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003 旅立ち

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 あれから数日、私は初めての自由・・を堪能した。
 『祈り』をやめて数日を過ごしたことで様々な発見をした。
 まず私の『祈り』は毎日行うことで徐々に効果を発揮していくものだったようで、『祈り』をやめてからもまだまだ私の魔力は悔しいことに王国のために力を発揮しているようだった。
 ただすでに戻ってきた魔力だけでこの数日の旅を何不自由ないものに変えるほどの大きな変化をもたらしていた。

「まずなんといってもこれが便利ですね」

 ──1つ目のスキル【マジックボックス】

 旅にあたって色々と買い込んだ荷物、最初こそ大きなリュックに詰め込んでいたものの、今は念じるだけで保管用の異空間を開くことに成功している。
 マジックボックスと呼ばれるスキルだった事は知ってるけど、残念ながら詳しくは知らない。とにかく何を入れてもしっかり鮮度を保って保存してくれるから、行く先々の街で料理をそのまま購入して中に入れておくだけで、いつでもできたてを食べられる優れたものだった。

「そろそろ私のことを捕らえようとする者が出てきたり……場合によってはプライドを捨てて同盟国に指名手配までするかもしれませんね……」

 あの王子は自分をコケにして出ていった私を許さないだろうし……。
 でもまあ、これで見つかる心配もほとんどないんだけど。

 ──2つ目の【スキル】変装

 化粧要らずで顔や服装までコントロールできる便利な魔法。

 ここまででわかったように、多分私の魔力は別に聖属性のものじゃない。
 聖女という響きと、歴代の『祈り』で使われていた魔力がそうだったからそう感じていただけで、おそらく『祈り』の効果が薄れて魔力が戻ってくる度こういった便利な技を使えるようになるはずだ。


「そう考えるとワクワクしてきますね」

 あと数日はこのまま進むつもりだ。
 東に進み続ければ王国が手を出せなかったガザル共和国がでてくる。
 冒険者たちの活動が活発で、いざ戦争になれば冒険者達が傭兵として機能する可能性が高く、手が出せなかったのだ。
 突けばそれを盾に不平等な条件で交易を持ちかけられるだろうということで、これまで王国が一切声をかけずに起こさないようにしていた虎の子。

「私、冒険者としてやっていけるでしょうか」

 不安と期待が入り混じった気持ちで、今日も美味しいご飯に舌鼓をうっていた。
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