少し照れた様な骨の動きをしたマリー。瑠璃が頷くのを確認するとレオを呼ぶ。
「レオ―、彼女気がついたわ。落ち着いてるし説明をしたいから、こっちに来てくれない?」
「すぐ行くよ、マリー。」
  マリーに呼ばれてレオがやってきた。骸骨2体目だ。
「初めまして、僕はレオ。よろしくね。」
 こちらは男性の骸骨のようで、マリーより少し骨が大きいようだ。骨と服だけなのに明るく優しそうな雰囲気を感じさせる。
「初めまして、瑠璃と言います。よろしくお願いします。」
 落ち着いている瑠璃を見て、話し始めるマリー。
「私達はこの森で暮らしている夫婦なの。この森の中心地にはエルフ族の国があるわ。
後は数人の骸骨仲間が近所で暮らしているわね。
 エルフ族は他種族との交流を好まないから、私達は同じ国には暮らしていないの。」

 骸骨が話している時点で、自分のいた世界ではないんだろうなと思っていたのか、特に驚く様子は見えない瑠璃。何か考え込んでいる。そんな瑠璃を見ていた2人は少し意外そうな声で話す。
「落ち着いているんだね。違う世界から来たんだから、もっと驚くかと思ったんだけど・・・・・・。」
 感心しているように言うレオ。その隣で頷くマリー。レオの言葉を聞いて驚いたように瑠璃は質問した。
「え。 どうして異世界から来たって分かったんですか?」
「見たことのない袋や物を持っていたからね。」
 そう言って、スマホやマイバックを見つめるレオ。異世界から来た事がばれていると知って動揺している瑠璃。
「異世界から来たからと言って、危害を加えたりはしないわ。縄もほどいてあげたいし、続きはご飯を食べてからにしましょう。
 レオがご飯を作ってくれたの。彼のお料理はどれもとっても美味しいの。」

「そうだった、このぐるぐる巻きをほどいてもらいたいです。お腹もすいてきたし、異世界のご飯を私が食べられるのか確認したいですし、お願いします。」
 マリーが縄をほどいている間に、レオがテーブルにご飯を並べてくれている。
「今日は、パンとスープ、蒸し鶏サラダです。」
 瑠璃の世界と変わらなそうな食事が並んでいる。
「異世界でも普通にご飯が食べられそうです。食事事情が同じで良かった。美味しそう、ありがとうございます。」
「いえいえ。口に合うと良いんだけれど。」
「では、いただきます。」
 料理をおいしそうに食べる瑠璃。瑠璃がちらりと見るとレオとマリーも不思議な事に普通に食べていた。口の中に食べ物が入ると食べ物が消えている。
「気に入ってもらえて安心したよ。お茶とデザートの準備をしてくるよ。」
「レオが戻ってきたら、説明を始めるわね。」
「はい。」
 レオがお茶とお菓子をテーブルに並べて、マリーの隣に座る。
「では、この世界について説明していくわね。」
「はい、お願いします。」
 瑠璃は真剣な顔で頷いた。 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

超常戦記~世界を滅ぼすほどの愛を

赤羽こうじ
ファンタジー
 身体能力が飛躍的に進化した人類。超常的な力を手に入れ魔法が飛び交う世界でセントラルボーデン国家が覇権を握っていた。  そんなセントラルボーデンの中で軍務にあたるジョシュア・ゼフ少尉は初陣でシエラと名乗る美しい女性と出会い、『この世界を滅ぼす』と宣言する男アナベルと出会う。  圧倒的なアナベルの力の前に為す術なく敗れたジョシュアをシエラが優しく包み込む。  一方アナベルは組織を率いてセントラルボーデン国家に対して、ひいては世界に対して宣戦を布告した。  何としてももう一度再戦しリベンジを遂げたいジョシュアは、その身を戦場へと投じていく。  そんなジョシュアを傍らで見守りながら自らも戦場を駆け巡る美しき女性ウィザード、セシル・ローリエ少尉。  天才と呼ばれたジョシュアとセシルはアナベルの暴挙を阻止出来るか?そして、そんなジョシュアを見つめるシエラは何を思う?  更に繰り広げられる戦いの裏でひしめく権力闘争。  果たして裏で糸を引く者はいるのだろうか?それともこれが世界の流れなのだろうか?  時を見定めるかのようにこの戦いを見つめる者は静かに笑った。  長編異能バトル。始まりの第一章。

【鬼シリーズ:第一弾】鬼のパンツ

河原由虎
ファンタジー
自分のパンツに誇りを持っている赤鬼。 突然飛ばされた未来で衝撃の事実を知る。 節分のお題で思いつき書きましたー! 表紙はミドリさんのステキな鬼さんをお借りしています(^^)! きゃーかっこいぃー! リアルタイム執筆更新で2/1から書き始め、2/4の0時0分に完結! 【鬼シリーズ】 2022年 『鬼のパンツ』 2023年 『青鬼のパンツ』 2024年 ※この作品は、なろうにも掲載されます。

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

雨上がりに僕らは駆けていく Part1

平木明日香
恋愛
「隕石衝突の日(ジャイアント・インパクト)」 そう呼ばれた日から、世界は雲に覆われた。 明日は来る 誰もが、そう思っていた。 ごくありふれた日常の真後ろで、穏やかな陽に照らされた世界の輪郭を見るように。 風は時の流れに身を任せていた。 時は風の音の中に流れていた。 空は青く、どこまでも広かった。 それはまるで、雨の降る予感さえ、消し去るようで 世界が滅ぶのは、運命だった。 それは、偶然の産物に等しいものだったが、逃れられない「時間」でもあった。 未来。 ——数えきれないほどの膨大な「明日」が、世界にはあった。 けれども、その「時間」は来なかった。 秒速12kmという隕石の落下が、成層圏を越え、地上へと降ってきた。 明日へと流れる「空」を、越えて。 あの日から、決して止むことがない雨が降った。 隕石衝突で大気中に巻き上げられた塵や煤が、巨大な雲になったからだ。 その雲は空を覆い、世界を暗闇に包んだ。 明けることのない夜を、もたらしたのだ。 もう、空を飛ぶ鳥はいない。 翼を広げられる場所はない。 「未来」は、手の届かないところまで消え去った。 ずっと遠く、光さえも追いつけない、距離の果てに。 …けれども「今日」は、まだ残されていた。 それは「明日」に届き得るものではなかったが、“そうなれるかもしれない可能性“を秘めていた。 1995年、——1月。 世界の運命が揺らいだ、あの場所で。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...