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マリーの初等部学校生活 【下】

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 5年生になったマリーは、男爵子息エネル・ボーン、平民ルカ・ハノン、平民コナ・カルン
と新しく友人になった。皆年上だが、マリーの事も対等に接しているし一緒にいてとても楽しい友人達だ。
 やっと友人が出来て、普通の学校生活が送れるようになってマリーは日々充実して過ごしていた。

 ゆっくり過ごす余裕ができたせいか、最近マリーは自分の将来について考え始めた。
だが、自分がどういう道に進みたいのか分からない。
 魔力量は多いが軍事関係は嫌だし、成績が良いから役人になりたいわけでもないし。
飛び級した為、進路を考える時間が他の子供達より短くなってしまったのだ。

 同じ貴族の男爵家のエネルと一緒にいる時に、聞いてみた。
「私は自分が将来どうしたいのか分からないのよ。考えているけれど思い浮かばなくて。
エネルはもう何か考えているのかしら。」
「僕は最終的に騎士団に行きたいんだよ。だからこのまま中等部に進学する。
悩んでいるなら、ご家族に相談してみたらどうかな。

 マリーのお兄様は凄いよね。マリーと同じように飛び級なさって、成績もトップだったし。
魔力は少ないのに剣と動きの素早さや戦略で、模擬戦も魔法を使う相手にも勝ってしまうんだ。

 マリーは魔法が凄いよね。魔力量も多いし、模擬戦でも魔法だけで結構勝ててしまう。
マリーは騎士は目指さないのかな。」

「ええ、私には騎士は無理よ。魔法しか出来ないし、騎士になる覚悟がないもの。
お兄様、ご自分の活躍に関して余りお話にならないのよ。今度聞いてみようかしら。」
「それが良いよ。僕もダン様にお会いしたいな。」
「それなら今度お兄様に聞いてみるわ。折角だし、ルカとコナも誘ってみましょう。」
「嬉しいよ、ありがとう。楽しみにしているね。」

「2人ともここにいたの。楽しそうね、何を話していたのかしら。」
 エネルが好きなルカとコナは、少し不機嫌そうにやってきた。
エネルは男爵家の為、平民でも将来結婚できる可能性があるからだ。マリーの両親のように。

「将来どうしたいのかまだ決められないから、エネルに聞いていたのよ。
お兄様の都合のいい時にエネルを招待するから、良かったら2人とも遊びにいらしてね。」

「ありがとう、マリー。エネルは卒業したら騎士になるのよね。」
「中等部に行ってからだね、もし騎士が無理だった場合の為に中等部は卒業したいんだ。」
「私も中等部に行くわ。でもその先はまだ決めてないのよ。」
 ルカがそういうと、コナも同意する。

「貴族の女性も中等部へ行くのかしら、他家との婚約や結婚で余り行かれない感じよね。」
「婚約や結婚以外でも中等部に行かない時は、家で家庭教師による勉強があるから、学校に行くかは人によると思うわよ。」
「そうなの、勉強しなくていいのかと思ったわ。」
「それはないな。貴族女性が知識等を知らない振りをする事はある。
 例えば夫とパーティーに参加、相手が微妙な質問をした際、婚姻のせいで中等部に行けなかったのでと言って逃げることに使うとか、彼女達が知らないと言った時は裏があるよ。
 何も知らない女性が、重要な地位や仕事に就く夫の横には立てない。
勿論、男女逆の場合も同じだよ。」
 エネルが言うのを聞いて、マリーは微妙な顔をしている。

「お兄様にお手紙かいてくるわね。返事が来たら知らせるわ。では、又明日。」
「僕は、剣の練習をしてくるよ。またね。」

 最近ルカとコナが、エネルとマリーが2人で話すと、少し機嫌が悪い態度をする事がある。
エネルも2人の気持ちに気がついているようだし、少し距離を取るのかもしれないな。
折角仲の良い友達が出来て毎日楽しかったのに。

 私は何がしたいのだろう。いろんな国に行ってみたいな。
好きな人が出来たら結婚できないならしないままがいいな。いろんな国に行きたいなら、語学と他国の情勢等の知識がいるわね。やっぱり中等部は必要よね。
どちらにしても男爵家と一度相談したいわね。

 ルカとコナとうまく付き合っていけると楽しいんだけれど、家に誘ってみて関係が変わらなかったら別の人達との交流も進めなきゃ。
 考えの決まってすっきりしたマリーは、ダンに進路相談とエネルがダンに会いたがっている事、その際ルカとコナも一緒に家に誘いたいと手紙に書いて出した。

 ダンからは週末なら一日家にいるからお友達は午後にして、マリーには金曜日から帰ってくるようにとすぐに返事が来た。
 早速エネル達に伝えると、皆喜んで来ると言われた。エネルが2人を一緒に連れて行くことになり、ルカとコナは嬉しそうに喜んでいた。

 金曜日マリーは男爵家に帰り、皆で今後の進路を話す。中等部に行き勉強をしたいが、その後色々な国を回りたいというあいまいな事しか思いつけない事を説明した。
 3人の意見は、マリーの将来を男爵家で縛る事はしないから好きな道を選ぶようにと言われた。色々な国と係りたいなら、貿易関係を考えるか、旅をしながら他国の事を書くとか、運送会社を経営するとか、具体例を出してくれた。
 マリーは貿易関係と、他国の本を出す事の2つに的を絞って動いていくことに決め、皆に報告した。

 土曜日になり、学校でのことを話すと男爵夫人のマリナにもっと交流関係を広めておくように注意される。学校に戻ったら早速派閥関係なく、クラスの知り合いから友人になれるように行動する事にする。
 皆に言われたのは、マリーが飛び級しているので本来なら6年かけて築く関係を後2年で築かなければならないのだから、もっと積極的に動きなさいという事だった。

 エネル達3人が来ると、ダンも一緒に出迎えてくれる。
 エネルはダンに剣や魔法、騎士団に入りたい事など夢中で話している。ダンはアドバイスと、騎士団に入る予定の友人数名で初等学校に尋ねて行く事を提案。喜んでいるエメルの横で日程など全て決める。
 マリーは、ダン本人の実力の高さ、やりたいと思った事を実行できるコネ、他人への支援を惜しまない姿を見ながら、なんて凄い人なんだろうと尊敬のまなざしで見ている。
 マリーはエネルと目が合うと、2人ともダンへの尊敬の気持ちに深くうなずいた。

 ルカとコナはよく分からなかった。マリーがダンを見つめていたから好きなのかと思ったら、今度はエメルと見つめ合って頷いて二人でダンを見ている。意味が分からない。
 その後は、エメルが2人を送り男爵家を辞去した。

 翌週から学校に戻ると、マリーが積極的に色々な人との交流を始めていた。派閥問わず話しかけるが、知り合いから友人にはなかなかなれない。
 マリーは気にしている様子はなく、徐々に能力のある人や話の合う人を見つけ少しずつ友人を増やしていった。
 エメルも、ダン達がやってくるという事で一躍男子のヒーロー扱いだ。男子の仲間で行動するようになり、ルカとコナは近づくことが出来なくなってしまった。

 6年生になっても、マリーは成績トップを保ち続け卒業生総代に選ばれる。
マリー自身の魔法と能力の高さという魅力によって、同じように優秀な人達との友人関係を築くことにも成功した。

 飛び級によって、レティシアたちより先に入学する事になったマリー。中等部からは王太子達と一緒の学校生活になる。
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