私は脇役でしょう?

Snowdrop

文字の大きさ
上 下
5 / 5
幼少期

澪 1

しおりを挟む
場面切り替えが今回多めです。



────────────




 「お友だち...ですか?」

お父様に呼び出された私はオウム返しをして首を傾げた。

「ああ。都にも同じ歳の友達が欲しいかと思ってね」
「来年から学校に行くのに急ぐ必要はないのでは?」
「学校に行く前からつくっておけば心強いだろう?幼い頃からの友人は宝物だよ」

そう言われ私は少し考え込んだ。
恐らくお父様は、単なる『お友達』ではなく、ちょっと腹黒い感じのことを話しているのだろう。

空気がね、そんな感じ。

だとすれば相手はそれなりに地位のある家の子。
と、思うのは、この家はリゾート会社として五指に入るくらいの覇権を持っている。そのため、わざわざ作る『お友達』なら、結構な家柄じゃないと意味がないからだ。
...将来のためにも人脈は持っておくべき。
ならばここで断るのは下策か──

「分かりました」

私が返事をすると、お父様はにっこり笑みを浮かべた。
因みにお父様は二児の親とは思えないほど若々しい。
これが乙女ゲー補正?

「良かった。じゃあ来週辺りに相手の子と会わせるよ。相手は宮水家の跡取りだから、粗相のないようにね」
「はい、来週ですね。って──え?」

さらりと告げられた言葉にぴしりと体が固まった。

「宮水家、と仰いましたか?」
「ん?そうだよ?」

何か?と不思議そうにするお父様に私はいえ、と首を振った。

「思っていたより名家の方でしたので、驚いてしまいました」
「あぁ、確かに宮水家は古くからの家だしね。それこそ御洛家にも負けず劣らずの」

うんうんと納得するお父様にほっとしつつ、私はペコリと頭を下げた。

「では、お仕事かんばってください」
「うん、都も勉強頑張って」
「はい」

退出すると私は速攻で部屋に戻った。


...ふう。















とーさまの、ばかぁぁぁぁ────!




どうして早速攻略対象に会わせるの!
何がなんでもスルーって決めたばっかなのに~!


うわぁーん!








...
......
.........うん。


取り敢えず、決まったのだからしょうがない。
腹を括ろう。

しっかと前を向くと、私は来たるその日へと決意を固めた。






♦♦♦♦♦

お父様に宮水 澪と会うことを言われて一週間。

今日が澪と会う日だ。


「緊張するかい?」

一緒に車に乗っているお兄様が私の顔を覗き込む。

うん、綺麗。

お兄様は私とお揃いの柔らかな金髪と青い目、癒し系のイケメンだ。
だけどその中身は結構腹黒。
名前に京都を表す『洛』の字が入ってるだけあって、中々に京男らしい。
...いや、この歳で『男』は似合わないな。ショタと言ってもおかしくないくらいには幼いし。せめて『京男子』くらいにしてほしい。

話が逸れた。

「はい、少し。どんな方かまだ分かりませんし...」

少し微笑んで言うとお兄様は励ますように頭を撫でた。

「大丈夫だよ。話では礼儀正しい子みたいだし。心配せずともきっと無事に終わるよ」
「...はい」


丁度宮水家に着くと、私は車を降りた。
お兄様はこのまま友達の家へ行くので別々だ。

ふう...。


私は息を吸い込むと宮水家へと足を踏み出した。







♦♦♦


案内されて応接間まで行くと、そこには既に、宮水 澪と、今の当主、宮水 りつがいた。

「申し訳ありません。私一人で来てしまい...」
「いや、大丈夫だよ。最近新しい旅館に手を出したんだろう?今はその準備で忙しいだろうしね」
「そう言って頂けるとありがたいです」

私は可愛らしい笑みを浮かべると、ペコリと頭を下げた。


それを見て当主は何かを思ったか少し笑うと席を立つ。

「じゃああとは二人に任せるよ。では」

それを見送ると私は澪と向かい合う。


...よし。

────────────

すっごい中途半端ですみません...
元々はもうちょい書いてたんですが、いい文章が思いつかず推敲が終わらなかったので一旦投稿しておこうと。
最近忙しいので滅多に書ける時間が作れずじまいでして...
あともう少しでピークが終わるのでそしたら書きます!

それと、学園モノなんだから早く入学して~と思われたら、すみません。
というか学園モノなの!?と今知った方もいるかなぁ...いそう...
澪くんは学園でも仲良くするので、掴みの次話はどうするか、作者もドキドキしております。

こんな作者ですがこれからもお付き合いくださいませ。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

婚約破棄ですか。ゲームみたいに上手くはいきませんよ?

ゆるり
恋愛
公爵令嬢スカーレットは婚約者を紹介された時に前世を思い出した。そして、この世界が前世での乙女ゲームの世界に似ていることに気付く。シナリオなんて気にせず生きていくことを決めたが、学園にヒロイン気取りの少女が入学してきたことで、スカーレットの運命が変わっていく。全6話予定

すべてを思い出したのが、王太子と結婚した後でした

珠宮さくら
恋愛
ペチュニアが、乙女ゲームの世界に転生したと気づいた時には、すべてが終わっていた。 色々と始まらなさ過ぎて、同じ名前の令嬢が騒ぐのを見聞きして、ようやく思い出した時には王太子と結婚した後。 バグったせいか、ヒロインがヒロインらしくなかったせいか。ゲーム通りに何一ついかなかったが、ペチュニアは前世では出来なかったことをこの世界で満喫することになる。 ※全4話。

……モブ令嬢なのでお気になさらず

monaca
恋愛
……。 ……えっ、わたくし? ただのモブ令嬢です。

【完結】死がふたりを分かつとも

杜野秋人
恋愛
「捕らえよ!この女は地下牢へでも入れておけ!」  私の命を受けて会場警護の任に就いていた騎士たちが動き出し、またたく間に驚く女を取り押さえる。そうして引っ立てられ連れ出される姿を見ながら、私は心の中だけでそっと安堵の息を吐く。  ああ、やった。  とうとうやり遂げた。  これでもう、彼女を脅かす悪役はいない。  私は晴れて、彼女を輝かしい未来へ進ませることができるんだ。 自分が前世で大ヒットしてTVアニメ化もされた、乙女ゲームの世界に転生していると気づいたのは6歳の時。以来、前世での最推しだった悪役令嬢を救うことが人生の指針になった。 彼女は、悪役令嬢は私の婚約者となる。そして学園の卒業パーティーで断罪され、どのルートを辿っても悲惨な最期を迎えてしまう。 それを回避する方法はただひとつ。本来なら初回クリア後でなければ解放されない“悪役令嬢ルート”に進んで、“逆ざまあ”でクリアするしかない。 やれるかどうか何とも言えない。 だがやらなければ彼女に待っているのは“死”だ。 だから彼女は、メイン攻略対象者の私が、必ず救う⸺! ◆男性(王子)主人公の乙女ゲーもの。主人公は転生者です。 詳しく設定を作ってないので、固有名詞はありません。 ◆全10話で完結予定。毎日1話ずつ投稿します。 1話あたり2000字〜3000字程度でサラッと読めます。 ◆公開初日から恋愛ランキング入りしました!ありがとうございます! ◆この物語は小説家になろうでも同時投稿します。

目が覚めたら夫と子供がいました

青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。 1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。 「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」 「…あなた誰?」 16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。 シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。 そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。 なろう様でも同時掲載しています。

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

逆ハーレムエンド? 現実を見て下さいませ

朝霞 花純@電子書籍化決定
恋愛
エリザベート・ラガルド公爵令嬢は溜息を吐く。 理由はとある男爵令嬢による逆ハーレム。 逆ハーレムのメンバーは彼女の婚約者のアレックス王太子殿下とその側近一同だ。 エリザベートは男爵令嬢に注意する為に逆ハーレムの元へ向かう。

〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です

hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。 夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。 自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。 すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。 訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。 円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・ しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・ はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?

処理中です...