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ドレーブ家の事情
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ドレーブ公爵は、とても野心の強い人間だった。
子供達にもその性格は引き継がれ、長男アレクは第1王女の有能さと持っているコネの力に目を付けて部下として働いていたし、次男アークは公爵家の力を高める為に王弟の部下として働いていた。
カトリーナは貴族女性が結婚ではなくて、兄達のように執務を執り行えない事に不満を持ち、何とか自分の有能さを生かす道が無いかと模索していた。
子供達3人は互いの力を認め合っていたし、信頼もしていた。アレクもアークもカトリーナが王太子の婚約者候補になるまでは順調に出世の道を歩んでいた。
だが、カトリーナが候補となった事で、ドレーブ公爵が娘を王妃にしようとと野心をむき出しにして王太子を支持、他の婚約者候補の公爵家を牽制し始めた。
そして、アレクとアークは王太子派とみられ、距離を置きたい第1王女と王弟から、公爵家の辺境にある土地が荒れていて、犯罪者の巣窟になっているようだ。
次期公爵家の人間として立て直すようにと命じられた。
ドレーブ公爵があまりにも王太子を推した為、警戒した王女達による事実上の左遷だった。
2人は、自分達が努力して積み上げて手に入れた立場を、台無しにしたドレーブ公爵を憎んでいた。いくら公爵が推そうとも王太子は王の器ではなく、周囲も認めないだろう。
王太子に王は無理だと思っている2人は、早く立て直して帰らなければと思っている。そして自分達が帰ったら、ドレーブ公爵は隠居させるつもりだ。
「兄さん、カトリーナが手紙を出してきたよ。」
「初めてじゃないか、こちらに来てから。何かあったのか。」
「うん、それが最初の半分は、多分他人に見られた時の為だと思うんだけど。」
黙って手紙を渡す弟。受け取って読むと8枚中4枚目まで、びっしりとレティシアの事が書かれている。レティシアの交流会の事、護身術の提案、騎士団との訓練、バーナー伯爵に2人で言い返した事、レティシアの自分の交流会と薬草学先生復活の為のアドバイス、その後はレティシアへの褒め言葉が続いていた。
「レティシア嬢の凄さを教えたいのか、それともどちらかに勧めているのか。」
「レティシア嬢が、凄いのは分かったよ。さすがバレット家という感じかな。でも兄さん。ミーナ嬢の事も書いてあったでしょ。騎士になりたいって。」
「一言な。気にする必要がないんだろ。部下の報告でも良い話は聞かないしな。
カトリーナの方は順調そうだ、薬草と薬学の勉強も何とかなりそうだしな。いつ頃帰れるかって書いてあるけど、さっさと終わらせて帰れって事か。」
「自分の中等部入学前には帰ってこないと困るって。なんていうか、凄くはっきり要求するようになったよね。前は申し訳なさそうにお願いしてきたのに。」
「レティシア嬢のメイドの家族が誘拐された事件で家が疑われた件もあるし、ちょっと強引だが、早めに立て直すか。」
「そうだね、兄さんが公爵になったら、僕がここの領主になってキッチリと統治するよ。あっちと離れすぎていて、誰かいないと、ここすぐ乗っ取られそうだからな。」
「よし、兵を連れて夜のうちに奇襲攻撃で行こう。
犯罪者か確認したら雑魚は生かしても碌な事にならないから、全部殺して懸賞だけもらう。上の方は繋がりや外の拠点が知りたいからな。出来る限り生かして後で聴取だな。
奴らの財産は全部没収してこの領の立て直しに使うか。」
「いっそ家も全部取り壊しちゃおうよ、貴重品だけ民に持たせて、一か所で暫くテント暮らしでいいじゃん。どうせ、戦争とかあったらそうなるんだしさ。治安の悪い地域にいるんだから慣れてるでしょ。」
「そうだな、それでいこう。久々に暴れまくるぞ。ストレス発散―――。
あ、記録映像取るための魔道具もう仕掛け終わったか。」
「勿論。他人なんかに任せないで僕が自ら仕掛けたよ。やりすぎた兵士の処罰もするからね。」
「兵士は体力あるし、やりすぎるような奴は罰として強制労働させたいからな。
街壊れるだろうし、立て直すのに人手がいる。」
準備万端の2人、顔を見合わせて微笑み合う。
魔力探査で人の場所を探知し、逃げられないように要所に兵を配備。外にも兵達にぐるりと囲ませる。兵達には、民の女子供に手を出さなければ、好きなだけ暴れていいと話す。
空に魔法を打ち上げ合図を出し、奇声を叫びながら、先頭で突入するドレーブ兄弟。
家のドアを壊し中にいる人を捕まえて行く。騒ぎに築いた人達が家から出て来て、犯罪者も民も逃げようと、罵声や悲鳴が溢れる。彼方此方で、兵達の魔法が飛び、人が斬られて倒れて行く。 調子に乗ったのか一部の兵は家を叩き壊している。街は大混乱だった。
「民は避難所、はむかう奴は皆殺し―――。」
ドレーブ兄弟。声を響かせ駆け抜け、ついでに捕縛し斬りつけて行く。辺境領の周りを取り囲んだ兵士により、逃げてきた犯罪者は捕縛または殺されていく。
民と一部の犯罪者は、命がけで避難所へ向かう。
避難所へ入ると両脇を兵が囲んだ状態で、犯罪者達の絵が描かれた道を歩かされる。
犯罪者が逃げたり隠れたり襲おうとするが、兵達によってどんどんと捕まっている。
夜が明ける頃には、殆どの家が破壊され、沢山の犯罪者が殺された。犯罪者の大物はこれから聴取が待っている。
民は一度自分の家に帰る事が許され、貴重品を持ち、避難所のテントに戻ってきた。
戻った民は、食事の炊き出しに掃除を始める。兵達は街の警護と捕まえた犯罪者達の聴取に分かれ人数は減っていたが、民は昨日の恐怖が残っている為、誰も騒ぎを起こさず静かだった。
聴取で外の拠点が分かり、その日の夜には拠点2か所を壊滅させ、ボス以外は皆殺された。
犯罪者たちの資産はすべて没収し城の中へと運び込む。
領内の崩れた家を怖し瓦礫を運び出すと、農地、住宅街、学校、兵舎、商会、医療所、食堂等、必要な建物の土地を確保して建築が始まる。
住民達の登録をやり直し、住居の割り振りや職の斡旋等の公的手続きを行う。
公爵家という権力と資金に本人達の優秀な頭脳。
一気に街を壊して作り直し、領内を一新していったドレーブ公爵兄弟。
「兄さん、避暑地的な物はどうするの。カトリーナの手紙に書いてあったでしょ。」
「ああ、レティシア嬢が、辺境に新しく土地を生かした物を作れば、人々が遊びに行くんじゃないかって言ったってやつか。何が良いんだろうな。そういう流行りもの系は思い浮かばないから、土地だけ開けとくか。女性の方が詳しいだろ。」
「うん、僕も思い浮かばないよ。避暑地とか。俺達フォローしてくれる女性がいないから。」
「俺達もそろそろ、婚約を考えないといけないのにな。」
黙り込む2人。そのまま仕事に戻っていった。
立て直しの真っ最中の2人は忙しいのだ。
早く終わらせて、戻ったら公爵家代変わりだ。頑張る2人。
第1王女も王弟も、立て直してこいとは言ったけど戻ってくるなとは言ってない。
カトリーナの中等部入学より前に帰ってやると誓うドレーブ兄弟。
ドレーブ公爵を引退させるための準備も、同時に動きだした。
子供達にもその性格は引き継がれ、長男アレクは第1王女の有能さと持っているコネの力に目を付けて部下として働いていたし、次男アークは公爵家の力を高める為に王弟の部下として働いていた。
カトリーナは貴族女性が結婚ではなくて、兄達のように執務を執り行えない事に不満を持ち、何とか自分の有能さを生かす道が無いかと模索していた。
子供達3人は互いの力を認め合っていたし、信頼もしていた。アレクもアークもカトリーナが王太子の婚約者候補になるまでは順調に出世の道を歩んでいた。
だが、カトリーナが候補となった事で、ドレーブ公爵が娘を王妃にしようとと野心をむき出しにして王太子を支持、他の婚約者候補の公爵家を牽制し始めた。
そして、アレクとアークは王太子派とみられ、距離を置きたい第1王女と王弟から、公爵家の辺境にある土地が荒れていて、犯罪者の巣窟になっているようだ。
次期公爵家の人間として立て直すようにと命じられた。
ドレーブ公爵があまりにも王太子を推した為、警戒した王女達による事実上の左遷だった。
2人は、自分達が努力して積み上げて手に入れた立場を、台無しにしたドレーブ公爵を憎んでいた。いくら公爵が推そうとも王太子は王の器ではなく、周囲も認めないだろう。
王太子に王は無理だと思っている2人は、早く立て直して帰らなければと思っている。そして自分達が帰ったら、ドレーブ公爵は隠居させるつもりだ。
「兄さん、カトリーナが手紙を出してきたよ。」
「初めてじゃないか、こちらに来てから。何かあったのか。」
「うん、それが最初の半分は、多分他人に見られた時の為だと思うんだけど。」
黙って手紙を渡す弟。受け取って読むと8枚中4枚目まで、びっしりとレティシアの事が書かれている。レティシアの交流会の事、護身術の提案、騎士団との訓練、バーナー伯爵に2人で言い返した事、レティシアの自分の交流会と薬草学先生復活の為のアドバイス、その後はレティシアへの褒め言葉が続いていた。
「レティシア嬢の凄さを教えたいのか、それともどちらかに勧めているのか。」
「レティシア嬢が、凄いのは分かったよ。さすがバレット家という感じかな。でも兄さん。ミーナ嬢の事も書いてあったでしょ。騎士になりたいって。」
「一言な。気にする必要がないんだろ。部下の報告でも良い話は聞かないしな。
カトリーナの方は順調そうだ、薬草と薬学の勉強も何とかなりそうだしな。いつ頃帰れるかって書いてあるけど、さっさと終わらせて帰れって事か。」
「自分の中等部入学前には帰ってこないと困るって。なんていうか、凄くはっきり要求するようになったよね。前は申し訳なさそうにお願いしてきたのに。」
「レティシア嬢のメイドの家族が誘拐された事件で家が疑われた件もあるし、ちょっと強引だが、早めに立て直すか。」
「そうだね、兄さんが公爵になったら、僕がここの領主になってキッチリと統治するよ。あっちと離れすぎていて、誰かいないと、ここすぐ乗っ取られそうだからな。」
「よし、兵を連れて夜のうちに奇襲攻撃で行こう。
犯罪者か確認したら雑魚は生かしても碌な事にならないから、全部殺して懸賞だけもらう。上の方は繋がりや外の拠点が知りたいからな。出来る限り生かして後で聴取だな。
奴らの財産は全部没収してこの領の立て直しに使うか。」
「いっそ家も全部取り壊しちゃおうよ、貴重品だけ民に持たせて、一か所で暫くテント暮らしでいいじゃん。どうせ、戦争とかあったらそうなるんだしさ。治安の悪い地域にいるんだから慣れてるでしょ。」
「そうだな、それでいこう。久々に暴れまくるぞ。ストレス発散―――。
あ、記録映像取るための魔道具もう仕掛け終わったか。」
「勿論。他人なんかに任せないで僕が自ら仕掛けたよ。やりすぎた兵士の処罰もするからね。」
「兵士は体力あるし、やりすぎるような奴は罰として強制労働させたいからな。
街壊れるだろうし、立て直すのに人手がいる。」
準備万端の2人、顔を見合わせて微笑み合う。
魔力探査で人の場所を探知し、逃げられないように要所に兵を配備。外にも兵達にぐるりと囲ませる。兵達には、民の女子供に手を出さなければ、好きなだけ暴れていいと話す。
空に魔法を打ち上げ合図を出し、奇声を叫びながら、先頭で突入するドレーブ兄弟。
家のドアを壊し中にいる人を捕まえて行く。騒ぎに築いた人達が家から出て来て、犯罪者も民も逃げようと、罵声や悲鳴が溢れる。彼方此方で、兵達の魔法が飛び、人が斬られて倒れて行く。 調子に乗ったのか一部の兵は家を叩き壊している。街は大混乱だった。
「民は避難所、はむかう奴は皆殺し―――。」
ドレーブ兄弟。声を響かせ駆け抜け、ついでに捕縛し斬りつけて行く。辺境領の周りを取り囲んだ兵士により、逃げてきた犯罪者は捕縛または殺されていく。
民と一部の犯罪者は、命がけで避難所へ向かう。
避難所へ入ると両脇を兵が囲んだ状態で、犯罪者達の絵が描かれた道を歩かされる。
犯罪者が逃げたり隠れたり襲おうとするが、兵達によってどんどんと捕まっている。
夜が明ける頃には、殆どの家が破壊され、沢山の犯罪者が殺された。犯罪者の大物はこれから聴取が待っている。
民は一度自分の家に帰る事が許され、貴重品を持ち、避難所のテントに戻ってきた。
戻った民は、食事の炊き出しに掃除を始める。兵達は街の警護と捕まえた犯罪者達の聴取に分かれ人数は減っていたが、民は昨日の恐怖が残っている為、誰も騒ぎを起こさず静かだった。
聴取で外の拠点が分かり、その日の夜には拠点2か所を壊滅させ、ボス以外は皆殺された。
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「ああ、レティシア嬢が、辺境に新しく土地を生かした物を作れば、人々が遊びに行くんじゃないかって言ったってやつか。何が良いんだろうな。そういう流行りもの系は思い浮かばないから、土地だけ開けとくか。女性の方が詳しいだろ。」
「うん、僕も思い浮かばないよ。避暑地とか。俺達フォローしてくれる女性がいないから。」
「俺達もそろそろ、婚約を考えないといけないのにな。」
黙り込む2人。そのまま仕事に戻っていった。
立て直しの真っ最中の2人は忙しいのだ。
早く終わらせて、戻ったら公爵家代変わりだ。頑張る2人。
第1王女も王弟も、立て直してこいとは言ったけど戻ってくるなとは言ってない。
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