10 / 33
10.人助けします
しおりを挟むトリシアが出ていったのを見送ってから、この飛行機を一先ず安全な場所に移動させる。
【転移】
ーーー
飛行機ごと【転移】させるのは面倒だったが、俺の領域の屋敷前まで転移させる事が出来た。
と思ったんだが、転移後にふと屋敷の方を見ると屋敷の向こう側、少し離れた所にも飛行機が落ちていた。
「まさかの2機目。この分じゃ何機落ちている事か」
見た感じたった今、墜落してきましたって感じで今にも爆発しそうに燃えていた。
その上、機体には不自然な、そして見覚えのある凹みがあった。
あれはどう見ても女の拳跡に見える。もしかしなくてもトリシアがやってしまったのか。
不幸中の幸いなのは、凹みの角度的に俺の屋敷に当たりそうな飛行機を逸らす為にやった事だと分かったので少し安心したよ。
「何と無くで攻撃した訳じゃないんだな。理由がちゃんとあって良かった」
しかし、建物を狙ったか様に落ちてくるなんて、ルシア姉さんの言った通り攻撃と勘違いをしてもおかしくはないな。偶然だとは思うけど。
今思えば、【逆転送】でトリシアを呼んだ時、待機時間が5分といつもより長かったな。てっきり風呂かトイレだと思っていたのに、この飛行機の対処をしていたのか。
少し失礼な事を思ってしまったかな?
まあ、5歳児のトリシアだから別にいいか。
それよりも早くどうにかしないとな。このまま爆発でもされれば俺の屋敷にも被害がいくからね。
空を跳びながら、飛行機に近づいていき機体に触れる。
「まずは浮かせないと」
【反重力】
魔法陣が飛行機全体と通ると、重力をゼロになったので軽く引っ張り機体を浮かせる。
「そして、仕舞う」
【収納】
爆発しそうな飛行機は、黒い空間に包まれていき消えていった。
この【収納】には生き物を入れる事は出来ないので、人が入っている乗り物などを仕舞おうとすれば、生きている人は自動的にその場に残ってしまう。
その代わり既に命のないものは【収納】に入ってしまうがな。
それと、その生きている人の所有物もしまう事が出来ないので、人が乗っている馬車などだと【収納】に入らない事が多い。
でも、飛行機の所有者は居ないので簡単にしまう事が出来、残っているのは生きている人だけだ。
一々死体を分けるのが面倒くさいし、飛行機の爆発を止めようとすれば中の人ごと殺ってしまうので、これが最善策だ。
残された人は飛行機を【収納】に仕舞う前に【反重力】を掛けてあったので宙に浮いたままの状態になっている。
浮いている人を見ると怪我人も結構いるみたいだな。
他にも、どうして浮いているのか分からずに騒いでいる奴もまあまあ居るが一々対応するのが面倒なので、その声をシャットアウトする。
「あまり得意じゃないんだが、怪我人を治すか」
【エリアヒール】
癒しの光に包まれて、怪我をした人達が治っていくが、俺はあまり現代魔法が得意な方ではないので跡が残ったりするけど命が助かるならそんな事どうでも良いよね。
【安楽領域】
怪我を治し終わったので、騒がれる前にさっさと眠らせて、爆発しない方の飛行機に荷物も一緒に全員押し込んでしまう。
【安楽領域】
再度、【安楽領域】を掛けて深い眠りについてもらい。今度は【安楽領域】で飛行機を包んだままにしておく。
【安楽領域】は安らぎの空間を作るだけでなく、快適な空間を作る事も出来る魔法なので、地球に飛行機ごと移動するなら必須の魔法だ。
高度5万メートルに行けば、俺は大丈夫でも乗客は酸欠で死んでしまうからな。つくづく思うが人間の体って弱いよな。
今日は、それを魔人になってから一番実感した日だよ。面倒臭い。
乗客を死なせない様に気を使って色々頑張った気がするが、それも後もう少しの辛抱だぞ、俺。
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
現代転生 _その日世界は変わった_
胚芽米
ファンタジー
異世界。そこは魔法が発展し、数々の王国、ファンタジーな魔物達が存在していた。
ギルドに務め、魔王軍の配下や魔物達と戦ったり、薬草や資源の回収をする仕事【冒険者】であるガイムは、この世界、
そしてこのただ魔物達と戦う仕事に飽き飽き
していた。
いつも通り冒険者の仕事で薬草を取っていたとき、突然自身の体に彗星が衝突してしまい
化学や文明が発展している地球へと転生する。
何もかもが違う世界で困惑する中、やがてこの世界に転生したのは自分だけじゃないこと。
魔王もこの世界に転生していることを知る。
そして地球に転生した彼らは何をするのだろうか…
独自ダンジョン攻略
sasina
ファンタジー
世界中に突如、ダンジョンと呼ばれる地下空間が現れた。
佐々木 光輝はダンジョンとは知らずに入ってしまった洞窟で、木の宝箱を見つける。
その宝箱には、スクロールが一つ入っていて、スキル【鑑定Ⅰ】を手に入れ、この洞窟がダンジョンだと知るが、誰にも教えず独自の考えで個人ダンジョンにして一人ダンジョン攻略に始める。
なろうにも掲載中
あなたの冒険者資格は失効しました〜最強パーティが最下級から成り上がるお話
此寺 美津己
ファンタジー
祖国が田舎だってわかってた。
電車もねえ、駅もねえ、騎士さま馬でぐーるぐる。
信号ねえ、あるわけねえ、おらの国には電気がねえ。
そうだ。西へ行こう。
西域の大国、別名冒険者の国ランゴバルドへ、ぼくらはやってきた。迷宮内で知り合った仲間は強者ぞろい。
ここで、ぼくらは名をあげる!
ランゴバルドを皮切りに世界中を冒険してまわるんだ。
と、思ってた時期がぼくにもありました…
CLOUD(クラウド)
青木 森
ファンタジー
太古と呼ぶにふさわしい程の遥か昔、国や民を護る代理戦争兵器として生み出された少年少女達がいた。
しかし彼等彼女等はその脅威から各国首脳協議の末、それぞれ自国にて棺に封印される事となった。
直後、地球規模の天変地異が起き、古代人達は死滅する。
天変地異を越え、氷河期を越え、現代に目覚める戦いしか知らない少年少女達。
核戦争後の混沌とした世界の中で力強く生きる人々との出合と別れを繰り返し、人の心を学び、やがて運命的な再会を果たす。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
EARTH STRIDER 〔アースストライダー〕
とと
ファンタジー
地球には二つの世界が存在する。
一つは我々の住む地球、一つは選ばれた戦士達が住む地球。
一つの世界で災害があればもう一つの世界も同じように災害をうけ、一つの世界で地球外の者に攻撃されれば、もう一つの世界も破壊される。
この地球は例えるならばコインの裏と表。
我々の住む地球、表の地球から選ばれた戦士の地球、裏地球へ召喚された者達は地球を護る戦士として、こう呼ばれた。
地球を跨がける戦士……アースストライダーと……
この物語は二つの時代が、それぞれの物語となり、一つになる壮大な物語である。
宇宙あり、バトルあり、恋愛、友情、師弟愛、ロボットありの構想20年くらいの長編ストーリーです。
一話一話が大変長いです。
暇潰しに読んで頂けたらと思います。
一人でも多くの人に読んで頂けたら嬉しいです。
さあ、ページをめくりたまえ……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる