3 / 39
1,パーティを追放されます。本当によろしいのでしょうか。
しおりを挟む「おい!シエン!お前をこのパーティから追放するっ!!」
クラウン王国冒険者ギルド内で、僕の目の前でギャンギャンと犬みたいに喚き散らしている、一応僕の幼馴染からパーティ追放を告げられた。
「聞いているのかっ!シエン!」
「そうよっ!ショックで声も出せないのかしら?」
「信じられないって顔をしてらっしゃるわね。それとも、夢を見ているんだっかしら?残念ね、これは現実で、事実よ。」
いや、ずっと表情変えてませんし、確かに夢見たいとは思ってますけど…。
「一応、理由を聞かせてくれ。」
「はっ!白々しい!お前みたいな役立たずの糞野郎で最底辺を生きているような奴が俺の大事なアリスとユキに手を出そうとしたことは知っているっ!そればかりか!普段役に立っていないお前が唯一役に立てる雑用仕事をアリスとユキにやらせるとは!俺が知らないとでも思ったかっ!今まで幼馴染として、一緒に過ごしてやって面倒まで見てやったが、もううんざりだっ!」
「そうよそうよ!今までのあなたの面倒を見てあげたアキに感謝してよっ!」
「なんてお優しいアキ様。貴方様も少しは見習ったらいかがでしょう?」
おい、ちょっと待て。
色々文句を言ってやりたい。
というか、突っ込ませろ。
手を出そうとした?
いや、マジでまて。
確かに一人称は僕だし、魔法で少し姿をいじってはいるが…
僕は女だ。
何故、小さい頃と合わせてだが、5年間近く一緒に過ごしてきて気づかないんだ…。
しかも、役に立っていないのは、お前らの方だ。
役立たずの糞野郎はお前らだろ。
最底辺を生きているのもお前らだ。
僕じゃない。
見捨てないで、今まで一緒に過ごしてやって、面倒を見てやったのも僕だ。
決してお前らではない。
今まで何回尻拭いさせられたと思っている…。
5794回だぞ?(なんで数えているかって?僕が数えたんじゃない、面白がって数えてる奴がいるんだよ!)
はぁー、めんどい。
「分かった…分かったよ。僕は『紅龍』を抜ける。」
「聞き分けだけはいいみたいだなっ!」
「私たちに近づかないで欲しいわ!二度とね!」
「ええ。それには賛成ですわ!どうせなら、誓っていただきましょう?よろしいでしょうか、アキ様。」
「ユキ!いいこと言うね!」
「素晴らしい提案だ!おい、シエン!確か『誓の制約』もってだろ!出せ!」
「はいはい。…これだね。」
「【俺達『紅龍』は今日をもって3人パーティ。アキ、アリス、ユキのメンバーで活動する!そして元メンバーである、シエンとは、一生関わらないことをここに誓う!】っよし!これでいいな!聞いたな?シエン!関わるんじゃねーぞ!」
言われなくても、関わらねーよ。
「ってことで、ギルドのお姉さん。聞いてたよね?僕ギルド抜けるから。手続きよろしく。」
「…本当に、本当によろしいのでしょうか?」
受付のお姉さんに質問された。普通に聞くとただ、勝手に追放された僕を心配しているように聞こえるだろう。
だが、実際は異なる。
これは、アキ、アリス、ユキに聞いているんだ。
本当にいいのかと。
何故かって?
だって、このお姉さんを含む、ギルド職員はしってるから。
僕が、女だってこと。
自分で言うのもなんだけど、美少女であるということ。
僕個人のランクがSSSランクに対し、アキはCランク、アリス、ユキはDランクだということ。そのため、僕のおかげでパーティランクがSランクになっていて、僕が抜けた途端、Cランクにまで下がるということ。
僕が、オールマイティ型のチート持ちで、存在自体がチートなこと。
あ、あと、本当の姿も知ってるんだっけ?
でも、『紅龍』のメンバーは知らない。
何一つ知らない。
だから聞いている。
本当にいいのかと。
確認している。
だから、
僕は復讐の意味を込めて、笑顔で言ってやるんだ。
紅龍のメンバーはただ、僕を追放できるという嬉しさを込めて、笑顔で言うんだ。
「ええ、いいですよ。」「ああ!」「うん!勿論っ!」「ええ。」
「…受理…致します。」
こうして、僕は長年一緒だった幼馴染との縁を切られ、パーティを追放された。
0
お気に入りに追加
322
あなたにおすすめの小説
そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます
修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。
その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。
彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。
ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。
一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。
必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。
なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ──
そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。
これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。
※小説家になろうが先行公開です
【完結】記憶を失くした貴方には、わたし達家族は要らないようです
たろ
恋愛
騎士であった夫が突然川に落ちて死んだと聞かされたラフェ。
お腹には赤ちゃんがいることが分かったばかりなのに。
これからどうやって暮らしていけばいいのか……
子供と二人で何とか頑張って暮らし始めたのに……
そして………
【完結】私は死んだ。だからわたしは笑うことにした。
彩華(あやはな)
恋愛
最後に見たのは恋人の手をとる婚約者の姿。私はそれを見ながら階段から落ちた。
目を覚ましたわたしは変わった。見舞いにも来ない両親にー。婚約者にもー。わたしは私の為に彼らをやり込める。わたしは・・・私の為に、笑う。
忘れられた幼な妻は泣くことを止めました
帆々
恋愛
アリスは十五歳。王国で高家と呼ばれるう高貴な家の姫だった。しかし、家は貧しく日々の暮らしにも困窮していた。
そんな時、アリスの父に非常に有利な融資をする人物が現れた。その代理人のフーは巧みに父を騙して、莫大な借金を負わせてしまう。
もちろん返済する目処もない。
「アリス姫と我が主人との婚姻で借財を帳消しにしましょう」
フーの言葉に父は頷いた。アリスもそれを責められなかった。家を守るのは父の責務だと信じたから。
嫁いだドリトルン家は悪徳金貸しとして有名で、アリスは邸の厳しいルールに従うことになる。フーは彼女を監視し自由を許さない。そんな中、夫の愛人が邸に迎え入れることを知る。彼女は庭の隅の離れ住まいを強いられているのに。アリスは嘆き悲しむが、フーに強く諌められてうなだれて受け入れた。
「ご実家への援助はご心配なく。ここでの悪くないお暮らしも保証しましょう」
そういう経緯を仲良しのはとこに打ち明けた。晩餐に招かれ、久しぶりに心の落ち着く時間を過ごした。その席にははとこ夫妻の友人のロエルもいて、彼女に彼の掘った珍しい鉱石を見せてくれた。しかし迎えに現れたフーが、和やかな夜をぶち壊してしまう。彼女を庇うはとこを咎め、フーの無礼を責めたロエルにまで痛烈な侮蔑を吐き捨てた。
厳しい婚家のルールに縛られ、アリスは外出もままならない。
それから五年の月日が流れ、ひょんなことからロエルに再会することになった。金髪の端正な紳士の彼は、彼女に問いかけた。
「お幸せですか?」
アリスはそれに答えられずにそのまま別れた。しかし、その言葉が彼の優しかった印象と共に尾を引いて、彼女の中に残っていく_______。
世間知らずの高貴な姫とやや強引な公爵家の子息のじれじれなラブストーリーです。
古風な恋愛物語をお好きな方にお読みいただけますと幸いです。
ハッピーエンドを心がけております。読後感のいい物語を努めます。
※小説家になろう様にも投稿させていただいております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる